旧 東京倶樂部★CLUB TOKYO:平成館

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未だ独身の之河は、気が進まないまま古い友人の結婚披露宴に出席。
案の定、“恋人募集テーブル”に座らされたり、独身者向けゲームに参加させられたりで、
恥ずかしいやら、肩身が狭いやら…。
そんな時、いきなり会場に乗り込んで来たのは、之河の女上司・芬妮。
芬妮は、皆が注目する中、新郎新婦の色恋沙汰を次々と暴露し、会場は大混乱。

芬妮の出現で、ブチ壊しとなった披露宴も終わり、
之河は式中のゲームで与えられたホテルの一室へ入り、之河とペアになった独身男性を待つことに。
ところが、そこにやって来たのは、式を取り仕切っていた係り員の男性。
之河が退室を促すと、「僕だよ、僕。ほら、“胖胖”、覚えていない?」と彼。
そう、係り員だと思っていたこの男性は、
小学校の時、太っちょで“胖胖”と呼ばれていた同級生、王大樹だったのだ。
之河にとっては、ただの一同級生で、記憶もおぼろげだが、大樹にとって之河は特別な女性。
大樹は、ずーっと彼女を想い続けて今日まできたのだ。
大人になり、こうして再会を果たした二人は、あれこれとお喋り。
之河の悩みが、家が遠くて出勤が大変な事だと聞いた大樹は、
翌朝、早速、之河の家に車でお出迎え。
その後も、之河のために、理想の物件探しをお手伝い。
共に時間を過ごす内、二人は徐々に心の距離を縮めてゆき…。



2018年10月末、ホームドラマチャンネルで始まった中台合作ドラマ『恋愛動物〜動物系戀人啊』が、
年を跨ぎ、2019年2月半ばに、全15話の放送を終了。

近年、冗長な台湾偶像劇にウンザリさせられてばかりなので、全15話はスッキリ潔く感じる。
傑作!必見!とまでは褒めないけれど、気負わずにサラーッと観るには悪くないドラマなので、
お疲れ気味の女性などにお勧めしたい。

★ 概要

中国のweb小説サイト、趣閲小說網の契約作家・花花醬(ホァホァちゃん)の同名小説を、
台湾の瞿友寧(チョウ・ヨウニン)、許瑋(シュー・ウェイ)両監督がドラマ化。


出演者、スタッフの多くが台湾人で、撮影も主に台湾で行われているが、
大方大陸出資で制作されており、初配信も大陸の搜狐視頻という“ほぼ大陸ドラマ”。
中華圏は益々ボーダレス化が進み、映像作品も地域分けが難しくなっているので、
ザックリ“華流ドラマ”と区分しておくのが、曖昧で楽なのだけれど、
ここでは、これまで通り、一応“中台合作ドラマ”と位置付けておく。

低迷が続く台湾ドラマ界は、これまでにも、大陸に歩み寄り、あの手この手で合作が模索され続けてきたが、
成功例はあまり無いように見受ける。
本ドラマは、台湾がこれまで培ってきた偶像劇の雰囲気を前面に押し出しつつも、
大陸の現代小説を原作にすることで、大陸の人々の感性や習慣にもマッチさせるという試み。

台湾ドラマのようでありながら、台湾ドラマでナシと、目で見て分かる部分は、劇中ちょこちょこと有り。
例えば、登場人物たちがSNS等で使っている文字が、
台湾で使われている繁体字ではなく、大陸で使われている簡体字になっていたり。
手書きの文字だと、基本的には繁体字だし、そこら辺はユルユル。
我々視聴者も、細かい事は気にせず、テキトーに見過ごしましょう。

また、主人公・之河と大樹の出身地は、実際の台湾には実在しない“繁星村”という架空の村。
この繁星村は、同じ瞿友寧監督が手掛けた別のドラマ、
『花甲男孩轉大人〜A Boy Named Flora A』でも重要な村として登場。
『恋愛動物』にも、その村の名を出すという、ちょっとしたお遊びになっている。

★ 物語

大人になってから再会した小学校の元同級生、楚之河と王大樹が、
恋に落ち、結婚し、離婚し、そしてまた恋するまでを描くラヴ・ストーリー


再会した瞬間から、結婚へのカウントダウンが始まり、
実際、二人は結婚するのだけれど、よく言われているように、結婚はゴールではなく、
結婚した瞬間から、今度は離婚へのカウントダウンが始まる。
しかし、離婚もまたゴールではなく、
別れた二人は、相手と自分自身を見詰め直し、新たに関係をスタートさせるという紆余曲折の恋物語。

本ドラマでは、楚之河&王大樹の話を軸に、
もう一組のカップル、盧芬妮と秦浩の愛憎も描かれる。
こちらは、当人たちは想い合っていたものの、息子の将来を案じる秦浩の父の策に嵌り、別れてしまい、
以降、それぞれに、“相手に裏切られた”と思い込んでる。
別れた後、芬妮が一人で産んで育ててきた娘・小雨が、自分のルーツを知りたがるお年頃になったことで、
秘密が暴かれてゆき、そのお陰で、芬妮と秦浩の間に生じていた誤解も解明されていく。


ドラマの中に描かれる文化や習慣などにも触れておくと、
地方出身者(都市戸籍を持たない地方出身者)が、都会で物件探しをする苦労とか、
都会で働く一人っ子の娘が、帰郷する度に、
親がお見合い写真を用意していたり、結婚を急かすといった田舎の描写などは、
それが綴られている中国の小説が目に浮かぶ程、現代中国的なエピソード。
もっとも、台湾も、色々な意味で都市部と地方との差が大きいので、
そういうエピソードもドラマの中に自然に融合している。


なお、原題にも邦題にも“動物”と入っているように、主要登場人物4人はそれぞれ動物に例えられている。
…が、キャラクターの性格が、各々の動物に当て嵌まっているようには思えないし、
物語にもまったく反映されていない。
動物の事は忘れ、普通の恋愛ドラマとして観る方が無難。

★ キャスト その①:リス×キリン

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◆鍾欣潼(ジリアン・チョン):楚之河〜リス型 広告会社に勤めるOL

之河は、恋愛にロマンを求める単純な女性。
私は、リスの特性を知らないので、そんな之河をなぜ“リス型”と定めているのか、理解できず…。

演じているのは、本ドラマ一の大物、香港のアイドルユニットTwinsの“阿嬌”こと鍾欣潼。
2008年、陳冠希(エディソン・チャン)のPCから、女明星たちのセクシーなプライベート写真が流出した騒動、
いわゆる“陳冠希わいせつ写真流出事件”が起き、阿嬌も芸能活動に大打撃を受けたものの、
あれから早いものでもう十年。今では、イメージも無事回復。

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私生活では、2018年に結婚もしたが、お相手が“醫界王陽明(医療界のサニー・ワン)”と称される
女性遍歴豊富な台湾のイケメン年下ドクターなため(←ドクター、確かに王陽明にちょっと似ている)、
この先、もうひと騒動ありそうな予感も無きにしも非ずで、ハラハラ。

もはや人妻となった阿嬌は、1981年生まれで、実は40に手が届く成熟した女性。
それでも、ドラマ『恋愛動物』では、結婚を理想化する若い女の子を自然に演じている。
小さくて可愛いという見た目の印象では、阿嬌扮する之河は、確かにリス型と言えるのかも?

そんな阿嬌の声を吹き替えにしてしまったのは、本ドラマ最大の失敗に思えてならない。
阿嬌は一世を風靡したスーパーアイドルで、彼女の声は広く知られているから、声優の声には違和感。
が、「阿嬌の変テコな北京語で撮影現場にはいつも笑いが起き、和んでいた」などという裏話から察するに、
広東語訛りが相当キツイのであろう。
“之河と王大樹は小学校の同級生”という設定に辻褄を合わせるためには、吹き替えも止む無し。
ちなみに、『恋愛動物』では、阿嬌以外のメインキャストは全員本人の地声が採用されている。
じゃぁ、之河役も、発音に問題の無い台湾人女優を採用すれば良かったのに…、
と思う視聴者もいるだろうけれど、
なにぶん台湾は人材不足で、中華圏全土で話題になる若手女優などそうそう居ない。
これまで一度も偶像劇に出たことの無い大物・阿嬌を、このドラマに引っ張り出せたのは、
大陸出資のお陰かも。他作品と同じように、キャスティングには、色々オトナの事情も絡むのでしょうねぇ〜。




◆賀軍翔(マイク・ハー):王大樹〜キリン型 小学生の頃から一途に之河のことが大好き

子供の頃のあだ名は“胖胖(おデブ)”。
大人になり、別人のようにすっきりスリムになったが、之河への想いはずっと変わらず。
之河も、自分に一生懸命尽くしてくれる優しい大樹を愛するようになり、遂には結婚に至るが、
いざ結婚すると、大樹の一生懸命さは、束縛にも繋がり、之河は負担に感じ、関係は破綻…。

演じているのは、私が苦手な“賀(が)サン”、賀軍翔(が・ぐんしょう)である。
でも、この『恋愛動物』の賀サンは悪くない。
「LOVE賀サン♪」と惚れることはなかったけれど、かと言って、嫌いになる要素も無し。
扮する大樹が、台湾偶像劇に有りがちなダサい王子様ルックのイケメンCEOではなく、
普通の服を着た、ごく普通の会社員設定である事が(←簡単そうに思えるが、台湾偶像劇ではレア)
良かったのだと思う。
髪型も、台湾偶像劇の男性主人公に有りがちな“命懸けでセットしました!感漂う茶髪”じゃないし、
適度に顔を隠す眼鏡の着用も正解。
大樹の優しい性格と相まって、本ドラマの賀サンは、好感度高し。

ちなみに、この賀さん、かつて『スターな彼〜呼叫大明星』で、
Twinsの片割れ、“阿Sa”こと蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)と共演。

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阿Saの役は、“父親を探すため、香港からやって来た女の子”という設定だったため、
広東語訛り問題は不要であった。
賀サン、この度、『恋愛動物』で、阿嬌とも共演し、Twinsはコンプリート。

★ キャスト その②:ヒョウ×オオカミ

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◆隋棠(ソニア・スイ):盧芬妮〜ヒョウ型 之河の上司

芬妮は、バリバリのキャリアウーマン。
結婚にも恋愛にも興味が無い自立した強い女性と思われているが、
彼女が逞しくなったのは、実は十代の頃、秦浩との恋に傷付き、
彼との間にできた娘・小雨を女手一つで必死に育てる必要があったため。

之河の上司という設定だが、実年齢では、阿嬌と同じ年で(正確には、隋棠の方が3ヶ月だけ年上)、
大人っぽい雰囲気の隋棠に、バリバリのキャリアウーマン役はぴったり。
スタイル抜群なので、ドラマの中では、彼女がスタイリッシュに着こなすファッションも見所。
芬妮は、小雨というすでに大きな娘を持つ母親だが、隋棠自身、私生活では3人もの子を持つママ。
ドラマ『恋愛動物』は、2人目の子を産んだ数ヶ月後に撮影しているはずである。
それで、あのスーパーボディは、信じ難いやら、羨ましやら。



張睿家(レイ・チャン):秦浩〜オオカミ型 一緒に仕事をすることになった芬妮の元恋人

秦浩は、芬妮の元恋人。
芬妮との交際を快く思わない父親の策で、彼女にフラレたと信じ込んでいるし、
まさか彼女が自分との間にできた娘を産んでいた事実など知る由もない。
裕福で仕事もでき、女性慣れした遊び人にも見え、之河とも恋愛に発展しそうになるが、
実は芬妮のことがずっと心の中で引っ掛かっている。

主演映画『花蓮の夏』(2006年)があまりにも鮮烈だったため、
ずーーーーっと少年のイメージを引きずってきた張睿家。
俳優にとって、代表作があるのは良い事だけれど、
それは次へのステップへの妨げにも成りかねない厄介な物ですよね。
『恋愛動物』では、大人っぽい隋棠の相手役が、張睿家で大丈夫なのか?!と心配にもなったけれど、
いやいや、張睿家も充分オトナの男の色香を発しておりました。
本ドラマを観て、最もイメージを一新させられたのは、彼かも。

そんな張睿家…

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2019年6月に来日し、『恋愛動物』日本版DVD購入者を対象にしたイベントを行うという。
「初公式来日」なんて宣伝しているが、えぇー、“初”じゃないし…。
今から約12年前の2007年、『花蓮の花』のプロモーションで来日し、青山でティーチインを行っている。
実際に、その場に行った私が言っているのだから、絶対です。(→参照
当時、日本での通称は“ブライアン・チャン”だったので、“レイ・チャン”に改名してから初公式来日って事?

