山登りとスケッチ、それとJAZZ・・・

いろいろあるから楽しいんですよね、人生って♪
長年のご愛顧、ありがとうございました
 
 
時の経つのは早いもので、本ブログを初めて8年が過ぎようとしています。
これまで、とても多くの方々にいろいろ教わったり、楽しませていただいたり、
とても有意義な交流をさせていただきました。
 
しかしながら、勝手なことではありますが、考えさせられることもあり、
いったんこのあたりでひと区切りつけたほうがよいという気持ちになりました。
 
 
このブログは、これまで多くの大変貴重なご意見、コメントを頂きましたので、
許される限りこのまま残しておきたく思います。
そしてまた、今後、新しい気持ちでやってまいりたいと考えてます。
 
 
 
もちろん、ブログをやめるつもりは今のところありません。これからも様々に
お付き合いさせていただけたらと思っています。
今後は下記のページにいらしてくださったら幸いです。
 
 
 
新しい引っ越し先のブログは…
 
 
 
このブログのほうは、これまでまったく別なテーマでアップしておりましたものです。
とりあえず、そちらの方を利用して、合わせてやってまいりたいと思います。
 
新しいほうのブログでの登山関係の記事は、基本的にはこれまでと何ら変える
つもりはありません。ブログでの発信の目的も同じです。とくに山で描いたスケッチを
ご覧になってご評価いただければと思っております。また、記録というか、
まったくの個人的な登山日記のようなものも、懲りずに引き続き書いてまいります。
 
 
これまで、ありがとうございました。
そしてまた、よろしければ今後ともおつきあいのほど、お願いいたします。
 
 
しょ〜すけ

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焼岳登山記(3)〜2010年夏〜
 
初めから読んでくれる方はここから。
 
2010年7月、焼岳に登りました
新中ノ湯コースを登っていきました〜。
 
イメージ 1
 
 
<焼岳山頂にて…>
 
「笠ヶ岳の雲だけ取れないなあ」
三脚を立てていた男性が、仕方ない、と諦めて下りていった。
天気も意地悪なものだ。
その男性が去ってまもなく笠ヶ岳も見えるようになってくる。
そうしてもっと遠く、鷲羽、水晶と、北アルプス核心の峰々が見えてきた。
あれは野口五郎。
 
「あれは白山かな」と“凄いおじさん”が言ったが、それはちょっと不確かで疑わしいと思われた。
たぶん白山は見えていないだろう。
中央アルプスも、はっきりとは見えていない。
 
穂高の吊尾根を描いていると、背中から最も気になることが聞こえてきた。
「南峰にも人がいるよ」
今回の焼岳登山の主題のひとつとして、最高点南峰に立てるかということが頭にあった。
その南峰に人がいると聞こえて、驚くように振り返った。
見れば、数人かあっち南峰の上を歩いている!
(やっぱり登ることもできるんだ…)
落ち着いてスケッチに集中できなくなった。
 
スケッチをとりあえず仕上げて、南峰にいってみることにした。
水とスケッチ道具だけ持って、その他はザックごとここに残して向かった。
北峰を下り、鞍部に戻ってきて、いよいよ南峰に取り付く。
見た感じでは特に難しそうな場面はない。
岩をよじ登っていくが、その高さはたいしたことはない。
ただ、部分的に岩がぐらついてたり、脆くて崩れそうなところもあるのは危なっかしい。
ひとつかみずつ確かめながら登っていけば、とくに困難はなかった。
 
岩崖を上がりきって南峰の一端に立てば、そこから頂点まではもう緩やか。
あの岩のところが最高点だ。
草がいっばい生い茂っている快適な稜線で、踏み跡をたどっていく。
北峰と比べて、同じ焼岳だとは思えない。
辺りは花畑といってもいいくらい植物が豊富だ。
シラタマノキの香りがする。
北峰では火山性ガスの臭いが強かったが、こっちではほとんどそれは感じられない。
もちろんガスの臭いの有無で危険性を測ることはできないが、
硫黄臭の北峰とシラタマノキの香りの南峰、まったくの異世界だ。
 
南峰は一応登頂禁止とされている。
その理由は火山性ガスの危険性が主だと思っていたが、登ってみた感覚からすると、
北峰のほうが影響を強く受けているのではないだろか。
岩登りの不安定さや頂稜部の植生保護、これらのほうが禁止の目的なのかもしれない。
 
