旧 東京倶樂部★CLUB TOKYO:平成館

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第19回東京フィルメックスへ。

オフィス北野の内紛が芸能ニュースをちょこっと賑わせたのは、今から9〜10ヶ月程前の事だっただろうか。
あの報道を見て、たけし軍団の行く末より、東京フィルメックスの行く末を案じた映画ファンは多いはず。
案の定、間も無くして、フィルメックスの最大スポンサーであったオフィス北野は、映画支援を撤退。
一時は、存続さえ危ぶまれたフィルメックスだけれど、
木下グループという新たなスポンサーが付き、2018年も何とか開催の運びに。
いざ蓋を開けたら、上映ラインナップが、例年以上の豊作で、あれも観たい、これも観たいと嬉しい悲鳴。
豊作すぎて、日程に組み込み切れなかったのか、
以前なら会期中最低でも一作品2度はあった上映が、一度ポッキリになっていたり、
私個人の予定が合わなかったりで、結局最低限の数本しか観られないという皮肉…。


そんなこんなで、今年のフィルメックス、私の鑑賞一本目は、
コンペティション部門で上映の『幸福城市〜幸福城市 Cities Of Last Things』
つい先日閉幕した第55回金馬獎で、4部門にノミネートされ、
内、王姐役の丁寧(ディン・ニン)が、最佳女配角(最優秀助演女優賞)を受賞した(→参照
マレーシア出身の何蔚庭(ホー・ウイディン)監督最新作。

今回のフィルメックスには、何蔚庭監督が来日し、上映終了後にQ&Aを実施。
何蔚庭監督のお話を聞くのは、2009年、第10回NHKアジア・フィルム・フェスティバルで、
『ピノイ・サンデー〜台北星期天』が上映された時以来、実に9年ぶり。
(そう言えば、NHKアジア・フィルム・フェスティバルも無くなっちゃいましたね。残念…。)

★ 一年ぶりの東京フィルメックス

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色々とゴタゴタは有ったけれど、会場は毎度の有楽町朝日ホール。
やっぱり“毎度”で、会場にはブラブラしているアミール・ナデリ監督のお姿も。

“毎度”じゃなかったのは、映画上映前に流れるCM。
これまで、毎回、上映前に5本は見せられていたビートたけし出演CMが、一切無くなっていた。
オードリー春日&若林が画面に映った瞬間、
「あっ、そう言えば、オフィス北野はもうスポンサーじゃなかったのね」と改めて実感。

★ 『幸福城市〜幸福城市 Cities Of Last Things』 何蔚庭監督Q&A

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映画『幸福城市』終了後には、予定通り、何蔚庭監督によるQ&Aを実施。
司会進行役は市山尚三、今回の使用言語は英語。
以下、お話の中で気になった部分を覚え書き程度に残しておく。


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質問
この作品をフィルムで撮ったのはなぜ。

何蔚庭監督
私は、フィルムで撮るのが得意だからです。
幸運にも、台湾にはまだ現像所が有ります。
しかも、フランスのスタジオに、未使用の富士フィルムの在庫を見付けたんです。
映画を撮っている若い人に言いたいです、
どこかに35ミリが残っていることがあるから、諦めずに探してみて!



質問
印象的に使われている曲について。

何蔚庭監督
80年代に流行った台湾の有名な曲で、劉文正(リウ・ウェンジェン)が歌っています。
物語の中の母親が育った頃の曲を探していて、これを見付けました。
しかも、これ、タイトルが<Don't Give Me Too Much Love〜愛不要給太多>なので、
物語にもピッタリで、採用を決めました。



質問
キャスティングについて。

何蔚庭監督
台湾で、タフガイの雰囲気をもつ俳優と言ったら高捷(ガオ・ジェ)で、他には居ません。
五月天(メイデイ)の石頭(ストーン)/石錦航(シー・チンハン)に関しては、
一見悪くは見えない悪人をグーグルで探していた時、
たまたま見付けた石頭の写真が、お金持ちで表面的には良い人っぽいけれど、
実は悪そうな雰囲気だったから。