★ キャスト その③:その他

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 睦弈(ムーイー):小雨〜シングルマザー芬妮の娘 父親は秦浩

小雨は、難しいお年頃の女の子。
仕事一筋で、父親が誰なのかも教えてくれない母・芬妮に反発してばかり。
こましゃくれた性格といい、ボブにした髪型といい、ショートパンツやチョーカーといったファッションといい、
小雨は、諸々全て…

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『レオン』(1994年)でナタリー・ポートマンが演じたマチルダを意識していると、ほぼ確信。

小雨を演じている睦弈に関しては、情報が少ないけれど、とっくに反抗期も過ぎた20代半ばと想像。
大学で、ファッションデザインを学び、卒業後モデルになって約3年が過ぎ、『恋愛動物』で初のドラマ出演。
芸名の“睦弈”は、“美しい”を意味するオランダ語の“mooi(モーイ)”から取ったみたい。
ハイブランドを着こなすスタイル抜群のスーパーモデルというよりは、
独特な感性や透明感で勝負の個性派モデルと見受ける。
中華圏の人より、日本人が好むタイプかも。



育凱(トン・ユィカイ):張偉〜小雨の友達 芬妮に恋心

張偉は、気ままな小雨を理解する良き友で、小雨と恋仲に発展していくのかと思いきや、
小雨の母である芬妮に恋心を抱き、果敢にもその気持ちをぶつけるおませな男の子。
演じている育凱は…

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映画『共犯』(2014年)で注目された若手。
その後、爆発的人気には至っていないけれど、お仕事は一年に一本程度のペースで地道に継続。



林予晞(アリソン・リン):孫可芳〜大樹の良き友人

可芳は、大樹の大学時代の同級生。
サバサバとした男勝りな性格で、大樹が何でも打ち明けられる気心の知れた良き友人。
…なのだけれどぉ、実は可芳は、一方的に大樹にずっと恋愛感情を抱いており、
二人の良き友人関係を壊すまいと、その気持ちを心の中に秘め続けている。
之河との仲に悩む大樹には、自分の感情を差し置き、ああしろ、こうしろと、お節介にアドバイス。
まぁ、ドラマに有りがちな姐御キャラですよね。

林予晞は、キャセイの客室乗務員から芸能界入りし、
それから僅か一年で、大作ドラマ『春梅 HARU』の主人公に大抜擢され、注目された遅咲きの女優さん。
スッチーとしては美人かも知れないけれど、隋棠や阿嬌と並ぶとヤケに地味な印象。
素人美人と玄人美人の差ということか。
もっとも、『恋愛動物』の可芳は、イケイケの美女役ではないので、問題ナシ。

★ ドラマの中の映画

ドラマの中の小道具、例えば、登場人物の部屋に貼ってあるアイドルや映画のポスターは、
時に、物語の時代背景を表したり、その人物がどういう趣味やどういう性格なのかも表す、結構重要な物。

『恋愛動物』で目に付いた小道具は、
大樹と之河が暮らす部屋に置かれているポスターを入れた大きなパネル。

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マルコ・ベロッキオ監督作品『サバス』(1988年)のフランス版ポスターである。

この映画、魔女と精神病理学者の怪奇ラヴストーリーなのよねぇ…。
だから、オリジナルのイタリア版ポスターだと、(↓)こんな感じ。

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新婚家庭には、オドロオドロしい(笑)。
フランス版のポスターだと、確かにお洒落な印象だけれど、
そもそも大樹のような男性が『サバス』を選択するか、疑問が残る。


映画繋がりで、もう一つ。
芬妮と秦浩の想い出の曲として、印象的に使われる懐メロがある。
それは、蔡琴(ツァイ・チン)、1979年のヒット曲<被遺忘的時光>。


芬妮と秦浩の年齢を考えると、この曲をリアルタイムで聴いていたとは思えない。
この曲がキーになっている大ヒット映画なら、芬妮と秦浩も観たに違いない。

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そう、<被遺忘的時光>が流れるオーディオショップの有名なこのシーン。

映画『インファナル・アフェア』と蔡琴の<被遺忘的時光>はセットで、
台湾映像作品の中でしばしばオマージュ的に使われているのを見掛ける。

★ お飲み物

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もう一つ余談。
近年、大陸ドラマで、やたらめったら目にするお飲み物、カラフルでお洒落なアルコポップRIOは、
この『恋愛動物』には出て来ない。
代わりに『恋愛動物』に登場しまくるお約束ドリンクは、陝西省特産の白酒の一種、西鳳酒。
The中国!めっちゃ渋いです!

賀軍翔扮する大樹の口を借り、
「コクもキレもあって、老若男女を問わずお勧めだと酒屋の店主も言っていた」
などと言わせるCM紛いのシーンまである(笑)。

下戸の私は、お酒について無知なのだが、ちょっと調べたところ、
陝西省で西鳳酒を作っているメーカーはあまた有り、西鳳酒の種類も無数で、
本ドラマに使われている物を特定するのは困難。
但し、丸みを帯びた形と、金属を彷彿させる質感が特徴的な瓶から、
画像にあげた陝西省西鳳酒股份有限公司の“西鳳酒 酒海陳藏5”という商品だと推測。
気になる方は、試しにこれを購入し、本当にコクもキレも有るのか、ご自分の舌でお確かめ下さい。

★ テーマ曲

テーマ曲は、オープニングもエンディングも台湾出身の女性シンガーの歌で、
それぞれ、蕭亞軒(エルヴァ・シャオ)の<舞舞舞>と、莊鵑瑛(ジュアン・ジュエンイン)の<單身動物園>
蕭亞軒は、説明するまでもなく、もはやベテランの人気シンガー。
莊鵑瑛、通称“小球”は、
映画『52Hzのラヴソング』(2017年)で、お花屋さんを経営する主人公を演じていたあの子。
どちらも、ライトな大人っぽい曲調で、ドラマの雰囲気に合っている。
私は、強いて一曲選ぶなら、エンディング曲の<單身動物園>の方が好きなので、ここにはそれを。





良くも悪くも、語れる部分の少ないドラマであった。
まず、負の面から言うと、在り来たりの物語で、予想した通りに展開していくので、
強烈なインパクトが無く、→よって、語るに至らず。
しかし、強烈なインパクトが無い展開は、“さり気ない”という長所にもなっている。
近年、イヤというほど作り続けられている台湾偶像劇の多くは、
イケメンCEOと凡庸OLのシンデレラストーリーといった、リアリティを無視した幼稚な夢物語で、
金髪CEOが王子様ルックで出勤したり、大陸史劇を意識したかのような後継者争いが勃発するなど、
ツッコミどころ満載で、語れるけれど、ドラマとしての出来は稚拙で、決して褒められたものではない。
その点、この『恋愛動物』は、面白可笑しく語れる程のツッコミどころが無く、印象はやや薄いけれど、
奇を衒っていない分、好感度は高い。
全15話というコンパクトさも、この手の現代劇には適切な尺だと感じる。
内容ペラペラなのに、尺を無理矢理長く膨らませ、
余計にダラケた悪印象になっている他の一般的な台湾偶像劇も見倣って欲しいワ。
内容に合わせ、潔く短くするのも、重要だと、改めて思いました。
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嚴當による支配で朝廷は腐敗し、国が混乱する明朝嘉靖年間。
嚴當の高官・明に追い詰められた総督・程肅の一行。
長男は捕らえられ、目の前で舌を切断。
程肅は観念し、明に、中軍都督の兵符を差し出し、その隙に、次男の聞道を逃す。

聞道を追って来たのは、明の配下、高劍雄。
かつて聞道と義兄弟の契りを交わした高劍雄は、追跡をしくじったと偽り、聞道を逃走させる。
そんな聞道を救出したのは、病弱な彼を子供の頃から治療している少林寺の僧・敗火。
敗火は聞道を少林寺に匿うが、「朝廷を敵に回すのは危険」と、方丈の正念は消極的。

間も無くして、聞道が匿われているとの噂を聞き付けた明が、配下を引き連れ、少林寺に。
「程聞道を除き、32人いた程氏一族は、全て私の手で殺めた。
二十数年来の敵は討たねば。禍根は断っておかねばならぬ」そう言う明であったが、
敗火はどうにか聞道を隠し通し、明も疑いながらも寺を去る。

一方、高劍雄、程聞道にとってのもう一人の義兄弟・楊秀は、
聞道の許婚・蓁蓁が暮らす榮順王府に駆け込み、
「程氏一族の汚名をすすぎ、犠牲を無駄にしないでくれ」という程肅の遺言を伝える。
程肅は、蓁蓁の父である榮順王・李明玉と共に、
嚴當に対抗し明王朝を復興させるという誓いを立てたがために、嚴當から敵視され遂には滅ぼされたのだ。
この災いの火の粉が、榮順王府にも降りかかるのは、もはや時間の問題となり…。



2018年9月半ば、衛星劇場で始まった大陸ドラマ『少林問道〜少林问道』が、
約5ヶ月後の2019年2月半ば、全42話の放送を終了。

『琅琊榜<弐>』の終了と共に、契約解除するつもりでいた。
なのに、なのに、後番組に『少林問道』を持って来られてしまった…。
この『少林問道』は、具体的な理由があって、興味をもったドラマではない。
現地での評価が高かったため、どんな物か試しに観てみたかった。ただそれだけ。
いざ観始めたら、内容は難解。
週一回、2話進行の放送なら、追うのも楽かと思いきや、
きちんと理解するには、各話2回、つまり実質週4話鑑賞せねばならず、…それでもなかなか咀嚼し切れず、
この度、遅ればせながら、ようやくゴールイン。
でもね、結果、評価に違わぬ、良質なドラマであった。
私の中華ドラマ視聴史上、最も観応えのある重厚ドラマだったかも。

ここのところずっと体調不良なため、スルーしようかとも思ったが、
何かしらの記録を残しておきたいドラマなので、以下、簡単に綴っておく。

★ 概要

傅東育(フー・ドンユー)監督が手掛け、現地では2016年に放送されたドラマ。


日本人にはあまり馴染みの無い傅東育監督。
恐らく、日本で唯一そこそこ知られている監督作品は…

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日本のコミックをドラマ化した2008年度作品『テニスの王子様〜網球王子』。
出演アイドルたちも人気者になった話題のドラマではあるが、
あのイメージと『少林問道』が結び付かず、
本当に良作なのか『少林問道』?!と、私の中では、疑問が深まるばかり…。

実際には、もっとシリアスなドラマも数多く手掛けているけれど、
現代劇が中心で(一番古い時代で民國期みたい)、本格的な時代劇は『少林問道』がお初。
時代劇の撮影で有名な横店で仕事をしたのも、これが初めてだったのだと。
横店では、『宮廷の諍い女〜後宮甄嬛傳』の鄭曉龍(ジョン・シャオロン)監督にバッタリ出くわし、
「君、横店は初めてなんでしょ。私も『宮廷の諍い女』の時が初めての横店だった。
良い事だよ。時代劇を撮ったことの無い人は、ここで新たな飛躍があるかも知れないから」
とお声掛け頂いたという。
ですよねぇ、何にでも“初めて”はあるし、それを通過しないと次が無い。
事実、傅東育監督は『少林問道』で一つ上のステージに行った印象。
少なくとも私にとっての傅東育監督は、もはやお気楽偶像劇『テニスの王子様』の監督という以上に、
骨太作品を撮れる本格派のイメージに。


ちなみに、ドラマ制作中、タイトルは、『少林大藥局』→『少林』→『少林少林』→『少林涅槃』と二転三転し、
最終的に『少林問道』に決定。
少林武術に関する作品は、すでにかなり作られているため、
視点を変えた少林薬局の物語にしようという最初の構想で、まず考えたお題が『少林大藥局』。
シンプルで覚え易い『少林』や『少林少林』は、知的財産権の問題で、使用不可能な事が判明。
『少林涅槃』は、僧が火葬されるシーンの撮影中、傅東育監督が思い付き、
火の中で生まれ変わる、また、昇華する感じが良いと感じたものの、“死”を連想させるため却下。
最終的には、主人公の名“聞道(Wéndào)”と同音の“問道(Wèndào)”を合わせ、『少林問道』に決定。
“聞道”は聞くこと、“問道”は能動的に尋ねること、
すなわち両者は受動と能動という対照的で、かつ背中合わせの切り離せない関係。
傅東育監督は、この『少林問道』というタイトルを、
“絶えることない道義の追求”と“禅”という作品のテーマをも表現した良いタイトルと自負しているようだ。
我々日本人にとっても、『少林問道(しょうりん・もんどう)』は、
インパクトのある響きで、神秘性も感じられる良いお題。
しかも、日本語だと、“禅問答”の“問答”も同じ発音になるので、余計に内容に合ったタイトルに思える。

★ 物語

明朝嘉靖年間、義兄弟の契りを結んだ程聞道、高劍雄、楊秀と、
彼らの幼馴染みで、聞道の許婚でもある郡主・李蓁蓁の4人が、
腐敗した政治の波に抗い切れず、それぞれに立場を変え、袂を分かつも、
紆余曲折を経て、再び心を通じ合わせるまでを描く人間ドラマ


簡単に言ってしまうと、“義兄弟モノ”である。
映画でもドラマでも、その手の作品は過去に数多く作られているが、
中でも、“3人の義兄弟と一人の女”という共通点から、
満清四大懸案の一つ、“兩江總督・馬新貽暗殺事件”をベースにした陳可辛(ピーター・チャン)監督作品、
 『ウォーロード〜男たちの誓い』(2007年)を引き合いに出す人が結構いるみたい。
でも、2時間に収めなければならない映画と違い、たっぷり尺のあるドラマ『少林問道』は、物語がより複雑。
話を、程聞道、高劍雄、楊秀という3人の義兄弟に留めず、
さらにその上の世代の別の3人の義兄弟にも絡ませる重層構造。

ドラマは、主人公・程聞道の父、程肅が、悪徳高官・明に粛清されて、動き出す。
なので、父の仇・明を成敗する復讐劇や、
その明の配下となった義兄・高劍雄との対立が、ドラマの軸になるのかと思いきや、
その予想を根底から覆す、“そもそも程聞道は程肅の実子ではない”という事実が明るみになり、ビックリ。
実は、その昔、聞道を産んだのは、梅艷樓の女主人・梅姑で(!)、
この梅姑は、なんと、聞道の治療を担当している少林寺の僧侶・敗火の妹(!)。
勿論、梅姑は、マリア様のように処女懐胎だったわけではないので、聞道には当然父親が存在し、
その父が、な、な、なんと、宿敵・明だと判明するから、またビックリ。

“上の世代の別の3人の義兄弟”とは、この明を含む義兄弟のことである。
残りの二人は、聞道の養父・程肅と、高劍雄の父・高壽昔。
明は元々悪人だったわけではなく、実のところ彼を裏切ったのは、聞道が善人と疑わない養父・程肅の方。
この上の世代の義兄弟の関係崩壊が、次世代の義兄弟にも影響。

反目したまま散った上の世代の義兄弟と違い、下の世代の義兄弟には、関係修復の機会が訪れる。
彼らを結束させるのは、倭寇(日本の海賊)という共通の敵。
倭寇が登場する部分も、我々日本人には興味深い。
“岡田”なる人物が、倭寇のボスで、たまに日本語を口にしたり、刺青彫ったり、
その配下に、漢人でありながら、日本風に頭を月代&髷にした江龍なんて男が居たり。
当初、この江龍は、日本に寝返った裏切り者の漢人と思われたが、
実は、程肅から命じられ、倭寇の組織に入り込み、内部を偵察し、反撃の機会を窺っている“潜伏漢人”。
“明代倭寇版『インファナル・アフェア』の梁朝偉(トニー・レオン)”だったのです…!
「20年も潜伏している間には、幾度となく自分が漢人であることすら分からなくなることがあった」
と切なく語る江龍を見て、
『インファナル・アフェア』で三年之後又三年,三年之後又三年…」と呟く梁朝偉を重ねたのは、
私だけじゃないわよね?!

