旧 東京倶樂部★CLUB TOKYO:平成館

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アート

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2019年1月16日、東京国立博物館・平成館で始まった特別展<顔真卿〜王義之を超えた名筆>を、
終了間際で滑り込み鑑賞。



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本展は、政治家にして、数々の名筆を残した唐代屈指の書家・顏真卿(709-785)を中心に、
奥深い“書”の世界を紹介する中国美術展。

開始以来、好評を博し、連日混雑していると言われる展覧会だけれど、
私自身が書に暗いため、行列に並んでまで観るべきか?と躊躇。
そうしたら、友人Mも興味があるというので、二人だったら、並ぶのも苦にならないと思い、
会期の最終週の平日、一昨日に重い腰を上げ、上野へ。

★ 入館

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現地に到着したのは、朝8時45分頃。
まだ閉鎖している正門の外には、列が2列。
一つは、チケットを購入する人の列、もう一つは、すでにチケットを持っている人が入館を待つ列。
我々は事前にチケットを用意しておいたので、後者に。

9時20分を過ぎた頃、門が開き、我々の列は敷地内へ移動。
この時、やはり居ました、「えっ、この列、チケットを購入するための列じゃなかったの?!」と焦る人が。
私より早く現地に到着し、列に並んでいたのに、
開館間際になって、ようやくその列が間違っていると気付き、
チケット購入者用の列に改めて並び直す羽目となったのは、気の毒であった。
列に関するきちんとした説明表記が無いので、確かに分かりにくい。

我々は、問題なく、そのまま平成館の前まで行き、
開館時間の9時半に、無事入館。

★ 祭姪文稿

本展の目玉と言われているのが、顔真卿50歳の時の書<祭姪文稿(さいてつぶんこう)
入館したところで、次には“<祭姪文稿>待ち”という新たなハードルが有るのだ。
本当は順を追って作品を鑑賞し、その流れで祭姪文稿>に辿り着くのがベストなのだろうけれど、
ちょっとでも混雑を避けるため、我々は、まず祭姪文稿>を優先し、
その後他を見て回るという策をとることにした。

祭姪文稿>が展示されているのは、第1会場の出口近く。
第1会場内の他の展示品には目もくれず、一気に出口附近へ向かう。
我々と同じように、“まずは祭姪文稿>”と考える人が多いみたいだが、
それでも、ほとんど待たされることなく、作品鑑賞に至った。
但し、作品の前で立ち止まることは禁止されているので、待ち時間が少なくても、鑑賞時間も少ない。



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この<祭姪文稿>は、安史の乱で非業の死を遂げた甥っ子・顏季明を追悼する弔文の原稿で、
王羲之の<蘭亭集序>、蘇東坡の<寒食帖>と共に、“天下三大行書字帖”の一つに挙げられる名書。
所蔵している台北國立故宮博物院でも、普段なかなか展示されることはなく、
ましてや海外へ貸し出されることなど、ほとんど無いお宝。
(なんでも、祭姪文稿>は、一回の展示が42日を越えてはいけないとか、
一度展示したら、その後3年休ませないといけない等といった、厳しい故宮ルールがあるらしい。)

ショウケースの中にドーンと広げられた祭姪文稿>は、かなり長い巻き物だけれど、
実のところ、本体は70〜80センチ程度。
後方には、色々な人々からの跋(ばつ)が添えられている。
それら本文以外の部分を解説したパネルは、全てを鑑賞し終わった後に目にした。
どれが誰の跋で、どんな風に評しているのかといった情報は、先に読んでおきたかったわぁ〜。残念。
跋もそれぞれに達筆で、書体に個々の差がはっきり出ている。


で、祭姪文稿>とは、
詰まるところ、“世界一珍重されている下書き原稿”の一つ、という解釈で良いだろうか。
正直言って、上手いのだか下手なのだか、私には分からないけれど、
当時、それを書いていた顔真卿の感情がムキ出しになっているかのような、
心情を訴える力を感じる書ではあった。

★ その他

この特別展では、祭姪文稿>以外の作品も勿論展示。
ぐるりと見て回ることで、書の変遷が分かるようになっており、
書マニアの人なら、恐らく感涙モノであろうお宝が他にも色々。

そのような作品の内の一つで、
祭姪文稿>のように隔離展示はされていないけれど、祭姪文稿>並みに混んでいたのが、
唐代の僧にして書家、懷素(725-785)による<自敘帖>

あと、中国の歴史ドラマの中で親しんでいる武則天(624-705)や、
武則天モノに大抵登場する褚遂良(596-658)の書は、実物を見ることで、
「武則天も褚遂良も架空のキャラじゃなくて、本当にこの世で生存していたのねぇ」と、
遠い歴史上の人物が一気に身近に感じられる。
唯一展示されている武則天の書は升仙太子碑>
その中に、武則天が考案した則天文字として有名な“圀”の字も書かれていたので、ちょっと感動。

本展の主人公・顔真卿は、祭姪文稿>以外の作品も数多く展示されており、
特に72歳の時の書、<自書告身帖>は、
字の良し悪しではなく、その物自体の存在が、記憶に残っている。
その<自書告身帖>は、どういう物かというと、顔真卿に、太子の教育係に転任するよう命じる詔告公文。
自分に下された辞令を、自分で書いちゃうんですね。

★ 紀泰山銘

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この展覧会は、基本的に撮影禁止。
会場内で唯一撮影が許可されいるのが、こちら<紀泰山銘>
大きい!まるでスタジオ撮影する時に設置する背景布のよう(…いや、それ以上の大きさ)。

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山東省泰安市の泰山の崖に刻まれている碑刻の拓本で、
記したのは、楊貴妃を寵愛したことでも有名な唐の玄宗(685-762)。
(↓)こちらが、拓本の元となった碑刻。

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常識的にイメージする石碑とは、サイズが違う。
だいたい、こんな巨大な拓本は、どうやって取るのでしょう…??

