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DENON DP-2700とHEATKIT AA-13の組み合わせ。
AA-13はレトロな回路で再生帯域も解像度もイマイチですが、それも良し。
高解像度で聴きたければメインのシステムを使えばいいわけですから……。
半世紀も前の装置を愉しむのもオーディオならではの遊び心です。
AA-13のPHONO入力はMONOですから、PHONOケーブルは
Rchだけを接続していて、Lchのほうは休眠状態になっています。

●ついに暴走です!

簡潔な機能とデザインで私のお気に入り、DENONのDP-2700。ついにサーボが効かなくなって暴走です。1970年代半ばの製品ですから、すでに40年以上が経過。いつ不具合が出てもおかしくありません。とくにDP-2700やDP-3000ではサーボ回路の2SC458というトランジスタが曲者です。特性が優れていたので当時はたくさんの機種で使われていましたが、初期のロットでは経年劣化でノイズを発生することが知られており、我が家のDP-2700もそろそろサーボ不良だろうな……と覚悟はしていました。

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●メカメカしくないところがいい

 7〜8年前に中古品を導入してから紆余曲あって、結局中古を3台買って、それぞれ状態の良い部分を選んで2台を組み上げて使ってきました。性能がどうこうというよりデザインが好きなのです。DDモータ+サーボ基板、ストロボ、電源SWを兼ねた33/45回転切り換えボタン、33/45それぞれの微調整VR、OFFボタン……駆動系はこれだけです。電子ブレーキもないのでOFFボタンを押すとプラッターは自由回転。指を添えて手動ブレーキ。このレトロ感がいいですよね。
 トーンアームもはスタティックバランスのS字型で、ラテラルバランサーもインサイドフォースキャンセラーもありません。アームリフターは付いていますがシンプルそのもの。「これでいいんだ!」という技術者の潔さを感じます。

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底面から見るとこんな感じ。決して重量級の作りではありませんが、
積層材の方向を考えて振動をうまく抑え込んでいます。
やみくもに物量を投入すればいいってもんじゃない。

 積層材の上にアルミダイキャストの回転部と厚みのある木製アームベースがセットされており、回転部とアームベースの間はゴム系の材料で仕切られています。オフホワイトの回転部と木肌を生かしたアームベースのコントラスト、そのツートンカラーを仕切るゴムの黒いラインが効いています。トーンアームのラインもシャープですね。過剰なデコレーションは一切なし。基本性能と機構がみごとにデザイン化されています。

●トランジスタの交換だけでいけるかも

 さて暴走ですが、まずは分解して内部を見てみましたが、思いのほかきれいです。基板も見た目は問題なし。できればコンデンサも交換したほうがいいのです(ちょっと面倒くさい)が、とりあえずトランジスタを交換して、それでサーボが効けばOK。ということで2SC458を5本、2SA1213を1本、計6本の交換。基板上の半固定抵抗を「多分これぐらい!」の位置にセット。
さあ、組み直して動作確認です。オッ大丈夫! じつは、このプレーヤーはモノラルレコード用に使っていました。といってもカートリッジはモノラル用ではありません。ステレオ用のカートリッジのR/L直列につないでアームケーブルの片チャンネルだけを使います。


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今回はトランジスタの交換だけで回転は安定しました。

●モノラルはモノラルで聴く!

 これをモノラルのプリメイン・アンプに接続。アンプはHEATHKITのAA-13という超レトロな真空管アンプです。パワー段は6BQ5(EL84)のプッシュプル、自己バイアスで14W出力というものです。チョコチョコとメンテしているので十分鳴りますよ。いまヨーゼフ・シゲティの弾くバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタを聴いていますがが、なかなか雰囲気があって心地よい音ですよ。ちなみにカートリッジはビクターZ-1SのL/R直列接続です。
 ところでもう1台、DP-2700があるんですが、こちらもそのうち暴走するだろうな。2SC458だけはなくならないうちにゲットしておく必要がありそうですね。