ちなみに…

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(↑)こちらが、董彥麟(ドン・イェンリン)扮する明代倭寇版『インファナル・アフェア』状態に陥る江龍。



…と、このように、ただの“義兄弟モノ”では収まらない重層構造、
はたまた『インファナル・アフェア』的展開まで出て来て、静かにハッとさせられるドラマ、それが『少林問道』。

★ 時代背景

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『少林問道』は、史実を描いた歴史ドラマではないけれど、
時代背景は明確で、明朝嘉靖年間(1521-1567)、
すなわち、明朝第12代皇帝・世宗朱厚熜(1507-1567)が天下を治めていた頃を描いている。
日本だと、その頃は室町時代後期(戦国時代)で、
室町幕府第12代将軍・足利義晴(1511-1550/在職1521-1546)、
第13代将軍・足利義輝(1536-1565/在職1546-1565)の時代に当たる。


では、この世宗は、どのような皇帝だったのか?
世宗は、先帝・武宗朱厚照の従弟。先帝に嗣子が無かったため、皇位を継承。
直系ではなく、傍系でありながら皇帝に即位した事情もあり、
立場の正当性を通すため、自分の意に沿わない臣下を次々と排除した上、
道教にのめり込み、朝政を疎かにしたと言い伝えられる“スピリチュアル皇帝”。

自身は引き籠り、道教に夢中になっていたため、
実質、政治を専断したのが、青詞(道教の祭文)に精通していたことで、世宗からの信頼が厚く、
内閣大学士に任命された嚴嵩(1480-1567)とその息子・嚴世蕃(1513-1565)。
この嚴父子の専横は、同じく青詞に巧みなことで、世宗の信を得、内閣大学士となった叙階(1503-1583)が、
弾劾に動くまで続く。

ドラマ『少林問道』で描かれているのは、まさにこの嚴嵩&嚴世蕃父子による天下で、腐敗し切った明朝。
日本ではあまり知られていない嚴父子だが、中国では奸臣として有名らしく、
例えば、北京の孔廟では、嚴嵩にちなんだ“触奸柏”なる柏の古樹が、一つの見所となっている。

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その昔、嚴嵩が、この柏の横を通った時、
風で枝が揺れ、嚴嵩の烏帽子を吹き飛ばしたというエピソードに由来し、
この柏の木は、その者が忠奸かどうかを見分けられると言い伝えられているそう。
(→北京孔廟の詳細は、こちらを参照)


もう一つ、明朝嘉靖年間では、奸臣による内部腐敗のみならず、外敵も頭の痛い問題。
中国沿岸部での倭寇の大規模な活動は、その頃に激化し、“嘉靖の大倭寇”と称される。
一般的に、倭寇=日本の海賊と解釈されるが、
当時、倭寇の構成員の中には、密貿易を行う中国人も多く紛れていたと言われ、
『少林問道』の中でも、そのような描写あり。



このような明朝嘉靖年間を描いたドラマは、他に日本にあまり入って来ていないように見受けるが、
それでも、皆無ではありません。
まったく作風は違うけれど、『四人の義賊 一枝梅(イージーメイ)〜怪俠一枝梅』の時代背景が実は同じ。
あちらでも、朝廷で権勢を振るい、国を傾けるキーパーソンとして、実在の嚴嵩&嚴世蕃父子が登場するが、
何を血迷ったのか、日本語字幕で“イェン・ソン”&“イェン・シーファン”などという表記にしてしまっている為、
日本人視聴者の9割は、それらが実在した有名な奸臣だとは気付かぬことでしょう。
だから、名前を無理矢理片仮名表記にするのはやめろと言っているのヨ…。

★ 少林寺十八銅人

ドラマ『少林問道』を観るにあたり、もう一つ、頭の片隅に置いておいた方が良いかも知れないキーワード、
それは“少林寺十八銅人(しょうりんじ・じゅうはち・どうじん)

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ズバリ、『少林寺十八銅人〜少林寺への道』(1976年)、
『少林寺十八銅人(原題:少林十八小銅人/銅馬鐵燕傳奇)』(1995年)なんて映画も有るくらいだから、
その名を耳にしたことがある人も居るであろう。

まず先に言ってしまうと、十八銅人は、中国の武俠小説などに登場する架空のキャラクター。
少林寺の僧侶の中でも、取り分け武術に秀でたエリート武僧ユニット!
メンバーは、ユニット名からも察しがつくように、18名。
18という人数は、釈迦の弟子で、仏教において最高の悟りを得た18名の高僧を指す
“十八羅漢”に由来するという説アリ。

また、隋朝末期、敵に追い詰められた李世民(598-649)が、
少林寺の十八棍僧(もしくは“十三棍僧”)に助けられたため、
唐の皇帝に即位した後、感謝の意を込め、18体の銅像を寄贈したことが、
実際の“十八銅人”の謂れであるとも。


そんな武術の達人集団である十八銅人は、一般的に、少林寺の守衛的存在と見做される。
任務は、外敵の侵入を阻止するのは勿論の事、
他にも、まだ未熟な弟子が、勝手に下山し、打ち負かされ、少林寺の名声を汚さぬよう、
寺の門前で、彼らの許可なき下山を食い止めたり、
武芸に資質のある弟弟子たち鍛えるコーチのような役割も。


現在、十八銅人は、英語で“Eighteen Copper Guardians”だの“Eighteen Bronze Men”などと直訳されたり、
映像作品の影響もあって…

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おかしな金ピカ集団でイメージされがち(苦笑)。
ちなみに、画像は、周星馳(チャウ・シンチー)の大ヒットコメディ映画『食神』(1996年)に登場する十八銅人。
コメディ映画にまで面白可笑しく取り上げられるほど、
十八銅人は、中華圏の人々にとっては身近な人気架空キャラなのかも知れませんね。

★ 嵩山少林寺

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ついでなので、ドラマ『少林問道』の重要な舞台である嵩山少林寺についても少々。
今更言うまでもなく、少林寺は、河南省登封市嵩山に実在。
創建は、北魏の太和19年(495年)という歴史ある禅宗寺で、少林武術の本拠地としても世界的に有名。

ドラマ『少林問道』の中では、少林寺が政治権力に巻き込まれそうになったり、
卓越した武術の腕をもつ少林寺の武僧が、朝廷から脅威と見做され封殺される様子なども描かれるが、
実際、長い歴史の中では、少林寺という聖域さえ、常に安泰だった訳ではなく、
古くは、建3年(574年)、北周の武帝(543-578)が、仏教と道教の禁止を発令した際、
少林寺は解体され、僧侶は還俗、
近いところだと、民國期、軍閥の混戦に巻き込まれ、主要建造物の多くを焼失している。

例えば、(↓)このような映画もあり。

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監督・陳木勝(ベニー・チャン)×主演・劉華(アンディ・ラウ)による『新少林寺 SHAOLIN』(2010年)は、
清朝崩壊後、台頭してきた軍閥の戦乱と、そこに巻き込まれる少林寺という歴史的背景を題材にした
フィクションの娯楽作品。
この映画では、今をときめく吳京(ウー・ジン)、元リアル少林武僧の釋延能(シー・イェンノン)、
そして余少群(ユー・シャオチュン)が、少林寺の“3義兄弟僧”として登場していますヨ。

★ キャスト その①:3人の義兄弟

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義兄弟は、僧(僧侶)・將(武将)・儒(儒士)と、それぞれに異なる立場に置かれる。
以下、3人を個々にチェック。

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周一圍(ジョウ・イーウェイ):程聞道/無想〜総督・程肅の次男

程聞道は、一族を皆殺しにした明に復讐するには武術の習得が必要という
聖職者が抱いてはならぬ邪な動機で少林寺に出家し、“無想”の法名を名乗るようになる元総督の御曹司。
このドラマは、“復讐”というただ一点に囚われ、向こう見ずに突っ走るだけだった青年が、
形ばかりの僧侶となり、やがて悟り、他者を赦し、自分自身も心の平静を得るまでを描く
聞道の成長記としても見ることができる。

土家(トゥチャ)族の俳優・周一圍が、日本で注目されたのは、恐らく『蒼穹の昴〜蒼穹之昴』であろう。

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今となっては贅沢なこんなスリーショットも。
田中裕子サマ、あなたが共演した若手、周一圍も張博(チャン・ボー)もすっかりビッグになりましたヨ。

『蒼穹の昴』以降も出演作は日本に入って来ているけれど、私にとっては“興味外”の俳優であった周一圍
その理由は、単純に、見た目が好みではないから。
周一圍って、目、鼻、口、全部コッテリ濃くて、“息抜きポイント”の無い顔立ちなのよねぇー。
今でも、私は全然“LOVE周一圍♪”ではないのだけれど、『少林問道』で、彼を見る目が変わった。
周一圍って、こんな演技派でしたっけ?!と感心しきり。
もっとも、周一圍は傅東育監督作品への出演が多いので、
監督は周一圍の実力を認め、信頼した上で、『少林問道』の主人公にも抜擢したのであろう。

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ドラマ前半の聞道は血気盛んで、ブッ飛んだ演技や凄まじい顔芸も披露。
その後、無想という僧となり、諦めの境地に至ったのか、はたまた悟ったのか、
徐々に落ち着いていく姿に滲み出る切なさよ…。周一圍の演技に引き込まれましたわ。
外見では、ザックリ、髮アリ/髮ナシ、2パターンの周一圍が楽しめる。
顔が濃いぃ周一圍は、剃髪した方がスッキリし、暑苦しさが中和されて良いかも。




郭京飛(グオ・ジンフェイ):高劍雄〜高壽昔の息子にして将軍 明の配下

高劍雄は、義兄弟の長兄。
父や一族を守るため、不本意にも明の配下となるが、
実のところ、義弟たちへの想いは変わっておらず、何とか彼らを救おうと試みるも、
その気持ちは伝わらず、裏切り者の外道扱いされるから、見ていて、もう切なくて、切なくて。
さらに遣る瀬無いのは、一途に愛す蓁蓁からも、尽くしまくった末、容赦なく切り捨てられるという仕打ち…。

扮する郭京飛は、本作品の前に…

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『琅琊榜<弐>で、摩訶不思議キャラ・濮陽纓を演じてるのを見て、圧倒されたばかり。
『少林問道』の劍雄は、“オジさん”と言うよりは“オバさん”ぽい上、妖怪味まであった(?)濮陽纓とは、
またガラリと異なる渋い役。
将軍らしい頑強な見た目と、内面の迷いや脆さ、優しさにギャップがあるから、余計にしおらしく感じる。



是安(シー・アン)楊秀〜生真面目な儒学者

楊秀は、義兄弟の真ん中。
腕力ではなく、頭を使って物事を処理する儒学者ゆえ、どこか弱々しく、
キョーレツな個性を発する聞道や劍雄の影となり、印象が薄い彼であったが、
ドラマも終盤になると、いきなり存在感を増す。
演じている是安自身が、3人の中で、一番の正統派美男ゆえ、
悪く言うと無個性に感じてしまうのだが(往々にして、どこか崩れている方が、それが個性や魅力になるもの)、
楊秀という役が、控えめな儒学生なので、是安の温厚な雰囲気は合っている。

★ キャスト その②:義兄弟たちから愛された女

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郭曉婷(グオ・シャオティン):李蓁蓁/十一娘〜官妓へ堕ちた郡王府の郡主

李蓁蓁は、榮順王・李明玉を父にもつ超お嬢様。
なのに、明に父を殺され、自分も官妓に身を落とし、やがては尼僧になるという波乱の人生を歩む。
聞道とは相思相愛の許婚だったけれど、実は他の義兄弟たち、劍雄と楊秀も“LOVE蓁蓁”というモテッぷり。
特に劍雄は、涙ぐましいまでに蓁蓁に御奉仕するが、そんな彼を足蹴にする蓁蓁に、私はコワッ!と唖然。

