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駄文置き場のブログ −1st season−

のんびりまったり更新中。『おとなの掟』も募集しております(^^)

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Special thanks! Ms Loki and Ms Sorairo  



「美作さんなんて大っ嫌い!!!」

牧野はそう言って、走っていった。
俺は呆然とそれを見送っていた…。

***

二人とも社会人。お互いに仕事を抱え、忙しい。ジュニアという名前に甘えず、平社員からはじめた俺は、普通の社員の仕事プラスジュニアの仕事があり、学生時代が嘘のようにひたすら仕事をしていた。牧野は中小企業の一般職。やっと仕事を覚え、同僚にも恵まれ、毎日精力的に仕事をしている。

実は牧野が入った会社は美作の関連会社のひとつ。あとから知った牧野はがっくりしていたけど、まだ美作さんのところだからいいか、と言っていた。それってどういうことだ?司や類のところだと、何か問題でもあるのか?なんとなくわかるような気もするけどな。

同じグループ内とはいえ別会社。休みなど、ある程度共通項はあっても、普段はまったく交流がない。ところが美作グループの会社で、会社の枠を超えたプロジェクトチームを組むという試みがあり、牧野は同僚とともにプロジェクトに選抜された。で、俺もそうだったわけで。

各会社の精鋭チーム。でも最初はぎくしゃくしていた。野心家もいれば、プライドの高いものもいたし、能力は高いものの、チームを組むコミュニケーション能力の低いものもいた。そして俺という存在。男は将来のために取り入ろうとしたし、女は別の意味で取り入ろうとするものがいた。

そこで本領発揮したのが牧野。長女気質で世話焼き。リーダータイプではなくて、スーパーサブタイプ。チーム内のコミュニケーションを円滑にし、リーダーをもり立てていく。最初に俺の後輩であることは皆に公表していたので、女たちからはライバルとは見なされず、男たちからは頼りにされ。だんだんチームはまとまっていった。

そして、当初の目的を上回る成果を上げ、プロジェクトは成功裏に終わった。あとは、各会社に任せればよく、チームは賞賛とともに解散することになった。

一緒に仕事をしている間、俺と牧野の間は確実に変化した。仕事をする上で、重要なことを任せる・お願いすることのできる、信頼できる相手。毎日同じ目標に向かって、努力する同志。

お互い声に出して言ったわけじゃない。でも、周りが認めるほど、息の合ったパートナーとなっていたんだ。仕事のあと、飲み会や打ち上げ。常に一緒。そして、二人の距離はどんどん縮んでいった。

司の時とは違う。おやじもお袋も、妹たちも俺を応援してくれている。何より、俺が牧野のいない生活なんて耐えられない。意を決して、プロジェクトチームが解散したあと、二人だけでお疲れ会をしようと言って、レストランを予約した。おいしい料理を食べた牧野の目はきらきらし、頬はほんのりとお酒で紅潮していて、見ていたら、そのまま目が離せなくなっていた。

「まき・・・」プロポーズしようとしたそのとき。
「あら、あきらくんじゃなくって?」
という、やや甲高い声。それとともに、俺の横に立つ女から香水のにおいが押し寄せてくる。
そう、前におつきあいしていたことがあるマダム。
俺と別れて旦那を選んだはず。それなのに・・・。

内心舌打ちをしながら、顔だけはにこやかに挨拶をしたが、彼女は強引に話を続けようとする。どうも酔っているらしい。慌てて彼女の元に来たパートナーは旦那ではなかったが、とりあえずは、彼女を連れて行ってくれた。・・・でも俺たちの間にはなんとも言えない白々とした空気が漂っていた。

「あ・・・牧野、今の人は・・・」
「うん、わかってる。昔お付き合いしてたマダムなんでしょ」といいつつ、帰り支度をしようとしている。
「そろそろ帰るね。お料理おいしかったです。」
微妙な空気をどうしようもなくて、外へ出た途端、別のマダムから声がかかってしまった。「あきらくん、お久しぶりね」
といいつつ、腕を絡めてくる。
なんとか、礼を失しない程度の相手をして、振り返ると、牧野はちゃんと待ってくれていた。