南峰頂点、いや焼岳の頂上に立った。
もう一度書くが、北峰の火山光景とはまったく別世界。
天空の草原。北峰に立って、その環境でもって焼岳を印象づけていた。
でもそれは焼岳の半分しか見ていなかったということだ。
頂点には岩が生えるようにあって、その足元に小さな看板が置かれていた。
消えてしまっていてなんと書かれていたのか読めないが、きっと「焼岳」、「焼岳南峰」と、
山頂を示す札のはずだ。
 
北峰に数人いるのが見える。
みな、たいてい穂高の方に目を向けている。
少々後ろめたさがないわけでもないので、岩の陰に寄りかかって休んだ。
しばらくして、焼岳で一番高いであろう岩の上に立って見晴らした。
大展望!
数時間前には雲の邪魔があったことなど、すっかり忘れてる。
笠ヶ岳、水晶、槍穂高…、挙げていったらきりがない。
昂ぶった気持ちがひとつ落ちついてから、槍を中心にして一枚描いた。
そしてしばらくのあいだ、この気持ちよい夏の北アルプスの一部になって昼寝した。
 
イメージ 1
焼岳南峰より槍ヶ岳
 
1時間くらい南峰で過ごしただろうか。
北峰に見える人の数も、もうぐっと少なくなっている。
あっちに戻ろう。
南峰を下る岩場で、登ってくる男性とすれ違いになった。
 
鞍部に下りて、北峰へ上り返しにかかると、下りてきた男性が空身の僕を見て言った。
「ああ、あのザック、あなたの?ずっと置きっ放しだったから、どうしたのかとみんなで
 話してたんだよ。落っこちてしまったんじゃないかって」
 
北峰に戻ってくる。
もう山頂も静かになってくる時間。
男性二人組みと単独女性がいるだけだった。
その男性たちも、もう下山するところだ。
ちょっと水に余裕があったら分けてもらえないかと頼んでみたが、足りなそうということだった。
 
彼らが下山していって、北峰頂上は単独女性と2人だけになった。
こういう場合、黙っているほうが気まずいというもの。
彼女のほうが話しかけてきた。
「とってもいい天気でよかったですね。なかなか休みが取れなくって、こんないい天気で
 登ることなんてそうはないわ。下りちゃうのがもったいないわね」
山の話が主体だったが、他にも色々と広がっていく。
彼女は八ヶ岳のふもとの農業学校内で観光系のような仕事をしていて、休日にはバイクで
ツーリングにもよく出かけるという。
活発なアウトドア派だ。
 
中でもおもしろいと思ったことは、彼女が鉱物に強く興味を持っているということだった。
「焼岳は生きている火山だし、おもしろいの。新鮮な岩が採れるんだもの」
石に対して“新鮮”という表現を使う彼女、これが僕にとっては新鮮だ。
「実はここにテント張って泊まろうかと思って。でも、さっき行ってきたんだけど、
 南峰のほうが安全そうかな」
 
そろそろ下山するという彼女に先駆けて、北峰を下りた。
分岐の鞍部にくると優柔不断さが出て、南峰にあがるのが億劫になった。
(この鞍部で張ってもいいか…)
ひとまずザックを降ろして岩に座った。
北峰から彼女が下りてくるのをなんとなしに見ていたが、気づくと姿が見えなくなっている。
石でも観察しながら歩いているのだろう。
しばらくするとゆっくりこっちに近づいてきて、ニコニコしながら、「ほらっ!」と
包みを開けて見せた。
それは黄色く硫黄分が付着した石。
これが“新鮮”な石か。
きれいに結晶化していて、丁寧に扱わないと新鮮な部分がポロポロ崩れてしまいそうだ。
優しく包みなおして、「じゃあね」と下山していった。
しばらく、姿が見えなくなるまで見送っていた。
 
鞍部で休んでいたら、やっぱり南峰へ上がる気が起き、ザックを背負いなおして岩に取り付いた。
もうこの時間に登ってくる人はいない。
自分ひとりになった焼岳。
南峰の最高点の草のない部分を選んで設営した。
後はもう日没を待つだけ。
 
夕刻になるとガスが湧いてきて辺りを白く包んだが、日が沈む頃にはそれも大部分で晴れ直した。
山頂稜線を西側まで行って、オレンジに輝きながら暮れていく落陽を見送った…。
 