扮する郭曉婷は…

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そう、『宮廷女官 若曦(ジャクギ)〜歩步驚心』の蒙古のお嬢様・敏敏格格!
あの時は、⑬様に片想いし、撃沈。
(明代で高劍雄に酷い仕打ちをしたから、バチが当たって、その後、清代で⑬様にフラレたに違いない。)

まさか、あの愛くるしい系カワイ子ちゃん・敏敏格格(郭曉婷)が、ちゃんと演技のできる女優だったとはねぇ。
復讐に取り憑かれたり、劍雄を足蹴にする蓁蓁は、“愛されキャラ”とは呼べないが、
深窓のお嬢様から官妓に身を落とし、否が応にも薄汚い世の中を知り、
スレまくって、凄みを増していく蓁蓁の気迫と目力には、息を飲む。
日本だと、こういうアイドルっぽい見た目の若手女優に、演技力は期待してはいけないものなんだけれど、
さすがは中国、人材豊富。
(見た目も実力も当たり前のように兼ね備えていないと、淘汰されるから、
日本の芸能界とは比較にならないほど、大陸芸能界は厳しい戦場だとも言える。)

★ キャスト その③:その他(…実は聞道のお身内)

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張志堅(チャン・チージエン):明〜朝廷の悪徳高官 嚴當の部下

悪党中の悪党である嚴父子がほとんど姿を現さない本ドラマでは、
その配下である明が一番の悪役として描かれる。
が、前述の通り、明もまた、信じていた人たちから、小っぴどく裏切られ、傷付いた犠牲者。
聞道が、自分の血を分けた息子だと知る物語後半では、少しずつ人間味や父親らしい顔を見せるようになり、
結局のところ、彼もまた哀しい人で、憎みきれない人物であった。
ベテランの張志堅は、安定の演技。
良いドラマは、悪役にも魅力がある場合が多いですよねぇ〜。
余談になるが、私は、“張志堅”の名を目にする度に、“具志堅用高”を連想してしまうのヨ。
別に“志堅”以外共通点は無いのだけれど…。



馮嘉怡(フォン・ジアイー):敗火〜少林寺の僧侶

敗火は、昔から程家と交流があり、
寒毒に侵されている程家の次男・聞道の治療も幼少期からずっとしてきた少林寺の僧侶。
しかし、後に、“家族ぐるみでお付き合いしているお坊さん”以上の存在である事が判明。
なんと、敗火は、聞道を産んだ実母で、梅艷樓の女主人である梅姑の実兄、
つまり、聞道とは血縁で、母方の伯父さんだったのだ。
敗火も元は相当な名家の御曹司で、致し方ない事情で、僧侶になったと察するので、
実は聞道は、伯父さんと似た道を辿ってしまっていたみたい。歴史は繰り返す、なのです。
この敗火は、私のお気に入りキャラ。
聞道を冷静に見守る強くて大きな存在なのだが、かと言って、分かり易い善良、温厚な人物ではなく、
しばしば真意が見えにくい、掴み所の無い性格。
僧侶の割りには、肩の力が抜け、飄々とした雰囲気もあって、魅力的。

中の人・馮嘉怡の出演作で、私が『少林問道』の前に観たのは…

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洪金寶(サモ・ハン)監督&主演映画『おじいちゃんはデブゴン』(2015年)…(笑)!
この映画で馮嘉怡が演じているのは、黒龍江省の朝鮮族らしき“”という姓のヤーさん。
馮嘉怡は、髮アリより髮ナシの方が断然ステキ…!極道より坊主に萌える。



何賽飛(ホー・ツァイフェイ):沈梅兒/梅姑〜梅艷樓の女主人

梅姑は、官妓となった蓁蓁の職場・梅艷樓を仕切る女主人。
スレ切った、やり手ババァにしか見えない梅姑だが、実は彼女自身、蓁蓁同様、風俗堕ちした(?)元令嬢。
しかも、風俗営業をやっているのに、実兄は聖職者の敗火。
バツイチ子持ちで、元亭主は明、幼い内に生き別れた息子は聞道だというから、仰天。
梅姑は、自分と似たような道を辿った蓁蓁を鍛えるが、
偶然にも、その蓁蓁は、平和な世なら、息子の嫁になるはずの女性だったわけ。

演じている何賽飛は、中国伝統戯曲・越劇出身の女優で、
張藝謀(チャン・イーモウ)監督の『紅夢』(1991年)、陳凱歌(チェン・カイコー)監督の『花の影』(1996年)、
李安(アン・リー)監督の『ラスト、コーション』(2008年)といった巨匠による有名作品にも出ているから、
過去に目にしている日本人も多いはず。

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ほら、今となっては、もう決して再現し得ない故・張國榮(レスリー・チャン)とのこんなツーショットも。
(画像は、映画『花の影』より。右はオフショット。)

私は、その後、何賽飛を目にしない期間が有って、
近年ドラマの中で久し振りに彼女を見たら、面白いオバさんになっていた。
『謀り(たばかり)の後宮〜唐宮燕』韋皇后役など、かなりキョーレツ。
年を重ね、貫禄が出たら、“綺麗めな泉ピン子”って感じで、
ふてぶてしい女を演じさせたら、中国で5本の指に入る。(←mango独自調べ)
現地では、他作品の影響もあって、“姨太太專業戶(お妾さん専業女優)”とも称されているようだが、
『少林問道』の梅姑は、泥水を飲んで生きてきた女特有の図太さと気迫を発し、
私が期待する通りの何賽飛であった。
かと言って、ただのスレッ枯らしでもなく、母性が見え隠れしていたのも、良し。

★ テーマ曲

テーマ曲、オープニングは、インストゥルメンタル曲で、タイトル不明。
エンディングは、<四海爲家>という歌。
切なく、もの哀しい歌だが、途中、軽やかにアコースティックギターの音が入り、不思議な郷愁を醸す。
歌っているのは、歌手で女優の金麗婷(ジン・リーティン)。
ドラマ『花と将軍 Oh My General〜將軍在上』で、范仲淹の養女・紅薔を演じているあの女優さんですよ。
歌も上手い。
女性ヴォーカルという事もあり、蓁蓁の心情が重なり、ジーンと来る。
その<四海爲家>をここ貼りたかったのだけれど、
当ブログに掲載可能な形式の動画だと、映像クリアな公式MVが見当たらないので、取り敢えず断念。
その内、もし見付かったら、人知れず、貼っておきます。





今は、高尚な文芸小説を読破したかのような達成感。
タイトルに“少林”と付くため、派手なアクションシーン満載の武俠ドラマを想像する人もいるだろうが、
アクションは作品のアクセント程度で、
描かれているのは、抗えない運命とか、人が背負った業とか、
他者、そして自らを赦し、ようやく得られる心の平静とか、
哲学的で、精神世界にまで踏み入ったような人間ドラマ。
かと言って、ただイタズラに小難しい訳でもなく、特に前半は、笑えるシーンが有るし(“少林三傑”が好き)、
その後は、出生の秘密だの、『インファナル・アフェア』展開だの
エエーッ!と驚かされる話も散りばめられているので、適度に娯楽要素はあると言える。

以前、こちらにも記したように、
長らく溺愛している映画俳優・張震(チャン・チェン)が、人生で初めて出演するドラマに、
林玉芬(リン・ユーフェン)監督の『宸汐緣〜Love and Destiny』を選んだ事に、かなり失望している私。
そんなモヤモヤを抱えている時に観たのが、この『少林問道』で、
張震には、周一圍が演じているこの聞道のような役を演じて欲しかった!と、つくづく思ったのです。

別に、なんで『少林問道』は周一圍なんかをキャスティングしたんだ?!と憤慨しているのではない。
“勝手に張震マネージャー”の私が、「うちの張震にやらせたかった…」と嫉妬してしまうのも、
実際に聞道を演じている周一圍が非常に良いから。
また、周一圍に限らず、他の俳優の演技も秀逸。
日本で名の知れたアイドル俳優なんて出ていなくても、実力派の競演には、グイグイ引き込まれた。

まぁ、娯楽要素が有るとは言っても、
ライトな台湾偶像劇や、“ラヴ史劇”などと呼ばれるようなチャラい時代劇が好物の人には勧めない。
本当は、ヨーロッパやアジアの映画をディープに愛すシネフィルに観て欲しいのだけれど、
そういう人は、ドラマはなかなか観ないんですよねぇ。残念。

『少林問道』が終わってしまったので、今は、衛星劇場の契約をどうするか考え中。
ちなみに、ここのところ私が気にって観ていた(観ている)のは、
この『少林問道』と、wowowで放送の『三国志 司馬懿 軍師連盟〜大軍師司馬懿:軍師聯盟/虎嘯龍吟』の2本。
衛星劇場で放送中の『三国志 Secret of Three Kingdoms〜三國機密之潛龍在淵』は、
『軍師連盟』と比べると全然で、捨てても惜しくないと思っている。
なお、『少林問道』は、2019年3月3日から、毎週日曜朝に3話ずつ再放送。
衛星劇場をちょっとでも短期の契約にして『少林問道』を完走するには、良い機会かも。
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第4代皇帝・仁宗が天下を治める北宋。
16歳で責務を担い、8年間国境を守ってきた葉昭率いる葉家軍が、遼の猛将・耶律達丹を遂に討つ。
この吉報に沸く朝廷。
仁宗は、大手柄を立てた葉昭を、宣武侯及び天下兵馬大將軍に封じると決め、帰還を命じる。
間も無くして、仁宗の元に、当の葉昭から文が届く。
そこに綴られていた告白に、驚きを隠せない仁宗。
なんと、恐れを知らないあの武人・葉昭は女子だというのだ…!
女子であることを隠していたのは主君を欺く重罪との奏上もでる中、劉太后は仁宗に言う、
「国を盤石にするには喜ばしいこと。もし良縁を授けてやれば、妻としての本分を守るであろう」と。
しかし、葉昭ほどの女子を娶る勇気のある男が、一体どこにいるのか…?!
困り顔の仁宗に劉太后は続ける、「葉昭を娶れば、その者の品行も正されるであろう」。

都で一番の青樓、杏花樓。
賑わう店内では、純白の衣を身にまとった美男の登場で、客の歓声が上がる。
優雅に舞い始めたその美しい男は、趙玉瑾であった…。



大陸ドラマ『花と将軍 Oh My General〜將軍在上』、全60話視聴完了。

2018年10月初旬にスタートしたアジアドラマチックTVでまず手を付け、週3話ペースで追っていたが、
その約20日後、今度はBS12トゥエルビでも始まり、こちらは平日毎日の週5話ペース。
ゆったり進行のアジアドラマチックTVに追い付き、追い越した時に、私はBS12に乗り換え、早めにゴールイン。
週に5話も追うのは、本当はキツイのだけれど、
“サッサと観終えて自由になりたい”という課せられていもいない束縛からの解放を願い、
やっつけ仕事的に視聴→完走。
でも、やはりアジアドラマチックTVで、ゆっくり観るべきだっただろうか。
アジアドラマチックTVだと、CMが入らないし、多分ノーカットよねぇ…?
一方、BS12だと、もしかして、カットされている部分が結構有るのかも知れない。
しっかり丁寧に視聴したい人には、アジアドラマチックTV放送版の方が、多分お勧めかも。

★ 概要

橘花散里の小説<將軍在上我在下>のドラマ化。

低予算のハチャメチャwebドラマ『太子妃 狂想曲<ラプソディ>〜太子妃升職記』がマサカの大ヒットとなり、
一躍スタア監督の仲間入りした侶皓吉吉(ルー・ハオジジ)が、
次に手掛ける作品として、制作発表当初から注目されていたドラマである。

いざ企画が進んで行くと、監督さんは文杰(ウェンジエ)と霍耀良(フォ・ヤオリャン)の両人が担当、
侶皓吉吉は、芸術監督という立場で、作品に参加。


裏方さんには、多くの日本人も参加している。

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衣装はワダエミ、音楽は岩代太郎、そして美術指導は小澤秀高が担当。
国際的に活躍するワダエミはあまりにも有名。
岩代太郎も、『レッドクリフ』(2008年)の“パ・パ・パ・パッパラッパ♪”により、中華圏でも注目が高まり、
以降、吳宇森(ジョン・ウー)監督作品にボチボチ参加。
小澤秀高は、日本映画を支えてきた美術さんという印象でしょうか。

★ 物語

第4代皇帝仁宗が天下を治める宋の時代、劉太后の提言で、夫婦となった二人、
女性でありながら著しい軍功を立てた男装の猛将・葉昭と、仁宗のひ弱な甥っ子・趙玉瑾が、
ギクシャクしながらも、次第に絆を深めていく様子を描く、猛女と美男、凸凹夫婦のラヴ・ストーリー


並みの男性より逞しい女性・葉昭と、並みの女性より美しい男性・趙玉瑾。
“似たもの夫婦”というのも有るが、この二人の場合は、見た目も性格も正反対。
“割れ鍋に綴じ蓋”で、互いが補い合い、案外いい夫婦になっていくのです。

この夫婦愛以外に、もう一つ作品に軸になっているのが、
時の皇帝・仁宗と、その異母兄である祈王・趙睿との確執。
表向きは、仁宗の優しい兄、そして信頼できる臣下として振る舞いながら、
その実、兄を差し置き、皇位についた仁宗に深い恨みを抱いている祈王が、
敵国・西夏と通じ、謀反の機会を窺う逆恨みの復讐劇と、
また並行して、その西夏の内紛が描かれる。
作風は基本的に軽いタッチでコミカルだが、要所要所には史実も盛り込まれている。

