Batman: The Ultimate Review

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Batman: Bloom Pt.2

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さて、Pt.2。レビュー後半となります。

その頃、ゴードンはMr. Bloomの逮捕に成功し、警察に連行する途中で、Bloomの種を摂取した仲間たちがBloomを解放、ゴードンが逆にBloomの囚われの身となってしまっていた。ここで、民衆に向かってBloomが演説を行うのだが、その演説は興味深いものである。Bloomはゴッサムを庭に例え、人々に種を与えることで、人々が信じていた以上の者になれるとした。人々が自分たちの思い通りに生きられる世界。大きな庭をコントロールする「庭師」によって、主役の「薔薇」たち、すなわち選ばれた者のみがさらに恵まれた環境で、日光や水を浴びて育つ。一方、雑草扱いされる一般市民たちは、主役たち、選ばれし者たちの足元で、苦しみながら生きるしかない。だから、現在のゴッサム市民たちは、自分たちのポテンシャルを生かしきれていない、と言うのだ。Bloomは種を与えることによって、雑草たち、すなわち市民たちが自分たちが持てる以上の力を手に入れることで、ゴッサムという大きな庭の「薔薇たち」を押しのけ、「雑草」を無視してきた「庭師」をも倒して、好きなように生きられるのだ、と説くのである。ゴードンバットマンは、結局は司法制度の域を越えず、法律を破るようなことはできない。だから、Bloomによれば、彼も同じく、お上である「庭師」に愛でられるだけの「薔薇」と一緒の存在だと言うのだ。Bloomは実はもとの(ブルースの)バットマンであれば、自分と同じような考え方を持っていたはずだと「勘違い」している。バットマンは、市民のために自ら立ち上がり、ゴッサム社会が課してきた足枷から解放しようとする救世主だという解釈もある。確かに、彼こそ、腐敗したゴッサム社会にNoを唱え、一般市民でも普通以上のことを成し遂げられるという一番のいい例でもあるからである。ただ、後にゴードンが気付いている通り、バットマンがいるからこそ、ゴッサムが自然と何かいい方向に変わるということではない。(そうでなければ、とっくの昔にゴッサムから犯罪がなくなっているはずだ)市民はバットマンを尊敬し、そしてバットマンによってゴッサムが守られていると思ってはいるが、バットマン一人が、ゴッサム全体を救うわけではない。市民の協力があって、そして市民がゴッサムをあきらめない限り、ゴッサムは存在し続けるのである。また、前にもどこかで書いた通り、バットマンは法の外で好き勝手に活動しているわけではない。バットマンも、司法制度を尊重しつつ、ただ、彼の信念に沿って、彼のやり方で犯罪と戦うわけである。彼はややもすれば犯罪者ともなれるのだが、その法への信念がバットマンをヴィランにさせないのである。だから、本当の意味でBloomと戦えるのは、アウトローで活動すること、また法にのっとって活動すること両方を知るバットマンなのだろう。

Julieの身を案じ、青少年センターに戻ったブルース。その惨事を見て、彼はやっと決意を固める。ウェイン邸のドアを(運命が叩く音のようにも見えるが)こじ開けて、アルフレッドに言うのだ。私をケイブへ連れて行くんだ、と。耳をふさごうとするアルフレッド。この場面は、もう涙しかない。アルフレッドは、この十数年間(?)、バットマンとして生きてきたブルースの苦しみ、悲しみを見てきた。アルフレッドにとって、両親を亡くしたブルースは、一番の息子であったのだ。義理の父親代わりとして育ててきた彼がブルースに望むのは幸せである。映画ライジングでは、アルフレッドは、ケイブの外の人生を見出そうとしないブルースに対する警告としてウェイン邸を去る決断をしているが、息子には幸せな人生を送ってほしいと思うのはどの父親もそうなのではないのだろうか。両親の死の悲劇で既に壊れたブルースの人生。アルフレッドはもうそれ以上の悲劇を味あわせたくはない。バットマンとしての苦しみの記憶がなくなり、今の、Julieと一緒にセンターで子供たちのために働く幸せなブルースは、長年彼に仕え、また父親代わりとしてのアルフレッドにとって、最高の報酬であったのだ。彼がやっと得られた安らぎの報酬は、奪い去られようとしていた。アルフレッドがひざまずく前で、ブルースは言う。I’m Batman. 再びブルースは、バットマンのために、死ななければならないのだ。

