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パンムンジョム (板門店) を訪ねた。これより先,プサン (釜山) 滞在中に
に,ちょっとしたことから,『朝鮮戦争』 の経緯について,相当詳しく勉強する
機会があった。
プサンで,『一日中乗り降り自由』 のシティツアーバスに乗り,観光地を見て
回った。主要な観光スポットを周るバスが,一時間ごとに運行されているので,
大変便利である。
実は,ソウルで,KBS日本語班の幸田儔朗さんから,『あのバスは良いよ』
と,そっと切符の買い方などについて,アドバイスをいただいていたのだ。
幸田さんは,KBS日本語番組の 『玄界灘に立つ虹』 で木曜日のキャスター
を務め,『シャチのうろきょろ観察記』 を担当する “旅の達人” でもある。
観光途中で,予定していたバス停を間違って,別の所で降りてしまった。
ところが,偶然にも,そこは 『在韓国連記念公園』 という,朝鮮戦争で死亡
した国連軍兵士を追悼する墓地である。日本では 『朝鮮戦争』 と呼ばれる
ことが多いが,韓国では 『韓国戦争』 と呼ばれている。
2人の国連軍兵士が立つ正門を入ると,『追慕館』 があり,そこで朝鮮戦争
の実態をまとめたドキュメンタリーフィルムを視ることができる。視るのは
われわれ夫婦だけだったが,日本人であることを告げると,係のスタッフは
音声を日本語に切り替えてくれた。
このドキュメンタリーでは,あの戦争に,韓国,北朝鮮,ロシア,中国,国連
がどのような形で関わったのか,詳細に解説されている。
当ブログ子が小学生だった頃,生まれ育った寒村を 『38度線』 が通って
いたことから,大人たちは,よく 『朝鮮戦争』 と 『38度線』 を口にしており,
子供ながらに,この2つの言葉が頭の中に焼き付いていた。
その後,歴史の教科書に 『朝鮮特需』 などという言葉が出てきたのも記憶
しているが,恥ずかしながら,朝鮮戦争の実像を理解する機会がなく,今日
に至っていた。
このドキュメンタリーフィルムを視ていたおかげで,数日後にプサンからソウル
に戻って,パンムンジョムに向かうバスのガイドさんの説明は,一つ一つ良く
理解することができた。
朝10時過ぎ,ソウルのロッテホテルにある 『大韓旅行社』 のオフィスに集合
して,JTBツアーの参加者と一緒に観光バスに乗り込む。
統一公園,自由の橋などを経由して,統一大橋検問所に到着。バスの中に
乗り込んできた国連軍兵士が,一人ひとりのパスポートを点検した後,会議室
に移されて,パワーポイントを使って,朝鮮戦争の経緯と現在の状況について
説明を受け,最後に,参加者は 『見学者宣言書』 に署名する。
『宣言書』 には,見学中の様々な注意事項の他,『事変,事件を予期すること
ができないので,国連軍,米国,韓国は訪問者の安全を保障することはでき
ない』 という一項も記載されており,これに同意することになる。
なお,この宣言書は,帰りのバスの中で,返してくれる。
説明が終わると,国連軍管轄の専用バスに乗り換えて,軍事分界線上にある
『会談所』 の建物に向かう。運転手は,もちろん国連軍兵士。もう一人の兵士
が運転手の横で仁王立ちになり,参加者が禁止されている行動をとらないか
どうか,見張っている。バスの中には,緊張感が張り詰める。
参加者は2列に並んで,国連軍兵士の先導で,いよいよ 『会談所』 に到着。
周辺には,数人の兵士が立ち,物音一つしない,この空間には,緊迫感の
ある独特の空気が流れる。
突然,警備の兵士から,大きな声が飛んだ。
参加者の一人が,禁止されているアングルで写真を撮ってしまったようだ。
ただちに,兵士が駆け寄り,デジタルカメラを操作させて,問題の個所を
削除させた。参加者も,ガイドさんも,一瞬の出来事に,ビックリした。
テレビのニュースなどで目にする,あの軍事停戦委員会の会場に入る。
建物の中では,南北の関係者が会談するテーブルや警備にあたる兵士の姿
などを撮影することができる。兵士とのツーショット撮影も可能だが,話し掛け
てはならない。
『会議所』 の向こうには,北朝鮮の白亜の 『板門閣』 が見え,建物の前では
北朝鮮の兵士が直立不動だ。この建物は北朝鮮の軍人の事務室として使用
され,屋上は北朝鮮側の訪問客の展望台になっているという。
その後,『帰らざる橋』 などを車窓から見学,また,遥か向こうには北朝鮮の
『宣伝村』 を望むことができる。経済力を誇示するために建てたもので,鉄筋
コンクリート造りのアパート群に見えるが,人は住んでいないという。
『休戦状態』 にあるパンムンジョムの現実を,改めて認識した。
見学の翌日には,軍事分界線区域で北側からの発砲事件が発生したという
ニュースを聴き,改めて厳しい現実を知るとともに,これが前日に発生して
いたら大騒ぎになったことだろうと,内心ホッとした。
見学から帰った夜,大きな疲れを覚えながらも,日本から北朝鮮に向けて放送
されている 『しおかぜ』 と 『ふるさとの風』 を聴いた。前者の 9950kHz,後者
の 6135kHz が良好に受信できる。38度線の向こうで,多くの人々が,この
放送を聴いていることだろう。どのような想いで,聴いているのであろうか。
自らの意に反して,北朝鮮に連れて行かれた人々が,無事に日本や韓国など
に戻ることができることを祈り,北緯38度の軍事分界線が消滅して,この地に
生きる人々に,自由が回復する日が来ることを願う。
なお,右側の写真は,ソウルの 『63ビル』 の地下街にある書店で購入した,
韓国全土地図のケースカバーである。中を開くと,A1版の大型地図となる。
( 『旅,そしてラジオ』 の過去記事一覧 )
http://blogs.yahoo.co.jp/swl_information/folder/1028872.html?m=l
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