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いつものように目覚めた
いつものように食事をとった
いつものように会社へ向かった
そしていつものように思うことがある
生きるとはなんだろう
同じようにすごすことに意味があるのだろうか
そう考えても何も変わることのない空のような毎日を過ごしていた
しかし何かをするわけでもなく、いや、するのではなくきっと何もできないのだろう、
学生なら新しいバイト、新しい出会いなどがあって環境が変わってゆくかもしれない
しかし今の僕にはなにも新しいものを感じられなかった、いや、感じる気がないだけだろう
そうやって自分を卑下し可能性を失ってしまっているのかもしれない
誰もが何もない毎日を送るのだろう、自分だけが苦しんでいるわけではなく
きっとそうゆう人生を送るのが幸せなのかもしれない
そう考えたほうが今の自分が当たり前と思えてくる。それでいいのか?このままでいいのか?
しかし疑問は消えることなく、虎視眈々と僕を蝕んでいるように思えた
ふとテレビを見つめると海が映っていた、そこに映る魚達は何かにとらわれることはなく
とても自由に生きているようにさえみえた
そうだ、次の休みを利用して海へ行こう
何か僕を変えてくれるものに出会えるかもしれない
まだ夏が始まったわけではないが海は生命の誕生の場であり、すべてが帰る場所だ
そこへいけば何か感じられるものがあるかもしれない、そう考え僕は海へ出かけることにした
なんとなくの考えで僕は海に着いた。
まだ本格的な夏ではないせいか、あまり多くの人がいるわけではない
無邪気に遊ぶ子供がとても幸せそうだった。あの頃は何も感じないでその瞬間を
楽しむ事ができた。きっと僕にもそうゆう時期があったのだろう
なぜ人は大人になるにつれて無邪気にはなれないのだろう
そんなことを海辺に座って考えているうちに日は暮れてきた
月や星が見え始め、とても綺麗な光景だ
僕はいつのまにか時を忘れて見とれてしまった
夜も深くなってきた時、一人の女性が僕と同じように海辺に座っていることに気がついた
こんな時間に女の子一人って危ないなぁ
僕はここで一つ出会いが生まれるかも、という安易な考えで彼女に話かけようと思った
とはいえ僕にはそんな経験がないのでなかなか話し掛けることもできないで
彼女を方を何度見てしまっていた。そんなことしているうちから彼女に気づかれてしまったようだ
そうしたら思わないことが起こった、なんと彼女からこっちへ来たのだ
なに?なぜ私を何度も見るの?
彼女は僕に聞いた、僕はうろたえながらも答えた
こんな時間に一人で危なくないの?
彼女は少しだまって僕を見つめながら答えた
あなたのほうがよっぽど危ないわ
ここに何時間も居座って何を考えていたの?
しまった!確かにそうだ、長い間ここにいるし、挙動不信のように彼女を見ていたから
誰もがそう思ったに違いない、とにかく挽回しなければ!
気晴らしにここへ来たら色々考え込んでしまってね
当り障りなく答えたが、彼女の中の僕は変質者扱いのままかもしれない
まぁ出会いとはそんな簡単に起こるわけでもない
僕はもう帰るけど君の家が近いなら送ろうか?
家は近いから送ってもらわなくても大丈夫よ
断られてしまった。まぁ変質者が送るなんてそんなことできるはずもないか
そういって二人は分かれて帰っていった
何事も精神世界のようにうまくはいかないもの
それだから現実はおもしろいのだろうけど
僕にはそれがおもしろいとは思えない
結局彼女が誰で何をしていたのかなどまったくわからない
わからないとなると人は気になってしまうものだ
僕は彼女が気になって仕事も手につかないほどだ
次の休みにもあの海へいけば
きっとまた会えるだろう
そう願うしかなかった。寧ろそれで彼女と再び会えなかったら
この先ちゃんと生きていけるか不安だ
しかし人間とは皮肉なもので会えなかったら会えなかったで
きっと綺麗に忘れることができるのだろう
でも今は忘れるよりも知ることの方が強かった。
そしてまた海へきた
しかし現実は精神世界とは違う。彼女はいない
早く来過ぎたのだろうか、それとも彼女は来ないのだろうか
そんなことを考えているうちに、その悩みは時間とともに解決された。
彼女は気づいたら浜辺に座っていたのだ
いつからいたかはわからない。しかしここにいるのだ
僕はとても嬉しくなり彼女に話し掛けた
また会ったね。この間はあまりしゃべる時間がなかったから
今日また会えてよかった。
彼女は迷惑そうな顔をして答えた
そうね
僕は少しとまどったが、今まで聞きたかったことを聞いた
君はいくつなの? なぜここにいるの?
いつもここにくるの? そうだ、名前は?
聞きたかった思いが爆発した。質問攻めをしてしまったのだ
これでは聞きたいことも聞けない。むしろまた変質者扱いだ
しかし彼女は正確に答えてくれた
年は19 ここが好きなの いつもここに来るわよ
良かった答えてくれた、しかし沈黙が続いた。どうやら彼女は一人で
考えごとをしているみたいだ。邪魔するのは悪いかな、僕は仕方なく帰ろうと思ったが
彼女はそれを察したのか話し始めた
いつも日が暮れる頃にここへくるの なぜかはわからないわ
きっとこのかわらない景色が好きなんでしょうね
人は時と共に変わってゆく、それが苦しいのよ
私は変わりたくないのに、周りの人はどんどん変わって
私をおいていく、それが現実なのよね
彼女はとても悲しそうな表情を浮かべた
彼女が何を言いたいのかわからなかったが、とても悩んでいるみたい
なんていう言葉をかければいいのかわからない
とにかく何かを言わなければと思って僕も話し出した
僕には毎日が同じように見えてしかたがないよ
同じように時間は流れて、同じように時間を過ごす
それが退屈で仕方がなくて、毎日が苦しいかな
僕も悩みを打ち明けることにした、まだ会って話もしたことのない人に
なぜかすんなりと打ち明けることができた、普通ではないと思うが
彼女の雰囲気とこの浜辺の雰囲気がそうさせているのかもしれない
あなたは私と逆に思うのね、時間の流れは同じでも
人間は段々と変わってゆく、きっとあなたもここを
離れてしまえば、私の事も忘れていつもの毎日に戻るのよ
確かにそうかもしれない、でもそれを肯定したくはなかった
きっと彼女の事を気にかけて、今までの毎日への変化が欲しかったのだろう
そんなことはないよ、きっとここで出会ったこと
ここで話したこと、忘れないと思うよ
僕はマンネリされた毎日を変えたいと思って
ここへ来てるんだから
彼女の表情は悲しいままだった、変わらない彼女の表情とは裏腹に
段々と日が暮れてきた、そしてまたこの前来た時と同じように
月や星が見え始め、とても綺麗な光景が見え始めた
そろそろ行かなきゃ、私は帰るわ
またここで会えたらお話をしましょうね
そういって彼女は去っていった、僕も帰ることにした
車の中で色々考えた、なぜ彼女は変わってゆく人間に苦しみを覚えたのか
なぜ僕は変わらない毎日を苦しく思うのか、変わらない時間の中で
変わってゆく人達、それはきっと自然な流れだろうと考えることしかなかった
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