もともとDetective Comics #27に収録されていた(そして今回のBloomにも収録されている)Twenty-Sevenにも描かれているが、ケイブには常にバットマンが存在し続けるための機械が存在する。普通の人がバットマンになるためのトラウマを追体験させるその機械。ただしアルフレッドは、バットマンによる苦しみを味あわせたくないとその機械を壊していたのである。(ドラマGothamシーズン1を少し思い出すような。)ただ、バットマンは常にコンティンジェンシープランを用意する者。もちろんバックアップを用意していた。その名もAlfred Protocol。バットマンを事実上作り上げ、長年支えてきた人物の名前をとったそのプログラム。ブルースはかつてのアルフレッドなら、バットマンの信念を理解し、やってくれるはずだ、とアルフレッドを説得させ、自分はその機械に身をゆだねるのである。

バットマンが生きるために、ブルース・ウェインは死ななければならない。先にブルースとは何者なのか?という問いをした。ブルースは幻なのかもしれない。空虚な入れ物なのかもしれない。彼は、バットマンというアイデンティティを与えられることでしか、生きる意味を見出せないのかもしれない。なぜならいくら記憶がなくなっても、過去を抹消することはできないからだ。あの悲劇の夜を。散らばった真珠と血が混ざりあったあの通りを。蝙蝠の前で誓ったあの言葉を。パートナーを失った悲しみを。狂気との戦いの数々を。そういう過去は、ブルースがバットマンでなくなれば、全て無意味となる。バットマンであるからこそ、自分の過去と対面し、理解しようとする。ブルースでは、過去と対面できず、全て抹消しようとするしかない。(彼はトラウマを受け止めきれないから)だから、ブルースだけで生きようとすると、どこかにねじれが生まれるのではないのだろうか。また、それとは別に、彼の精神は、生まれた時から蝙蝠が宿っているからではないのか。その蝙蝠を拒否することは、自分自身を否定するのに等しいからではないのか・・・だから、バットマンの正体は、バットマンであり続けるのではないのだろうか。アルフレッドの言う、本当のブルースは、存在しないのだ。

アルフレッドはブルースの苦痛を見ていられず、機械を止めようとするが、そこへJulieが彼の運命を理解した上で、最後にボタンを押す。一回脳死状態に陥るブルース。(コマが蝙蝠であるのと同時に、彼もまた翼のように腕を開いていることで、蝙蝠のように見えるような気もする。またはキリストの最後にも見える。特にキリストがその後生まれ変わるのを考えると)ただ、その後に生まれ変わったブルース(いやバットマンだ)のセリフと、Batman and Sonでバットマンに蝕まれるブルースを思わせる、ダークな横顔がものすごくカッコイイのだが、(笑)なおさら彼は陽の世界に属するのではなく、闇の世界でしか生きられないのだと思わせる。

その後並行して、帰ってきたバットマンvs Bloom, Duke vs Daryl (実はBloomの放射性物質を帯びた種を開発したのは彼だった)が描かれ、また、ゴードンは、Batmaniumを増幅器として使用しブロック信号をStrange Starに送ることで、Bloomが種のエネルギーから生み出したStrange Starがゴッサムを滅ぼすのを阻止することに成功する。確かにオリジナルのバットマンがいなければ、ゴッサムも救えなかったかもしれない。ただ、この最後の戦いのゴードンの語りから考えると、バットマンは人々を導き、先頭に立つ存在であり、ゴッサムを何回も救ってきたが、それはゴッサム市民がそれぞれゴッサムに信頼を置いていることを知っているから、彼らがいる限り、ゴッサムは滅ぼされることはないから、とバットマンが考えているからなのだろう。バットマンは法に信頼を置いていると書いたが、それ以上に、ゴッサムとその人々を信じているのである。どれだけ、悪の脅威があろうが、どれだけ人々が虐げられようが、大地震があろうが、疫病が流行ろうが、ゴッサムは立ち直ってきた。それはバットマンのみの功績ではなく、ゴッサム市民のおかげでもある。市民が持つ、ゴッサムへの信頼。それがあるからこそ、バットマンは身を賭して支え続けるのだ。ゴッサムは、ただ闇の都市だけではない。悪がはびこるだけの都市でもなく、悪だけを生み出す都市でもない。その数々の試練を乗り越えることで、ゴッサムはまた栄え、人々はかつての自分よりもよりよい自分へと成長できる。それはBloomの道とは違う。Bloomがもたらしたものは革命に見せかけた混沌だけだった。Bloomのような人工的な力に頼るまでもなく、ゴッサムの人々はそれぞれポテンシャルを秘めている。みながバットマンになれなくても、みなが思いがけない存在になれる場所。それが特別な都市、ゴッサムなのだ。