夜中、ガスっているかと思いつつ外をのぞく。
しかしそれは要らない心配だった。
向こうの山並みも夜明け前のシルエットで見えている。
下界のほうでは、信号だろうか、黄色く点滅する光が見える。
これなら御来光も期待できそうだ。
 
そうは言うものの、昨夕や夜中の空の具合から、あまりいい天気は望めないのではと
思わないでもなかった。
しかしそれは嬉しい予想はずれであった。
朝陽が霞沢岳から美しく光を放って、一日の始まりを告げた。
展望は昨日にも増して遠くまで見通せる。
霞沢岳から稜線を目で辿って蝶ヶ岳、常念と見渡し、向こうの山並みに転ずると、
それは中央アルプス。
南アルプスは甲斐駒、北岳、塩見、悪沢と、一座ずつ点呼できる。
焼岳で、今こうして眺めているのは僕だけ。
とっても価値ある展望だと、しばらくのあいだ見惚れていた。
 
テントを撤収して歩き出す。
そのまま南北峰の鞍部に下りてしまうのもつまらないので、西側から廻っていって、
火口へ下りてみよう。
下りられそうな崖斜面に当たりをつけておいて、南峰稜線を進む。
だんだん薄いガスが流れてきて、スッと眺めを遮る。
煩わしくも思うが、天気自体は快晴。
この付近だけの一時的な戯れに過ぎない。
 
あたりをつけておいた下り斜面、ズルズルッと滑り不安定で急なところもあったが、
難なく火口に下り立てた。
南峰に登ることを考えたら、昨日鞍部から直接登った岩崖より、こっちのルートのほうが
まだ優しいかもしれない。
火口内を時計回りで歩いていく。
火口壁を下りているときに視界を遮ったりしたガスは、いつのまにかすっかり消え、
真っ青な空と見上げる火口壁稜線が非現実的な美しさだ。
 
火口平原内にある湖には、“正賀湖”という名があると聞いたことがあるが、
それが正式名称なのかは知らない。
その火口湖の畔に立った。
上から見下ろしたら神秘的なコバルトブルーだったけれど、湖畔で間近にすると
透明できれいな水を湛えた静かな池。
手ですくって一口飲んでみた。
特別、火山だから、というような酸っぱさとか苦さはなく、ごく普通の水だ。
火口平原全体を少しだけ現実的に見えるようになった。
 
この湖や平原全体が火口なのだろうが、その中でも北側に真の火口というか、
深い巨大な口を開いた穴がある。
それこそがまさに現役の火口なのかもしれない。
南北峰鞍部や北峰頂上からは、この穴は位置的に見えない。
湖畔からその大穴のふちに上がっていって、中を覗きこんでみた。
それは吸い込まれそうな大口。
直径30m、いやもっと大きいか。
現実的感覚がまた薄れてくる。
覗き込んでもそこは見えない。
暗闇に誘い込むブラックホール…。
穴の壁はもちろん溶岩なのだろうが、ゴツゴツとした岩ではなく、ツルンとした表面で、
融け流れがそのまま固まったような岩。
それが吸い込まれそうな感覚を起こさせる。
これまでも色々火口や火口跡をのぞいているが、この焼岳の大穴はどれとも似ていない不気味さが
あった。
 
火口内から南北峰鞍部へ登っていこうと見上げると、上で人が二人立っている。
(もう登ってきた人がいるのか。早いな…)
鞍部へ登っていくとそれぞれ単独行者で、もちろん火口湖の様子を聞かれた。
どうだった?」
 
一人はもうすでに北峰のほうへも行ってきたらしい。
彼は、北峰から派生している岩稜を指して言った。
「あの岩の稜線を歩いてきたんだと思うよ」
しかしあそこは歩けまい。
ちょっと勘違いをされているようだ。
二人でその点について議論したいたらしい。
もうひとりはこれから頂上へ向かうところらしいのだが、
「南峰と北峰、百名山はどっち?」
と、いまひとつずれたことを聞いてきた。
百名山信仰もこうなるとあっけに取られてしまう。
もう焼岳に登っているのではなく、“百名山”に登っているに過ぎない。
ちょうどそれにあわせるかのように、若い女性二人が上がってきた。
火口湖を見下ろして、大声で感動してくれたおかげで、彼の質問に答えずにすんだ。
 
彼らが北峰へ登っていくのを見送って、往路を下山しはじめる。
途中、大岩に「2300」と書かれてあるのを見つけた。
昨日登っているときには気づかなかった。
こんな大きなペンキ文字を見落としていたとは。
なるべく広くアンテナを張っているつもりだったが、登りと下りとでは
まだまだ心の感度、ゆとりに差があるようだ。
 