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●フォステクスF120Aに頑張ってもらおう!
 昨年から2ウェイだの変形3ウェイだのと面白がって製作していたスピーカーですが、やっぱりそのままでは終わりませんでした。主役交代です。テレビの音声用に壁埋め込みで鳴らしていた12cmフルレンジのフォステクスF120Aを再び引っ張り出しました。これをコンパクトなマルチダクトのボックスに入れると、フルレンジ1発でも十分と思わせるくらい鳴ってくれます。このままで極上のコンパクトなフルレンジ・スピーカーだねと満足すればいいのでしょうが、ついつい欲が出てきてしまいます。
 とっても力強い音なんです。でも、それだけに高音域がスーッと伸びて繊細さも加わってほしい。というわけでトゥイータを追加しましょう……と、何種類かドーム型を組み合わせてみたのですが、どうもマッチングがよろしくない。

●リボン型トゥイータを追加して2wayを組んでみる
 F120Aの高域はかなり伸びでいますから、10kHzあたりまではフルレンジに任せればいい。そうだ、10kHz以上をリボン型にしてみよう!と閃きました。最近ではハイレゾの波及効果でしょうか、高域が伸びるリボン型やハイルドライバー系のユニットが増えています。外観が似ているので混同されやすいのですが、今回使ったのは中国ブランドSounderlinkのリボン型です。それにしても中国製の勢いは凄い。同じものがいくつものブランドで売られているし、オリジナルはいったいどこなんだろ? アリババ系のネット販売では英語や日本語(ちょっと言葉が変ですが)はもちろんロシア語にも対応していますよね。それにしても種類の多さに驚かされます。

●リボンの音をフルレンジとうまくブレンドさせたい
 さてリボン型ですが、音色が合わないと困るなーと思い、ハイパスフィルターはやっぱり6dB/octかな。緩いスロープでも10kHzあたりから下降させれば問題なし。そのうえでF120Aとうまくブレンドされ、スムーズに繋がってくれたらラッキーです。
 F120Aの高域は12dB/octでスッキリと落としてリボンの音色を生かしてやろう。いつものように手持ちのパーツで組むので理屈通りにはいきませんが、多分これで合うはずです。iPhoneとiPadでF特をとってみたら、けっこういい線行ってます。おそらく高域は40kHzあたりまで伸びているでしょう。これで2ウェイの完成です。

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高音域が素直に伸びれば、低音域を補強したくなる
 ところが、ここでまた欲が出てきます。低域は12cm口径としては驚異的なパワーで文句なし……なのですが、100Hz以下の厚みがもう一息あるといいな。オケの低音部の厚みというか重さが出てくれたらもっといい。そこで20cm口径のウーファボックスの登場です。もともとコイル1発の6dB/octのローパスフィルターを入れていたのですが、試しに繋いでみるとF120Aの低音域とのかぶりやF特のうねりも生じて「ウーン、何とかしたい」と思案するはめに……。接続を正逆変えてもダメ。
 どうするか? とにかく100Hz以下を少しだけ補強することにして、それ以上の帯域はすっぱりと落とし、できる限り200〜400Hzあたりに影響を与えない作戦! またまた部品あさりを敢行。自分勝手流ですが、これでどうだ。
 ウーファボックス単体でF特を測ってみると、90Hzあたりからストンと下降しています。部屋の反射もあるのに、これぐらい急峻に落ちてくれたらOKとしましょう。低い方はマイクのローカットに引っ掛かってしまいますが、60Hzぐらいまではラクラクで、それからスーッと減衰。50Hzを超えるとストンといった感じです。これで、うまくいくかもしれない。


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低域はマイクのローカットフィルターが効いてしまうので、急峻に下降していますが、聴感上は60Hzまでは楽に行けます。さすがに50Hzを超えるとスーッと落ちていきます。1kHzの盛り上がりは画面キャプチャーで手を触れたときのノイズ。

