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ダイヤルMを廻せ!

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『ダイヤルMを廻せ!』(論創社)は今年6月に刊行された倒叙ミステリの傑作です
舞台劇用の戯曲だったんですね ちなみにアルフレッド・ヒッチコック監督による同名映画化が特に有名ですが特段の映画通ではない若い世代の人々には初耳の作品なのかもしれません 本書は一見かなりシンプルで古風なミステリに見えますが実はたいへん周到な布石(部屋の鍵や密通の手紙など)が効果的に張り巡らされていています
加えて無駄な描写は無用な登場人物は皆無に近くほぼ完璧な出来だといえるでしょう つまり本書は数度の再読で真価が確認できるたぐいの稀有の不朽の名作に列せられるでしょう ちなみに書名の『ダイヤルMを廻せ』のMはマーダー(殺人)の意味で犯人は殺し屋に電話を使って殺人のタイミングを告げています 【以下ネタバレ注意】ところでその電話のベルが鳴ったあとでマーゴは殺し屋の襲撃に対してハサミを使って応戦するわけですがどうして都合よくハサミが手近にあったのでしょう? よくよく読み返すとこのハサミはその夜一人きりになったマーゴがスクラップブックの整理で使用していたことが推測できます この事例からも本書はたいへんよくストーリーが練られていることがわかりますよね

★★★★★

神話「フランス女」

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『50歳からがいよいよモテルらしい神話「フランス女」(小学館)は今年4月に刊行されました またしても長い書名ですよね 著者の長坂道子さんは愛知県生まれ京大卒でその顔立ち(ネットで確認)からも典型的な日本人ですが30歳くらいから世界を転々と移住していることからいまやコスモポリタン女史と呼んでもいいでしょうね そんな著者が長年身近で観察してきたフランス女性(特にパリジェンヌ)についての考察をまとめたものが本書です フランス女性の実情が軽快にエッセイ調で語られていて最後まで楽しめました レジェルテ、エパヌイスモン、そしてシステムDなど 自立したフランス女性の思想を垣間見ただけでも本書を手の取ったかいがありましたよ 結論的には生涯恋愛体質のパリジェンヌは世界一エレガントでシックだったのです ★★★★




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『ブッチャーズ・クロッシング』(作品社)は米国の寡作作家ジョン・ウィリアムズの第2長篇で今年2月に初訳刊行されました

3年前に読んでたいへん感銘を受けた『ストーナー』に続く邦訳ですがさすがにそれをしのぐまでの傑作とははなから期待していませんでした

ところがこれがなかなかどうして冒頭の主人公の登場から意外な展開が待ち受けるラストまで片時も飽きることなく読み進められる恐るべき魅力に満ち溢れていました

ストーリーといい構成といいほぼ完ぺきの仕上がりで知られざる作家ジョン・ウィリアムズの稀有な才能にまたしても強い衝撃を受けました

3部構成で主人公の青年ウィル・アンドリューズが故郷を離れて自分探しの旅をする部分が柱となっています

ただ本書はそんな若者が旅の道中でさまざまな人間と出会い幾多の経験をするありふれた成長物語というくくりにとどまりません

実は本書の深遠なテーマといえる<虚無>がストーリーの底辺にしっかりと根付いていて(といっても仏教の虚無感とは少し違うイメージですが)それが読後の深い余
韻と感動に結び付いていました

その<虚無>とはなにか それは読んでのお楽しみです(^▽^)/

60年も昔の作品でありかつ西部開拓期を舞台にしているにもかかわらず不思議とみじんも古めかしさを感じないのは布施先生の高度な翻訳技術のたまものといえるか
もしれません

最後に登場人物は少ないですがいずれも存在感があってすばらしかったです
とくにアンドリューズと相思相愛の紅一点の娼婦フランシーンのストーリー上での役割はとても大きくて彼女の出番こそ本書の画竜点睛といえるでしょう

★★★★★

動く標的

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新訳『動く標的』(創元推理文庫)ミステリ小説の巨匠ロス・マクドナルドが創出した私立探偵リュー・アーチャーシリーズの記念すべき初登場作品で今年3月に刊行
されました

ロスマクの初期の長篇なので文体がかなり生真面目で硬質な印象が残りました たとえばアクションの場面もふんだんに用意されていました

ただユーモアセンスあふれる会話の妙はこのころから早くも頭角を現していてかなり楽しめましたよ
これは田口先生のセンスある翻訳の功績が大でしょうね

肝心要のミステリ度についてはストーリー自体中盤から複雑になって再読してやっと事の次第をつかめました

アーチャーが最後の場面でつぶやく『犯罪は往々にして拡散するもの』の言葉が事件全体の真相をよく表していました

結局トータールでみれば本書はまずまずの出来だといえるでしょう
ところで私が探偵ものではメグレ警視に次いで大好きなアーチャーシリーズ 
その新訳はこれで終わりではないでしょうね? 
本書を機にどんどん刊行してほしいです

★★★

 

京都ぎらい

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『京都ぎらい』(朝日新書)は2016年の新書大賞第1位に輝いています 
昨年末に続篇の『官能篇』が刊行されたのを機に手に取りました

とにかく一昨年のナンバーワンなので少し期待しましたが結局冒頭に出てくるつかみ(著者が京都の嵯峨出身かつ宇治市在住のため洛中の人間から真の京都人でないと否定されたこと)がすべてでした

その他は京都にまつわる軽めのエッセイ集といった内容でかなり失望しました 
つまり肝心かなめの<京都ぎらい>のテーマからほとんどかけ離れたものとなっていたのです

著者は嵯峨出身であることの引け目を何度も本書で語っておりそのくどさにもかなり呆れましたね
もっといろいろと書くことがあるしょうに冒頭で京都出身であることを否定されたことを最後まで引きずっていて新しみのない話題に終始していました

たとえばお坊さんが僧侶姿のまま花街で遊んでいる話などさしてたいした話ではないでしょ 
むしろリラックスできる私服にあえて着替えずに仕事着で余暇を過ごすお坊さんの潔さに感服しましたね

中盤以降はネタが尽きたのか京都の歴史について長々と語られています
この程度の内容で新書大賞がとれるのだからあまり権威のある賞ではないと思いました

★★


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