旧 東京倶樂部★CLUB TOKYO:平成館

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【2014年/日本・台湾/93min.】
ファッション誌<WISH>の編集者、26歳の風間藍子は、恋人を若い読モに取られた上、
ファッションとは無関係の単発企画の担当に移動させられ意気消沈。
気が乗らないまま取材のため台湾へ。
台北から自らサイクリングし、終着点の日月潭で有名サイクリストの上村豪にインタヴューするという企画。
早速自転車を借りるため立ち寄った店で、あの憎ったらしい読モと瓜二つの冬冬という女の子と出会う。
冬冬はモデルを夢見る16歳。
藍子の目的地が、オーディション会場と同じ日月潭だと知ると、21歳と偽り、ガイドを買って出る。
こうして性格も年齢も異なり、言葉も通じない二人は、日月潭を目指し台北をあとにするが…。
 
 
萩生田宏治監督の新作は、監督にとって初の日台合作映画。
近年観た日台合作で良いと思ったのは、川口浩史監督の『トロッコ』(2009年)くらい。
(あれは、日台合作ではなく、台湾を舞台にした日本映画?)
基本的に“合作に名作ナシ”と感じるが、萩生田宏治監督が手掛けるなら、ちょっと期待してみる…?
本作品は、来日キャスト目当てで、公開初日に鑑賞。上映終了後の舞台挨拶につては、こちらから。
 
 
物語は、仕事も恋も上手く行かない日本人崖っぷち編集者の藍子が、取材で訪れた台湾で
ひょんな事からモデルを夢見る台湾人の女の子・冬冬と出会い、
ふたりで台北から日月潭を目指し自転車で旅することになるサイクリング・ロード・ムーヴィ
 
自転車に興味が無くても、他にも色々な要素アリ。
まずは、26歳の日本人雑誌編集者・藍子の再生物語
仕事も恋も上手く行かずササクレてしまった藍子の心が、旅を通し徐々に治癒していく様子を描く。
仕事を持つ都会の独身女性=人生に行き詰っている、という設定も
そんな女性が台湾のような素朴な南国で癒される、という流れも、まぁ有り勝ちと言えば有りがち。
そう言えば、同じく今年公開の日台合作『一分間だけ』も、主人公・琬真の職業はファッションエディターで
仕事に忙殺された彼女が愛犬の看病をしている内に、自分を取り戻していく様子を描いていた。
クタビレた都会の女の治療薬が、あちらは犬で、こちらはサイクリング旅というのが違い。
 
本作品には、もうひとり重要な女性が登場。藍子より10歳も若い台湾人・冬冬。
もっとも、冬冬は、日月潭で開催されるオーディションへ行きたい一心で、年を21歳と水増しし、
藍子の旅に便乗しているので、藍子は冬冬ががまさかそこまで若いとは知らない。
この設定にも、ちょっとウーン…。私からしてみれば、“まだ16歳”ではなく、“もう16歳”。
すでに分別も行動力もそれなりに有る16歳の女の子が
面倒な嘘をついてまで、赤の他人の力を借りなければ
たかだか台北→日月潭程度の距離もひとりで移動できないという設定に無理を感じる。
まぁ、それを言ってしまうと、物語が成立しないのだけれど…。
 
そして、もうひとつの見所が、年齢も生まれ育った国も異なり、ソリが合わない藍子と冬冬の間に
徐々に芽生える女の友情物語
タドタドしい英語だけが、ふたりの共通言語。ちぐはぐなやり取りは、時に笑いを誘う。
特に冬冬が連発する台湾に今なお残る日本語“歐巴桑(オバさん)”に
藍子は「ねぇ、アナタ、今“オバさん”って言ったでしょ…?!」とカチン!
中国語が分からなくても、そこにポツンと入る“歐巴桑”は、耳に飛び込んでくるものなのです。
 
そんな女二人旅に、悠という台湾人青年が加わり、恋の三角関係が勃発。
さらには、日本の有名サイクリスト上村豪まで参戦。
でも、男女間のラヴ・ストーリーより、女同士の友情物語の方に重きを置いた作品だと感じる。
 
もちろん、自転車で巡る台湾の風景は大きな見所。 
終盤、物語が一年後に進むと、舞台も日本の愛媛県しまなみ街道に移るのだが
ここもまたとても気持ちの良い風景。
 
 
 
 
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                                                       (クリックで拡大) 
出演は、ファッション誌<WISH>編集部に勤める26歳の崖っぷちOL風間藍子に黒川芽以
モデルを夢見る16歳の台湾人少女・楊冬冬に紀培慧(テレサ・チー)
途中から旅に加わり、女性ふたりの心を奪う台湾人青年・夏原悠に黄河(コウ・ガ)
日本の有名サイクリスト上村豪に郭智博など。
 
