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海村偶成 玄齋 (上平聲一東韻)
潮 聲 坐 聽 海 郷 東 水 色 滄 茫 連 碧 穹
天 地 相 交 看 一 髪 不 和 塵 界 百 分 空
潮声を坐に聴く 海郷の東
水色 滄茫として 碧穹に連なる
天地 相交わる 一髪を看るに
不和なる塵界 百分空し
※坐に(そぞろに): これといった理由もなく。なんとなく。漫然と。
※海郷(かいきょう): 海沿いの村。海村(かいそん)も同じ。
※滄茫(そうぼう): 水が青々と、はてしなく広がっているさま。
※碧穹(へききゅう): 大空。青空。
※一髪(いっぱつ): 山や地平線などが遠くに一筋の髪の毛のように、細くかすかに見える様子。
※塵界(じんかい): 俗世間。人間界のこと。
※百分(ひゃくぶん): 万事。全く。
訳
私は海沿いの村の東で、漫然と波の音を聴いていた。
海の色は青々と果てしなく広がって、大空の色と一つに重なって見える。
遠くに細くかすかに見える水平線で、天と地が交わるような、そんな光景を見ていると、
人間界の小さな争いなどは、全く空しく感じられるものだ。
解説
夏の漢詩として、今度は海の情景を詠んでみました。
海沿いの村で偶然できた詩という意味で、「海村偶成」と題を付けました。
去年のどなたかのブログで眺めた海の写真の中にあった、
海の青と空の青が重なり合って、水平線さえ曖昧に見えるような、奇跡のような写真を思い出しました。
海と空という、全く違う両者が青い色を介して交わり合う、そんな光景を眺めていると、
人間界では同族同士で争っていることは、とても空しく感じられる、そんな思いを詠んでみました。
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自然と人事の対比は昔からよく使われる表現方法のように思いますが、水平線というあたり、玄さんらしい新しさを感じます。
2007/8/24(金) 午後 0:31
PURE さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
夏の風景で、今度は海の漢詩に挑戦しました。
空と海の青い色を眺めると、ゆったりとした気持ちになりますね。
その情景に少しでも近づいていたら嬉しいです。
転句は易経の「泰」の卦の「天地交泰」という言葉から発想しました。
中国語では「海天一線」という表現があるのですね。
シンプルでわかりやすくて良い表現ですね。僕ももっと勉強します。
2007/8/24(金) 午後 4:46
こんにちは。
風景が目の前に広がりました。大きな大きな自然に抱かれた玄さんの
姿も見えてきましたよ。
漢字はふりがながふってありましたので読めました。
意味が分かるとなお一層作品の深さがわかりましたよ。傑作ポチ☆です。
2007/8/24(金) 午後 5:34
akiko さん、コメントありがとうございます。
その頃、易を詠んでいる昔の中国の詩人の漢詩を読んでいて、
水平線の見える海の写真を眺めていると、たまたま思いつきました。
僕はそのとき読んでいる本に影響されることも多いです。
2007/8/24(金) 午後 5:45
y5812y さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
今回は大きな風景に挑戦しました。海と空の風景で、
自然の大きさを表現できていたらいいなと思います。
僕はわかりやすいようにと、ふりがなと言葉の意味と、訳をいつも付けています。
これからもわかりやすさを心がけていきたいと思います。
2007/8/24(金) 午後 5:59
玄様、素晴らしい。この漢詩ならはせ婆でも解説なしで意味がわかる。分かり易いということもひとつのポイントと思います。
次回もこの調子で頑張って!!
傑作ポチ
2007/8/24(金) 午後 6:31
大空と海の調和との対比なので、小さな争いへのむなしさではなく、大きな争いへの批判に結びつけるような展開は、どんなものでしょうか?