★ 五馬圖卷

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今回の特別展では、書がチンプンカンプンな私でも分かり易い作品も展示されているのです。
それが、北宋の著名な画家・李公麟(1049-1106)による<五馬圖卷>

<五馬圖卷>は、清朝宮廷が2百年以上に渡り所蔵していたが、
王朝崩壊後、『ラストエンペラー』(1987年)で知られる愛新覺羅溥儀が、
弟の溥傑に下賜したという名目で、紫禁城外へ持ち出され、
溥儀が滞在していた天津の日本租界で、日本人に売却され、日本へ流出。
1928年11月24日〜12月20日、東京府美術館で開催された
唐宋元明の名画を集めた大規模展覧会で、一度公開された記録が残っているものの、
その後、日本国内で所有者が移り変わり、遂には、さきの大戦で焼失。
…のハズが、実は誰かさんが所有しており、つい最近の2017年、東京国立博物館に寄贈。
(寄贈した人物については、情報が公開されていない。)

ここには、端折って記したけれど、
この絵が、今回東博で公開されるまでに辿った流転の日々には、
映画『レッド・バイオリン』(1998年)並みの怒涛のドラマが詰まっているわけ。
そのような背景を想像するだけで、ロマンがあって、ワクワク。

では、肝心な<五馬圖卷>は、どのような作品なのだろうか。
描かれているのは、西域諸国から北宋朝廷に献上された5頭の駿馬。
馬の手綱を引いている人物は、服装などから、
前の3人は西域の人で、後ろの2人は漢人であることが分かる。
最後の一頭を除き、それぞれの馬には、“風頭驄”、“錦膊驄”、“好頭赤“、““照夜白”という名前の他、
産地や、年齢、大きさなどが記されている。
つまりは、“献上品目録”的な絵だったのですねー。

技術面では、毛筆による墨の線を主体にした“白描(はくびょう)”という画法で描かれており、
部分的に淡彩も施されている。
極細ペンなど無い時代に、筆だけでよくこのように緻密に描けたものだ。
非常に繊細でありながら、馬の重量感や躍動感も表現。

でも、なぜ絵画が、書の展覧会で展示されているの?という素朴な疑問もあるであろう。
<五馬圖卷>には、宋の四大家の一人に挙げられる黃庭堅(1045-1105)の跋文が添えられているのだ。
名書家とのコラボ作品的位置づけで展示されている訳です。





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一通り見て、会場をあとにしたのは、昼12時半頃。
見学に要した時間は、約3時間。
我々が外に出ると、平成館の前には長い列ができていた。
祭姪文稿>順番待ちの列で、待ち時間は70分とのこと。



今回の会期日数を数えてみたら、39日間。
確かに、祭姪文稿>に関する故宮ルールの42日は越えていない。
その故宮ルールに従うなら、祭姪文稿>は向こう3年はお目に掛れないことになる。
書にまったく詳しくない私にとっては、所詮“豚に真珠”なのだろうけれど、
それでも、このような貴重な機会に巡り合えて良かった。
良い真珠を見て、豚の目も多少は肥えたかも知れません。
勿論、書に対する造詣が深い人にとっては、今回の展覧会は、お宝の山に違いない。

噂に聞いていた通り、会場は、華人率非常に高し。
展示されている書を凝視しながら、ブツブツ呟いている人も結構いる。
そう、あの方たちは、書かれている内容を読めるんですよねぇ。

私自身は、中国の映画やドラマを観ながら知らず知らず内に蓄積されていった中国史の知識が、
まったく無知な書を鑑賞する際にも、作品の背景などを想像するのに、多少は役立っている気がしたし、
古の人々がしたためた書を通し、歴史のロマンさえ感じた。


この特別展は、会期終了まであと僅か。
駆け込みで行く人は、せめてチケットを事前に用意しておくべし。




◆◇◆ 顔真卿〜王義之を超えた名筆◆◇◆
会場:東京国立博物館 平成館

会期:2019年1月16日(水曜)〜2月24日(日曜)

9時半〜17時 (月曜休館)

撮影詩人〜孫郡の世界

大陸の女性フォトグラファー陳漫(チェン・マン)に関しては、当ブログでも何度も取り上げているが、
実はもう一人、男性で、大大大っ好きなフォトグラファーが居て、彼に関しても、書き残しておきたくなった。
まぁ以前からちょこちょこと記しているのだけれど、私にとっては物足りないものだったので、
芸術の秋だし、今回改めて。


まずは、こちら(↓)、当ブログにも幾度となく出しているお写真。

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孫儷(スン・リー)&超(ダン・チャオ)結婚5周年記念の家族写真。
普通の人が写真館で撮るいわゆる家族写真とは趣きが随分異なる。
懐かしい雰囲気を醸しながらも、モダンで独創的。なんて趣味が良いのでしょう。


このお写真を撮ったのが、(↓)こちら。

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孫郡(スン・ジュン)。


ごくごく簡単なプロフィール。

氏名   :孫郡 (拼音:Sūn Jùn)

生年月日:1978年
出身地   :浙江省紹興
学歴      :中國美術學院


子供の頃、近所に老画家や、古典文学好きなお兄さんお姉さんが居る環境で、
伝統文化に慣れ親しみながら、7歳で絵を学び始めた孫郡。
成長すると、中國美術學院に進学。
在学中、母親からプレゼントされた一眼レフカメラに夢中になり、毎週末、友達と撮影に出掛けたという。
卒業後は、上海の広告会社に就職し、グラフィックデザイナーになるも、その仕事に喜びを見い出せず、
2年後の2002年、辞職し、写真の世界へ。
それから3年後には、まだ若くして、中国トップクラスのフォトグラファーになっているのだから、
やはり非凡なのでしょうね。
孫郡は、後に成功の秘訣を尋ねられ、
「自分の好きな事をする。なぜなら、好きな事こそが、自分の潜在能力を発奮させるから」と答えているが、
いやぁー、そもそもその潜在能力の時点で、才能豊かな人と凡人では、大差が有りそう…。

★ 新文人畫攝影

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写真?それとも絵画…?!
どちらとも見分けが付かない不思議な雰囲気を醸す孫郡作品だけれど、れっきとした写真である。
簡単に言ってしまうと(安っぽい言い方になってしまうが…)、加工写真。
撮った写真の上に、工筆(中国伝統絵画の密画)の技法で、着色しているの。
孫郡が考案した方法で、“新文人畫攝影(新文人画撮影)”と呼ばれる。
物にもよるけれど、一枚仕上げるのにかかる時間は、平均20日ほど。
モダンで洗練された中に、中国の伝統や、懐古趣味を感じさせる作風が、特徴的。
まるで詩の如く雰囲気のある作品を創作していることから、孫郡は“攝影詩人”とも称される。

<茶經>、<雲間茶隱>、<百花錄>といった有名なシリーズ作品がいくつか有り。
上の画像は、<茶經>と<百花錄>から、それぞれ一作品ずつ。

被写体は必ずしも人物ではなく、中国伝統の山水画を思わせる物や、花鳥風月もよく撮られる。

★ 広告

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自身の作品を発表しながら、ファッション誌や広告の写真も数多く手掛ける孫郡。
これは、イタリアの高級家具メーカー、ポルトローナ・フラウが、上海に旗艦店をオープンした際に、
孫郡が手掛けた同社の4脚の椅子を使った作品。