ここが2300mということは、焼岳標高は2455mだから150mも下りてきたわけだ。
振り返って仰げば、白い岩とさわやかな緑、稜線の上には真っ青な空、絵に描いたような夏山だ。
黒部五郎のカールの縮小版、そんな風に思える光景だ。
美しさが清々しく輝いている。
 
下りながら何度も何度も立ち止まって、景色を眺めまわした。
登っていくときにはあんなに時間がかかったのに、下りは意識してゆっくり歩いてもあっという間だ。
分岐広場まで戻ってきて、ザックを降ろした。
休憩していた男性が、座っていた丸太ベンチを譲ってくれる。
しばらく彼と焼岳の話をし、登っていく姿を見送った。
そしてここから見上げる焼岳をスケッチした。
青空に昇らせている白煙が印象的な景観であった。
 
イメージ 2
中ノ湯分岐広場から焼岳
 
焼岳は現在北峰の2444mをもって頂上としている。
しかし今回最高地点2455mの南峰に立った。
しかもそこで一夜を過ごせた。
最初にも書いたように、あくまでまったくの自己満足に過ぎないのだが、
やっぱり一番高いところに立ってこその登頂だと思う。
これで“焼岳北峰に登った”ではなく、“焼岳に登った”といえるようになった。
この自己満足感は標高差11mをはるかにしのぐ大きなものだ。
 
下山後はずっと気になっていた釜トンネル入口にある『ト伝の湯』に入った。
小さな岩洞窟の風呂。
温泉歴のほうにも大きな一行を加えることができ、気分よく帰路に着いた。
 
終わり。

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焼岳登山記(2)〜2010年夏〜
 
 
初めから読んでくれる方はここから。
 
2010年7月、焼岳に登りました
新中ノ湯コースを登っていきます〜。
 
 
イメージ 1
 
<焼岳北峰登頂…>
 
鬱蒼とした樹林がダケカンバの目立つ林に変わって、いくぶん雰囲気が明るくなってきた。
そして大きく視界の開けた広場に出た。
やはり昨日までの山旅の疲れが残っているのか、足取りがずいぶん重い。
ここで先を見上げると、焼岳の焼岳らしい岩のゴツゴツした頂稜部が見えた。
すっきりとした青空のもとで見上げたかったが、それは叶わない。
ガスが流れていて、岩稜上部は見えたり隠れたりを繰り返している。
ベンチ代わりに、と置かれてある丸太に横になって、少しでも回復してこないか、待つ時間をとった。
この回復は、ガス霧消と体力疲労の解消の両方の意味がある。
 
休んでいると夫婦が通り過ぎていく。
「分岐はこの先かな」
この広場でなく、先の旧中ノ湯ルートの合流点で休むらしい。
追うようにして立ち上がり、数分いくとその合流点であった。
夫婦は腰を降ろして休憩している
挨拶とともに少しばかり言葉を交わした。
「もうなんだかがて気味で…」
前日までの山旅のことなど話して先に歩き出すが、追い越されるのは明らかだ。
 
分岐からは、もうずっと焼岳の岩塊を見上げながらの道となる。
ちょうど南峰と北峰のあいだの広い谷を登っていく形で、開放的で明るい環境。
合流点までの樹林の鬱蒼感と180度ひっくり返した変化だ。
“分岐”とはもちろん新旧の登山路の分岐のことだが、この環境の境目でもあったのだ。
 
一歩ずつゆっくりと休み休み登っていく。
さっきの夫婦にはとっくに抜かされた。
岩の上でゴロ寝するように休んでいると、今朝バスから登っていった団体がもう下りてきた。
「いいトコで休んでるねえ」
オジサンが声をかけてくる。
オバサンに、「あのバスの団体ですか?」と聞くと、その人は自分が団体の一員であることが
嫌ならしく、それが表情からよく読み取れた。
最後尾のほうで一人の女性にちょっとお願いしてみる。
「あの、もう下りのみですよね。よかったら水を少し分けてもらえませんか?
彼女は少々迷って、やっぱり必要だからととのこと。
申し訳なさそうに断られるので、こっちの方が恐縮してしまう。
それを聞いていたオジサンが、
「我々はもう下りだけだよね?じゃああげよう」
と仲間に確認して応じてくれた。
しかし残念ながら彼の水筒の中身は麦茶で、それを頂いてポリタンに入れるわけにはいかない。
今度はこちらが丁寧に礼を述べて断った。
 