●2wayとウーファの2つのボックスをバイアンプでドライブする
 ドライブするアンプは業務用の4chアンプで、2ウェイとウーファボックスをバイアンプで鳴らしましょう。というのも、ウーファボックスの出力レベルが微妙なんです。ちょっとでもオーバーすると量はあっても味は単調。アンダーになると、あってもなくても同じ。そこはバイアンプなのでパワーアンプの入力レベルで調節が効きます。F特をチェックしてみたら、思いのほか素直になったのでシメシメ。甘々で±3dBでしょうか。

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 いくらF特が素直でも、音が良くなかったら論外ですよね。まあ、音色の大半をF120Aが担っているわけで、その良さを生かしてやることですよね。オケのパワフルな鳴りもなかなかなものですが、ヴァイオリンや木管の高音域がスーッと伸びてくる感触。ああリボンらしいな。カラヤン/ベルリン・フィルによるマーラーの5番。192/24による美しい弦楽によるアダージェット、クライマックスの猛烈なダイナミックレンジ。かなり鮮烈!
 CDでは先日発売された情家みえの「エトレーヌ」の「チーク・トゥ・チーク」でチェック。ステレオ音場の幅と空間サイズ、音像の位置とバランス。ピアノ・トリオとボーカルの前後感など、まさにステレオ再生の基本です。ウーファのバランスはこのベースの質感で決めました。

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(左)カラヤンが周到な準備を行って録音したこだわりの録音。1973年、アナログ録音が成熟期を迎えた時期のすばらしいサウンド。これが鳴らないと、ちょっと?です。192/24で聴きました。
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml00028948291984/
(右)麻倉&潮両氏がプロデュースした高音質音源の第1弾。情家みえの「ETRENNE」。
CDもとても良い音だけに、ハイレゾの配信が待ち遠しいですね。
Ultra Art Record UA-1001

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●あくまでスタンダードは変えない
 我が家のレファレンス・スピーカー。またまた策を弄してみました。さまざまなハイレゾ音源を再生すると、まあいろんな録音があるんですよね。近接マイクで楽器の音をダイレクトにとらえたもの、逆に空間の響きをたっぷりと取り込んだもの、マイクロフォンの数もさまざま、またミキシングの段階でさまざな効果を狙ったもの……など、それぞれの録音の意図や特徴を素直に再現できるように自分自身のスタンダードをつくりあげるわけですが、とはいえノイズっぽい録音をそのまま聴くのも辛い話ですし、「もう少しこうだったらいいな」とか「ちょっとこの録音はヴァイオリンがチリチリで、さすがに高音域は抑えたいよね」といった場合もあるんです。
 ただし、スタンダードを大幅に変えて別のスピーカーを作ろうというつもりでは、もちろんありません。スタンダードを大きく動かしたら、レファレンスの意味がなくなってしまいます。ほんの少しのことなんです。今回は3箇所にスイッチを付けて微妙な音質のコントロールができるにようにしました。


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●トゥイターの合成インピーダンスの変化を利用する
 SW1とSW2はトゥイターのアッテネータの切り換えです。ネットワーク図で分かるように、もともとは5.1Ωと8.2Ωの固定抵抗でアッテネータを構成しており、トゥイターの減衰量は計算上約−7dBになります。これが私のスタンダードです。この固定抵抗にそれぞれ13Ωと12.1Ωをパラってやると、減衰量はほとんど変わりませんが、合成インピーダンスが変わります。それによって12dB/octのハイパスフィルタが効いてくる周波数が変化します。
 SW1とSW2をON/ONにすると、OFF/OFFにした場合に比べ合成インピーダンスが約2Ω程度下がり、トゥイターの下降する周波数が約1kHz程度低いほうへ移ります。それにより5〜8kHzあたりでトゥイーターの存在感が高まります。私のスタンダードはOFF/OFFですが、減衰量を変えずに楽器の色彩感に影響を与える帯域にちょっとだけ張りを出したいときに使おう……そう思って設定したのです。ところが、予想した以上に音色が変化します。録音が良ければ効果ありなのですが、逆にこの帯域にクセがあったりザラつきがあったりするといけません。

