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今回、お話するのは『スターウォーズ』の真の魅力である。
もちろん、各個人の楽しみは自由だが、この記述で少しでも見方が変わったと思っていただければ幸いだ。(全エピソードを御覧になったと仮定してお話します。)
『スターウォーズ』シリーズをジャンルに別けるならば“SF”“ファンタジー”“アクション”といったところだろうか?
だが、私は特にジャンルではわけない。なぜなら、華やかな見ためとは違った、実に深く、教養性の高い物話であるからだ。
さらに、『エピソード3』に限っては、悲しい教訓を我々に訴えている作品である。
私は旧3部作から観たのだが、ベイダーは完全に悪の化身として描かれていた。最後に人の心を取り戻すが、あくまで悪人としか見れない存在だったのだ。しかし、今回の作品でベイダーの見方が大きく変わることになった。ベイダーは自ら招いた過ちから悪の道へと転落したが、彼なりの正しいと思う解釈だったのだと思う。アナキンは、とても純粋な男だ。束縛、悩み、裏切り、そしてたったひとつの過ちが彼を180度変えてしまった。それは誰にでも起こりうる人生の転機だったのかもしれない。よく『エピソード3』の批評で「暗黒面に落ちる過程が早い」とか「じわじわと悪くなっていくと思った」などと言ってる人がいるが、むしろ、ある一時の出来事が人を大きく変えるほうがリアルではないだろうか?そして、彼の人生を知った後に『〜ジェダイの帰還』を観れば解ると思う。人の心を取り戻すというよりも、ジェダイとしての信念とパドメを愛していたころのアナキンに戻ったのだ。タイトルのジェダイの帰還とはまさにアナキンのことを指していると言えよう。
劇中ではアナキンを中心に描いているので、削除されてしまったシーンや描かれていないシーンが存在する。それらは発売中のDVDや小説版で知る事ができる。大きくなくなったのはパドメの政治的なシーン。パルパティーンの横暴に反対派として会議したり、議長の座を退くように嘆願書名を渡したりするところだ。小説でも多く語られていて、パドメが影ながら努力をしていたり、やはり彼女もアナキンの事と政治の事に板挟みになっていて葛藤していたりする。また、後のストーリーに関わってくる反乱軍の前身の誕生や、アナキンとパドメのプレゼント交換、その他、小説だとそれぞれの心理描写が事細かく記してあるので、作品の深みがグッと深まる。
『スターウォーズ』サーガの物語は新3部作と旧3部作に別れていて、アナキンからルークへと主人公が変わっていくが,出来事は共に共通している。大まかに言うとこんな感じだ。
<ルーク・スカイウォ−カー>
オビ=ワンに見い出されジェダイに。
その後、デス・スターを破壊し活躍。
↓
ソロ、レイアが帝国の手に落ち、救出へ。
ベイダーに敗北し、右手首を切り落とされる。
↓
ジェダイナイトに成長。
皇帝に誘惑されるも断り、ジェダイを貫く。
<アナキン・スカイウォ−カー>
クワイ=ガンに見い出されジェダイに。
その後、分離主義者のステーションを破壊し活躍。
↓
オビ=ワンが分離主義者の手に落ち、救出へ。
ドゥークーに敗北し、右腕を切り落とされる。
↓
ジェダイナイトに成長。
シディアスに誘惑され暗黒面に堕ちる。
とても簡単に書いたが、他にもリンクポイントはたくさんあるので探してみるのも面白い。
このことは単に、アイデアが無かった訳ではなく、アナキンの転落から再生を語る上で非常に重要なことなのだ。父親も息子も同じようなことを経験し、成長してきたが、最終的な結果はまったく違うものになった。これは一種のメッセージなのだ。生きていく中で、人生の受難は多種多様に向かえるものだ。しかし、自分の意志の持ちようひとつで結果を変えることもできる。人間だれしも暗黒面に堕ちる可能性があるが、明るい未来を掴むことができる。しかし、仮に墜ちたとしても、精一杯の代償をはらえば償いができるということだ。無論、アナキンは命を掛けることによって、その償いをした。ここに、そのシリーズの強いメッセージと、<フォースにバランスをもたらす選ばれし者>の真意が込められているのだ。
この映画の見所は視覚的にも素晴らしい。ほぼ、すべてのロケーションが100パーセントあり得ないところばかりだ。タトゥイーン、ホス、ダゴバ、べスピン、エンドア、ナブー、ジオノーシス、コルサント…特にEP3のクライマックスを飾る火山惑星ムスタファーの合成には拍手がでる。ライトセーバーアクションもさることながら、ヨーダを初めとしたコンピューター技術の生み出したキャラクターたち。1秒たりとも目を離させない、その斬新なスタイルとイマジネーションの世界には感服するばかりだ。
今後の展開としてTVドラマ版や全エピソードの完全版の公開なども予定されているが、この映画は何年も先、永遠に語られていくに違いない。ストーリーの根底には様々な神話や伝説、宗教、聖書の教えにいたるまでをすえてある。だからこそ、世界中の人々が感銘をうけるのだ。
興行成績が良いからといって絶賛するのも、また然りだが、それ以上に観るものを強く引き付ける要素がある。私にとっての『スターウォーズ』は単なるエンターテイメントの域を大きく凌駕している。その思いは映画その物の思いに繋がるくらいに。理解出来ない人には到底解らない世界感だ。
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