★ 背景

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ドラマの背景は、第4代皇帝・仁宗趙禎(1010-1063/在位1022-1063)が天下を治める北宋。
私が、このドラマを観ようと思った理由の一つは、そこである。
昨年観た『開封府 北宋を包む青い天〜開封府傳奇』と、時代が重なるのです。

『開封府』で仁宗を演じていたのは、こちら(↓)

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幼少期を買正心(マイ・ジェンシン)、そして成長してからは姜潮(ジャン・チャオ)。
『開封府』での仁宗は、嫡母・劉氏による垂簾聴政で、全てを取り仕切られ、おとなしくしているしかない青年。
『花と将軍』だと、劉太后(968-1033)はもう高齢で、政務を仁宗に委ねることもあり、母子関係はまぁ良好。



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当時の北宋はどんなだったか。
仁宗の父である第3代皇帝・真宗は、
景元年(1004年)、侵攻を続ける北方の遼と“澶淵の盟”と呼ばれる盟約を結び、
遼に金品を支払うことで、その後百年以上戦争の無い名目上の友好関係を続ける。
その関係が破綻するのは、1120年、北宋と金が、遼を挟撃するために“海上の盟”を締結した時。
つまり、北宋第8代皇帝・徽宗の在位中に、関係が破綻。
ドラマ『花と将軍』は、そのずっと前の第4代皇帝・仁宗の時代を描いているにもかかわらず、
北宋と遼の戦いで第1話の幕を開けるので、これは史実に反する。

北宋にとって、遼以外でもう一国、頭の痛い外敵は、西夏。
当時、西夏は、李元昊(1003-1048)が国のトップ。
北宋は、西夏と結んだ和議で、西夏を臣従させる代わりに、
膨大な歳幣を贈り続けることを余儀なくなれていた。

ドラマでは、弟・仁宗に恨みを抱いている北宋の祈王が、密かに西夏と結託するが、そういう史実は無い。
それ以前に、実際の北宋には、仁宗と敵対した祈王なる兄は存在しない。
仁宗は、第3代皇帝・真宗の第6子であるが、上の5人の兄たちは、どの子も片っ端から夭逝。
本来存在したはずの仁宗のお兄ちゃんたちは、皆子供の内に死んでしまっているから、
生き残った仁宗が皇位を継承したわけ。


が、祈王なる北宋の皇族が西夏と結託した事実は残されていなくても、
ドラマの後半に描かれる西夏の内紛は、史実がベースになってる。

ドラマで描かれているのは、西夏を興した李元昊(1003-1048)の晩年。
名君と名高い李元昊だが、晩年は酒に溺れ、国を混乱させたと言い伝えられている。

西夏に起きた内部のゴタゴタは、ザッと以下の通り。
■国に貢献した忠臣で、李元昊の皇后・野利皇后の兄である野利旺榮(?-1042)と野利遇乞(?-1043)が、
北宋の名将・種世衡(985-1045)の反間計(間者が偽情報などで敵の内部を攪乱させる策)にかかり、
死に追いやられ、野利氏一族が衰退。野利氏も皇后を廃され、庶人に。
■西夏の権臣・沒藏訛龐(?-1061)の妹で、
元々は野利遇乞の妻でありながら、李元昊の情婦だった沒藏氏(?-1056)が、李諒祚(1047-1068)を出産。
■息子である太子李寧林格の美しい妻・沒移氏に李元昊パパが惚れ込み、自分の新たな皇后に。
■太子を廃され、さらに妻まで奪われ、恨みを募らせる李寧林格が、父・李元昊を殺害するも、
李寧林格自身、沒藏訛龐に捕らえられ、父親殺害の罪という名目で処刑。
■李元昊の崩御で、沒藏氏が産んだまだ1歳の李諒祚が即位し、
沒藏訛龐&沒藏氏兄妹が、西夏の権力を掌握。

…とこんな感じ。
ドラマを観ると、一応この史実に則した流れで話が展開していることが分かる。

★ キャスト その①:花と将軍 凸凹夫婦

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盛一倫(ション・イールン):趙玉瑾〜22歳  皇帝仁宗の甥っ子

趙玉瑾は、子供の頃から虚弱体質ということもあり、母・趙太妃に溺愛され、
結果、しょーもない放蕩息子に育ってしまった北宋の皇族。
でも、育ちが良いから、素直。
子供の頃から良い物に囲まれて生活しているから、目利きでもあり、しかも実は聡明でもある。
“活閻王(生き閻魔)”と噂されていた葉昭を、最初こそ恐れ、毛嫌いしていたが、
徐々に彼女の善良な性格に気付き、惹かれてゆく。

演じているのは、『太子妃 狂想曲』の太子・齊晟役で一気にブレイクの盛一倫!
盛一倫は、硬派でストイックな齊晟で人気を博したのだから、当分あの路線で行くのかと思いきや、
『花と将軍』ではガラリと一転、趙玉瑾は、ひ弱で女々しいクセに軟派という役どころ。

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ドラマ最初の登場シーンでは、お化粧して妓楼で舞っているし。
盛一倫は整った顔立ちの美男ではあるが、お化粧はあまり似合わないかも…。
梁國榮(レスリー・チャン)よりは京本政樹って感じ。
さらに…

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『太子妃狂騒曲』では有り得なかったこんな表情も見せております。

最初は、どーしちゃったの盛一倫?!と戸惑ったが、
見ている内に、素直な趙玉瑾がどんどんお茶目で可愛く思えてきた。
私にとっては、恋人や夫にしたい男性と言うよりは、舎弟にしたい男の子。
『太子妃 狂想曲』の齊晟とはまったく違う雰囲気で、コメディ対応も可能な事を証明し、結果正解。



馬思純(マー・スーチュン):葉昭〜24歳 男装の猛将

葉昭は、女性でありながら、幼い頃から武芸に長け、
男装して戦場でバッサバッサと敵をなぎ倒してきた事から、
“活閻王(生き閻魔)”と恐れられる北宋随一の猛将。
そんな男勝りの葉昭だが、子供の時に出逢った美しい趙玉瑾を、一途にずーっと好き。
だから、皇帝から、思い掛けず趙玉瑾との結婚を賜り、ウッキウキ。
当の趙玉瑾が、自分との結婚に乗り気じゃないのも分かっているが、
好かれる努力と、あの手この手の策で、次第に彼の心を掴んでいく。

演じているのは馬思純。
どういう訳か、当ブログには、“馬思純”検索で、やって来る訪問者が、常にコンスタントに居る。
馬思純が気になっている人が、結構いるの?それなら、ちょっとおさらい。
馬思純は、1988年、安徽省生まれ、回族の女優。母方の叔母も女優で、蔣雯麗(ジアン・ウェンリー)。

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蔣雯麗は、山崎豊子原作の有名なドラマ『大地の子』で、上川隆也の妻を演じた女優さん。

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叔母と姪なのに、母と娘みたいに似ていますよね。
また、この蔣雯麗の夫は、映画監督兼撮影監督の顧長衛(グー・チャンウェイ)。
つまり、馬思純は、元々芸能の世界が身近にあった人で、初めて映画に出たのは、7歳の時。
メインキャストとして出演した作品が、日本で初めて紹介されたのは、
その時は、なんかパッとしない若手女優だと思ったが、その後、人気も実力も伸びてきて、
映画『七月と安生〜七月與安生』(2016年)では、
共演の周冬雨(チョウ・ドンユィ)と共に、金馬獎の最佳女主角(最優秀主演女優賞)を受賞。(→参照

美女というよりは、愛嬌のあるカワイイ系で、女の子っぽいふんわりしたイメージのある馬思純。
だから、この『花と将軍』での“活閻王”役は、意外性があり、ちょっと新鮮。
童顔ということもあり、小柄な女性を想像するが、
実際には身長が170センチで、スラリとしているので、甲冑もお似合い。
馬思純にイラっときた視聴者も、『花と将軍』の男勝りの葉昭なら、受け入れられるのでは?

ちなみに、私がナマ馬思純を見たのは…

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2015年、出演した映画『左耳』を携え、東京・中国映画週間のために来日した時。(→参照
私生活では、この映画で共演した歐豪(オウ・ハオ)と恋仲に発展するも、結局お別れとなり、
最近では、『左耳』を監督した蘇有朋(アレック・スー)と噂が出たけれど、どうなのでしょうかねぇ…??

★ キャスト その②:北宋ロイヤル兄弟

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蘆芳生(ルー・ファンション):仁宗趙禎(1010-1063)〜北宋第4代皇帝

父帝の崩御で、幼くして皇帝に即位したため、嫡母・劉太后による垂簾聴政が長年続き、
なかなか実権を握れなかった仁宗であるが、
このドラマでは、劉太后の尻に敷かれて弱々しいとか、劉太后への鬱憤を募らせているという印象は無い。
性格は温厚、でも、リーダーシップも善悪を見極める目も持っているマトモな皇帝。
劉太后との仲は良好。祈王のことも、唯一残された血縁の兄だからこそ、信頼し、また大切にしている。
そのせいで、祈王の企みを見抜けなかったのだけれど…。

仁宗に扮する蘆芳生は、日本に所縁のある俳優さん。
日中大学間の交流のため、日本に派遣された大学教授の父親に伴い、小学校卒業後、日本へ渡り、
以降、千葉大学経済学部を卒業するまで11年も日本で暮らした帰国子女。
大学での成績は優秀で、三菱に就職する話もあったのだけれど
(三菱銀行なのだか三菱電機なのだか詳細は不明)、演技への興味が抑えきれず、
安定した大企業への就職を捨て、親の猛反対も押し切り、北京電影學院へ進学。
日本での生活が長かったためか、あちらでは、醸す雰囲気が日本人男性っぽいと思われるようだ。
子供の頃から11年も日本で暮らしていたのなら、日本語もきっとネイティヴ並みなのでしょうね〜。
俳優業を始めてから当分の間は、軍人など日本人役のオファーが多かったが、今では役の幅も広がり、
こうして『花と将軍』の仁宗なども演じているわけです。



朱泳騰(チュウ・ヨントン):祈王趙睿〜第3代皇帝・真宗の皇子 第4代皇帝・仁宗の異母兄

祈王の生母は、皇帝・真宗にお手付にされた侍女。
生母の身分が低いため皇帝になれなかった、本来皇帝になるべき人物は自分だったという思いが強く、
皇位を継承した異母弟・仁宗に、深い恨みを募らせているが、
表面的には良き兄を演じ、密かに敵国・西夏と結託し、謀反の機会を窺っている。
前述のように、史実では、北宋第3代皇帝・真宗の子は、ことごとく夭逝してしまい、生き残ったのは仁宗だけ。
なので、この祈王は架空の人物であり、当然、謀反の話もフィクション。

もしこの祈王にモデルが居るならば、よく<楊家將>といった小説や戯曲に
“八王爺/八賢王”の呼び名で登場する人物ではないかと推測されているみたい。
北宋の“八王爺/八賢王”には、二人候補がいて、
一人は、真宗の8番目の弟で、仁宗の叔父に当たる趙元儼(986-1044)。
もう一人は、北宋初代皇帝・太祖趙匡胤の第3子で、真宗の従兄に当たる趙芳(927-976)。
ちなみに、ドラマ『開封府』にも、物語前半の悪役として、八賢王は登場。

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王仁君(ワン・レンジュン)扮する八賢王は、趙文瑄(ウィンストン・チャオ)扮する真宗の弟という設定だが、
モデルは趙芳と言われている。

★ キャスト その③:LOVE葉昭な人たち

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丁川(ディン・チュアン):胡青〜26歳 葉家軍の軍師 またの名は“狐狸”

胡青は、戦場で葉昭と生死を共にしてきた知的で頼れる軍師。
葉昭が実は女性だと知ってからは、彼女に恋心を抱くが、
その気持ちを封印して、葉昭とは義兄弟の立場を貫き、彼女の幸せを影ながら願う。
この胡青、架空の人物と捉えがちだが、祈王の臣下と偽り、西夏に乗り込むドラマ後半部を観ると、
反間計で西夏を混乱させ、野利旺榮と野利遇乞を死に追いやった北宋の名将・種世衡(985-1045)を
モデルにしていると推測できる。
ストイック系の超イイ人で、私好みなのだが、
演じている丁川は、出演作が少なく、彼自身に関しての情報も極めて少ない。
分かっているのは、1992年北京出身、中央戲劇學院で学んだ俳優さんという事くらい。
『花と将軍』で丁川を知り、もっと他の作品でも見たい!と思っている人は、私以外にも結構多いのでは。



王楚然(ワン・チューラン):柳惜音〜葉昭の美しい従妹

惜音は、子供の頃から葉昭のことが大好きな美人の従妹。
葉昭のお嫁さんになることを夢見てきたのに、当の葉昭がボンクラの玉瑾なんかに嫁いでしまったから失望。
玉瑾に逆恨みし、卑劣な策で葉昭を取り戻そうとする惜音は、見ていて、イラッ…!
この惜音も、胡青と同じように、架空の人物かと思いきや、
ワケ有って西夏に流れ着くドラマ後半部を観ると、
西夏の太子・李寧林格の妻でありながら、その美しさで義父・李元昊に見初められ、
李元昊の新皇后に即位する沒移氏/沒移皇后(?-?)がモデルであると判る。
ドラマでは、北宋からやって来た異民族の美女が、自国のために命懸けで、敵国・西夏の男たちをメロメロにし、
西夏を滅亡に導いていくという設定にアレンジされているわけ。

