旧 東京倶樂部★CLUB TOKYO:平成館

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【2015年/中国・香港/118min.】
昔々の中国。
山奥の妖魔の世界で内乱が勃発。
妖王は殺され、妖王の子を身籠っている妖妃は逃走。
そんな事とは無縁の静かな村・永寧村に、
ある日、竹高・胖瑩という怪しげな夫婦、そして小嵐という女の子が次々とやって来る。
実は、竹高・胖瑩夫妻は人間を装った妖魔で、妖妃を救うため行方を捜索中、
小嵐は妖魔狩りの天師だったのだ。
にわかに騒がしくなった永寧村で、村長を務める善良な青年・天蔭は、
皆が行方を追っている妖妃と出くわし、彼女から卵を託され、
訳も分からぬままそれを飲み込み、まさかの妊娠!
生まれてくる妖魔の王子を売り、ひと儲けしようと目論む小嵐に拘束され日々を過ごす内、
おなかはどんどん大きくなり、ついに妖魔の赤ちゃんを出産するが…。



クリス・ミラーと共同監督した『シュレック3』等、取り分けドリームワークスの作品で知られる
香港出身のアニメーター許誠毅(ロマン・ヒュイ/シュー・チョンイー)が、
満を持してアメリカから故郷へUターンして監督し、2015年夏、大陸で大ヒットを記録した作品を、
2015東京・中国映画週間のオープニングで観賞。


本作品は、怪異譚を蒲松齡(1640-1715)がまとめた清代の小説集
<聊齋志異>の中の<宅妖>をベースにした物語。
同じく<聊齋志異>の中のお話なら、<畫皮>がドラマ化映画化もされヒットしているが、
こちらの<宅妖>が、中華圏でどれ程度親しまれている物語なのか、
そもそもどんな内容なのかも、私にはまったく分からない。



時は昔むかしの中国。
かつては共存していた妖魔たちを山奥へ追いやり、人間たちが天下を欲しいままにし、
人間界へ降りてきた妖魔は、妖魔狩りの“捉妖天師”に捕えられてしまうという、
妖魔たちにとっては受難の時代。
辺境の村・永寧村の若き村長、天蔭は、妖魔の世界で起きた反乱で追われる妖王の王妃から、卵を託され、
男でありながら、有ろう事か妊娠(…!)。
その頃、村へやって来た天師・小嵐に監視される中、大根に似た(…!!)小さな妖魔を出産(…!!!)。
“胡巴”と名付けたその子と過ごす内に、天師の小嵐までもが、彼に愛情を抱くようになるが、
そんな矢先、胡巴は売り飛ばされ、登仙樓に囚われてしまう。
敵対していた天蔭と小嵐も、胡巴救出という共通の目的でいつしか絆を深め、
共に悪に立ち向かっていく姿をアニメと実写の融合で描くファンタジーがこの映画である。


これ、どれ程度原作の<宅妖>に則しているのだろうか。
日本にも、お化けや妖怪の話は色々と語り継がれているけれど、
“山奥の村で村長をやっている青年が妊娠して大根に似た妖魔の王子様を産む”などという
あまりにも奇想天外な話は聞いたことがない。さすがは中国、発想も想定外でエキセントリック。

さらに、人間が我がもの顔で暮らしている物語の世界では、
人間に捕えられた妖魔たちは、食材として食べられてしまうのだ。
間違いなく珍味中の珍味だろうけれど、どんなに希少価値があっても、私は気味悪くて食欲が湧かない…。
“椅子と母親以外足のある物は全て、飛行機以外飛ぶ物は全て食べる”という中国ならではか。



人間の男性・天蔭が産み、“胡巴”と名付けられた妖魔の王子様は、(↓)こんな感じ。

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胡巴は許誠毅監督のデザイン。(右の画像は、大根を手に微笑む、自身もちょっぴり胡巴似の許誠毅監督。)
許誠毅監督がキャラクターデザインに関わっている『シュレック』と、肌のムニュムニュ感が似ているが、
『シュレック』がそんなに好きではない私は、この胡巴も特別可愛いとは感じない。
目が離れた愛嬌のある平顔のようでいて、よく見ると実は案外鼻筋が通った色男というアンバランス、
しかも髪型がまるでつのだ☆ひろだから、手放しで「カワイイ♪」とメロメロにはなれない。
ただ、牙のように尖った小さな犬歯で、胡巴が人にガブッと噛みつくシーンでだけ、
不覚にも一瞬彼を可愛らしいと感じてしまった。




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実写の出演者は、胡巴を代理出産する永寧村の村長・宋天蔭に井柏然(ジン・ボーラン)
妖魔狩りで村にやって来た女天師・霍小嵐に白百何(バイ・バイフー)


宋天蔭の役は本来…
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台湾の柯震東(クー・チェンドン)で撮影されていたが、例の大麻事件でおじゃん。
プロデューサー江志強(ビル・コン)は、柯震東の姿をどうにか上手く処理しようと、
『ベンジャミン・バトン』でアカデミー視覚効果賞も受賞しているアメリカのVFX制作会社・デジタルドメインに
相談をもちかけるも、処理の難易度が高く、かかる費用の割りに相応の効果が得られないことが判明。
だったらいっそ撮り直し!と決断したちょうどその頃、江志強Pが携わっていたもう一本の映画
『黃飛鴻之英雄有夢〜Rise of the Legend』に出演していたことで、井柏然に白羽の矢が立ったようだ。
代役で出演した作品が、結果的に自身の代表作になるほど記録的ヒットとなるとはラッキー。
制作側にしても、撮り直しで余計にかかったお金が充分取り戻せる程ヒットして、良かったではないか。