この頃になると、雲やガスがだいぶ少なくなって青い空の占有面積が大きくなってきた。
よし!
気分が乗ってくる。
疲労が溜まっていたからとはいえ、ゆっくり時間を賭けて登ってきて正解だ。
朝早く登ってもう下っていく団体は、少々残念なことだ。
 
登っていくにつれ、どんどんと晴れ渡るようになってくる。
見上げる空はすでに快晴。
登っていく広々とした谷の両サイドはゴツゴツとした白い岩稜の壁。
目指す南北峰の鞍部付近には、青空を背景にして白煙が噴出されている。
周囲はゴロンとした岩と鮮やかな緑の草が太陽の光をまともに受けていて、明るく夏山らしい世界。
駐車場を歩き出したころのすっきりしない空、なんとなく湿っぽい樹林を経てきた後だけに、
気分がうきうきと弾んでくる。
途中で振り返ったら、雲の上に乗鞍岳の頭が青空へ突き上げていることに気づいた。
ああ!興奮してきた!
 
分岐から南北峰鞍部まで、地図コースタイムで1.5時間。
近年は登るペースが自分でも驚くほど遅いのだが、今日はいつも以上に時間をかけている。
もう1.5時間なんてとうに過ぎているが、目標の稜線はまだずいぶんと上にある。
バスの団体がすでに下山していったこともそうだが、登山口でちょっと言葉を交わした単独の
男性ももう下りてきた。
彼らのほうがごく普通のペースなのだろう。
まあ、いい。
こっちは上で泊まろうと思っているのだから。
別に急ぐ理由はない。
「山頂での展望、雲であんまり…。特に向こう側はガスが濃くって」
下りてきた彼が言った。
ここからは向こう側、新穂高温泉や笠ヶ岳方面の様子はわからない。
稜線に登りあげてパッと広がる“向こう側”の景色に期待していたのだが…。
こういう話は、登っていくモチベイションを考えたら聞かないほうがいいかもしれない。
(しかし空を見上げる限り、急速な回復だし、彼が頂上にいたときとはもうだいぶ違うだろう)
そう思いながら、また歩を進めていく。
 
稜線鞍部に手が届きそうになる頃から、テントが張れそうな適地をチェックするようになる。
前回登ったときの記憶では、北峰頂上でも南北峰鞍部にも平地があったと思うので、
この辺りでのチェックは保険的。
そしてようやく南北峰鞍部に登りあげた。
 
オオ!
ここに立つまで見ることのできない“向こう側”の焼岳火口が、パッと眼に飛び込んできた。
火口内にある池はコバルトブルー、神秘的だ。
北峰の岩からは白煙が音をたてて噴出している。
硫黄臭もする。
焼岳はやっぱり火山なんだなあと、あたりまえのことをあらためて思う。
向こうに眺められるはずの笠ヶ岳は、やはりさっきの男性が言っていたように
雲がかかってしまっていた。
 
まずは北峰に立とう。
溶岩が固まってからそんなに時間が経っていないと思わせる角々しい岩。
それらを踏み辿るように登っていく。
焼岳小屋、中尾峠から上がってくる道をあわせ、北峰への最後は岩登りだ。
この分岐点でもテントは張れそう。
岩をよじり登ったら、北峰へ上がっていく。
 
(やっと着いた…)
山頂標に向かって進んでいくと、
「あ、登ってきたね、お疲れ!」
そう迎えてくれたのは、中ノ湯ルート分岐で話した夫婦だった。
また別の顔見知りも「お疲れさん!」と笑顔をくれる。
「いやあ、着いた着いた。迎えられての到着だ!」
と疲れが消えていきそうな心温かい登頂であった。
 
北峰の頂き、土の露出した比較的面積ある山頂である。
相撲の土俵ひとつは取れる。
展望もいい。
まだ少しばかり雲が漂うにしてあるが、空は全体に青い。
前穂と奥穂が吊尾根で繋がった、最も穂高らしい姿をこっちに向けている。
その向こうには槍の穂が天を突く。
笠ヶ岳は雲に隠されて見えないが、大正池を挟んだ霞沢岳が次第に全容を現すようになってきた。
 