モテモテの美女だから、それなりに色香が漂い、オトナっぽいのだけれど、
演じている王楚然は、なんと1999年生まれのまだティーンエイジャー!
最近の子は、早熟ですわねぇ。
初出演ドラマであるこの『花と将軍』で見ると、たまに日本の武井咲に似ていると感じることがあったが、
王楚然は身長172センチでスタイルも抜群だから、実物は武井咲よりかなり美女度が高そう。
本ドラマのキャストの中で、最も知名度を上げたのも、彼女だと見受ける。
侶皓吉吉が監督し、侶皓吉吉の父・海岩(ハイ・イェン)が脚本を担当する話題の新ドラマ
『崑崙歸』にもメインキャストで出演するし、これからまだまだ人気が出そうな王楚然。

★ キャスト その④:北宋その他の人々

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于波(ユー・ボー):范仲淹(989-1052)〜北宋の名臣

『開封府』など様々な映像作品にも出て来る北宋に実在した名臣・范仲淹も登場。
本ドラマでは、『開封府』より、范仲淹の存在感が大きく、
劉太后の甥である劉太傅や宰相・呂夷簡ら、力のある者たちと対立し、
やはりしばしば左遷の憂き目に遭っている。
演じている于波は、日本だと、映画『楊家将 烈士七人兄弟の伝説』(2013年)の楊二郎や、
ドラマ『孤高の花〜孤芳不自賞』の司馬弘の印象が強いだろうか。
マイルドな雰囲気の美中年ですよね。
『花と将軍』の范仲淹は、映像作品史上最も美男の范仲淹かも。



潘時七(パン・シーチー):秋水〜葉昭の配下

秋水は架空の人物。
葉昭と同じように、女性でありながら軍服に身を包み、妹の秋華といつもコンビで、葉昭を支える親兵。
実は密かに胡青に片想いしているが、胡青の葉昭への気持ちを分かっているから、一歩を踏み出せない。
物語上、無くてはならない役とまでは思わないけれど、
頬骨の辺りの骨格が、日本の松嶋菜々子にソックリ(…&鼻が不自然)なので、画面に映る度に見入った。
お顔が手付かずかお直しかはさて置き、
その後は、嘉嬪役で出演したドラマ『瓔珞<エイラク> 紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃〜延禧攻略』も大ヒットし、
ノリに乗っている潘時七なのであります。



張瑤(チャン・ヤオ):趙太妃〜趙玉瑾の母 葉昭の姑

趙太妃は、趙玉瑾が虚弱体質だったこともあり、溺愛しまくり、結果、放蕩息子にしてしまった盲目な母。
前出の秋水以上に、出番の少ない役ではあるが、
このドラマを視聴中の2018年10月、東京国際映画祭で観た映画『詩人』の中に
たまたま趙玉瑾ママを見付けたことで、演じている張瑤が気になった。
そもそも『詩人』は、『花と将軍』とは毛色の異なる文芸作品で、演じているのは、主人公の同僚の女工さん。
趙玉瑾ママとはまったく別の顔の張瑤を見て、演技の幅の広さに感心。
その東京国際映画祭で、私がナマ張瑤を見ることは無かったけれど…

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来日して、レッドカーペットも歩いたんですよ〜。洋装だと若く見える。
まぁ、実際、張瑤は1980年生まれで、
『花と将軍』で息子を演じた盛一倫とは、ひと回りしか違わないのだけれど。
ちなみに、その『詩人』で張瑤の友人を演じる主演女優は、
綾野剛初の中国映画『破陣子(はじんし)〜The Ugly Town』で相手役を務める宋佳(ソン・ジア)。(→参照

★ キャスト その⑤:西夏のロイヤルファミリー

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王策(ワン・ツォ):西夏王李元昊(1003-1048)

この西夏王は、明らかに李元昊がモデル。
私、李元昊が出てくる映像作品なんて、過去に観たことが無いと思い込んでいたのだけれど…

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佐藤純彌監督が手掛けた日本映画『敦煌』(1989年)で、
渡瀬恒彦が演じていたのが、李元昊だったのですねぇ〜。
日本人俳優・渡瀬恒彦がどんな李元昊を演じていたか、まったく記憶に無い。
『花と将軍』で漢族の俳優・王策が演じる李元昊は、ワイルド&エロ!
下まぶたにもアイラインを入れ、西域のエキゾチックな雰囲気を醸したエロおやじでございます。



趙磊(ジャオ・レイ):哈爾敦(1032-1048)〜西夏王と野利王后の間に生まれた太子

美しい許嫁を父親に奪われてしまった西夏の太子・哈爾敦は、もちろん寧令哥がモデル。
西夏は、北宋にとって敵国であるが、哈爾敦は誠実な太子として描かれる。
愛した惜音に対しても、とことん誠実で優しい。
なのに、哈爾敦のその優しさも、葉昭と自国・北宋のために惜音が利用していると思うと、遣る瀬無かったが、
最後の最後で、惜音が毒酒をあおり、哈爾敦と共にあの世に旅立ったので、
これで少しは哈爾敦も報われたでしょうか。
哈爾敦は、胡青と同じくらい、私mangoが「お付き合いして上げてもいいわよぉ〜」と思える(上から目線)
素敵な男性キャラ。
扮する趙磊の個性的な顔立ちがまた良し。
正統派美男ではないから、余計に純粋で誠実な男性に見える。

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坊主頭の上で、細い三つ編みを螺旋状に巻いた、シナモンロール系(?)の不思議な髪型もインパクト大。



王維琳(ワン・ウェイリン):沒藏遽澄?-1056)〜野利遇乞の妻から西夏王の寵妃に

沒藏遽世蓮∪床討梁茖佳綛陳襦ν諒祚(1047-1068)の生母、沒藏氏/沒藏太后がモデル。
演じているのは、まさに“西域美女”といった感じの彫りの深い顔立ちの女優さん。
中国では、迪麗熱巴(ディリラバ)や古力娜扎(グリナザ)といった
維吾爾(ウィグル)族の美人女優がかなり活躍しているので、
沒藏遽戚鬚發修鵑塀優の一人なのだと想像していた。
そうしたら、名前からして漢族っぽいこの王維琳は、実際、台湾出身のバリバリの漢族。
まぁ、漢族と言っても、1/4オランダ血統。だから、彫りが深いんですねー。
武漢大學在学中から、キャンパスの女神として、注目されていたみたい。
日本だと、東西混血の女優は、時代劇に起用されにくいけれど、
中国の時代劇だと、しばしば“西域”枠が必要だから、混血女優にも活躍のチャンスあり。
映画『空海 KU-KAI』(2017年)で楊貴妃役に抜擢された張榕容(チャン・ロンロン)然り。

★ 衣装

本ドラマに関わった日本人スタッフの中でも、取り分け注目度が高いのは、衣装のワダエミ。
黒澤明監督の『乱』(1985年)で、日本人女性で初めて米アカデミー・衣装デザイン賞を獲得したワダエミは、
中国の大物監督とのコラボも多く、
中でも、張藝謀(チャン・イーモウ)監督の『HERO』(2003年)や『LOVERS』(2004年)の衣装は有名。
でも、お仕事はあくまでも映画が中心で、ドラマはやらない。
しかも、1937年生まれのワダエミは、すでに高齢で、近年は仕事をセーヴしているという。

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そんなワダエミを“一生的偶像”、“唯一的女神”と讃える侶皓吉吉が、
三顧の礼をもって、参加してくれるよう口説き落としたとのこと。



では、そこまで熱烈に迎えられたワダエミが手掛けた『花と将軍』の衣装や如何に。
近年の大陸史劇は、どんどん本物志向になっており、独創性より、史実に即したデザインが増えてきている。
予算がある場合は、ファブリックや刺繍など細部にこだわり、それはそれは、豪華で美しい。
一方、『花と将軍』は、独創性勝負。
低予算の中でアイディア勝負した侶皓吉吉監督の前作『太子妃狂騒曲』の衣装を、
コンセプトをそのままに、増えた制作費で、豪華に進化させた、…という印象。

つまり、ズバリ“色”勝負。
宋代には存在しなかったであろうヴィヴィッドな色、色、色の洪水で見せる衣装。
その特徴が顕著なのが、(↓)こういう軍服。

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これを見て、連想した他作品がある。

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張藝謀監督初の英語作品『グレートウォール』(2016年)。
この映画は、時代背景をハッキリとは特定していないけれど、
実は『花と将軍』と同じ、北宋・仁宗の時代を描いていると捉えられている。
部隊ごとに色分けし、それぞれ単色で表現された衣装の軍服は、『花と将軍』に非常に近い。
ちなみに、『グレートウォール』の衣装担当は、メキシコ出身の女性衣装デザイナー、マイェス・C・ルベオ。

あと、(↓)このように

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布の色と動きで見せるという点では…

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同じく張藝謀監督作品で、ワダエミが担当した『HERO』の衣装が重なる。


全ての衣装が時代から逸脱したオリジナリティ勝負なのかと言うと、そんな事もなく…

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例えば、この仁宗の衣装などは、残されている肖像画に近いですよね。


衣装の話からは反れるが、
ヴィジュアル面で、もう一つ気になったのが、風を送って黄色く色付いた銀杏の葉を舞わすシーン。

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銀杏舞うシーンと言えば、やはり張藝謀監督の『HERO』の印象が強い。
侶皓吉吉の頭の中には『HERO』の色彩のイメージが有って、
それを『花と将軍』に取り入れたかったのではないだろうか。
だからこそ、『HERO』で衣装を担当したワダエミに参加して欲しかったのでは…?


正直言って、『花と将軍』の衣装は、私好みではなかった。
私個人が好む史劇の衣装は、色味がもっとシックで、刺繍など手が込んだ物。でもね…

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こういう衣装は、色からもデザインからもポストモダンな雰囲気を醸しており、
ポスター等に使うと、インパクトがあって、素敵ですね。

★ テーマ曲

テーマ曲、オープニングは、崔子格(ツイ・ズーグー)と主演男優・盛一倫のデュエット曲<愛在上>
エンディングは、盛一倫が単独で歌う<忠貞>
『太子妃狂騒曲』のテーマ曲を聴いた時にも思ったのだけれど、盛一倫は歌も上手い。
声質が、切ないバラード向きなのかも。
本当はエンディング曲の方が好きなのだけれど、公式MVがYoutube上に見当たらないので、
ここには問題の無いオープニング曲<愛在上>の方を貼っておく。





制作費が激増したことで、『太子妃狂騒曲』のB級感は薄れ、
かと言って、本格史劇と比べるとチャラく、なんとも中途半端、…というのが第一印象。
が、作風がライトなので、テキトーに流すには丁度良く、ダラダラ視聴を続けていたら、
意外にも物語に史実が上手いこと絡んでいると気付き、
結果的には、“ハマった”という程ではないにしても、案外楽しめてしまった。
『開封府』と時代が重なっているので、“もう一つの『開封府』(コメディ版)”として観るのも、良いかと。
史劇は観る本数が増えると、頭の中で、色んな作品の時代や人物がパズルのように組み合わさっていき、
知らず知らずの間にお勉強になり、さらなる知的好奇心も刺激される。

あと、主人公の二人、趙玉瑾と葉昭の掛け合いは、見ていて和んだ〜。
趙玉瑾のことが大好きで、趙玉瑾をやたら褒めちぎる葉昭の可愛らしいこと…!
よく“夫は褒めて育てる”などと言うけれど、葉昭には、そんな計算は無いの。
趙玉瑾は最高!と心底思っているからこそ、何も考えずに思ったままを口にしている。
単純明快な葉昭は、チャーミング。
『武則天-The Empress-』『ミーユエ 王朝を照らす月』では、女に嫌われる女を演じていた馬思純も、
『花と将軍』では、同性に支持されそう。
褒められて満更でもない様子の趙玉瑾を演じる盛一倫もまたお茶目でありました。
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本日、中華芸能を賑わせているのは、楊冪(ヤン・ミー)&劉威(ハウィック・ラウ)夫妻離婚のニュース。

二人は、2011年、ドラマ『如意〜Ruyi』での共演をキッカケに交際を始め、
2013年11月に入籍、間も無くの2014年1月にはバリ島で華やかな披露宴を開催し、
同年6月には、“小糯米”と呼ばれる女児にも恵まれたものの、
楊冪は李易峰(リー・イーフォン)と、劉威は王鷗(ワン・オウ)との浮気疑惑が報じられる等、
随分前から、不仲説や離婚の噂が絶えなかった。

そして、2018年も終わろうとしている昨日12月22日、両人が所属する事務所・嘉行傳媒が、
今年二人はすでに離婚協議に署名していたことを公表。
あくまでも平和的な離婚であり、夫婦という形ではなくなっても、共に子供を養育し、
同時に友人として互いの将来を祝福するという。


火の無い所に立つ煙も有るとは思うけれど、
この二人に立っていた噂は、現実味があったので、離婚発表にもあまり驚きが無い。
2018年中にサッパリし、2019年は心機一転という感じでしょうか。
もっとも、華人にとっては、西暦1月1日が“新年”という感覚は薄いのかも知れないが。
ちなみに、2019年の春節は、2月5日とのことです。

★ 張震、ついにドラマ界進出

いやいや、それより私が気になっているのは、もっと小さなニュースで、本題はこちら。
これまで映画中心に活動してきた張震(チャン・チェン)が、
遂にドラマ出演に踏み切ったことは、ご存知の方も多いと察する。
今から約一週間前の12月17日、張震は久し振りに微博を更新し、百二十数日の撮影を終えた事を報告。


かつては、映画と比べ、格下と捉えられがちだったドラマだけれど、
昨今の大陸ドラマは、クオリティも存在感も上がる一方で、
映画にこだわり続けていた大物俳優たちもが続々とドラマ出演を始めている。
『紅いコーリャン〜紅高粱』で久し振りにドラマに復帰し、
続けて『如懿傳〜Ruyi's Royal Love in the Palace』にも出演し、成功している周迅(ジョウ・シュン)然り。
さらには、湯唯(タン・ウェイ)や、あの章子怡(チャン・ツィイー)までもがドラマに!

