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今年のノーベル文学賞に日系英国人のカズオ・イシグロ氏が選出されたのを機にデビュー長篇『遠い山なみの光』(ハヤカワepi文庫)を手に取りました
終戦まもない長崎県を主な舞台に昭和初期の日本の地方都市の風景が情緒豊かに見事に描かれていましたね
哀愁を漂わせるその語り口は日本の作家が到底まねができない独特の手腕が発揮されていました
すなわち登場人物のセリフやしぐさ挙動がとても丁寧緻密に描かれているのです
読みながらまるで懐かしい映画を鑑賞しているような錯覚さえ都度起こりました
本書にはさまざまなエピソードが一見あまり関連性がなく綴られています
しかしそのストーリー構成には不思議と違和感なくとても自然なつながりを感じながら読み進めることができました
そして再読時には一度目で気づかなかった何か重要な新たな発見が見つかるような気がします
たとえば万里子が小さいころに会った女性とのミステリアスな関係性について何か違った受け止め方ができるかもしれません
日本の昔なつかしい情景を再現するアシストをした翻訳の小野寺先生の功績も大きかったですね
イシグロ作品は未読のものが数冊残っていますが映画化など何かをきっかけにいずれ手に取ってみたいですね
★★★★
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