ヨーロッパのブランドは、芸術家とのコラボに積極的で、
中国現代アートに対しての関心も、日本より高いと感じることがよくある。


動画も有ります。
孫郡の簡単なプロフィールや、撮影風景も見られる。


★ 明星(女子の部)

有名なスタアも大勢被写体になっております。
まずは、女性を数人ピックアップ。

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左から、周冬雨(チョウ・ドンユィ)、范冰冰(ファン・ビンビン)、楊穎(アンジェラベイビー)。


さらに…

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李冰冰(リー・ビンビン)、倪妮(ニー・ニー)、劉濤(リウ・タオ)。


世界的なスーパーモデルも勿論撮っている。

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中国人スーパーモデルの草分け杜鵑(ドゥ・ジュアン)と、
<フォーブス>誌の“世界で最も稼ぐモデル”リストに
初めて入ったアジア人モデルとしても知られる劉雯(リウ・ウェン)。
中国人スーパーモデルは大好き。
東洋的な顔立ちと、パーフェクトなボディのバランスが絶妙で、孫郡の芸術を表現できる人たち。

★ 明星(男子の部)

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続いて、男子の部。
トップは、吳彥祖(ダニエル・ウー)。


やはり、いかにも孫郡の世界観に合う男性明星は撮られており、
また、実際、彼らは作風に非常に馴染んでいる。

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左から、霍建華(ウォレス・フォ)、韓東君(エルビス・ハン/ハン・ドンジュン)、陳坤(チェン・クン)。
怪しい魅力を放っております。


勿論、この人も。

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私の御贔屓・張震(チェン・チェン)。
デカダン。撮影場所がヨーロッパであっても、孫郡ならではの品性は変わらず。

★ 映像世界

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映画やドラマのポスターも色々手掛けているので、
アートに無関心な日本人でも、中華圏の映像作品を好んで観る人なら、
知らず知らずの内に、孫郡の作品を目にしている可能性は高い。
上の画像は、孫儷主演ドラマ『ミーユエ 王朝を照らす月〜羋月傳』の物。
孫儷は、プライベートな記念写真もお願いするくらいだから、孫郡の作品が本当に好きなのでしょうね。


他、日本に上陸しているドラマだと、例えば…

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『孤高の花〜孤芳不自賞』や『擇天記 宿命の美少年〜擇天記』。
実は、『擇天記』では、な、な、なんと、人気女性シンガー何潔(ハー・ジェ)とのデュエットで、
<故意>という挿入歌まで歌っている。
日本だと、人気フォトグラファーがドラマのポスターを手掛けたついでに、挿入歌も歌っちゃった、
…なんて話は聞いたことが無い。見掛けによらずチャレンジャーなんですね。
ちなみに、下手ではない。


映画では…

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『楊貴妃 Lady Of The Dynasty』や、日本未上陸の『宮鎖沉香〜The Palace』など。
『楊貴妃』は肝心な映画自体がクズでも、ポスターだけならマスターピース。



こういうグラフィック作品の著作権とか使用権といった諸々の権利は、どこが有するのだろうか。
中国のドラマや映画が日本で公開される際、
現地で使われたポスター等のヴィジュアルデザインを、日本でそのまま使わせてもらうことは出来ないの?
映画/ドラマ購入にかかった額とはまた別に、使用料がかかるの…?
近年、中国の映画ポスターには、デザインの優れた素敵な物がとても多い。
一方、日本のポスターは、無残な程ダサい物が多く、
私は、映画自体のイメージまで悪くなると懸念しているので、そんな疑問がふと湧いた。
監督ら映画の制作者サイドだって、
自分の大切な作品が悪趣味なポスターで宣伝される事なんて望まないと思うのよねぇ…。

★ 京都

街や風景では、中国を撮った物が当然多いが、
孫郡は、日本の京都が好きで、実は京都でもかなり撮っている。

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京都は、ただ古い物が残っているというだけではなく、洗練された文化が受け継がれているから、
孫郡が好むのも、分かる気がする。




ここに挙げたのはごくごく一部で、他にも素敵な作品がまだまだいっぱい。
今のところ、日本で写真展が開催される華人フォトグラファーは夏永康(ウィン・シャ)くらい。
そろそろ他にも目を向けるべき時期でしょー!?
東京で孫郡作品を見たいので、写真展を是非企画して頂きたい。
キュレーターさん、よろしく。

香港ミニチュア展

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丸の内のKITTEで開催の<香港ミニチュア展>を見学。

3年前の2014年、池袋サンシャインシティで同展が開催された際は、
会期が短かったこともあり、行きそびれた。
今回の会期も同様に短いのだが、今度こそ見逃すまいと、丸の内までひとっ走り。

★ 香港ミニチュア展

<香港ミニチュア展>は、その名からも想像できるように、
懐かしい香港の街並みや風物詩を再現したミニチュア作品を展示している催しで、
香港特別行政区設立20周年記念イベントの一環で開催。

展示されているのは、香港のミニチュア作家17名が制作した48点のミニチュア作品。

私の思い違いでなければ、前述のように、同展がここ東京で開催されるのは、2014年池袋以来。
池袋では、14名の作家による39の作品が展示されたそう。
両展では重複する作品も多いが、今回は48点の内、日本初お披露目の作品14点を含むので、
前回の池袋を見た人でも、また新たな物に触れられるはず。




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今回の会場は、旧東京中央郵便局の局舎を一部利用し、
2013年、商業施設として生まれ変わったKITTEの一階にある“アトリウム”と呼ばれるホール。
誰でも自由に通り抜けできる場所で、入場無料、撮影OK。

撮影に関しては、控えめに“撮っても構いませんヨ”ではなく、
それどころか、撮った写真をインスタグラムに投稿しよう!というキャンペーンを実施。
専用ハッシュタグ“#香港ミニチュア展2017”、“#アガる香港”を付け、インスタに投稿された写真の中から
抽選でTシャツ、トートバッグ、マグネットといった香港返還20周年グッズが当たる。

応募する/しないは不明だが、会場には撮影する人がいっぱい。
皆さま、それぞれの作品の前に陣取り、夢中で撮影しているので、場所によっては暗黙の順番待ちが。
私は、仕事の前に立ち寄っていたので、あまり時間が無く、思う存分撮りまくることはできなかった。

あと、撮影に適しているとは言い難い環境なのが、ちょっと残念。
展示ケースのガラスに余計な物が写り込んでしまうのと、ライティングが今いち。
そもそもが展示専用のギャラリーではなく、あくまでもビルのエントランスホールであり、
作品保護のためには、ガラスケースの使用は止むを得ないのだけれど、
あぁ、これが無ければ、もっと綺麗に撮れるのに〜とタメ息。まぁ、仕方が有りませんよね。


以下、私が撮った写真を少しだけ。

★ 添記玩具

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<添記玩具>
作:蔡璧龍+何國添


1970年代に九龍城で営業していたおもちゃ屋さん。
店内には、約2百点ものおもちゃが!

