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映画『詩人』

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【2018年/中国/123min.】
80年代、中国辺境の炭鉱の街・褐家山。
陳澆蓮¬覲悗膨未い覆ら、不向きな肉体労働に従事する鉱山労働者・李五を支える、彼の妻。
陳濕身、上司の洪から、進学の推薦話を持ち掛けられるが、
李五が試験に受かれば、肉体労働から離れられる、詩人の夢に近付けるという思いで、
自分の事は二の次に、李五を世話する道を選択。
その甲斐もあって、李五の詩が<詩刊>に掲載。
この事は、職場でも瞬く間に知られるようになり、
“詩人”李五は、宣伝課の劉課長の引き立てで、鉱山労働から宣伝課に転属。
著名な詩人・張目の来訪時には、同行を任されることになる。

一方、陳澆蓮∨緤の李莉を通し、張義という青年と知り合う。
李五の詩をもっと広く知ってもらいたいという思いから、
張義に口利きしてもらい、彼の知人・沈燕賓が営む印刷店で機材を使わせてもらうことに。
こうして陳澆蓮⇒五には内緒で、毎晩、工場の仕事が終わると、印刷店へ足を運び、
李五の詩をコツコツとガリ版刷り。
ある晩、いつものように、印刷の作業を終え、自宅の前まで張義に送ってもらった陳漾
彼女は知らなかった、家の中から、その様子を李五が見ていたことを…。



第31回東京国際映画祭、コンペティション部門に出品された中国映画を鑑賞。
上映終了後には、監督、プロデューサー、出演者によるQ&Aを実施。

原題は『詩人〜The Poet』。
メガホンをとったのは、劉浩(リウ・ハオ)監督。

1968年生まれで、賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督、婁(ロウ・イエ)監督、
王小帥(ワン・シャオシュアイ)監督等々とも年齢が近い劉浩監督は、
中国の“第六世代”と呼ばれる映画監督の一人。
…なのだけれども、それら同世代の監督と違い、日本に入って来ている作品が、もしかして今まで皆無?

この新作は、2005年、釜山国際映画祭のPPP釜山プロモーション・プラン
(現・APMアジアン・プロモーション・マーケット)に選出されているので、
企画自体が始動したのは、もう十年以上前のようだ。
映画作りって、時間がかかるのですねー。




本作品は、詩作を続ける鉱山労働者の夫・李五と、
夫の夢と才能を信じ、彼を支える妻・陳澆猟垢に渡る独特な関係を綴るラヴ・ストーリー

背景は、1980年代から90年代にかけての中国。
我々日本人が考える中国の80年代と言えば、
改革開放が始まり、色々な事が大きく変わり始めた時代という印象だろうか。
1968年生まれの劉浩監督曰く、80年代は文学復興の時代。
本作品の主人公・李五も、昼は炭鉱で不慣れな肉体労働をし、夜は夜学に通いながら、詩作を続ける、
ある種ロマンティックな男性。

陳澆蓮△修鵑瞥五の影も匂いも残したいと言うほどゾッコンで、
また、李五の才能を信じ、彼を詩人として大成させるべく、ひたすら支え続ける献身的な妻。

ところが、その後、偶然なのか、はたまた時代の変化が夫婦関係にも影を落としたのか、
二人は、ちょっとした誤解から別れ、別々の道を歩んでいくことになる。
その90年代というのは、市場経済が一気に加速していった時代。
80年代にはまだ残っていた旧時代の価値観や精神性が、ガラガラと崩れ、
“詩人”さえ過去の遺物と化し、陳澆鮗困辰李五は、もう詩を綴れなくなっている。
“文学芸術界連合会会長”という肩書きは持っているものの、
詩を書けない李五はもはや詩人ではなく、ただのお役人。
方々に頭を下げるも、イベント開催の金策に苦慮。

李五自身は知らなくても、そんな李五を影で支え続け、お金までポンと出してくれるのは、やはり陳澆覆里澄
“足長おじさん”ならぬ、“足長元女房”。
夫婦の事は夫婦にしか分からないとよく言うけれど、
この夫婦の絆というか、腐れ縁は、確かに、彼らだけにしか分からない深い物だと感じる。



物語の舞台となるのは、褐家山という鉱山がある架空の街。
鉱山区を舞台に選んだのは、劉浩監督に、国営企業の物語を撮りたいという想いがずっと有ったから。
劉浩監督は、両親の仕事の都合で、
幼少期を、鉱山区を含む、大規模な国有企業が集まる安徽省蕪湖で過ごしたという。
本作品は劉浩監督の実体験を描いた物ではないけれど、
会った人や、見聞きした事を集めたと語っているので、
かつて過ごした鉱山の街の印象を、映画の中で再現したのかも知れない。