●トゥイターの減衰量だけをアップダウンさせる
 次に、SW1とSW2のどちらかをONかOFFで違えるとどうなるでしょうか。この場合、どちらにしても合成インピーダンス約8Ωでほとんど同です。SW1をON、SW2をOFFにすると、ハイパスフィルターが7kHzで減衰量は−5.5dB。SW1をOFF、SW2をONにするとハイパスフィルターは同じ7kHzで減衰量が−8.5dBとなります。
 これも録音で高域が素直に伸びているという前提ですが、ジャズなどでシンバルやトランペットを生々しく再現したときにキュッと高音域をブーストしてやるといいですね。逆に古めのオケ録音でヴァイオリンがジリジリするときなどにちょっとお化粧する感じでダウンさせると聴きやすくなります。スタンダードが−7dBですから、これを基準にすれば±1.5dBの調整ということになりますね。

●太い響きとクリアさを両立させたい
 SW3はミッドのハイパスフィルターのコンデンサーの容量を可変するのが目的です。私はここを意図的に6dB/octという緩やかなスロープにしています。それは、ミッドバスの幅のある音色を活かしたくて1kHz以上まで引っ張っているんですが、その分フォーカスが甘くなるのを、そこにミッドの波面を合わせこむことで音像の輪郭を少しだけ強調したいからなんです。
 15μFをパラってやると周波数上では1kHz前後がオーバーラップします。たとえばハイエンド・カーオーディオコンテストの課題曲になった井筒香奈江「リンデンバウムより」の「Stay My Blue  君が恋しくて」を例にすれば、声がすっとクリアで音像の輪郭が明確になり、そのことで音場空間がリアルに感じられ、彼女の表現力がより強く聴き手に伝わってきます。
 また、オーケストラの弦合奏でヴィオラやチェロの内声部の動きが聴こえてくるようになります。合奏の密度感がグンと増します。ちょうど水面にさざ波が立って、その波頭が少しだけはっきりしてくる……映像で説明すると、圧縮率を上げていくと水面がのっぺりしますが、非圧縮に近づけると細かい波頭がクッキリと見えてきます。あるいは森や草原の写真で、少しだけアンシャープマスクをかけると効果的ですが、やり過ぎると遠近感や空気感が失われてあざとくなってしまいます。わずかなことなんですが、そんな感じです。
 ということで15μFのパラがスタンダードになりました。もちろん近接マイクで空間より音像で押してくる録音ならOFFにしたほうがいいですよね。

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●小さなマルチダクトのエンクロージャー
 ヤフオクを見ていたら12cm口径用のマルチダクトのエンクロージャが出品されていて「これいいな」と思ってポチッ。フォステクスの12cm口径フルレンジを取り付けました。F-120Aという強力なアルニコマグネットのユニットですが、もう10年以上もダイニングの壁に埋め込んでテレビ用として使ってきたので、ウレタンエッジがボロボロ。これを張り替えて鳴らしてみたのですが、結果は予想通り。力強くて活気があって、低音も12cm口径とはとても思えない。でも適度に吸音をしてユニットを取り付けて、ケーブルを半田付けしただけ……音はいいんだけれど作り屋としてはちょっと物足りない。

●思いつきの第一弾

 そこで思いつきました。F-120Aにはテレビ用に戻ってもらいましょう。じつは張り替え作業中のスペアとしてパイオニア製の古いスコーカーをゲットしていたのです。多分CS-77という3ウェイスピーカーについていたユニットだと思われます。バックチャンバーに12-6F3-1と印刷されていましたから、e-bayで検索したらけっこう出品されていますね。もしかすると1960年代?? 半世紀前のレトロ、いやいやヴィンテージです。
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バックチャンバーは処分してしまったので、
e-bayに掲載されていた写真を借用しました。