本作品出演女優だったら、紀培慧に興味が有るので、黒川芽以には何の思い入れも無く見ていたのだが
扮する藍子が作中あまりにも不当にオバさん扱いされるものだから
知らず知らずの内に藍子に肩入れするようになっていた。
 
 
紀培慧は、アメリカと台湾の混血。バター臭い混血俳優は、どちらかと言うと苦手だが
紀培慧には独特な個性を感じ、台湾混血女優枠で、実力派とされる張榕容(チャン・ロンロン)より
個人的には買っている。演技も上手く、特に『お父さん、元気?〜爸、你好嗎?』(2008年)での彼女は印象的。
でも、どんなに演技力が有っても、役の設定が問題となり、混血俳優は使いにくそうだが
今回紀培慧が扮した冬冬は、後で登場した両親がコテコテの東洋人。
冬冬の出生にまつわる深い闇を想像してしまった…。
(それとも、混血だという事は無かったことにしてしまったのでしょーか…?!監督、そこのところどーなのヨ?)
 
さらに、この冬冬、藍子から恋人を略奪した美伊那(ミーナ)という21歳の読モと顔がソックリという設定。
だから藍子は、初対面から冬冬を毛嫌いするわけ。
藍子のイヤーな思い出に登場する読モの美伊那は、当然紀培慧が一人二役で演じているのかと思いきや
なんと彼女より2歳年下の実妹・紀培安(チー・ペイアン)であった!
まるで一卵性双生児みたいに瓜ふたつだから、クレジットを見なければ気付かない。
 
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画像左側が妹ちゃん。小柄な姉・培慧と異なり、妹・培安は172センチと長身らしいので
実物を間近で見たら、別人だと一目瞭然なのかも。
数年前に読んだインタヴューでは「妹は美人だけれど、芸能界には興味無いみたい」と言っていたが
こういう形で映画出演を果たしたわけか。
 
姉・紀培慧の方は、さらに活動範囲を広げ
来月日本でも公開予定の『トランスフォーマー〜ロストエイジ』でハリウッドデビューも果たしている。
 
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軍官役でちょこっとしか出ていないみたいだけれど。
『トランスフォーマー〜ロストエイジ』は他にも中華圏の俳優がちょこちょこと多数出演している模様。
今後、ハリウッドが中国市場を重視し、中華明星を起用する傾向は益々加速するだろうから
紀培慧も、今回はチョイ役でも、演技力と流暢な英語を生かし、将来チャンスが広がるかもね〜。
そのように、世界への第一歩を踏み出した紀培慧だけれど
ハリウッドと比べると、随分こぢんまりした日本との合作への出演でも、すごく喜んでいてくれるみたい。
以前京都を旅行した時、訪れた全ての神社で、日本で働きたい!と真剣にお祈りし、それが叶ったから
この冬、全ての神社にお礼参りに戻ると言っておられる。そこまで喜んでもらえると、なんか嬉しいものデス。
 
 
黄河は、私の中で、張捷(チャン・チエ)や同じ事務所の張書豪(チャン・シューハオ)と同じ立ち位置と認識。
つまり、アイドル的ルックスではないけれど、実力派として認められている若手俳優である、と。
ところが、本作品で扮する悠は、初対面でふたりの女性のハートを瞬時に盗んでしまうモテ男。
うーン…。都会の生活に疲れた藍子が、決して美男子ではないけれど、スレていない素朴な台湾人青年の
偽りの無い笑顔に癒され、徐々に彼を好きになってしまう…、という設定なら説得力があるし
そういう青年役に黄河にピッタリだと思う。でも、実際にはイケメンという設定だから、なんか解せない…。
あれは6〜7年前、まだ幼さの残る黄河が、ドラマ『君につづく道〜這裡發現愛』
周渝民(ヴィック・チョウ)の学生時代を演じた時もミスキャストだと感じたものだ。
今後、黄河は、イケメン枠に囚われない実力勝負の役で見たい。
 
初日舞台挨拶で、祖父が台湾人だと発覚した日本人俳優・郭智博は
過去の出演作を何本か観ているはずなのに記憶に無く、じっくりチェックするのは今回が初めて。
見た目は、“お疲れ気味の生田斗真”という印象。
で、扮する有名サイクリスト豪は、悠と同じようにイケメンという設定。
それは、まぁ良いとしても、いくらイケメンの有名人だからって、出会って間もない女性に
「藍子はさぁー」っていきなり呼び捨ては、なんかチャラくてドン引きよ。
それが許されるのはルー大柴くらいですから。
 