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ロボコン、アトム、ウルトラマン等々、日本発のキャラクターもいっぱい。

★ 老金山貨店

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<老金山貨店>
作:李嘉蓮


“山貨”とは、竹などの木材、麻、素焼きなどで作った日用品、荒物。
1940年代の香港は、当時産業の主流だった農業・漁業用の荒物を売る店が多くあったが、
時代の流れで、伝統的な山貨店は淘汰され、今では生活用品や金物を売る店に変貌。

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小さな竹籠も一つ一つちゃんと編まれている。

★ 老金缸瓦陶瓷舗

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<老金缸瓦陶瓷舗>
作:李嘉蓮


Т錙ζ器の家庭用品、食器、調理器具などを売るお店。



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今でも、上海街辺りには、こういうキッチングッズのお店が軒を連ねていますよねぇ〜。

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陶器はちゃんと絵付けされているし…。ふぅ〜。
こういうブタの貯金箱(←くるんとした睫毛でお目々パッチリのブタ)、ある、ある!
重ねたお椀を痛めぬよう、間に紙を挟んでいるところまで再現。

★ 羅記皮鞋

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<羅記皮鞋>
作:陳翠薇


60年代の香港を舞台にした羅啟銳(アレックス・ロー)監督による映画
『歲月神偷〜Echoes of the Rainbow』(2010年)に登場する靴屋さんを再現。

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日本未公開作品で、私は観ていないのだが、
映画の中で、任達華(サイモン・ヤム)&吳君如(サンドラ・ン)扮する夫婦が営んでいるのが、
恐らくこの“羅記皮鞋”という靴屋さん。“鞋”の丸看板が、映画とミニチュアでまったく同じ。


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お人形さんが履けそうな小さな靴がウィンドウに何足も。
映画の方も観たい!(話題になった作品なので、日本にも入って来ると踏んでいたら、入って来ない…。)

★ 展豐老金行

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<展豐老金行>
作:陳翠薇


こういう金の装飾品を売るお店は、今でも香港の街角でよく目にする。

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そうそう、こういう赤いフェルト生地の上に、眩い金製品。
定番の金のバングルやイヤリングの他、
左側の壁に掛けられているような、子孫繁栄を願うブタをかたどった大ぶりのネックレスも、
実際、香港の貴金属店では普通に売られている。

★ 香港髮廊

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<香港髮廊>
作:黎熾明


昔懐かしの理髪店。男女両方に対応しているみたい。
入り口には、珠のれんと、“歡迎光臨”の玄関マット。

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陶器のムキ出しの洗面台、天井から下がる電髪用のお釜(?)、壁には明星のお写真…。
当時、香港人がこぞって髪形を真似たであろうこれら写真の明星たちが具体的に誰なのか知りたい。

★ 老三雜貨

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<老三雜貨>
作:李嘉蓮


“食”の香港、やはり食べ物関係のお店は外せない。
“雜貨”と言っても、日本人が想像する雑貨ではなく、乾物や調味料などを売るお店。

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見ているだけで、乾物特有の匂いが鼻をついたと錯覚を起こす。

★ 金記 香風味小吃

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<金記 香風味小吃>
作:李嘉蓮


香港式の小吃(軽食)を売るお店。
旺角(モンコック)辺りをリサーチして制作したそう。

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調理場もショウケースも全てステンレス製で、洒落っ気ナシの、こういう小さなお店も香港っぽい。
串刺しのお食事系から、香港風ベビーカステラ・雞蛋仔のような甘い物まで、お馴染みの小吃が店頭に並ぶ。

★ 香港冰室

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<香港冰室>
作:黎熾明+陳慧姬+陳詠琴


“冰室”は、香港伝統の喫茶店。

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テーブルの台とガラス板の間にはメニューが挟まれ(ハズキルーペを掛けても解読不能であろう極小文字!)、
その上に並ぶのは、ハムエッグやアイスレモンティー等、冰室定番のちょとジャンクな品々。
壁を覆う細かいタイルがまた、いかにも香港。
そして、この冰室で一番の驚きがテレビ。
これ、小さなテレビに白黒写真を貼っているのではない。なんと、ちゃんと動画が流れているの…!




ここに挙げたのは、展示作品のごく一部。
しかも、(ライティングやガラスケースを言い訳にさせていただくが…)写真が上手く撮れていなくて、
作品の良さが伝わらないのが、残念。
気の遠くなるような作業をコツコツと重ね、作り上げられたであろう作品たちは、どれも素晴らしく、
あまりの精巧さと再現度の高さに息を飲むばかりなのだけれど、
現時点で一番記憶に焼き付いている作品を3ツだけ挙げるなら、おもちゃ屋さん、理髪店、冰室かしら。

これを無料で見せてくれるなんて、お得なイベント。休日には、ミニチュア制作実演会もあり。
まだ開催中なので、お時間が許される方は、
この機会に是非現地で、精巧なミニチュアを直にご堪能下さいませ。
(私は別に香港特別行政区政府からの回し者でも、香港政府観光局の宣伝局員でもない。)

香港好きなら、なおのこと楽しめるはず。
丸の内の一角に出現した、郷愁漂う小さなオールド香港は、見ているだけで、気分が上がります。



◆◇◆ 香港ミニチュア展 Hong Kong in Miniature ◆◇◆
会場: KITTE marunouchi 1階アトリウム

会期: 2017年9月29日(金曜)〜10月9日(月曜・祝)

午前11:00〜午後9:00

無料
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2017年2月下旬、国立新美術館で始まった展覧会<草間彌生展〜わが永遠の魂>
寒い中、六本木まで足を運ぶのが面倒で、先送りになっていたけれど、
3月末、ようやく重い腰を上げ、鑑賞して参りました。

★ 草間彌生

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今さらですが、草間彌生(くさま・やよい)とは。

1929年(昭和4年)、長野県松本市生まれ、
御年88歳の現在も精力的に創作を続ける現代日本を代表する前衛芸術家。

種苗業を営む裕福な家に生まれ、幼い頃より絵を描き始める。
少女時代に統合失調症を発症し、度々襲われる幻覚や幻聴を絵に表したり、
それらから身を守る儀式として、水玉をモチーフに多用。