2007/8/24(金) 午後 9:39
海と空が、一髪の間に交わる。それを見るとき、世のあらゆる物事が、むなしい。。。
かっこいいです。でも、ボクは理解できない。俗人28号より
2007/8/24(金) 午後 9:59
良くできていますよ。「青山一髪」とか「水連天」とか「天接水」とか「海天一線」これは漢詩の詩語では見ないような気がしますが、中国語でしょうね。海のない中原の詩人達は地平線を詠ったり、海といっても長江だったりしますね。
易經の泰の卦はとても良い卦で天(乾)と地(坤)が逆さまで坤が上で乾が下、それでお互いが密着すると言う卦だから、結婚には最適。易者さんの看板はこれですは(笑)
2007/8/25(土) 午前 2:42 [ f u k o ]
はせさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
解説なしでもわかりやすかったですか、嬉しいです。
この詩の最初の形は難しかったので推敲しました。
やはりシンプルに作ることを心がけていこうと思います。
2007/8/25(土) 午前 10:43
コナン王子さん、コメントありがとうございます。
空と海という、全く違うものが交わり合っていて、
人間は同族同士で争い合う、という部分を突き詰めて、
大きな争いへの批判に結びつける、ということができるかも
しれないと改めて思いました。
律詩などで作るといいのかもしれないと思いました。
僕の今後の課題にします。
2007/8/25(土) 午前 10:48
ピンパパさん、コメントありがとうございます。
今回の漢詩では、思いっきり背伸びをしてみました。
暑さでへばっていた時に、海の風景を思い出しました。
狭い部屋の中で、海の画像を見て楽しんでいます。
風流とは無縁のところで、空想だけが広がっています。
2007/8/25(土) 午前 11:00
不孤さん、コメントありがとうございます。
「海天一線」は漢詩では見当たらなかったので、中国語のようですね。
「一髪」という表現も初めて覚えました。学んでいきます。
長江で水平線が見えるのはすごい光景ですね。
向こう岸が見えないほどの大きな川なのですね。
「泰」はめでたい卦ですね。乾坤が上下逆転して混じり合う、
そんな形が印象に残っていました。
易者さんの看板にも使われるのですね。易者さんの看板を
注意して見ることにします。
2007/8/25(土) 午前 11:21
ノンビリ遊びに来ました。
拝読してかえります。
2007/8/25(土) 午後 1:50
詩の意味も思想もよく理解できるのですが、なぜそれが漢字になるのか、漢字に翻訳できるのかが、分かりません。
アホだからかな(〃 ̄∇ ̄)ノ彡☆ウキャキャキャッ
それにしても、ごめんなさい。
直接「訳」から読みますので。
2007/8/25(土) 午後 2:47 [ 屋根裏の秘密 ]
↑上の「アホ」の主語は私のことですので、念のため(笑)
2007/8/25(土) 午後 5:34 [ 屋根裏の秘密 ]
ほしさん、コメントありがとうございます。
何度も見ていただいて嬉しいです。
今ようやく源氏物語の続きを更新しました。
2007/8/25(土) 午後 5:37
九太郎さん、コメントありがとうございます。
基本は詩語を集めた表を眺めて、使えそうな言葉を探して、
漢和辞典を引く、ということの繰り返しですね。
僕は自分の漢詩を日本語に訳していくときに、わかりにくい詩を
作ることが多いなと、反省することが多いです。自分で訳すのも面白いです。
2007/8/25(土) 午後 5:43
これだけ綺麗に漢字をならべることの出来る中国人は少ないのではないでしょうか。テレビニューズなどで見ますと、あちらの漢字は略しかたが半端じゃないですので、読めないのでは?
2007/8/26(日) 午後 4:39 [ 屋根裏の秘密 ]
九太郎さん、コメントありがとうございます。
簡体字の勉強をしていると、すごい省略形に出会うことがありますね。
「書」なども、簡体字では画数がすごく少なくなっていますね。
ある漢詩のサイトで見ましたら、
中国の方が漢詩をする場合も、旧字体で投稿しているようですね。
まだまだ一部では昔の漢字も残っているようですね。
僕も昔の漢字も使っていきたいです。
2007/8/26(日) 午後 5:04