ゴッサムにはバットマンが必要だ。彼は伝説であり、シンボルであり、ゴッサムとともに生き続けるから。

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Batman: Bloom Pt.1

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今回はSuperheavyの続編である、Bloomを取りあげる。Superheavyで、新しき「バットマン」として、公式に警察と、そしてPower Internationalの支援を受けて活動を始めたジム・ゴードン。もちろんバットマンがいるということは、ヴィランもいなければならない。今回やっと正体を表す新しき謎のスーパーヴィラン、Mr. Bloom。ゴードンは、彼にどうやって立ち向かうのか・・・?そのときブルースは?

今回のレビューテーマは「成長とRebirth(再生)」。特にタイトル、そしてヴィランの名前になっているBloomの意味は「開花、最盛期」である。この作品で焦点があたる「3人」の成長をキーに、Bloomがゴッサム、ゴッサム市民に与えようとした意味、そして、ゴードンとブルース、両方のバットマンがゴッサムに与えた意味の違い、さらにはブルースとアルフレッドの幸せと人生の意味についてもこの作品を通して考えてみたいと思う。

先のSuperheavyでは、ゴードンはバットマンとしての意味を確立するのに苦労していた。今は「公務員」として活動することで、公には認められた存在ではあるものの、自由に動けないバットマンに不満を感じつつあるゴードン。かつてのバットマンのように、上の承認なしで、自分勝手にBloomを追っていくことは許されないわけなのだが、結局彼はその道をたどらざるを得ない。それがために、Geri Powersからクビを宣告される。ただGeriのゴードンバットマンの辞任会見中に、Bloomが襲い、ゴードンはGeriを救うわけだが、それをきっかけにゴードンは「公」を背負い、上の命令に沿って戦うというよりも、少しずつ自分の戦い方を確立していくように感じられる。罠だとわかっていながら、一人Bloomのアジトへ乗り込む彼。「一人で行かせてくれ」とGeriに頼むゴードンは、以前によくバットマンが口にしたセリフをそのまま言っている気もしてくる。ここには「制度」に縛られずに、自分が一番いいと思う方法で戦いたいという思いも表れているのだろう。その後Bloomのアジトで、自分のバットロボットスーツがBloomに乗っ取られ、スーツと戦う羽目になるゴードンだが、ここでも「制度」と「権威」と戦うような構図が見えてくる。バットロボットスーツ は、警察や市長やGeriと言った権威の承認を得たお墨付きの象徴である。その、メカニックで、ふつうの人間よりも一回り大きいスーツ。通常、ゴードンはそれを着て、戦うわけである。一旦それを着てしまえば、通常の攻撃から身を守れるから安全ではあるのだが、
ただ、それを簡単に脱ぐことはできない。イコール、そういう「公」にがんじがらめに縛られた存在であるわけだ。そのバットロボットスーツがBloomにコントロールされることで、ゴードンは完全に背水の陣。自分の身体と頭脳だけに頼って戦う彼だが、最終的にロボットスーツの裏を掻き、またスーツに仕込んだブロッカーのおかげでBloom自身とBloomの種をショートさせるのに成功する。ゴードンが本部長になる前に、刑事として相棒と組み、犯罪者と直接戦うような、もともとのゴードンの戦い方も垣間見えるような気がする。(ドラマGotham とか?) バットロボットスーツがいかに公の存在の象徴であっても 、ここで言えることは、ゴードンにとっては「パートナー」であり、バットマンで言うところのロビンでもあるわけだ。
いかに一人であろうとも、ゴードンには常に戦いを一緒に共にする仲間が存在する。ゴードンはこのバットマンの活動の中で学んでいくのである。かつてのバットマンが培ってきた警察とのつかず離れずの絶妙な関係の強さと、彼を裏で支える仲間の重要性に。どちらもなければ、「バットマン」は成り立たないのだと。