京都市立美術工芸学校(現・京都市立銅駝美術工芸高等学校)卒業後は、松本の実家へ戻り、絵画を制作。

1957年、渡米。
ニューヨークを拠点に、作品を制作、発表し続けるも、体調を崩し、1973年に帰国。
それからは東京を拠点に、絵画、立体作品、小説などを制作し続け、
現在に至っているのは、皆さま御存知の通り。



元々海外でも作品が紹介されていた草間彌生だが、
2012年、当時マーク・ジェイコブスがデザイナーを務めていたルイ・ヴィトンが、
草間彌生とのコラボ商品を発表したことで、世界中でよりメジャーになり、商業的価値も増したと言えよう。

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ほら、ジョージ・クルーニーだって、彌生ちゃん仕様。

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動物の擬態(?)、保護色(??)の如く、背景の水玉と同化するクルーニー様。
まさに草間彌生流“自己消滅”!



もっと近場のアジアでも、もちろん知られている。

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私が好きな中国の女性フォトグラファー、陳漫(チェン・マン)も、2013年に、草間彌生を撮っている。
微妙に色の違うウィグをいくつか持っているのかしら。この赤もキュート。
(陳漫に関しては、こちらを参照。)


台湾のイラストレーター、保羅先生(Mr.ポール)は、(↓)このようなイラストを。

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“拔罐の彌生”(笑)!
草間彌生お馴染みのモチーフ水玉を、カッピング療法(拔罐)に重ねる東洋的な発想に拍手。

★ 草間彌生展〜わが永遠の魂:概要

そんな草間彌生をフィーチャーし、国立新美術館でこの度開催の<草間彌生展〜わが永遠の魂>は、
日本国内で過去最大級の個展。

大規模個展ならではで、ここへ行けば“アーティスト草間彌生”をザックリ丸ごと知ることができる
草間彌生の集大成的展覧会。
古い物では、まだ少女時代に描いたスケッチに始まり、
故郷の松本時代、ニューヨーク時代、東京時代と、大きく3ツの時代に分け、草間彌生の足跡を追える仕組み。

写真などで見慣れた“いかにも草間彌生”な作品を、実際に見られる喜びもあるけれど、
今回の展覧会では、日本初公開作品も大きな目玉。
それは、草間彌生が2009年から取り組んでいる<わが永遠の魂>シリーズ。
約500点に上る膨大なコレクションの中から、今回は選りすぐりの132点を公開。

★ いざ、国立新美術館へ

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混んでいるとは小耳に挟んでいたものの、はっきりした様子は分からないので、取り敢えず早めに現地へ。
私が到着したのは、9時25分頃。
まだ、国立新美術館のメインゲートは閉まっており、敷地内へは入れない。
係員の指示に従い、同美術館で開催中の2ツの展覧会、草間彌生展、ミュシャ展に関係なく、
“チケットをすでに持ってる人”と“当日券を買わなければならない人”という2グループに分かれ、整列。
私は、すでにチケットを持っていたので、前者の列へ。

9時30分、ゲートがオープン。
“チケットをすでに持ってる人”グループで、建物前まで進み、ここで、草間彌生展とミュシャ展に分かれる。

私は勿論草間彌生展の方。
今度は、このグループだけで、係員に誘導され、会場となる企画展示室1Eの前へ。

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あとは、開館を待つだけ。
その間、係員や周囲の人に声掛けし、おトイレに行くこともできるし、
寒い日だったけれど、室内なので、待ち時間が大して苦にならなかった。
(しかも、開館時間がちょっとだけ繰り上げられた。私が、中へ入ったのは、確か9時52〜53分頃。)

★ 見学スタート

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入ってすぐ、ひとつめの展示室で出迎えてくれるのは、
比較的新しい2014年の作品で、<声明は限りもなく、宇宙に燃え上がって行く時>

草間彌生が富士山を描くとこうなります!下方に広がっているのは、河口湖畔らしい。
カンヴァスを3枚合わせ、横幅が約6メートルにもなる大作。
オレンジ色の富士山に、エネルギーを感じる。

★ 大展示室

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続く大展示室は、草間彌生が2009年から取り組んでいる連作、
<わが永遠の魂>を一挙132点展示している部屋。
高さ5メートル、奥行き50メートルの大ホールを埋め尽くす色の洪水は圧巻。


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実は全部が全部同じ大きさではないらしいが、近年は120号(194cm×194cm)が主流。
まず、正方形のカンヴァスに均一に色を塗り、その上にアクリル絵の具で描いていくらしい。
なんかプリミティヴアートとか、アフリカ辺りのフォークアートのような印象も受けた。
計算無く内から湧き出てくる物が表現されていると思わせる点で、まさに“primitive(原始的)”。



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会場の中央を飾るのは、<真夜中に咲く花>、<明日咲く花>、<明日咲く花>という3点の立体作品。
巨大なお花たちにも、やはり水玉や目といったお馴染みのモチーフが取り入れられている。
ポップで可愛いけれど、よくよく見ると毒々しい、“グロ可愛い”立体作品。


そうそう、ここは、会場内で唯一撮影が許されている展示室。
老いも若きもパチパチ撮りまくり。
カラフルなこの空間は、気分を上げてくれ、私も結構撮りました。

★ 作品色々

次の第2展示室からは、撮影不可。
ここからは、松本時代→ニューヨーク時代→東京時代と、順を追って作品を鑑賞できる。


気になる作品は数あれど、最初にハッとさせられたのは、
今回の展示品の中で最も古い1939年の作品、草間彌生10歳の時のスケッチ。

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<無題>となっているけれど、母親の肖像らしい。
画用紙の隅に“5年 草間弥生”と書かれている。小学校の授業で描かされた物なのだろうか。
まず驚かされるのは、10歳にして、このデッサン力。やや右寄りにした構図にもセンスあり。
そして、この時すでに、顔にも背景にも水玉模様。
普通の10歳が、母親の似顔絵を描く時、顔中を水疱瘡のような水玉で埋め尽くす?!
しかも、この頃すでに描き始めていた水玉を、草間彌生は90歳近くなった今でも描き続けているのだ。
そもそも80年近く前の小学生の絵が、残されているのも驚き。戦争もあったのに。
「うちの彌生ちゃんは絵が上手い」と、親が大切に保管していたのだろうか。


若い頃の作品には、我々が想像しがちな“草間彌生”とは異なる沈んだ色調の物も多い。
その淀んだ色の中に、ふつふつと内に籠ったマグマのような感情を見て取れる。
その後、アメリカ時代になると、もう現在の草間彌生の片鱗が見え隠れ。
現在に近付けば近付くほど、我々がよく目にする“これぞ草間彌生!”な作品が増えてくる。


例えば、こちら、1995年の作品、<よみがえる魂>

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水玉の変化球ヴァージョンをモノトーンで表現。
実物は、印刷物で見るより、ずっと素敵な作品。


南瓜も、草間彌生で絶対に外せないモチーフですよね…?