 
 
 
「日本大好き!台湾で地震が起きた時、助けてくれたのは日本。
日本で地震が起きた時、一番援助したのも台湾」という冬冬の台詞などには
日台合作ならではのアザトさも若干感じるし、「こう展開するんだろうなぁ〜」と予想した範囲内に収まる
これといって目新しさの無い物語で、可もなく不可もなし。 
見所である台湾の風景も、日本人が思い描く通りの台湾。
それを「台湾のプロモーション映像みたい」「凡庸」と物足りなく感じる人も居るだろうが
“いかにも”な物に気分が上がる事もあるわけで、台湾好きな女性などは、こういう映像にワクワクし
映画館で一時間半のヴァーチャル台湾旅行気分を味わえるかも知れない。
私は、台湾自転車ブームのキッカケになったとも言われるサイクリング・ロードムーヴィ
『練習曲』(2008年)の方がずっと好みで、本作品は凡庸な娯楽作と感じたが
それでも最低評価を下さないのは、それなりに楽しめたから。 
次から次へと美しい風景が出てくるし、笑えるシーンも有るし、お気軽な夏休み映画だと思えば悪くない。
最後、冬冬が一年振りに再会した藍子に見せる自分が表紙を飾った雑誌が
一瞬<VOGUE(ヴォーグ)>と見紛う<VOYAGE(ヴァヤージュ)>だったのは
夜店で売られているパチもんブランドロゴTシャツ感覚で、可笑しかった。 
 
日本語字幕で、台湾人登場人物の名前を片仮名で表記していたのは失望。
最近私が観た中華電影は、ベタベタの娯楽作でも、ちゃんと漢字で表記していたので
徐々に状況が改善傾向にあると内心喜んでいたのに
日本人監督による日台合作作品で逆戻りさせられてしまったのには、ガッカリ。
“みなみかぜ”が一般的で、“なんぷう”とはなかなか読まないタイトルを
敢えて“漢字+ルビ”で表記しているのは、漢字へのコダワリがそれなりに有るからでしょ?
日本人の名ならキチンと漢字、台湾人の名なら勝手に片仮名に改名してしまうなんてナンセンス。
 
 
 
『南風』上映終了後に行われた、監督、キャストによる舞台挨拶については、こちらから。

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台湾で自転車と言うとGIANTが有名ですよね。
いつだったか、TVで台湾の人が四国を自転車で巡るのが流行っている的なニュースがやっていました。
GIANTの社長が日本で自転車で走って風景の美しさに感動して紹介したのがきっかけみたいな。
だから、日本に戻ってきて愛媛しまなみってことは、やっぱりGIANTがスポンサーか協賛で、サイクリストが乗っている自転車はGIANTなのかしら?
愛媛県警とかに自転車プレゼントしてたりするみたいだし。

・・・と
自転車好きな面から南風を見てみました。

2014/7/24(木) 午後 1:39 [ sara ]

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映画のレビュー、いつも楽しく読んでいます。この映画と関係なくて申し訳なのですが、以前紹介してくださった「黒四角」。
今日の午後、NHKのラジオで監督と俳優さんが話をしていたので、
あ!ここで教えてもらった映画だ! と嬉しくなりました。
私の住む街にも映画が来るようで、もう一度レビューを拝見
してから、映画館へ行ってみるつもりです。

2014/7/24(木) 午後 4:03 [ ころまる ]

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saraさん:
お察しの通り、GIANTが協賛しているようです。
主人公・藍子は、最初、ママチャリで台北を出発するのですが(笑)
途中でそれが壊れてしまい、GIANTに買い替えます。
そのお買い物のシーンは、GIANTのちょっとしたCMのようです。

GIANTの社長・劉金標(キング・リウ)が出演する日本のテレビ番組は
NHK『アジア立志伝』なら観ました。
放送当時でも、すでに80歳近かったのに
毎日かなりの距離を自転車通勤しているので驚きました。

2014/7/24(木) 午後 9:32 mango

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ころまるさん:
『黒四角』、日本中で地道に上映館を増やしていたのですねー。
東京では、監督や出演者のトークショーが付く上映も有ったのですが
私は都合がつかず、行けなかったので
そのようなラジオ番組が有ったのなら、聞きたかったです。

同じ日本人監督の中華圏コラボなら
この『南風』の方が、夏休み向きの分かり易い娯楽作で、一般ウケするように思いますが
私個人的には、シュールな『黒四角』の方がずっと好みでした。

2014/7/24(木) 午後 9:45 mango


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