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話は前後するが,成田空港でちょっとしたトラブルがあった。
われわれは最後尾の 『2人席』 を予約しておいたので,搭乗が始まると
最初に乗り込み着席した。
ところが,この座席はダブルブッキングされた模様で,われわれに続い
て乗り込んできた中年の夫婦が,女性乗務員に苦情を申し出ている。
一昔前ならば,最後尾の『2人席』は,早めに空港のカウンターに行って
希望を申し出れば,ほとんどの場合は願いは叶ったものだった。
ところが,インターネット時代に入ると,自宅にいてチェックインが出来る
ようになり,早くからこの席を確保する人が多くなり,空港に出向いて
からでは 『2人席』 が取れない状況になってきた。
加えて,今回利用した航空会社のように,値下げ競争の激化を反映して,
ディスカウントチケットの購入者が 『2人席』 を希望する場合には,若干の
別料金を支払うことを求めるようになった。
われわれも,別料金を支払って,この席を確保したのだった。
ダブルブッキングの苦情に困った乗務員が,われわれに 『申し訳ないが,
席を移動してもらえないだろうか』 と頼んできたので,彼女の気持ちを想い,
これに応じることにして,2つ前の 『2人席』 に移ることにした。前後が空席
だったので,一番後ろの席よりも,却ってゆったりできるだろうと思った。
しかし,これが裏目に出てしまった。
飛行機が離陸してしまえば,たとえ有料の席であっても,空席があれば,
他の席の乗客が自由にそこに移動してきて良いのだと言う。前後の席に
移ってきた行儀の悪い乗客が,足を背もたれに投げ出してドタバタする
ので,われわれは安眠できない。
先ほど頼み込んできた乗務員が見当たらなかったので,他の乗務員
に事情を話して,われわれは別の席に移りたいと頼んだ。
移動した先は3人席だったが,非常口の席だったので,足を伸ばす
ことができた。しかし,そこはトイレに近くて,乗客が出入りするので,
仲々落ち着くことができない。
隣席にはイギリスに帰国すると言う宣教師が座っており,日本の大学
での宣教活動の様子を話してくれたが,早口のキングスイングリッシュ
は,半分も理解できない。
64歳の誕生祝のために帰国するということで,私と同世代。この世代
を,イギリスでも 『ベビーブーマー世代』 と呼ぶそうで,『競争,競争の
連続だった』 と嘆いていた。
アムステルダムに近づいてきた頃,成田で席の移動を頼み込んだ
乗務員が,他の乗務員から事情を聴き及んだらしく,お詫びにきた。
余りに恐縮して,お詫びを繰り返す彼女の姿を見て,厚かましいとは
思ったが,あるお願いを申し出た。
『実は,日本に小さい孫が4人いるので,カードとか,お絵かきとか,
何かお土産をいただけませんか』 と言うと,『ええ,直ぐ用意します』
と快諾してくれた。
4人分を別々に,航空会社のロゴマーク入りの小さな布袋には,
幼児向けのお遊びグッズが一杯詰まっていた。
これで,われわれも満足。彼女の心の負担も軽くなったことだろう。
メデタシ,メデタシ,である。
そして,何と言う奇遇か。
3週間後,帰国便の機内で,この女性乗務員とバッタリ出会った。
担当する座席の区分が違ったので,飛行中は会うことがなかったが,
成田空港で飛行機を降りようとして出口に向かう途中,バッタリ顔を
合わせ,お互い 『あっ!』 という表情になった。
ターンテーブルでスーツケースの到着を待っていると,彼女は勤務を
終えて乗務員専用出口から降りてきた。
改めて,孫たちへのプレゼントの御礼を述べ,楽しいスペイン旅行
だったことを話した。彼女の勤務シフトとわれわれの予定が,偶然に
重なったのだと思うが,一つの旅の想い出となった。
( 『スペイン旅行記』 タイトル一覧 )
http://blogs.yahoo.co.jp/swl_information/folder/1045214.html?m=l
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