呼吸を整えながら眺めていると、男性が話しかけてきた。
すぐに北アの話題で盛り上がる。
登山が好きで定年後長野に引越してきたという。
朝起きて天気がいいとパッと日帰りでアルプスに登るのだというから、もう健脚そうだし、
根っからの山好きだ。
ちょっとうらやましい。
彼の披露する登山歴話に、福岡から来たという夫婦も加わって、
奥さんが“凄いオジサン”と歎美する。
この福岡の御夫婦は昨日まで穂高に登っていて、槍への縦走も考えていたが
奥さんの体力を考慮し、今日ここに登ってきたのだとのこと。
「北アルプスは憧れよね。九州からだと来るだけで大変」
“凄いオジサン”ほどではないが、関東在住は山に対してはありがたいことだ。
 
「すごいおじさんと写真撮りたい!」
はしゃぐような奥さんに旦那さんはカメラを向ける。
そんなこんなしているうちに槍穂がすっきりと見えるようになった。
ちょっとスケッチしよう。
だんだんと雲はなくなって、どんどんいい方向へと向かっている。
スケッチ一枚仕上げるあいだにも、空気がよりさわやかに変化していくのがわかる。
 
イメージ 1
焼岳より穂高
 
つづく…

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飯豊本山小屋付近からの展望スケッチ〜〜♪
 
 
おととし秋の飯豊登山から〜。
 
 
本山小屋のテン場で泊って、
快晴の翌朝の風景を切り取ってみました〜〜♪
 
 
まずは大日岳を。
 
イメージ 1
本山小屋から大日岳
 
小屋のそばに360度展望になる高台があって、
そこに上がって眺めた大日岳。
 
やっぱ、ここで見ても重量感のあるどっしりと構えた山だ〜。
 
昨日は太陽光の関係でシルエットっぽく見てたんだけど、
朝は太陽光をまともに受けて、輝くよう♪
 
飯豊の最高峰にふさわしい姿だなぁって、あらためて思います〜〜。
 
 
 
 
 
 
それからこんどは、すぐそこに尖った山頂を見せてる本山を。
 
イメージ 2
本山小屋から、本山・烏帽子岳・北股岳
 
本山のピークが中心にして構図をとったけど、
描きたかった眺めはむしろ
その向こうに連なってる山並み♪
 
烏帽子岳、北股岳と飯豊稜線を形成する山々〜。
これらの山々があるからこそ、
この本山、飯豊連峰が魅力ある山域になってるんだなぁって思えます♪
 
 
 
 
もういちまい、おまけ〜〜。
 
イメージ 3
ダイクラ尾根宝珠山より朝日連峰
 
下山に撮ったコース、ダイクラ尾根の途中で眺められた朝日連峰です〜〜。
 
雲海になってて、より神々しい光景になってた♪
 
朝日連峰も、飯豊に負けない縦走路をもってると、
こうして眺めてみても納得できるかも〜。

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焼岳登山記(1)〜2010年夏〜
 
 
2010年7月、五竜〜鹿島槍縦走に続いて登ったのは焼岳
新中ノ湯コースを登っていきます〜。
 
 
 
※えっと、チョト個人的な考えを書いちゃってるけど、もし異論があったらゴメンなさい〜〜。
 
 
イメージ 1
 
<中ノ湯上から登山開始…>
 
山はもっとも高い地点に立ってこそ登頂である。
これは当たり前のことのようだが、実際には、そこに立つことができないので
“代役”で達成とする山もある。
元来、登山行為自体、自己満足がすべてなのだから、素直に“代役”で満足するということに
何の問題もないし、外から意見されるものでもない。
だからあくまで個人的な考えとして、誤解を恐れずに聞いてもらえたらと思う。
 
登山が自己満足の世界であるならば、それこそ妥協することを避けなければならないのではないか。
妥協しての自己満足には、自分に対してのごまかしが含まれている。
登山は強いられているわけでもなく、自己満足のためなのだからごまかす必要はない。
代役のピークに立ったときは“代役のピークに登った”と、それこそ素直にその達成を喜び、
「本来の目的は別だがしかたなく代役で目標達成」なんてことにはしたくない。
 
一般的に“代役”で済まされている山としてあげれば、例えば浅間山がある。
火山による規制があって頂上に立てないので、現在は浅間山の肩に当たる前掛山をもって
登頂とされる。
前掛山には御丁寧に『浅間山』の山頂標すら立っている。
その以前は隣りの別の山、外輪の一峰の黒斑山をそれとしていたこともあった。
これらの場合は“浅間山登頂”ではなく“前掛山登頂”であり、“黒斑山登頂”だろう。
そして「浅間山は普通は登れない山」と素直に、ごまかさずに考えるべきだと思う。
 