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1999年のお馴染みの作品<かぼちゃ>


南瓜モチーフのもっと新しい作品で、気に入ったのは、(↓)こちら。

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2016年の連作<南瓜>
レリーフのような半立体作品で、南瓜も背景もタイルでびっちり詰め尽くされている。
メタリックに輝く色彩が、お馴染みの南瓜を新鮮に見せてくれる。



他、忘れ難いのが、(↓)こちらのインスタレーション<生命の輝きに満ちて>

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無数のLEDが吊り下げられた、四方が鏡で構成された暗い部屋。
刻々と色の変わるLEDと、鏡の相乗効果で、ただの四角い部屋が幻想的な世界に。
草間彌生が見る幻覚の中に、自分が迷い込んだ錯覚に陥る。



一通り鑑賞し終わると、また最初の大展示室に戻る。この順路はとても良いと思った。
10歳の少女時代から芸術家・草間彌生のお仕事を徐々に追い、
最後の最後でもう一度あの大作を鑑賞し直すことで、
それらが如何に長年の積み重ねで生まれてきた物で、まさに“集大成”であるかが分かり、
やけに腑に落ちるのだ。

★ ミュージアムショップ

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今度こそ大展示室をあとにし、ミュージアムショップへ。
決して広いとは言えない空間は、人、人、人で埋め尽くされていた。
ただ、30分、40分待ち当たり前と聞いていたレジでは、まだ午前中だと、特別待たされることは無く、スムーズ。



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人を掻き分け、ひとつずつ商品を見るのが面倒になり、ポストカード、トランプ、お菓子のみ購入。
買ったポストカードの内の一枚は、
<わが永遠の魂>シリーズから、特に気に入った黒を背景にした<人類の愛のすべて>
トランプは、背面が草間彌生の肖像写真で統一され、文字面は一枚一枚全て絵柄が異なる。

★ オブリタレーションルーム

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買い物を済ませ、美術館の公共スペースに出ても、まだ一つ<オブリタレーションルーム>が残っている。
これも体験型のインスタレーションで、立派な作品。
入り口で配られるシールを、室内で自由に貼るというもの。
水玉シールで真っ白な空間を“oblitaration(抹消)!”という試み。
小さな子供たちも楽しそうにシールをペタペタ貼っていた。

★ 屋外展示

最後は屋外へ。

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2007年の作品<南瓜>
六本木の片隅にどかんと座った虫食い南瓜の愛くるしいこと!
気分を楽しくしてくれる愛嬌のある姿に、パブリックアートの意味を感じる。
空が曇っていたのだけが残念。真っ青な空の下だったら、黄色い南瓜がもっと映えただろうに。


屋外の展示は、もう一つ。

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美術館敷地内の木々も、彌生ちゃん仕様におめかしした<木に登った水玉2017>という作品。
水玉の布を巻いただけで、木がなんでこんなに可愛くなるのでしょう。

私が行った日は底冷えする3月末であったが、もうちょっとすると、ここには桜がいっぱい咲くので、
とても華やいだ期間限定の素晴らしい“作品”になるはず。

★ オマケ

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美術鑑賞後、六本木でのランチのアテが外れたので、
久し振りに新宿タカノフルーツパーラーで、おやつ。
今の季節のお薦めは、どうやら苺みたいだけれど、私は敢えて“せとかパフェ”。
爽やかな柑橘系フルーツ、大好き。せとかの次は、清見オレンジになるようだ。






芸術家にも“努力型”と“天才型”があるなら、
草間彌生は間違いなく後者だと、改めて思い知らされた個展であった。
草間彌生の作品には、何か“直感的”な閃きや、計算されていない物がもつ不思議なパワーを感じる。
草間彌生自身が予測不能で、アヴァンギャルド過ぎる唯一無二の存在だしね。
あんな変な人(←褒めております)と、同時代に生きられるなんて、ちょっと嬉しい。


◆◇◆ 草間彌生展〜わが永遠の魂 YAYOI KUSAMA:My Eternal Soul ◆◇◆
会場: 国立新美術館 企画展示室1E

会期: 2017年2月22日(水曜)〜5月22日(月曜)

10:00〜18:00 (金曜〜20:00 / 火曜休館)
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現在紀尾井町で開催中の<空へ、海へ、彼方へ〜旅するルイ・ヴィトン展>へ。

ルイ・ヴィトンでちょっとお買い物した時に、この展覧会の事をお店の人から聞いたのだが、
どうせブランドの販売促進的なものだろうと想像し、その時はあまり行く気が起きなかった。
その後、実際にこの展覧会が始まり、早々に行った母から「なかなか面白かった」と詳細を聞かされ、
俄然興味が湧いた。

事前に時間予約した方が入場がスムーズになるとオンライン予約を推奨しているので、
私もそのつもりでいたのだけれど、結局予約せず、他の用のついでに急遽立ち寄ってしまった。
でも、並んで待たされるようなことはなく、充分スムーズに入場できた。

★ 概要

2015年12月から2016年2月にかけ、パリのグラン・パ・レを会場に行われた展覧会が東京に。

展示品は創業者一族のアーカイブからが中心で、10章のテーマで構成され、
1854年から現在までのルイ・ヴィトン社の軌跡を辿れるようになっている。


それら10章とは…
1906年のトランク〜革新的なデザイン
木材〜自由へのパスポート:ルイ・ヴィトンの原点
クラシックなトランク〜洗練されたキャンバス、シェイプ、ロック
旅の創造
余暇の時間〜ルイ・ヴィトンの書の美学
絵画用トランク〜アートとの対話
一風変わった興味深いトランク〜ガストン・ルイ・ヴィトンによるアンティーク・コレクション
ファッションとビューティー
ミュージックルーム〜夢の形にするスペシャルオーダー
インスピレーションの国、日本