さて、パートナー、相棒と言えば、ゴードンの成長と並行して語られる人物がいる。Duke Thomasである。Endgameレビューで軽く触れたが、彼の両親は先のEndgameでジョーカーの毒ガスの被害を受け、一時行方不明になっている。(この作品の中盤で、彼の両親は見つかるが、ただ元に戻らないほどのおぞましい笑い顔の表情を浮かべたままである)今ではブルースがJulieとともに働いている青少年センターのもとにいる。ちなみにEndgame後、Superheavyあたりの時間軸であるRobin Warのイベントで、かなり活躍をしているようで、ロビン(のような、でもバットマンを支えたい相棒?)への布石は既に作られている。Superheavyで、ブルースはゴードンからBloomの種を渡されたものの、自分にはふさわしくはないと思った結果、センターの引き出しにしまい、忘れかけていた。Dukeはその種を盗み出しており、バットマンとは独立して謎を解こうとしていた。Bloomの手がかりはペンギンが握っていたのではと考え、ロビン(?)としてIceberg Loungeへ侵入を企てる。(Death Metalの言及がここであり、Rebirth のあの次のクロスオーバーイベントかなとちょっと思ったりするが) 最終的にDukeは何とか、Bloomにつながる情報を入手し、命からがらペンギンとその手下から逃げるが、最後の最後で絶体絶命のDukeの命を救ったのは、なんとブルースであった。ブルースは、センターのPCからDukeがどこに行ったのか推測、追ってきたのであった。

Dukeとブルースの対面。この場面では、既にDukeはブルースをオリジナルのバットマンだとわかっていた。Endgameで両親を失ったDukeを慰め、サポートしてくれたバットマン。ただ記憶がなくなっただけの理由で、自分の本当の姿と向き合え、とブルースに強く迫るのである。特にブルースはバットマンの記憶がないとは言え、探偵能力には長けている。だがその目的を失っているだけなのだ。バットマンがバットマンの道を失ったとき、誰がその道に戻してくれるのか。考えてみると、ロビンやファミリーによる影響が大きいし、特にA Lonely Place for Dyingの、ティムがバットマンの正体を推測して、自らロビンに志願してジェイソンの死に打ちひしがれるバットマンを救ったり、まだ映画ダークナイトライジングでも、ブレイク刑事がやはりバットマンの正体を知っていて、バットマン/ブルースを何度か助け、バットマンの2回目の帰還をサポートしたり、と言った例もある。ここでのDukeはロビンではないものの、既にバットマンという概念を理解した上で、地下鉄の線路に立って、ブルースにブルース自身の内面の理解と、もともと持っていたはずの潜在能力を引き出そうとしている。うまい構図なのが、近づいてくる地下鉄のライトが、ブルースにとって蝙蝠の目に見えてくるのだ。そして彼はかつての誓いを思い出すのである。書斎で誓ったあの夜のことを。ブルースはギリギリのところで、Dukeが地下鉄にひかれそうになるのを救うが、それはDukeが自分の命を危険に晒しながら、ブルースに自我を目覚めさせようとした行為であった。バットマンは人の死から生まれ、だからこそ、人を救い続ける。ブルースに死と向き合わせることで、実際にブルースは何によって形作られたか理解させる試みだったわけだ。