この度実際に本作品を観たら、この天蔭、柯震東にピッタリな役だっただろうなぁと想像した。
お薬なんかに手を出し、多くの人に迷惑をかけた上、
与えられたチャンスも自分自身で潰してしまったのだから、愚かだったわよねぇ…。

井柏然は井柏然で良かった。これまでに観た何本かの出演作より、コミカルな要素も加わっていて。
ただ、今回は時代劇仕様の髪型のせいか、一度“時代劇をやっている時の北村有起哉”に見えてしまったら、
その後、もうずっと北村有起哉にしか見えなくなってしまった…。


白百何は、この前に観た出演作『最後の晩餐』(2013年)よりずっと活き活きしていて
(あちらはベタな韓流テイストの作品で、病魔に冒されている役だから当たり前だが…)、魅力的。
単純に顔立ちも好みで、白百何と彼女に似ていると言われている王珞丹(ワン・ルオダン)、
どちらもノッペリさっぱり系の顔が好き。




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脇を固めているのは、香港から曾志偉(エリック・ツァン)、吳君如(サンドラ・ン)、鍾漢良(ウォレス・チョン)、
台湾から金燕玲(エレイン・ジン)、そして大陸からは姜武(ジャン・ウー)、閆妮(イエン・ニー)、
湯唯(タン・ウェイ)、姚晨(ヤオ・チェン)等々と豪華。

この中で一番大きな役についているのは、
妖魔の世界で謀反を起こし、権力の座につこうとしている葛千户に扮する鍾漢良。今回は悪役。

湯唯や姚晨は、本来出演予定はなく、柯震東降板の一件で撮り直しする際、加えられたらしい。
脇がより豪華になったのは、柯震東が事件を起こしたお蔭だったという事か。
両者とも美人さんだが、本作品ではハジケた役どころ。
特に麻雀好きな質屋の女将さんを演じる湯唯がキュート。



日本からは、美術で種田陽平が参加。
張藝謀(チャン・イーモウ)監督作品だの『セデック・バレ』だの、中華圏でも大活躍の種田サン。
今回は、村の小さな家屋から、贅を尽くした伏魔殿まで幅のある美術に注目。
氏は本作品について「中国映画初の家族向けファンタジー映画で、かわいいモンスターが主役です。
CGのクオリティも高く、世界に通用する娯楽映画になったと思います。日本でも公開されると嬉しい。」
と仰っております。

あと、衣装は、香港の奚仲文(イー・チョンマン)が担当。
特に、エスニックな匂いがする白百何や湯唯の衣装が可愛い。




多分、映像に古臭さも野暮ったさも痛さもなく、
むしろ洗練された印象の映画なのだろうと想像して観賞したら、その通りであった。
ネタの宝庫でありながら、『カンフー・パンダ』や『ムーラン』に代表されるように、
これまで長いこと、そのネタをハリウッドに奪われ、成功を指をくわえて見ているしかなかった中国が、
自分たちのネタを自分たちの手で料理し、世に送り出すべく、
ハリウッドで腕を磨いた世界レベルの華人を呼び戻し、ついに反撃に出たーっ!という印象を受けた。
Made in AmericaだろうとMade in Chinaだろうと、
許誠毅監督が手掛けるということは“Made by Chinese”に変わりなく、
当然のことながら、ドリームワークスやピクサーといったアメリカ大手と比べても、技術的に遜色はないし、
“村長が妊娠して大根を産む”というネタもユニーク。
しかし、“記録的大ヒットを飛ばした作品”のつもりで観ると、何かが物足りない。
やはり、ウケるポイントには、中国人と日本人の感覚の差があるような気がする。
日本語吹き替え版を制作するなど、色々工夫してこの映画を日本で一般劇場公開したところで、
うちの小さな姪っ子がこれに夢中になるとも、『カンフー・パンダ』のようなヒット作になるとも、思えないのだ。
一体何が欠けているのでしょう…??!

ラストにもやや拍子抜けしたが、あれは続編の制作を意識しているからだろうか。
私がこの映画で一番食い付いたのは、妊娠した天蔭がどうやって出産するかという点。

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両足を開かせて、股間を見詰め待機したところで、一体どこから赤ん坊が出てくるのか、と。
胡巴がどのように生まれるかは、皆さま是非映画でご確認くださいませ。

同じように“子供でも楽しめる中国映画”なら、
少なくとも昨年末に観た『西遊記 はじまりのはじまり』よりはずっと良かったので、
もしかして、もしかして、日本公開も有り得る、…かも??

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この映画観たいと思っていましたが、「宅妖」がベースですか!?
あらすじを読ませていただくと、ほとんど面影が… 聊斎志異ではとても短い文章だし、国内でもあまり知られていないかも。
でも面白そう。
お正月明けにこの映画公開?と思ったら「鍾馗伏魔」だった。その上「智取威虎山」!(懐かしい)ツイ・ハークだからかな?

2015/10/30(金) 午後 10:26 [ 二胡ちゃん ]

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二胡ちゃんさん:
中国でのこの映画の反応から、<宅妖>が現地でさほど知られていない事や、
映画が原作からかなりアレンジされている事は、なんとなく想像しておりましたが、
やはりそうなのですか。
そうなると逆に、どの部分に原作のエッセンスを取り入れているのか、
という点が気になります。

2015/11/1(日) 午後 4:46 mango


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