この内、第10章の“インスピレーションの国、日本”は、
今回の日本での展覧会のために特別に加えられたもの。


キュレーターを務めたのは、ガリエラ宮パリ市立モード美術館の館長、オリヴィエ・サイヤールで、
空間デザインは、オペラやミュージカルの演出で知られるカナダ出身のロバート・カーセンが担当。

オリヴィエ・サイヤールが監修している事も関係しているのか、
本展覧会でルイ・ヴィトンの品と合わせて展示されている服や小物も、時代を偲ばせる貴重な品々。
主役のルイ・ヴィトン製に限らず、脇役たちからもホンモノのモード史に触れられるというわけ。


そして、この展覧会、なんと誰でも入場無料で楽しめます。撮影も自由。

★ 会場

有楽町線・麹町駅、銀座線/丸の内線・赤坂見附駅、半蔵門線/南北線・永田町駅、JR中央線・四谷駅と、
近辺に駅が多いので、案外便利。
赤坂見附駅10番出口と松屋銀座前から無料のシャトルバスも出ているけれど、私は徒歩で。
この辺りは、静かな並木道なので、お天気の良い日は、ちょっとしたお散歩が気持ちよい。



駅から歩くこと10分もしない内に、仮設の会場が目に飛び込んでくる。

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この場所に仮設の会場を作ったのは、たまたまここに空き地が有ったからだと思っていたら、
実は紀尾井町は、1978年に日本初のルイ・ヴィトン ストアができた所縁の場所なのだと。
こんな都心の一等地に、随分都合よく空き地が有ったものだ。
以前、ここに何が建っていましたっけ?思い出せない…。



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会場の前に停車している黄色い車が目を引く。
その昔、フランスのアニエール=シュル=セールで制作されたルイ・ヴィトンのトランクを
注文したお客さんの元に届けるのに使われていたシトロエンのルイ・ヴィトン配送車をイメージした車。
トップに沢山積まれているラゲージは、雨の日はどうなっているのだろう。

★ エントランス

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入り口をくぐり、まず迎えてくれるのは、これぞルイ・ヴィトン!と思わせてくれるクラシックなトランクと
創業者ルイ・ヴィトン(1821-1892)若かりし日の肖像画。
トランクは1906年に作られた物。肖像画は古い物ではない。
上海出身、フランス在住の著名な現代画家・嚴培明(イェン・ペイミン)の手によるもの。
日本では、“嚴 Yan”を日本語のローマ字風に読み、“ヤン・ペイミン”と誤表記されることが多い。)


以下、鑑賞の順路を無視し、印象的な展示品を簡単にピックアップ。

★ トランク

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なめし皮、キャンバス地、そして今でも人気のダミエ、モノグラムと様々な素材で覆われたトランクは、
シャツ、スーツ、帽子、靴と中に入れる物によって形や大きさも多種多様。
なめし皮製はかなり古い物なのかと思いきや、1903年製で、
ダミエの女性用帽子入れが1895年製と、より古い。
ダミエは、コピー防止のために、1888年に考案されたとのこと。
当時のデザインが、120年以上経った現在、未だ色褪せず、人々を魅了しているとはねぇ。



展示品は必ずしも古い物ばかりではない。例えば、(↓)こんな新しいトランクも展示。

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広告写真でしか見たことが無かった物を、今回初めて間近で見た。
2014年、アメリカのフォトグラファー、シンディ・シャーマンとのコラボで生まれたデスク・トランク。
落ち着いた茶系の外観と、中のカラフルな引き出しのコントラストが目を引く。

★ 変わりトランク

トランクはなにも洋服や靴を収納する物ばかりではない。


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こちら、ピクニックセットとティーセット。
野外でのランチさえ優雅。
1926年製のティーセットは、バロダのマハラジャ、サヤジラオ・ガーイクワール3世所有の物とのこと。




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続いて“移動書斎”。書籍は勿論のこと、タイプライターまで収納。
このタイプライターを収納できるライブラリー・トランクは、
創業者の孫で、執筆や読書を愛したガストン・ルイヴィトン(1883-1970)が自身のためにデザインした物。
別荘で過ごす時などに重宝したのでしょうか。




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男性向けの物も色々。左は、なんとも贅沢な工具入れ。
右は、1931年製、男性用化粧道具ケース。表面がアザラシの皮で、内側はパイソン。




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画像左、キラキラ輝く3ツの内、奥の一番大きなトランクは、銅製。
ルイ・ヴィトンのトランクは、ただでさえ重いのに、銅製って、どうなのだろう…?!丈夫そうではある。
画像右は、中に折り畳みベッド(…!)が収納されているトランク。

★ 旅のスタイル

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私も旅行用のラゲージは全てルイ・ヴィトンで揃え、それ以外では買わないと長年決めているが、
クラッシックなトランクは、どんなに素敵でも、カサ張り過ぎるし、重過ぎて、さすがに今の時代には不便。
時代に合わせた進化は必要不可欠。(…でも、私がもし19世紀末生まれだったら、
ルイ・ヴィトンのあのクラシックなトランクを、2個も3個も絶対に買っていたハズ。)
この展覧会では、人々の移動手段が、船、車、列車、飛行機と変わる中で、
ルイ・ヴィトンのバッグも、その旅のスタイルや需要に応え、進化していく様が分かる。




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例えば、左の画像のスティーマー・バッグは、豪華客船での旅が流行した時代に生まれた物。
船旅の時、折りたたんで収納でき、着用済みの衣類を入れられる利便性が受けたという。
つまりは、高価なランドリーバッグ。

右の画像の黄色い物は1924年製。
ちょうどシトロエンが自社のハーフトラックによる探検旅行を実施していた頃。
これも、サハラ砂漠・アフリカ奥地縦断行“黒い巡洋艦隊”のためにカスタムメイドされた物でなの、
車の内部の形に合わせ、すっぽり収まるよう、一部が欠けた変わった形になっている。

★ アートとルイ・ヴィトン

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ルイ・ヴィトンとアートの融合。
左は、イギリスの現代芸術家ダミアン・ハーストとの2009年のコラボ。
国際赤十字150周年記念プロジェクトのために、ダミアン・ハーストがデザインしたメディカル・キャビネット。
(撮影ブレブレに失敗してしまったため、広告写真を借用。)

右は、村上隆がモノグラムをモチーフに描いた2003年の<EYE LOVE SUPERFLAT>と、
それをそのままキャンバスにプリントしたモノグラム・マルチカラーのスピーディー。