ブルースは悩む。自分が知らなかった、影のアイデンティティ。またここで考えてしまうのだが、では、この、Superheavy、Bloomに出てくるこのブルースという名前の男は一体何なのか、ということになってくる。Dukeによれば、ブルースはバットマンだった、だがゴッサム社会から背を向け、記憶喪失を理由に自分だけの世界に引きこもってしまった、と見えてしまう。それは無責任だと。バットマンがいなければダメなのだ、と。でもブルースには、ブルースにしかない人生がある。Zero Year、最後に一瞬だけあった、Julieとの別の道。その幸せをやっと掴めたのだ。でもそれが偽りの人生とでも言うのだろうか?ブルースは、Superheavy にも出てきた、あの孤島のようなベンチに座る。もちろんそこにいるのはどこかに見覚えがあるあの男... やはり同じように近くで事故にあったと言うその男は紛れもなくかつてのジョーカー...? ただ、お互いをあまり知らない(?)彼らは、一見他愛のない話をする。そこには確かに狂気さと捻じ曲がったジョークが見え隠れするが、なかなかブルースとこの名もなき男でありJohn Doeが心の内を打ち明けるのもまた珍しいと言える。またブルースとこのJohn Doeとの会話はある意味でお互い段違い棒のような解釈の違いがあり、そこもまた面白いところだ。John Doe はかつての君にならないでくれ、と言ったばかりに、ブルースはJohn Doeが自分がバットマンだと知っていたのではとの疑念から、何でそんなことを言うんだ、あんな過去に戻りたいとなぜ私が考えるんだ、と詰め寄るが、John Doeは、いや湖のことを言っていたんだ、この静謐な空間を守って欲しいから、と言うのだ。ただこのやり取りは、John Doeが敢えてそういう言葉の選択をしている気もしており、記憶をおそらく失っているとはいえ、かつての関係をうっすら覚えているのではないのか、と疑いたくもなる。その後の会話も全て湖のことではなく、バットマンとジョーカーの永遠の戦いの意味にも捉えられ、上手く二重の意味を含ませているようだ。ブルースは、結局(湖を)今の状態の静けさを維持しようとしてもその期間は長くは続かず、結局意味がないのでは、どうせ元に戻るのであればと言うが、John Doeは今できる限りのことをやれればどうなってもかなわない、ま、今のうちにやめてしまってもいいけどね、と言っている。バットマンとジョーカーの関係で考えれば、結局どちらにしろ、これは一時的な静けさにとどまるだけで、彼らの関係の対極性は不変ということだろう。ここには善悪も何も存在しない、中立の世界があるのは、ブルースもJohn Doe も彼らの共通項であった狂気性をなくし、打ち消しあった状態だからだろう。ただ、無論この均衡が一ミリでもずれれば、また彼らは戦うしかない。バットマンとジョーカーはお互いどんな形であれ存在しなければ、成立せず、戦いによってのみ意味を見出そうとするからである。ただ、John Doe が自殺すると見せかけたときに大きな爆発が...ブルースはある意志を固め、その方向へ走り出す。そして、その不思議なJohn Doeは姿を消した...

さて、次はブルースの自己発見とBloomの意味の考察ですが、レビューがちょっと長くなりそうなので、Pt.2を別にupします。

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前回のTheVictim SyndicateからこれもまたInterludeというか、次のLeague of Shadowsをつなぐ短編とも言えるのが今回取り上げる作品、Batwoman Begins (Detective Comics #948-949)である。この作品は、バットウーマンの初期の活動の回想をはさみながら、以前に出てきたMonsterMenを作り出すもととなったMonster VenomColonyのメンバー(一応補足しておくが、Riseof the Batmenで出てきた、バットウーマンの父親ジェイコブを筆頭とする組織)に奪われ、それを追っていく話となっている。私は、Rebirthを読む前はバットウーマンは少ししか読んだことがなかったのだが、Rebirthを読んでからは彼女のバットマンファミリーに属することへの強い思いと、父親との複雑な関係が理解できるようになった。バットウーマンであるケイトはブルースといとこ同士(ブルースの母親マーサはケイトの父親ジェイコブと兄妹関係らしい)のため、実際の血のつながりもある。また、幼い頃、ブルースと同じように、目の前で母親と双子の姉(妹?)を亡くしている。共通点がありながら、彼女の従軍歴も影響してか、バットマンとは異なる考え方をする彼女。ただ、そのバットマンをただまねるわけではない独立性がまた魅力を引き出すのだろう。

 