 どうせテレビの音声だからスコーカーで十分と思ったのです。ペーパーコーンで布製のロールエッジ。しっかりしている。コーン紙にも痛みなし。バックチャンバーを外したらマグネットはアルニコじゃないですか。見ているうちに「これをフルレンジにしたら面白そう!」と思いついてしまったのです。
 高域は10kHz以上を補強するくらいでいいかもしれない。ケンウッド製の小口径ドームがあるから、これを使おう。さっそくトゥイータの穴開け。初めはコンデンサ1本で繋ごうとしたのですが、そう簡単にはいきませんでした。このスコーカは活気があって解像度も高いのですが、どうも6〜10kHzが盛り上がっているようで、それがトゥイータとぶつかって倍音が粗くなってしまう感じなんです。
 いろいろ試した結果、スコーカを6.5kHzあたりからなだらかに下降させ、トゥイータを8kHzあたりからクロスさせる。これで波面がうまく合ってくれたら……。狙いはピタリ。中音域の感度が抜群で音離れがいいので、聴いていてストレスがない。音色もクセがなく素直に出てきます。トゥイータはほんの少しだけシズル感を加えるといった感じで繋ぎました。

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●ヴァイオリンがのこぎりの目立てみたいな録音って意外と多いんです
 ただし、困ったことに再生する音源が高域を素直に作ってくれていればいいのですが、どうもミキシングで持ち上げてしまったり、もともとヴァイオリンがギスギスで録音されていたりすると耳障り。エンジニアでも気にしない人も少なくないのか、意外とのこぎりの目立て的な録音って多いんです。おまけに最近では「ハイレゾなんだから高域が伸びていないとね」なんて、無理に10kHz近辺を強調したり……余計なお世話です。その対応策として、トゥイータと抵抗によるアッテネータの合成インピーダンスを工夫して、トゥイータを高域側へ移してレベルも少し下げるスイッチを付けました。

●思いつきの第二弾

 これで低音の分厚さが出たらもっといいのになー。そんな無理言ったって12cmでっせ。これ以上要求するなんて……。でも鳴りがいいと欲が出てしまう。で、考えたのが先日作った20cm2ウェイをバラして、ウーファボックスにして組み合わせること。トゥイータを外して穴を板で塞ぎ、エンクロージャを逆さまにして、その上に12cm2ウェイをのっける。二階建ての3ウェイにしようというわけです。
 さて、この20cmウーファをどう使うか。12cmユニットの音が気に入っているので、できれば低域はスルーのままで使いたい。まずウーファに7mHのコイルを直列に入れて鳴らしてみる。200Hz辺りからだら下がりになっているはずですが、思いの外効果がない。4〜500Hzまで引っ張らないとダメかな……と、部品のストックから33μFを探し出して半田付け。これでいい。500Hz 12dB/octくらいになっているはずです。
 ただ、どうも密閉型のままだと低音が詰まった感じでつながりが良くない。というわけで今度は木の端材のストックを探します。すると三角形の端材が4枚揃うじゃないですか。これを組み合わせて斜めのスリットを作ろう。スリットの幅はどれくらい? そこは勘でエイヤッと4mm程度。ウーファの音離れがずっと良くなって、ああスッキリした!
 ネットワークはそれぞれのエンクロージャ内に組み込んであるので、2ウェイ単体でも鳴らせるし、ウーファをパラで繋げば3ウェイになります。2ウェイとウーファボックスそれぞれにパワーアンプを繋いでバイアンプにしてもいいですね。
 二階建てなので、上部を前後に動かしたり向きを変えたり、いろいろ実験できますし、波面がピタッと合うと立体的な空間が再現できるというそんな感覚が味わえますよ。