日本からは他にも、草間彌生や川久保玲とコラボしたバッグが展示されている。

★ 映画とルイ・ヴィトン

ルイ・ヴィトンのラゲージは、映画の中でもよく見掛けるし、愛用する女優さんも多い。



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映画だと、1900〜40年代を舞台にした作品で、
当時の上流階級の人々を表現する小道具に使われるケースが特に記憶に残るが、
現代モノで、ルイ・ヴィトンをお洒落に印象的に使っている作品と言えば、
ウェス・アンダーソン監督作品『ダージリン急行』(2007年)が忘れ難い。
今回、その映画のために制作されたラゲージの一部が展示されている。




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女優さんの所有物では、上から順に、キャサリーン・ヘップバーンのワードローブ・トランク、
グレタ・ガルボのシューズ・トランク(中の靴は全てフェラガモで、同じくグレタ・ガルボのコレクション)、
そしてエリザベス・テイラーのスーツケース、バニティケース、バッグ。

★ 日本

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今回、日本のために新たに設けたという日本をテーマにした展示が、殊の外面白い。
日本の家紋からインスピレーションを得てモノグラムが生まれたと言い伝えられているように、
一族がコレクションしていた日本の品々も展示。
画像中央に置かれているのは、黒漆塗りに平蒔絵を施した江戸時代の木箱。
形も、ルイ・ヴィトンのトランクに通じるものがあるかも。




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その昔、香港でルイ・ヴィトンの麻雀牌ケースを見て、お国柄を感じたが、
日本にも、日本ならではオーダーをする人がいるのですね〜。
一つは、ダミエの茶道具入れ。野点の時などに使うポータブル茶道具セットなのだろうか。
茶道に必要な道具は、恐らく炉以外全て、それぞれぴったりサイズで収納されている。
林博樹氏という方の所有らしい。どなたでしょう。茶人というより、個人の趣味でお茶をたしなむ男性だろうか。

もう一つは、鏡台トランク。
<歌舞伎役者のための鏡台トランク>と題され、所有者の名前は伏せられているが、市川海老蔵の物で、
ちゃんとエビ様の“寿海老(ことぶきえび)”の紋も入っている。
エビ様も自身のブログで、「今ルイヴィトンさんで、私の鏡台が展示されているそうです。
以前ルイヴィトンさんが作ってくださり、プレゼントしてもらいました!」と書いている。
えっ、プレゼントなの…?タダ…???




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もっと歴史的なお品だったら、こちら。
モノグラムのビステンとスティーマーバッグは白洲次郎(1902-1985)の所有物。
白洲次郎の旅行鞄がルイ・ヴィトンだったことは、あまりにも有名だが、
意外なのは、もう一つ、レイエ・キャンバスのトランクの方。
所有者は、あの板垣退助(1837-1919)。
“自由民権運動の庶民派”のイメージが強い板垣退助がルイ・ヴィトン…???
昨今、政治資金問題が話題なだけに、「板垣退助は生まれた時代が良かった」と思いましたわ。
もし現代の政治家で、こんな高級トランクを持っている事がバレたら、世間から即吊るし上げ。
昔と現代だったら、私は基本的には現代の方が幸せな時代だと思っているけれど、
ある部分では、昔には有った夢や自由が、現代失われてしまっていると、
こういう品々を見ながら感じるのであった。
(別に某知事を擁護しているのではない。あれは随分セセコマしい男とむしろ軽蔑。)


この日本のコーナーは、主役の展示品が、日本人にとって興味深い品であるのは勿論のこと、
それら主役を見せるための仕掛けにも抜かりが無く…

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畳縁がモノグラム…!一体どこの畳屋さんに発注したのでしょう…?これ、欲しがる人、結構居そう。

★ その他

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ルイ・ヴィトンのラゲージのみならず、それらが生まれた背景に触れられる様々な資料も展示。
画像は、制作に必要な木工用具、1872年のお店の売り上げ台帳、
そして下段は、顧客記録の中から、クリスチャン・ディオールとジヴァンシーのスペシャルオーダーの詳細。



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最後は、実演コーナー。
会場に備え付けられたモニターには、職人の手元を大きく映し出している。

あと、出入り口附近には、カフェとブックストアを併設。






「なかなか面白かった」と聞いてはいても、所詮仮設会場での実施だし、
実際、現地で目にしたその会場が、“やっぱり仮設”って感じのシンプルでこじんまりした外観だったため、
過度な期待を抱かず入場。
ところが、内部は、外観からは想像できなかった広さで、空間演出も仮設とは侮れない立派さ。
肝心な展示物は充実しており、見せ方も上手い。
ルイ・ヴィトンの歴史を辿ることで、モード史や人々が歩んできた歴史にまで触れられる。
お金を払ってでも観に行きたいこのレベルの展覧会が無料とは、太っ腹!

「どうせブランドの販売促進的なものだどうと想像し、興味が湧かなかった」と前述したが、
これ程のものをタダで見せるのは、やはりブランドのプロモーショであり、
その裏には、“消費者の目を育てる”という目的があっての事であろう。
ファストファッションが市場を席巻しているのは、なにも日本に限ったことではなく、全世界的な傾向。
そのようなファストファッションとハイブランドの品には明らかな違いが有るが、
一般消費者がその違いを理解していない(もしくは、理解していても興味を示さない)のが現実。
自社の、ひいてはヨーロッパのこのような文化を存続させるには、長い時間をかけてでも、
“良い物は良い”、“そういう物をいつか自分も持ちたい”と消費者に思わせるような教育が必要と感じ、
わざわざこのような立派な展覧会を無料で公開しているのだと想像する。

実際、この展覧会を観ると、ルイ・ヴィトン製品の素晴らしさを、イヤでも感じる。
日本だと、ヨーロッパの一流品を身に着けている人を、“ブランド好き”などと言って蔑む傾向があるが、
それは、特にバブル期に、それまでブランド品とは無縁だった庶民が、
質の良し悪しも分からぬまま飛びついた過去があったり、
“シャネルと言えば泉ピン子とハイヒールモモコ”、“ルイヴィトンと言えばプロ野球選手”といった
悪趣味な成金のイメージが染み付いているのも一因なのでは。
でもね、ホンモノに触れれば、その内の何人かは、“良い物は良い”と感じると思う。
せっかくの無料公開、興味のある方は紀尾井町へ。





◆◇◆ 空へ、海へ、彼方へ〜旅するルイ・ヴィトン展 Volez, Voguez, Voyagez – Louis Vuitton ◆◇◆
紀尾井町特設会場:東京都 千代田区 麹町 5丁目

会期:2016年4月23日(土曜)〜2016年6月19日(日曜)

 10:00〜20:00 (基本的に月曜休館)

 入場無料

 0120-00-1854(ルイ・ヴィトン クライアントサービス)

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