ほっとして、そばによると、牧野は顔をしかめた。
マダムたちの香水のにおいだ。
それで、牧野の堪忍袋の緒が切れた。

「美作さんなんて大っ嫌い!!!」

牧野はそう言って、走っていった。
俺は呆然とそれを見送っていた…。

***

「昔の悪行の報いだな」と言うのは、同じ、いやもっと悪さを繰り返していた悪友。
総二郎を呼び出して、泣き言を聞いてもらっていた。

マダムたちは過去。すでにきちんと別れているのに。
「それはお前の言い分。でもな、たとえば牧野の昔の男、まあ司だな、司が自分の目の前で牧野を抱きしめたらどう思う?」
!!!!!絶対にイヤだ!
「だろ?同じだよ」
・・・余計にへこんでしまった。

あれ以来、牧野は俺からの連絡に応えてくれない。電話もメールも無視。LINEに既読はつくけど、返事はない。プロジェクトは終わって、それぞれの会社に戻っているから、全然会えない日が続いている。牧野が足りない。・・・耐えられない。待ち伏せするしかないか、と思い詰めていると、総二郎が言った。

「で、お前は牧野をどうしたいわけ?」
決まってるだろ!
「おーい、俺は何も聞いてないけどな?」
え?は?あ・・・。
「付き合いたいってことか?」

情けないことに、言われて始めて気がついた。俺は牧野に何も言葉に出して言ったことはない。一緒に仕事をして、一緒に食事をして・・・それだけ?自分だけで盛り上がってただけか?

「違う。結婚したいと思っている。あの夜もプロポーズするつもりだった」
「あのなあ・・・。口に出して伝えないと、相手にはわかんねえことも多いんだぞ」

そうだよな。なんとなくわかってくれてると思ってたけど。そんなの勘違いかもしれないと思われたら終わりだし。

「好きなのか?」
「ああ。好きだ。」
「じゃあ、ちゃんと言ってやれよ!プロポーズよりそっちが先だろうが!」

まったくなっちゃいねえな、と首を振る総二郎。
「ということらしいぜ、つくしちゃん」

つくしちゃん!?

総二郎は部屋の隅のついたての陰から牧野を引っ張り出してきた。真っ赤な顔をしている。思わず飛びついて抱きしめた。

牧野、ごめん。
牧野、好きだ。

抱きしめられて体を硬くしていた牧野。その小さな手が俺の背中にまわった。
うれしさがこみ上げてくる。
牧野・・・。

総二郎はひらひらと手を振りながら出て行った。サンキューな、総二郎。

柔らかな体を抱きしめて、その耳元に、好きだ、とささやき続けた。

FIN




司ver. for 『明日咲く花』master:asuhana
類ver. for 『類♡だ〜い好き』master:riorio
総ver. for 『空色の時間』master:sorairo
つくしver. 
for 『おとめつばき』master:loki


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うふふ、素敵でしょ? いいでしょ?
以前よりお世話になっているロキ様から
「お中元にF4のお話を書きました。4人に1話ずつ…」ということで
お話を頂戴したのです(^^)♪
ロキ様ご指定で、司ver.はasuさまへ。
あとは仲良く3人で分けて…拙宅ではあきらくんをゲットしてきました〜(^^)♪
更につくしver.も加わり、同じテーマで5つの味。
それぞれ色合いが異なっていて素敵ですよ。
他の4作品と読み比べると…楽しさ5の5乗…3,125倍になりますよ(^^)♪
そして頭の画像は、空色さま作成。5人分、作って頂きました。 
ありがとうございます〜<(_ _)>
お中元のお返しは………はは……期待しないで……<(_ _)>


なお、この作品に関する権利の一切は、作者であるロキ様にございます。
無断での転記、配布、加工、
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ロキ様へのオープンコメントが照れます〜と仰るシャイな方。
私で宜しければ伝書鳩になりますので、クローズコメントでお気軽にそうぞ♪

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