旧 東京倶樂部★CLUB TOKYO:平成館

こちらは実質閉鎖しております→新住所:http://mangotokyo.livedoor.blog/

全体表示

[ リスト ]

映画『海洋天堂』

イメージ 4

【2010年/中国/98min.】
中国青島。 早くに妻を亡くし、男手ひとつで自閉症の息子・大福を育てる王心誠は
自分が肝臓癌に冒され、余命僅かであると知る。
21歳になっても、ひとりで服も脱げない幼い子供のような大福…。
息子の将来を危惧し、無理心中を試みるも、泳ぎが得意な大福に救出され失敗。
そこで心誠は、自分が居なくなっても大福が困ることの無いよう
ひとりで生きる術をひとつひとつ教え始める…。
 
 
日本公開を熱望する署名運動まで起きた作品がいよいよ公開。
 
監督は女性で、『北京ヴァイオリン』の脚本家として知られる薜曉路(シュエ・シャオルー)
もちろん初監督となる本作品でも、14年間に渡る自閉症施設でのボランティア活動などを基に
自身で脚本を執筆している。
 
 
 
映画は、末期癌に冒されていると知った王心誠が、自閉症のひとり息子・大福に生きる術を教えながら
残された僅かな時間の中で、父子の絆を深めていく物語。
 
子より親が先に死ぬのが普通の順番。 子が親より先に死ぬのは一番の親不孝だとも言う。
では、子に先立たれる哀しみと、生活力の無い子をひとり残して死ぬ不安では、どちらがマシだろうか。
 
男手ひとつで子供を育てている主人公が末期癌の宣告を受け
生活力の無い子を残してもう直死ななければならない、という共通項から
最近観た『BIUTIFUL ビューティフル』を思い出した。
 
どちらの男主人公にも、自分の死後、保護者を失った子供がどうやって生きていくのかという
現実問題が重く伸し掛かる。
『BIUTIFUL』の主人公ウスバルは、少しでも多くのお金を残そうとしたり
不法移民の女性に子供たちの面倒を託したりする。
決して充分な手配ではなくても、ウスバルの幼い子供たちは、これで当面は暮らしていけるであろう。
 
一方『海洋天堂』の息子・大福は、すでに成人しているものの自閉症
父の死後、取り敢えず数年さえ凌げば、安定した職に就けるとか
ましてやパトロンが現れるなどということは、まず有り得ないので
父が息子のために準備しておく手配も、“当面”のものではまったく不充分なのだ。
 
もう大きくなってしまった大福を引き取ってくれる施設探しだけでもひと苦労だし
大福本人には、服の脱ぎ方やバスの乗り降りなど、人並みに日常生活が送れるよう
当たり前とも思える単純な事を、一から教え込まなければならない。
 
街中でたまに、何かしらの障害を持つ中年に付き添う老父母を見掛ける。
同情なんてされたくないだろうし、余計なお世話だろうが
そんな親御さんたちが抱く将来への不安を察すると、とても切なくなってしまう。
自分たちが死んだら、この子はどうなってしまうのか?!と悩み苦しむ人々は
世の中に結構多いのではないだろうか。
 
 
本作品は、慈善活動に熱心なことで知られる李連杰(ジェット・リー)が、脚本に感動して
アクションを一切封印し、ノーギャラで出演したことも話題。
 
イメージ 1
 
 
演じたのは、死期が迫る父・王心誠。 まったく洒落っ気の無い、ごくごく質素な地味ぃーなオジさん役。
オーラ無し。 李連杰が、しおらしくモップで床掃除しているし。
いつもの李連杰だったら、モップを手にした途端、それを使って大立ち回りを演じそうだが
今回は、モップの使用目的が正しい。
そんな姿に違和感は無いし、私は、アクション抜きの李連杰は、大いにアリだと思った。
アクション抜きの甄子丹(ドニー・イェン)の方がずっと考えにくい。
李連杰には、甄子丹のようなギラギラ感が元々薄いからかも知れない。
 
 
世間では、そんなアクション抜きノーギャラの李連杰ばかりに話題が集中しているけれど
息子・大福役の文章(ウェン・ジャン)が実は凄くないか…?!
文章は、1984年西安生まれ、中央戲劇學院卒。
私生活では、8歳も年上の女優・馬伊琍(マー・イーリー)と結婚し、すでにパパ。
『奮闘』、『蝸居』などヒットドラマに出演した他、
最近では周星馳(チャウ・シンチー)の新作映画『西游記之除魔外傳』が進行中と
あちらではかなり活躍しているようだが、私は、彼が演じる姿を今回初めて見た。
 
