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ストックホルムに到着した翌日,市庁舎を見学したとき,ひとり旅の男性と出会った
が,彼が発した一言が,ずうっと気になっていた。
彼は,ノルウェーからスウェーデンに移動するため,オスロ空港で航空券を提示した
ところ,ネットで購入した航空券の券面に記載された情報が,名前は英語表記だった
ものの,他の情報が日本語だったため,一旦はチェックインを拒否されたが,事情を
粘り強く説明して,何とか搭乗できたと語っていた。
われわれ夫婦がストックホルムからオスロに移動する際の航空券も,彼の航空券と
同様に名前以外は日本語表記となっていて,トラブルが起きないか気になった。
スカンジナビア航空のストックホルムの市内オフィスを探したが,どこにあるのかが
分らない。
郊外へのピクニック気分で,『72時間切符』 を使えばタダなので,各駅停車の電車と
バスを乗り継いで空港に行き,スカンジナビア航空のカウンターで事前チェックインを
してもらおうと思い付いた。
ストックホルム中央駅を発車すると,間もなく,緑の牧草地帯と白樺林が交互に見え
てくる。北欧らしい風景を眺めながら,40分ほど電車に乗ると,小さな終着駅である。
スーツケースをひいた大勢の客が降り,空港行きのバス乗り場に急ぐ。
われわれも,彼らの後を追った。
20分ほどバスに乗ると,空港に到着する。
スカンジナビア航空のカウンターの男性スタッフは大変親切で,日本語表記の航空券
にも関らず,事前チェックインを済ませてくれた。これで安心である。
再びバスに乗って,鉄道の駅に戻ると,お腹が空いてきた。
駅事務室と背中合わせで,ケパブの店があったので,ここでお昼を食べることにした。
4人掛けのテーブルが3卓あるだけの,こじんまりとした店で,陽気なおやじさんが歓迎
の言葉を掛けてくれた。メニューを手にして,いろいろと説明してくれるのだが,言葉も
解らなければ,文字も解らず,メニューの写真を指して,一品とペプシコーラを頼んだ。
後ろの席では,きれいな民族衣装の,うら若い女性が2人で,食事をしながら,談笑
していた。店のおやじさんが,知ってるだけの日本語を使って,われわれに話しかけて
来るのを見ていた彼女たちは,『日本から来たのか?』 と尋ねてきたので,『東京から
来たんだよ。あなたたちはどこから来たの?』 と訊くと,『シリアから来ました』 という。
一瞬,『えっ! 本当に,あの戦乱のシリアから来たの?』 とビックリしたが,言葉には
しなかった。連日テレビなどで報じられるシリア情勢から推察すれば,きれいに着飾った
若い女性が2人で北欧の国にいることが,にわかには信じられなかった。
しかし,そのようなことを話題にして,難しい政治問題の議論に発展してしまうと,私の
"This is a pen." 程度の英語では遣り取りができなくなる虞があったので,別のことを
尋ねた。
ストックホルムに住んでいるのか,観光客なのかを尋ねると,観光旅行に来ているのだ
という。お互い,ニコニコしながら,"Have the nice trip." とか言って,別れた。
( 『北欧旅行記』 一覧 )
https://blogs.yahoo.co.jp/swl_information/folder/1135795.html?m=l
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