もう一例。
伯耆大山も有名だろう。
最高地点は1729mの剣ヶ峰だ。
現在は山稜の風化崩壊が著しく、登山路が崩れやすく危険ということで立入禁止とされている。
それで西方の一ピーク弥山の1709mを持って大山登頂とする。
もちろん弥山も大山の一部なのだから、大山に登ったことには違いない。
しかしそれはやっぱり“大山の弥山に登頂”したということだと思う。
「大山に登頂した」というならば、最高地点の剣ヶ峰に立ってのことだ。
弥山に立って、そこからすぐ向こうに聳えている剣ヶ峰の姿を仰ぎ見たら、
さすがに大山の頂上に立ったとは思えないのではないか。
北アルプスの西穂高岳は眺望もすばらしいし、そこを目指して登る価値は充分ある。
しかし西穂に登ったからといって「穂高に登頂したよ」というだろうか。
「西穂に登頂した」のであろう。
 
登山行為は自己満足がすべてといっていい世界。
だからこそ偉そうに口角沫を飛ばした。
いくらわめいても、所詮自身の心の中にしか響かせられないのだから。
いや、それが目的なのだ。
自身に向けてあらためて定義づけるというか、しっかり考え方を確認整理するという意味で
述べてみた。
 
浅間山、伯耆大山には“登頂”しているが、仮の頂上には登っていても“登頂”していない山がある。
百名山の一峰、北アルプスの焼岳。
焼岳は火山活動中の山で、規制が解かれて北峰までは登れるようになったのは1990年。
いまだ最高峰の南峰には登れないことになっている。
(ただ、これは火山活用によるものではなく、植生保護のためという話もある。規制理由は
はっきりしない)
97年に上高地から一度登り北峰に立った。
それで満足していたのだが、月日が経ち、山歴を重ねるうちに、次第に最高地点が気になってきた。
はたして本当に登ることは難しいのだろうか。
 
20107月、五竜鹿島槍縦走を終え下山したが、梅雨明けの安定した空はもう少し続くと
気象庁が言っている。
ならばこのままもうひとつどこかに登ろうと向かったのが、上記の思いを持っていた焼岳だった。
八ヶ岳も同時に考えていたのだが、鹿島槍を下りたばかりなので
比較的楽なほうを選んだということでもあった。
 
新中ノ湯ルートを登ることにして、前夜のうちに登山口の駐車場に入り車中泊をした。
翌朝、晴れてはいるが、思っていた以上に雲も多い
予報では晴れなのだが、これからもっと良い方向に向かうのだろうか。
 
焼岳に登るに際し、水を持ってくるのを忘れてしまった。
登山コース中はもちろん、ここまで上がってきてしまったら、もう水を手に入れることはできない。
それで昨夜到着したあとで、ふたたび中ノ湯温泉に下りて分けてもらった。
 
今朝は早くから大型観光バスが上がってきて、団体登山者を連れてきた。
団体と一緒に登るのはゴメンなので、彼らを先行させたあと少し間をおいた。
山中一泊のつもりだから、さほど急いで登ることもない。
 
ところで水のことなのだが、今日も暑くなりそうだし、登山中に補充できないのだから、
二日分と考えたらもう少しあったほうが心強い。
そこで団体バスの運転手に尋ねてみた。
「あのう、分けてもらえるような水、持ってませんよね…」
すると、予備としてバスに置いてあるという大型のペットボトルから500mlをこころよく分けてくれた。
これで気分的に余裕ができた。
団体を少しばかり白い眼で見ていた気持ちが薄くなった。
現金なものである。
 
登山路に入っていく。
登りだしてすぐ、朽ちた廃車両が放置されていた。
(なぜこんなところに…)
車が入ってこられる林道があるわけでもないのに、不思議だ。
しばらく林の中をいく。
青空も見えるけれど、予想以上に雲が多い。
焼岳のほうもチラチラと見える程度で、山頂部にはどうもガスがかかってしまっているらしい。
登りはじめに眺めた穂高も、今は半分隠れてしまっていた。
林の中は蚊も多くて、なんとなく気分が鬱々として乗らない。
 
つづく…

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