撮影が行われたのは、新疆に作ったオープンセット。

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作中登場する小道具の大半は、美術スタッフが集めてきた80〜90年代当時のオリジナルで、
時代の質感を再現。
我々観衆は、街中に掲げられたスローガンや看板などから、時代の移り変わりを見て取れる。
ちなみに、90年代、李莉の部屋の壁に貼られている明星ポスターは、
張國榮(レスリー・チャン)や麗君(テレサ・テン)であった。





主人公の夫婦を演じたのは、こちら(↓)

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詩人の李五に朱亞文(チュー・ヤーウェン)、その妻・陳澆宋佳(ソン・ジア)

このお二方、東京国際映画祭のために揃って来日してくれました〜。

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朱亞文、素敵だったわぁ。

二人は、過去に…

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ドラマ『闖關東〜Great Northern Wilderness』、映画『陸垚知馬俐When Larry Met Mary』で共演しており、
気心の知れた親しい仲だという。
(他にも、二人とも、明星大放出映画『建国大業〜The Founding of an Army』等にも出演し、
間接的に共演しているので、細かい事を言うと、過去の共演作は2作品だけではない。)

三たびの共演となる本作品で演じているのは、二人にしか分からない強い情で結ばれた夫婦。
生活力イマイチで、大好きな詩作に没頭する李五は、
批判的な表現をすると“体(てい)のいいヒモ”、“知性派のヒモ”である。
でもね、陳澆蓮夫・李五の才能を信じ、見返りを求めず、ひたすら献身的に彼をサポート。
そんな陳澆陵五に対する愛は、息子に対する母の愛に近い。

この陳澆蓮男性目線の理想の妻であるようにも感じてしまった。
聖母のように寛大な妻や、“体のいいヒモ”亭主を、好きか嫌いかと聞かれたら、
私自身は本来、どちらも別に好きではないのだけれど、
この映画の陳澆藩五には、不思議と嫌悪感が湧かず、むしろ純粋な愛を感じられた。
演じる宋佳と朱亞文の魅力や、詩的に描かれた美しい作風のお陰だろうか。



脇で気になったのは、陳澆汎韻弦場で働く妹分・李莉。

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演じているのは、張瑤(チャン・ヤオ)

なんで気になったかって、今ちょうど日本で張瑤出演ドラマ『花と将軍〜將軍在上』が放送中だから。

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そのドラマで張瑤が演じているのは、
盛一倫(ション・イールン)の母で、馬思純(マー・スーチュン)の姑にあたる趙太妃。
どたばたコメディのお姑さんから、文芸作品の女工まで、演技の幅が広いですね。
同時期に偶然、二人の別人に成り切っている張瑤を見たから、あまりの違いに驚いた。
1980年生まれ、30代も後半の張瑤は、年齢的には、もう時代劇のお姑さんの方がシックリなのだが、
この映画で演じているどこか夢見がちな女工・李莉にも、まったく違和感ナシ。


出演は他にも、有名な詩人・張目に周里京(チョウ・リージン)
李莉の恋人で、実は張目の息子である張義に鄭家彬(ジェン・ジャービン)等々…。


ちなみに…

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Q&Aでの登壇は無かったけれど、張瑤も鄭家彬も来日し、開幕のレッドカーペットには姿を現している。






観た直後より、後になってからの方が、ジワジワ来ている。
平たく言ってしまうと、前述のように、
“体のいいヒモ”と、別れた後まで“足長おじさん”的に人知れず彼を見守り続ける聖母のような妻の
他人には分かり得ない深い愛情の物語でしかないのも知れないが、
全然陳腐ではなく、独特な世界観に引き込まれた。

80年代から90年代にかけての中国社会の変化や、あの時代の精神性を、
市井の夫婦という個人に投影して描いた作品といっても良いかも。
そう言えば、日本での公開を控えている董越(ドン・ユエ)監督の『迫り来る嵐』(2017年)も、
設定が90年代で、国営工場が閉鎖され、社会に蔓延する閉塞感が漂っていた。
あの時代の空気感は、90年代を実体験した中国人にしか絶対に分からないはずで、
『詩人』を観たところで、私はそれを共有することも、汲み取ることも出来ないけれど、
第三者だからこそ、時代の変換期を興味深く傍観できた気もする。



第31回東京国際映画祭での上映終了後に行われた
監督+プロデューサー+出演者によるQ&Aについては、こちらから。

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