質問
時間を遡っていく手法について。

何蔚庭監督
その手法は、シャワーを浴びている時に思い付きました。
その手法が初めて使われた作品は、
恐らくジェーン・カンピオン監督の『ルイーズとケリー〜Two Friends』(1986年)ではないでしょうか。
李滄東(イ・チャンドン)監督もやっています。
私は、ギャスパー・ノエ監督の『アレックス』(2002年)が好きで、これが決定的で、
自分も試してみたいと思いました。

物語に関しては、偶然が起き過ぎる、メロドラマちっく過ぎると、批判も受けました。
しかし、物語は、台湾で実際に起きたニュースにインスパイアされて作ったものです。
離れ離れになり二十年も経ってから、警察で再会した親子のニュースは、実際に有った話です。



質問
撮影監督をフランス人のジャン=ルイ・ヴィアラールにした理由。

何蔚庭監督
私は、ヨーロッパ的な審美眼が好きです。
また、フィルムでちゃんと映画が撮れる人であることも重要です。
フランスに富士フィルムの在庫がある事を教えてくれたのも、実は彼なんですよ。
デジタルは映像がクリア過ぎます。
私は、フィルムの柔らかな風合いが好きなのです。
ピントがズレて見えたりすることがあっても、完璧じゃないのが、むしろ良い。
メイクに関しても同じ。いかなるシチュエーションでも、きちんと化粧しているのは好きではないので、
俳優たちには、ほとんどノーメイクで演じてもらっています。



質問
タイトルについて。

何蔚庭監督
台湾では、広告などにやたら“幸福”の二文字を使う傾向があり、“幸福”で溢れかえっています。
英語のタイトルに関しては、アピチャートポン・ウィーラセータクン監督から、
ネット検索して、他の人が使っていないか確認しろと教わり、『Cities Of Happiness』では駄目でした。
『Cities Of Last Things』は、アメリカの作家ポール・オースターの
<最後の物たちの国で〜In the Country of Last Things>を意識しています。




『幸福城市』というタイトルを信じて作品を観ると(…いや、別に最初から信じていなかったけれど)、
えっ、超アンハッピーじゃないの!と唖然としてしまう内容なのだが、
そもそも何蔚庭監督は、皮肉ってこういうタイトルに決めたのですね。

中華圏の監督が撮った中国語作品のQ&Aを英語で進行する事に関しては、
メリットもデメリットも感じた(まぁ、他のどんな事でも、メリットとデメリットは両方有って普通だが)。
より多くの観衆が、監督の言葉をダイレクトに感じ取れるのは、より広く知られた英語だからこそだけれど、
「ここは中国語の方が分かり易い」と思ってしまう部分は、正直言って、やはりボチボチ有った。

★ サイン会

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Q&A終了後は、ロビーでサイン会。
私も、サインを頂きました。
約十年前、NHKアジア・フィルム・フェスティバルに『ピノイ・サンデー』を観に行った事を伝えたら、
何蔚庭監督は「今度はもっと早く日本に戻って来れるようにしたい」と言っておられた。
余談になるが、何蔚庭監督は、小柄な見た目からは想像できない、低音の渋い良い声をしていますよね。


今日は、このあと立て続けに『轢き殺された羊〜撞死了一隻羊』を観て、そちらもとても気に入ったので、
記憶がハッキリしている内に、萬瑪才旦(ペマツェテン)監督のお話を覚え書きしておきたのだけれど、
睡魔が襲ってきたので断念いたします。

映画『幸福城市〜幸福城市 Cities Of Last Things』 の詳細もまた後日。



追記:2018年11月24日
映画『幸福城市〜幸福城市 Cities Of Last Things』についてブログ更新。こちらから。

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