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ちなみに、湯唯主演ドラマは『大明皇妃‧孫若微傳』、
章子怡主演ドラマは『帝鳳業(帝王業/江山故人)』。


この流れで、張震もドラマ出演に踏み切ったのは、理解できる。
理解しにくいのは、出演作品の選択である。
張震初が主演するドラマは『宸汐緣〜Love and Destiny』。
予定では全58話。
そしてダブル主演のお相手は…

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これまた映画的な女優さんで、私も大好きな倪妮(ニー・ニー)。
張震&倪妮なんて、mango的豪華キャスト!

キャスティングだけ見ると、期待いっぱいワクワクのドラマなのだけれど、
私がこれまでこのドラマについて触れなかったのは、作風に期待が持てないから。
えぇーっ、張震、なんでよりによって、こんなドラマに出ちゃうのぉ〜…?!と不安と不満を感じながらも、
忘れようと努めてきたのに、この度クランクアップのニュースで、ドラマの存在を思い出してしまい、
あまりにもイヤなので、遂に当ブログで取り上げてしまった…。



期待できない一番の理由、それは、これが林玉芬(リン・ユーフェン)監督作品だから。
いや、世間的には、林玉芬監督作品であることこそが、『宸汐緣』一番の売りであろう。

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林玉芬監督は、『永遠の桃花 三生三世〜三生三世十里桃花』の大ヒットが記憶に新しい
香港出身の女性監督。
(ちなみに、『三生三世』の主演女優は、この度離婚を公表した楊冪。)

他にも、『花千骨 舞い散る運命、永遠の誓い〜花千骨』や
『酔麗花 エターナル・ラブ〜醉玲瓏』等を手掛けたヒットメイカー。
世間では面白いと讃えられたそれら過去作品も、私にとってはア然ボー然で退屈なトンデもドラマでしかなく、
林玉芬監督には、苦手意識しかない。
中盤以降、現実味が出てきて、まだマシであった。)



張震は多数の名作に出演している優秀な俳優であるが、これまでにもハズレが無かった訳では無い。
正直なところ、一ファンとしては、フィルモグラフィから消し去りたい出演作も有り。
ふぅ〜、このドラマも、そのブラックリストに載ってしまいそうな気が無きにしも非ず。
よりによって初めてのドラマに、なんで林玉芬監督作品を選んでしまったのだか…。
まぁ、所属事務所・澤東(ジェットトーン)としては、
ヒットメイカー林玉芬監督作品だからこそ手堅いと踏んだのかも知れないけれど。
澤東は、王家衛(ウォン・カーウァイ)との関係が永遠にも思えた梁朝偉(トニー・レオン)が契約を更新せず、
今や大黒柱になった張震に稼いでもらわないといけないのでしょうか。
勿論それだけではなく、林玉芬監督の才能を認めているから、出演を決めたのだろうけれど。
事実、澤東との所縁が深いかの張叔平(ウィリアム・チョン)も、
『永遠の桃花 三生三世』と『酔麗花』で衣装を担当。
どうやら新作『宸汐緣』でも、続投しているみたい。
すでに出来上がっていた林玉芬監督とのそのような繋がりがあって、
張震も『宸汐緣』に出演する運びになったのでしょうね〜。
あちらの人たちは、日本以上に横の繋がりを大切にするし。



張震がどうせドラマに出演するなら、
自分の実力を示せ、なおかつ映画クオリティで渋い作風の『少林問道』のようなドラマに出て欲しかった…。
その『少林問道』の主演男優・周一圍(ジョウ・イーウェイ)は、
章子怡主演ドラマ『帝鳳業』で章子怡の相手役。
周一圍の方が仕事選びが上手い…。

愚痴ったところで、どうにもならない。
もう出演してしまったからには、
『宸汐緣』が私の予想を良い意味で裏切り、良作に仕上がっていることを願います。
58回も張震を拝めることにワクワク出来るのか、はたまた58回の苦行になるのか…。
張叔平が衣装を担当しているのなら、少なくとも衣装は美しいことでしょう。
(でも、やはり、ハッキリ言って、章子怡の『帝鳳業』や湯唯の『大明皇妃‧孫若微傳』の方が面白そ…。)
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2003年8月末。
中国で猛威を振るったSARSの影響で、受験科目が減り、
奇跡的に難関の振華に合格したラッキーな女の子・耿耿。
今日はいよいよ入学式。
日々の生活を記録しようと、カメラを手に意気揚々と学校へ向かうが、
有ろう事か、その大切なカメラを落とし、しかも、拾おうと無理をして、鉄柵から頭が抜けなくなってしまう。
そんな間抜けな耿耿を小馬鹿にしながらも、助けてくれたのは、通りすがりの青年。
お陰で何とか学校に到着した耿耿は、クラス分けの掲示を見て、自分が5組に入った事、
そして、その5組に、さっき鉄柵に挟まった自分を小馬鹿にした青年もいる事を知る。
早速5組の教室に行くと、なんとあの青年が隣の席。
彼の名は余淮。
師範大付属中から入学した余淮は成績優秀で、すでに多くのクラスメイトが彼の事を知っていた。
一方、十三中から奇跡的に名門校に入学できた耿耿は、先生に存在さえ忘れ去られる始末。
初日から踏んだり蹴ったりだが、こうして高校生活は幕を開け…。



2018年10月下旬、アジアドラマチックTVで始まった大陸ドラマ『最上のボクら〜最好的我們』
12月半ば、全24話の放送を終了。
現地で評価の高い作品ではあるが、“今の私の気分”ではなかったため、大した期待も無く、
週3話の放送なら、無理せず追えるという理由で、何となく観たら、実のところ案外楽しめた。

★ 概要

2016年春に、愛奇藝 iQIYIで初配信された青春ドラマ。

原作は、人気女性作家・八月長安の“振華三部曲”の内の一作<最好的我們>。
それを劉暢(リウ・チャン)監督がドラマ化。
(“振華三部曲”他二作品は、<你好,舊時光>と<暗戀· 橘生淮南>で、全て映像化。)



劉暢監督は、北京電影學院で学んだ1988年生まれの新鋭。

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コンクールに出品した自作自演の8分間の短編作品『李晚我想和你好』が、
大ヒットwebドラマ『匆匆那年〜Back in Time』を制作した北京小糖人文化傳媒の創設者で
プロデューサーの朱振華(ジュウ・ジェンホア)の目に留まり、
当時、小糖人と愛奇藝との間ですでに企画が進んでいた新ドラマ『最上のボクら』の監督に、
新人でありながら、大抜擢。
結果、『最上のボクら』は好評を博し、劉暢監督自身注目され、次々と新作を手掛けるようになり、
現在は、張超(チャン・チャオ)主演の新ドラマ『獨家記憶』が、すでにクランクアップし、公開待機中。


劉暢監督は、運命を変えた短編作品『李晚我想和你好』で自作“自演”しているように、
その気になれば、自身も表に出て演じられる人なので、『最上のボクら』でも、終盤、2015年のシーンで…

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主人公の嫌味なお見合い相手Andyの役で、チラリと出演している。

私生活では、『最上のボクら』が初配信され、成功した後の2017年に…

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女優の周放(チョウ・ファン)と結婚。
成功者になった途端、いきなり有名女優にスリ寄られた訳ではなく、
二人は知り合った中学時代から淡い恋仲で(後に、幼児期、すでに同じ幼稚園に通っていた事も判明)、
大学時代は北京と上海で離れ離れとなり、音信が途絶えるも、その後久々に再会し、初恋を実らせての結婚。
『最上のボクら』をほぼ地で行っているワケ。
ついでに補足しておくと、その『最上のボクら』終盤2015年のシーンで、
リメイクされたドラマ『還珠格格』にハマッた主人公の父親が、
「柳紅は、新版の女優がいいね」という台詞がある。
2011年度版『新還珠格格』でその柳紅を演じている女優こそが、劉暢監督の奥方・周放ですヨ。


余談になるが、映像関係の仕事をする親戚がいたこともあり、
早い時分から漠然とその世界に興味を持っていた劉暢監督の想いを決定付けたのは、一本の日本の作品。
岩井俊二監督の『PiCNiC』(1996年)なんですって。
日本向けインタヴュで語った話ではないので、リップサービスではないはず。

★ 物語

2003年、進学校・振華に入学した耿耿、余淮ら、高校生たちの日常を綴った青春ドラマ

…なのだけれどぉ、高校卒業から十年後の現在2015年を描く最後の2話を見ると、
その高校時代に出逢った運命の二人、
耿耿と余淮の紆余曲折の恋を描いたラヴ・ストーリーであったと感じる。

タイトル『最上のボクら〜最好的我們』も、
当初は、青春時代をキラキラと生きる高校の仲間たち全体を表しているのだと思っていたが、
ドラマを最後まで観ると、耿耿と余淮の二人こそが“最好的我們(最上のボクら)”なのかなぁ〜、と。



背景に触れておくと、1987年生まれの女の子・耿耿を主人公にした本ドラマは、
ズバリ、1987年生まれの原作者・八月長安の青春時代をヒントに描かれているものと思われる。

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八月長安、本名・劉婉薈(リウ・ワンフイ)は、1987年、黒龍江省・哈爾濱(ハルピン)の生まれ。
“八月長安”のペンネームで小説を書き始めたのは、まだ北京大學光華管理學院在学中。
(なんでも八月長安は、日本への留学経験もあるらしく、
ダブルディグリープログラムで、早稲田大学でも政治経済学の学位を取得している。)

ふんわりした女性に見えるけれど、相当頭が良いのでしょうね、八月長安サン。
通っていた高校・哈爾濱市第三中學も、
毎年卒業生の約10%を北京大学か清華大学へ送り込んでいる黒龍江省トップレベルの重点校らしい。

本ドラマの撮影は、主に山東省青島で行われている。
舞台となる振華高中は、青島二中分校(青島市南區江西路70號)が撮影に使われているけれど、
モデルは、八月長安の母校である哈爾濱市第三中學だと言われている。

本ドラマは、監督の劉暢も、八月長安と同世代の1988年生まれ。
劉暢監督の母校で、日本でも中華芸能をちょっとでも知っている人にはお馴染みの北京電影學院も
カメラ好きな主人公・耿耿が受験する大学として、ちょこっと出てくるから、我々にも食い付き易い。

このドラマは、八月長安や劉暢監督と同世代のアラサー中国人たちが観て、
懐かしさを感じる青春ドラマなのであろう。

★ キャスト その①:運命の二人〜耿耿於懷

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主人公の男女は、名前からして運命の二人。
二人の名、耿耿(GěngGěng)と余淮(YǘHuái)を足すと、
同音で、心に引っ掛かって忘れられない事を意味する四字熟語“耿耿於懷(Gěnggěng Yǘhuái)”となる。


劉昊然(リウ・ハオラン):余淮〜物理とバスケが得意な男の子

本ドラマの主演男優は、あれよあれよと言う間に有名になった新星・劉昊然クン。
現時点で正式に日本に入って来ている出演作、映画『空海 KU-KAI』(2017年)や
ドラマ『琅琊榜(ろうやぼう)<弐>風雲来る長林軍〜琅琊榜之風起長林』より前の18歳の時の主演作がコレ。
母親世代に可愛がられそうな素朴な顔立ち+184の長身というアンバランスで、
シャープな二枚目には無い親近感や安心感を見る者に適度に与えながらも、
「でもやっぱり普通の人よりちょっとカッコイイかも…」と思わせる絶妙な立ち位置の劉昊然は、
進学校に通う真面目な優等生でありながらバスケも得意という余淮に適役。
下手にオシャレ感を狙った学園アイドルドラマじゃないから、
ヒロインを魅了する男性主人公なのに、髪型がお椀ヘアという野暮ったさが、これまたよろしい。

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もっとも、高三になると、洒落っ気が出て、分け目を付けたアダルト仕様に変わるのだが。
私個人的には、ダサダサお椀ヘアの方が、愛嬌があって好き(←多分、少数派)。

劉昊然はまだ21歳なので、これからも制服を着て演じる機会はあるかも知れないけれど、
まるで演じていないかのように初々しく高校生を演じているこの『最上のボクら』は、
それが正に等身大だったからで、二度と再現できない十代の貴重な記録。
終盤、現在のシーンまで観ると、高校時代キラキラ輝いていた余淮の挫折や内に秘めた悩みが判り、
ちょっぴり切なくなりますヨ。
妻夫木聡も出演している劉昊然主演映画『僕はチャイナタウンの名探偵2』(2018年)も、
日本に正式に入って来ると良いですよね。