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お疲れさまでした! これぞカーオーディオの醍醐味!!
 7月22〜23日、ツインメッセ静岡で第3回ハイエンド・カーオーディオ・コンテストが開催されました。パイオニア・カーサウンド・コンテストから数えれば21回目になるはずです。何しろ日本でナンバーワンのカーサウンドを決めるコンテストですから、200台を超える猛者たちが全国から静岡に集結。私も審査員の一員として熱い闘いに参加させてもらいました。
 閉会の挨拶では、壇上で長話をするのもどうかと思い、簡単に済ませてしまいましたが、それだけでは参加された皆さんに失礼だろうと追加で書くことにしました。

今年の課題は難しかった……!?
 今年の課題は、井筒香奈江「リンデンバウムより」から「Stay My Blue〜君が恋しくて〜」と、チョ・ソンジンのピアノソロ、ジャナンドレア・ノセダ指揮ロンドン響によるショパンのピアノ協奏曲第1番第3楽章でした。まったく録音のコンセプトが違うので難しかったのではないかと思います。

井筒香奈江の声質とニュアンスの表現が決め手
 初日の夕方は井筒さんのライブ。翌日は会場で何台もの車を試聴されていましたので、井筒さんの声質や表現、今回の録音について、私の方から「こんなふうに再生したいんですよね」などとお話しすることができました。

井筒さん「いろんな音があるんですね」「とっても若くって可愛らしい声にしてくださって……」
長谷川 「あっ、そんなに可愛らしくなったら減点ですよ」
 2人で笑っちゃいました。

長谷川 「井筒さんの声って、低い方に表情があって素敵ですよね」
井筒さん「私って砂声なんですよ」
 そうなんです。彼女低い声を出すときに、わずかにザラッとした感触があって、そのフッと囁くような声が、哀しさだったり、憧れだったり、懐かしさだったり、いろんな表情を聴かせてくれる。このニュアンスが出ないと井筒香奈江じゃない。

親密で日常的な空間を描き出す

 今回の録音は「時のまにまに」シリーズとはかなり違っていて、これまではボーカルを主役にしていましたが、「リンデンバウムより」ではボーカルとピアノ、ベースの3人が互いにイマジネーションを交感しながら音楽を創り出している。そんな親しみのある雰囲気がポイントですね。だからボーカルがステージ上で「主役は私!」みたいに朗々と歌っちゃいかんのです。
 井筒さんは地下のスタジオでノイマンのU67(ポップガードあり)を前に歌います。距離は近いですが、スタジオ内の空間情報はかなり入っています。ピアノとベースはケーブルで引き込んで同録しています。でも、ステレオ音場はそれほど広くはとられていません。ですからピアノの高音域が右へ左へと散らばったら「違う」と感じてしまいます。キーンと金属的な音になってもいけないでしょう。
 このピアノはヤマハのアップライトですから、コンサートグランドのように堂々として輝かしく鳴ったら変ですよね。高音域にはアップライトならではのコツコツッという質感があって、それがステージとは違う日常的で親密感のある空間を創り出しています。
 曲はベースからスタートしますが、音像はほとんど中央です。これはあくまでウッドベースです。まるでエレキベースのように硬質感のある単調な低音を出していた車や、ブンブンとベースが自己主張してボーカルが負けてしまった車もありました。また、ブーンと鳴ったまま響きが止まらない車も……明らかに制動不足です。芯のある音色にボディ感をともなった温かみのある響きが出せたらOKです。
 ピアノの音像は中央からわずかに右へ広がるでしょうか。このベースとピアノで描かれた音空間にスッとボーカルが浮いてくるわけです。そのゾクッとするような実在感が決め手です。いわゆる物理的な意味での定位とは違って、リアルな音像として聴き手に伝わってきてほしいのです。もちろんボーカルが奥に引っ込んだり、膨らんでぼやけてしまってはいけません。空間情報をしっかりと描いていないと、この実在感が出てきません。
 空間情報とか空間の描写などと言うと、何となく音場をボカせばいい……そんな印象を持つかもしれませんが、それは間違いです。空間情報が描ければ、音場の立体感や奥行き感が自然に出てきます。ボーカルの輪郭を無理に誇張する必要もありません。