イメージ 2
                                                          (クリックで拡大)
 
化けまくり。めっちゃくちゃ上手いんですけれど、文章。
演者によっては滑稽になってしまいそうな難役を、文章はごく自然にチャーミングに演じている。
本当の自閉症の21歳にしか見えない。
 
 
台湾からは、人気の桂綸鎂(グイ・ルンメイ)がサーカス団の玲玲役で出演。
但し、出演時間の1/3くらいは、(↓)道化師メイクをしているので、顔が分からない。
 
イメージ 3
 
 
裏方サンにもビッグネームがずらり。
製作 江志強(ビル・コン)、撮影 クリストファー・ドイル、美術 奚仲文(イー・チュンマン)、
編集 張叔平(ウィリアム・チョン)、そして日本からは音楽の久石譲
(桂綸鎂が歌う久石譲作曲の挿入歌あり)
ラストには、周杰倫(ジェイ・チョウ)<說了再見>が流れる。
李連杰同様、映画の内容に共鳴し、サポートしたいと思わせたからこそ
新人監督の作品に、ここまで大物が揃ったのかも知れない。
クリストファー・ドイル、張叔平の名を見ると
自動的に王家衛(ウォン・カーウァイ)監督作品を連想してしまうが
実際には、作品の性質上、本作品に王家衛テイストは感じられない。
 
ちなみに、周杰倫の<說了再見> は、こんな曲 (↓)。
 
 
 
 
 
『王様のブランチ』映画コーナーで、この作品を紹介するLiLiCo涙で言葉を詰まらせたのは
下手な評論家の理屈っぽい解説より、余程宣伝効果が有ったに違いない。
LiLiCoと限らず、「泣ける」、「感動的」という感想をよく耳にするため
泣きのツボを押さえた韓流テイストのお涙頂戴メロドラマなのではないかと、恐る恐る観たら
案外淡々と描かれていて、ホッ…!
…かと言って、すごく好みに合ったわけでもなく、まぁ映画としては平均的な出来という印象。
子を持つ親なら、私とはまた違った思い入れで鑑賞できるのではないだろうか。
映画館では、四方八方からすすり泣く声がした。
自閉症の青年が頑張って何かを成し遂げる姿を描いた直球に前向きな感動作は結構多いけれど
そのような子を持つ親が直面する現実問題をこのように取り上げた作品は
特に中国映画としては珍しいように感じた。 大福はカワイイ。 愛されキャラ。

閉じる コメント(6)

わ〜
大福君に驚きました
チョ・スンウの「マラソン」
くらい驚きました
こんな素敵なかたなんですね

映画はあったかい映画だと思いましたし
子を持つ親としては、切なかったです

ただ、わたし何故か最後の歌にだけ
涙がでました
切ない歌でした

2011/7/20(水) 午後 5:41 [ rinrin ]

顔アイコン

rinrinさん:
大福役の文章は、元々現代的な洗練されたイケメンとは言い切れないルックスではありますが
それにしても随分化けているなぁ〜と私も驚きました。

映画は絶対に子供を持つ親御さんがご覧になった方が、感じるところが大きいでしょうねぇ。
子供に障害が有る/無しに関わらず
自分が居なくなった後の我が子の将来を思うと、切なくなるのではないでしょうか。

最後の歌は、幕閉めに相応しい曲調で、気分をぶわぁ〜っと盛り上げてくれますね。

2011/7/20(水) 午後 8:16 mango

はじめまして。
この映画を見てきました。
私には珍しく、レビューもアップしてしまいました。
TB、お願いします。

2011/8/24(水) 午後 6:52 To-y

顔アイコン

To-yさん:
はじめまして。
滅多にアップされない映画レビューをお書きになるなんて
きっと何か心に響くものがお有りだったのですね。

2011/8/24(水) 午後 9:42 mango

顔アイコン

はじめまして☆検索できました。
ジェット・リーがこういう役をやるなんて新鮮でした。
ノーギャラですし、彼の慈善活動の一環なのかもしれないですね。
素晴らしい演技でした。

2011/10/12(水) 午後 10:55 かず

顔アイコン

かずさん:
はじめまして。
李連杰は、慈善活動に熱心ですよね。
私も、アクション抜きの彼でも、まったく違和感なく見ることが出来ました。

2011/10/14(金) 午後 8:51 mango

開く トラックバック(1)


.
アバター
mango
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
検索 検索

過去の記事一覧

Yahoo!からのお知らせ

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事