譚松韻(タン・ソンユン):耿耿〜カメラが好きな女の子

耿耿は、あまり勉強は得意ではないのに、奇跡的に進学校・振華に合格したカメラ好きな女の子。
明るく朗らかな性格で、誰からも好かれる彼女だけれど、実は家庭はちょっと複雑。
両親が離婚しており、父と父の再婚相手、その再婚相手の息子・林帆との4人暮らし。
決して絶世の美女ではないが、タイプの異なるイケメン二人、余淮と路星河の両方から好かれるモテッぷり。
ちなみに耿耿(ゴンゴン)は、“林耿耿”でも“陳耿耿”でもなく、“耿”が苗字で、もう一つの“耿”が下の名前。
日本人に例えるなら、“森森(もり・もり)”とか、“山田山田(やまだ・やまだ)”みたいな感じ。


演じている譚松韻は…

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そう、『宮廷の諍い女〜後宮甄嬛傳』の“淳ちゃん”こと淳常在。
あどけない少女だった淳ちゃん(譚松韻)も、
実のところ、1990年生まれで、今では30に手が届きそうな28歳。
相手役の劉昊然は1997年生まれだから、実際は譚松韻の方が7歳もお姉さん。
さらに言うと、耿耿の父親を演じている趙岩松(チャオ・イェンソン)は1984年生まれで、
耿耿(譚松韻)との年齢差・6歳ポッキリ(※)。

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同級生のボーイフレンドより年齢差の少ないパパと並んでも、ちゃんと父娘に見える不思議。
(※ …って言うか、“趙岩松1984年生まれ説”は本当に正しいのか?!私は99%疑っている。
どの資料でも1984年生まれになっているけれど、1964年生まれの誤りが拡散したという気が…。)
童顔で未だティーンエイジャー対応できる譚松韻だが、
こういう童顔カワイ子ちゃんタイプって、一気に中年のオバちゃんにもなれちゃうものなのヨ。
先日、通販番組で麻木久仁子を見ていて、ふと譚松韻が重なった。
リアル十代のピチピチ女優が大勢いる中、『最上のボクら』で敢えて耿耿役に譚松韻を抜擢したのは、
現在を描く最も重要な最後の2話に焦点を合わせたキャスティングだったのかも知れないとも想像した。


ついでなので、オマケにもう一つ記しておくと、
耿耿と血の繋がらない弟・小林帆を演じている2006年生まれの榮梓杉(ロン・ズーシャン)という子役…

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賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督の『山河ノスタルジア』(2015年)で、趙濤(チャオ・タオ)の息子を演じて以降、
短期間で多数の話題作に出演する売れっ子に。
ちなみに、『山河ノスタルジア』では、この榮梓杉が成長すると、董子健(ドン・ズージェン)になる。

★ キャスト その②〜その他

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王櫟鑫(ワン・ユエシン):路星河〜絵やギターが得意な芸術家肌

路星河は、余淮とはタイプが違い、ちょっと不良のニオイがする男の子。
でも、実は家はお金持ちで、性格も明るく自由でのびのびとしている。
耿耿へのアプローチも、ストレート。
正統派の美男子ではないけれど、“愛嬌のあるワル”って感じで、彼もまた可愛らしい。
日本だと、和田正人がやりそうな役回りかしら。

演じている王櫟鑫は、オーディション番組『快樂男聲』出身の歌手で俳優。
実年齢は、譚松韻のさらに上で、1989年生まれ(出た、80年代生まれ!)。
年齢以上に驚きなのは…

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2015年に結婚し、すでに二人の子を持つパパ(内訳は、理想と言われる一姫二太郎)。
二児の父親でも、制服のジャージ、まだイケますね。



董晴(ドン・チン):蔣年年〜耿耿の親友 ニックネームは“β(ベータ)”

ベータは率直な性格。
担任の方文強先生に片思いしているが、その想いも実ることなく、卒業前に北京へ転校。

実年齢の話ばかりして悪いんだけれど、蔣年年役の董晴は、路星河役の王櫟鑫の年齢をさらに更新。
1988年生まれである。
アラサーでセーラー服はキツイが、中国の制服はジャージだから、
シックリくる年齢の幅が広いんでしょうかねぇ…??



方文強(ファン・ウェンチアン):張平〜5組担任の物理の先生

張平は、真面目で優しく、生徒たちから慕われるお兄さんのような新米先生。
自分に対すベータの気持ちも分かっているが、それに応えてあげることは出来ず。
ドラマの中では、張平先生自身の恋もちょこっと描かれる。
憧れの後輩とのおデートでの勝負服は…

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ワイシャツの下に、中国だけに、五星紅旗を思わせる鮮やかな赤のランニングシャツ!
これって、中国では普通なのか?!と少々驚いたが、
その後、街中で偶然出くわしたベータから、「下に赤いシャツは着ない方がいい」と注意されていたので、
どうやら、中国でもNGらしい。

俳優・方文強は、自分に想いを寄せる生徒ベータ(董晴)より、実のところ年下の(!)1990年生まれ。
なので、新ドラマ『忽而今夏〜The Words of Love』では…

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方文強もまたジャージの制服を着ておられる。
オヤジ贔屓で若い子にはまったく興味の無い私としては、
学生役の方文強より、先生役をやっている方文強の方が好みかも。
張平先生は、学園ドラマにありがちなギラギラ熱血漢とも違い、ごくごく平凡で、温厚な感じが、とても良い。


ちなみに、方文強が出演しているその『忽而今夏』を監督しているのは呂赢(リュィ・イン)。
呂赢は、『最上のボクら』の監督チームの一人でもあり、さらに…

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保護者会にやって来るベータのニセモノのパパ役で出演もしている。
(ベータの父親は外科医のハズなのに、何か医師感に欠ける…、と疑われ、偽パパだとバレてしまう。…笑)

ついでに言っておくと、この呂赢監督は、過去に、『レッドクリフ』(2008年)、
有名監督による有名な映画にも多数関わっている。だから…

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我が愛しの張震(チャン・チェン)にも、頭ナデナデしてもらっていて、羨ましい…。
(画像は『ブレイド・マスター』の現場です。)



劉啟恆(リウ・チーハン):徐延亮〜余淮たちの同級の親友

方文強先生には振り向いてもらえないベータだけれど、そんなベータの事を想ってくれている男性が。
それが、この徐延亮。
ポッチャリ眼鏡の徐延亮も、私は結構好きなキャラ。

演じている劉啟恆は、劉暢監督が本ドラマの監督に抜擢されるキッカケとなった自作自演の短編作品
『李晚我想和你好』に劉暢監督の友人役で出演している。
北京電影學院では、劉暢監督の3年後輩なので、そんな事もあって、古くからの付き合いなのだろうか。

この劉啟恆、かなり頻繁に日本に来ているみたい。
一番近いところだと、本当につい最近の2018年12月上旬。
京都では、柊屋で、三島由紀夫がかつて過ごした33号室に、東京ではアマンに宿泊している。

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意外と丸の内の夜景が似合う(?)オトナの男。
ポッチャリ徐延亮クン(劉啟恆)、そこそこ小金を持っていると見た。
皆さま、彼、狙い目です。どーヨ…?!

★ キャスト その③:日本人…?!

『最上のボクら』には、日本人(?)も登場。
舞台となる高校・振華に、国際交流で、東京桜中学の生徒たちがやって来るのだ。
東京桜中学の学生代表を演じているのは、こちら(↓)

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劉美含(リウ・メイハン)
そう、日本人ではありません。
かつて、中国・韓国・タイの女性混合アイドルユニットi Meに所属していた頃、
私、多分、日本のテレビで、見た記憶が…。
かなり日本語が喋れて、ニックネームは“ミカン”ちゃん。
(卒業した北京外國語大學でも、専攻は日本語。)
『最上のボクら』では、ゲスト出演程度だが、
「十年の日本語学習は、この為だったかのよう」と自身の微博で呟いている。
確かに、上手な日本語だし、ちょっとした動き等も、日本の女の子を研究し尽くしている感じ。

★ あゝ、近くて遠い国…。

ドラマの見方、感じ方は人それぞれ。
『最上のボクら』を観ながら、自分の青春を重ね、郷愁を感じたり、
高校生は中国も日本も変わらないと、親近感を覚えた視聴者も多いことでしょう。
私自身は、青春っぽい事に無関心な冷め切った高校生だったため、
どの国の青春映画/ドラマを観ても、自分の過去を重ね、懐かしく感じることは、まず無い。
じゃぁ、『最上のボクら』は退屈だったかと言うと、そんな事はなく、
中国の高校という未知の世界を覗けて、とても興味深かった。
特に興味深いのは、日本との共通点より、相違点。


ドラマ序盤ですでに軽いカルチャーショック。

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学校で、女生徒もみんな本格的に迷彩服を着て、軍事訓練をするの。
『最上のボクら』の舞台・振華のような進学校でも、軍事訓練やるんですねぇー。


あと、友人同士が集う席には、おビール。(※中国では、違法ではない。)

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世界を見渡すと、法的にハタチまでお酒を飲めない日本は、厳しい方かも知れない。
ヨーロッパ等も、国によっては、お酒にはかなり寛容である。
でも、西洋人は大人びて見えるせいか、ティーンがお酒を飲んでいても、ハッとさせられることは無い。
ところが、容姿が日本人と変わらない中国人高校生(しかも進学校に通う真面目な高校生)が、
堂々とビール瓶を何本も空けている様子を目にすると、ドキッ!

特に、北京へ引っ越してしまうベータとの最後の女子会のシーン。
本格的な中華料理をつまみながら、ビールを飲みまくっている様は、
“社会に出て最低でも3年は経ったOLが、金曜の晩、会社帰りに同僚たちと新橋で集い、
社の待遇や上司の悪口で盛り上がっている”図にしか見えなかったー(笑)。
貫禄あるわぁ〜、中国のJK!
あんな若い時から飲み慣れているのだから、中国人に酒豪が多いのも納得。



台湾の懐かしい系青春映画だと、男子高校生の大半がヘビースモーカーなのよねぇ。
台湾人高校生の喫煙にはとっくに慣れっ子だった私も、中国人高校生の酒豪っぷりは、新鮮であった。
他にも、お国柄が表れているシーンは色々とあり、日本と違うからこそ面白かった。
皆さまが『最上のボクら』で感じたカルチャーショックは何ですか?

★ 耿耿のリュックサック

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ドラマを観ていて、ボカシの入った耿耿のリュックサックが気になってしまった視聴者も居ることでしょう。
ボカシやモザイクで隠された部分は、目を細めると見えてくる!という都市伝説を信じ、試したところで無駄。
普通に調べた方が早い。
ディズニーアニメ『フィニアスとファーブ』に登場するカモノハシペリー/エージェントPであった。

★ テーマ曲

このドラマにオープニング曲は無い。
webドラマという事もあるのだろうか。テレビ放送向けに作られたドラマより、あっさり始まる。
エンディングには曲アリ。
台湾の王笑文(ワン・シャオウェン)が歌う<耿耿於懷>
映画『あの頃、君を追いかけた』(2011年)のテーマ曲<那些年>を思い起こす
懐かく、甘酸っぱい雰囲気のメロディ。





大陸には有りそうで無かったタイプの青春ドラマという印象。
大事件など起きないし、奇想天外な展開も無い。
人生の中から、数年の学生時代を切り取り、その日々を綴ったさり気ない作風が映画的。
それが、私が意外にもこのドラマを気に入った理由の一つ。

じゃぁ、最後までまったく何も起きず、ひたすら学生生活を描いたドラマなのかと言うと、実は違う。
このドラマでは、高校生活のクライマックスになるハズの大学受験の結果をバッサリ割愛し、
何の説明も無いまま、最後の2話で、いきなり卒業から十年後の現在に飛ぶ。
それを観ると、高校時代を描いたその前の22話は、
最後の2話のために用意された長〜いプロローグだったのか!という気がしてくる。
その大胆な構成の意外性に、ほぉ〜と唸らされた。
長いプロローグである(?)前の22話に関しては、
前述のように、未知の世界だった中国の高校生活を覗き見でき、面白かった。

日本側の作業に関しては、現代モノ、しかも、学生を主人公にした青春ドラマにもかかわらず、
日本語字幕で、人名を漢字+片仮名ルビで表記していた事を、高く評価。
簡單(かんたん)ちゃんや周末(しゅうまつ)クンなんていう同級生も出てくるのに、
これが全部片仮名で“ジエン・ダン”、“チョウ・モー”にされていたら…、と想像するとゾッとする。
片仮名表記にしてしまうと、本来の意味が失われる上、
記憶に残りにくく、字数もやたら食う等々…百害あって一利ナシ。
他社もこれを見倣い、今後“漢字+片仮名ルビ”表記が定着していく事を切に願います。

また、その日本語字幕や注釈で、実在の歌手や俳優の名前、曲名、映像作品名等が、
きちんと記されているのも、当時の中国の流行に触れられ、見ていて楽しかった。
このちょっと前に、ホームドラマチャンネルで放送していた某台湾偶像劇では、
そういう実名がほぼ全て“芸能人”、“美人女優”といった訳にされていたのが、ガッカリであった。
(別に実名を伏せたかったわけではなく、そのドラマの日本語字幕は、人名を片仮名で表記していたため、
字数が収まり切らなかったのだと想像する。)

あと、たまに、ドラマの最後に、メイキング映像が流されるのも、良かった。
あれ、通常日本で放送される大陸ドラマには付かないから。

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