ショパン国際ピアノ・コンクールの話
 チョ・ソンジンは2015年の第17回ショパン国際ピアノコンクールで優勝した韓国の若手です。5年ごとにポーランドのワルシャワで開催されるショパン・コンクールでは、これまでアルゲリッチ、ポリーニ、ツィメルマンといった最高峰のピアニストを輩出しています。東洋人で最初に優勝したのはベトナム戦争の最中でも練習を続けたというダン・タイソン、そして中国のユンディ・リ、韓国のチョ・ソンジンと続きます。日本人の優勝者はまだ出ていません。
 面白いのは優勝したピアニストでもその後伸びなかった人もいれば、入賞者でも素晴らしいピアニストに成長した人もいることです。第8回で2位になった内田光子。1位のオールソンより大きく成長しましたよね。第5回では、何とアシュケナージが2位だなんて、そりゃないでしょ。このときの1位はポーランドのハラシェヴィッチ。ウーン……と考え込んでしまいます。第10回ではユーゴスラヴィアのポゴレリチの評価をめぐって大騒動。第3次予選の後、彼の演奏に対し複数の審査員が最低点を与え本選に進めなかったことで、「私は承服しかねる」「彼こそ天才よ!」と言ってワルシャワを去ったというエピソードはあまりに有名です。才能と異才、欠点のなさと将来性など、判断することがいかに難しいかを思い知らされます。

弦合奏のバランスが最初の関門
 さて、チョ・ソンジンの弾く協奏曲ですが、若々しさや勢いがある演奏ですね。ただし、同じアルバムの後半に収録されている「バラード」を聴くとよく分かりますが、彼はとにかく情感たっぷりに歌いたがります。テンポは動かすし、思い切った弱音も使います。表情の幅を必要以上に拡げようとします。それがコンクールではフレッシュで表現豊かだと評価されたのでしょう。でも、そのまま協奏曲にもってくるとちょっと困ります。ところが、さすがにベテラン指揮者です。協奏曲としてのフォルムを大切にし、音楽的な完成度を高めようと、自由に弾かせているようで肝心なツボは決して外さない。若者の才能を生かしながら見事にコントロールしています。
 第3楽章の冒頭。弦楽合奏による「ド・レ・ソ」の音型。第1、第2ヴァイオリンは全く同じ音。ヴィオラも同じ高さです。チェロは1オクターブ下、さらに1オクターブ下のコントラバス。ユニゾンですね。数十人の奏者が同じ音型を弾くのですから、その響きの分厚さは想像に難くないでしょう。このフォルテッシモが最初の関門です。低音域は十分に鳴っているでしょうし、ヴァイオリンとヴィオラによる強靱で厚みのある響きが不可欠です。

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倍音がどれくらい出ているか
 そこでヴァイオリンの「ソ」ですが、これは一番低いG線の開放弦です。いったいどれくらい低いかって? 200Hzよりも少し下ですが、ざっと200Hzということにしましょう。チェロは1オクターブ下ですから100Hz、コントラバスは50Hzになります。この響きでステレオ音場の幅がバシッと決まるわけですから、おろそかにはできません。思いの外低いと思いませんか。ここで「ワッ鳴ってるー!」と感じさせたいのです。貧弱な響きはアウトです。
 もちろん基音に加え倍音も出ますから、響きは複雑です。iPoneのアプリで周波数を見てみました。FFTで表示させると、ヴァイオリンではボディが小さいこともあって、基音の200Hz以上に倍音が猛烈に出ています。400Hz、800Hz、1600Hz……。300Hz、600Hzもかなり強く出ています。いちばん低い音程を弾いても3kHzを超える倍音が出るわけですから、高音域を弾いたら軽くハイレゾの領域に入ってしまうのはすぐにも理解できるでしょう。一方のチェロではボディが大きいこともあり、基音の100Hzがぐんと高くて、やはり1kHz以上まで倍音が出ることがわかります。