2年前のこと。バットマンという存在にひかれていた彼女は、ジェイコブの助けも得ながら、自らバットウーマンというアイデンティティを作り出し、彼の動きを密かに追っていた。ジェイコブが言う通り、バットウーマンは、バットマンのただの似姿ではなく、彼女自身のミッションとやり方を身につけねばならなかった。彼女は銃の使用も厭わない。戦争では戦うためには使えるものであれば何でも使わねばならないと考えているからである。そんな中突如バットマンの訪問を受けて、ケイトは誤ってバットマンを撃ってしまうが、そういうところが一軍人としての側面も見える。特にバットマンに対してこんなセリフを言っている。「I  want to serve this city, Batman. 」国に仕えるように、ゴッサムに仕え、そして命をかけて守ること。バットマンも同じくゴッサムのために自らを犠牲にして戦うが、おそらくバットウーマンとバットマンの立ち位置が違うのは、バットマンから見てゴッサムは対等のようで、ゴッサムをパートナーとして見ている関係が強いような気がしないでもない。だから、バットマンにとってみればゴッサムとはもっと親密な関係があるのに対し、バットウーマンは「公的な奉仕」として捉えているように思える。公の面でとらえるからこそ、バットマンの一つ一つの犯罪に特化した戦いよりも、彼女は全体を見ることができるのではないのかと思えてくるのだ。

 

それであるがゆえに、彼女はやはり一軍人としての考え方で、全ての戦いを「集団での戦い」、そして「戦争」に例えている。この作品の最後の方でバットウーマンが、あなたは犯罪をなくしたい、でも私はこの戦争を終わらせたい、と言う。常に集団(すなわち軍)の考え方をする彼女は、バットマンができないことをやろうとしている。バットマンは単独で戦う。そして、一つ一つの戦いにフォーカスし、小さな勝利を積み重ねていく。もちろん、このやり方でバットマンは常にゴッサムを守り続けてきたわけだが、より大きな敵に直面したらどうなのか、との疑問にもつながってくる。だからこその彼女の集団の考え方が生きてくる。それがRebirthDetective  Comicsに常にあるテーマとなるのだ。集団の利点を生かしたバットファミリーの形成である。それだからこそ、今まで直面したことがない大きな敵との戦い、自然災害、また予測不可能なことに対応することが可能になるのである。

 

無論父親のジェイコブも軍人であるため、集団での戦いという考えに執着していた。ケイトにバットマンの動きを追跡させていたのは、2年前から既に「Batmen」で構成されたColonyの概念があったからである。より大きな脅威を取り除くため、個人のバットマンを集団化したら一番効果的だろうと考えていた彼は、ケイトを利用し、バットマンの研究にいそしんでいたわけだ。(ケイトは父親の計画をRise  of the Batmenイベントがあるまで、全く知らなかった)ケイトとジェイコブの考え方は、ゴッサムの大いなる善のためにという大きな目的の面では同じものの、ある点で決定的に違っていた。犠牲の考え方である。目的を達成するのに手段を選ばないジェイコブ、そして武器は何であれ、一般の人々をより多く救うことに重きを置くケイト。ジェイコブの部下のサミュエルはこう言っている。「She needs to be a soldier. Not a superhero.」軍人であれば、上官の命令には絶対に従わねばならない。たとえ自分の考え方が違っても。ケイトはそういう軍人の血はあるものの、ただ上から命令されるようなことは好んでいたのかどうか、微妙である。特に彼女がレズビアンであることから、別の女性の関係で除隊扱いとなっており、その後自分らしい生き方を探していたのだろう。

 

ジェイコブはケイトが自分の「兵士」になる代わりに、バットマンの「兵士」になったと思い込んでいるのだろうが、それは違う。彼女は、確かにバットマンの下で、ファミリーを組織したものの、彼女の自由意志は尊重されており、バットマンは(たまに彼女に自分の意見を言うものの)無理やり自分の意思を通そうとはしていないような気がする。相棒という位置づけでもなく、でもファミリーの副司令官として行動する彼女は、バットファミリーの中でも、バットマンがタッグを組んできた者の中でもユニークな位置づけであると思う。同じく家族を亡くし、その悲劇を乗り越えながら、様々なmonstersと戦ってきたという彼女。「I  was forged by fire.」そういう彼女の独立性、力だけではなく意志の強さ、そこに魅力を感じる。

 

Colony に奪われたMonster Venom、そしてColonyが前に戦おうとしていた謎の集団、Leagueof Shadows…次のシリーズのレビューもそのうち!

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