ヴァイオリンのG線の開放弦を弾くと

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チェロのG線を弾くと
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基音の支えがないと実在感のある響きにならない
 早い話、ヴァイオリンなら倍音だけでもそれらしく鳴ってくれるかもしれませんが、チェロやコントラバスではごまかしが効きません。実際、今回審査した車でもヴァイオリンの響きが薄っぺらだったり、サブウーファは鳴っているのに肝心の100Hzから500Hzあたりが欠落して「これっ、倍音しか聴こえない」という車もありました。基音の支えがない響きには実在感がありません。
 車室内なので、ある帯域が打ち消しあうことはあり得ますが、そこは何とかクリアしてほしいところです。また、測定すると音圧は十分なのに音楽信号として聴こえないという現象も起こり得ます。測定してフラットだ……と言い張っても、それは単一周波数の正弦波を入力していったときの音圧値であって、あくまで目安にすぎません。その音圧の中身が問題なのであって、無数の音が入り混じって同時に鳴ったときどう再現されるかが大切です、いくら音圧値が正しくても、音楽として解像できていなければ、無いも同然です。

ピアノの質感と音像感を大切にしたい
 冒頭から7秒ほどでチェロとコントラバスのピチカートが柔らかく入って、「さあ、出番ですよ!」と……そこで鮮やかなピアノが鳴り出すのです。このコントラスト感が指揮者の狙いです。巧いですね。ピアノの音色はとてもフレッシュで高音域まで輝いていますが、決して細身ではありません。
 ここで落とし穴。審査した車の中には思い切りハイ上がりでキンキンさせたり、無理にピアノを鮮烈に聴かせようとやり過ぎたものもありました。そのほうが躍動感があって若々しいと意図したのかもしれません。残念ながらその狙いはハズレです。
 昔の貧弱な録音だったら、巨匠たちのソロを際立たせるほうが効果的だったでしょうが、現代の演奏スタイルではソロとオケは対等に扱いますし、録音も解像度が圧倒的に向上しており、ソロだけを無理に際立たせる必要もありません。そんなミックスをしたら「今どきそんな古い感覚じゃね」などと揶揄されてしまいます。セッション録音であってもコンサートホールでのバランスを意識するはずです。
 映像で考えてみましょう。解像度が4Kや8Kにもなると、ハイビジョンの見え方とかなり違って、二次元なのに3Dであるかのような奥行きや立体感が出てきます。同時に建物や人物などの被写体の輪郭がどんどん細くなっていきます。こういう映像で被写体の輪郭を強調するためには周辺情報をぼかす、あるいは消すしかありません。その結果非常に違和感のある映像になってしまいます。それが非日常を意図した表現であるなら別ですが……。
 音の場合も同じで、解像度の高い音源なのに昔ながらの定位優先にこだわって、音像の輪郭を際立たせようと絞っていくと、空間情報が消されてピアノの音色が鉄琴のようになってしまうかもしれなせん。ピアノは固く巻いたフェルトのハンマーで響板に張ったピアノ線を叩いて音を出します。ですから、どんなに鋭角的な打鍵でも金属音とは違います。極端な比較かもしれませんが、マリンバがヴィブラフォンに聴こえたらアウトなんです。鉄琴になっちゃいけないのです。どこかにフォーカスを合わせると、どこかの情報が消えてしまう。メリハリ感は出るかもしれないけれど、それが微小レベルを消すことで生じたものだとすれば、ハイレゾ時代の感覚ではないと思います。
 チョ・ソンジンはショパン・コンクールでもヤマハ、カワイ、ファツィオリ、スタインウェイの中からスタンウェイを選びましたし、今回もスタインウェイのはずです。スタインウェイの音色は華麗ですが、どこか円やかな質感があるんです。ぜひ音色を大切にしてください。それにしてもショパン・コンクールをサポートするピアノメーカー4社のうち2社が日本のメーカーだというもの凄い話ですね。

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