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秋夜讀書 得佳 玄齋 (上平聲九佳韻)
蒼 蒼 涼 月 照 茅 齋 蒼蒼たる涼月 茅斎を照らし
漫 披 詩 書 獨 酌 儕 漫に詩書を披くは 独酌の儕(ともがら)
讀 到 一 丘 何 處 在 読み到る 一丘何処にか在ると
心 馳 遠 景 養 吟 懷 心は遠景を馳せて 吟懐を養う
現代語訳:
青々とした秋の月が、茅葺きの部屋を照らしていたころ、
私は気の向くままに詩の本を開いて、一人で酒を酌むつれ合いとしていた。
昔の詩の、 「どこに晋の謝鯤(しゃこん)が風流を楽しんだ一丘一壑(いっきゅういちがく)の
場所があるのだろう」 という部分に読み到ると、
私の心は遠い景色を駆け回って、詩を作ろうという気持ちが養われていった。
語注:
※蒼蒼(そうそう): 月の青白い様子を示しています。
※涼月(りょうげつ): 秋の夜の月を意味しています。
※茅斎(ぼうさい): 茅葺きの粗末な部屋を意味しています。
※詩書(ししょ): ここでは、詩について書かれた書物を指しています。
※独酌(どくしゃく): 一人で酒を酌むことです。
※儕(ともがら): 仲間やつれ合いを意味しています。
※一丘(いっきゅう): 「一丘一壑(いっきゅういちがく)」の略です。解説を参照して下さい。
※吟懐(ぎんかい): 詩歌を作りたいという気持ちを意味しています。
解説:
秋の夜に読書をしている風景を詠みました。
最近は健康のことも考えて、普段はほとんどお酒を飲みませんが、
秋の夜に一人で居る時に酒のお供に漢詩の本を読むのも良いなと思いました。
転句は宋の時代の詩人、楊萬里の「秋感」の最後の一節から取りました。
請 辨 雙 行 纏 請う双行の纏を弁(ととの)えよ
何 處 無 一 丘 何れの処か一丘無からん
訳: 「一揃えの脚絆を揃えてほしい。どこかに晋の謝鯤が
風流を楽しんだ一丘一壑の場所があるだろうから」
「一丘一壑(いっきゅういちがく)」は、俗世を逃れて自然の中で風流を楽しむことを
意味しています。以下の故事から出ています。
晋の謝鯤(しゃこん)は『老子』や『周易』を学び、琴や歌をよくした風流人です。
晋の明帝が彼に、その当時の政治家、庾亮(ゆりょう)と彼自身とを比べて
どう思うかと尋ねました。すると、
「政事に関しては庾亮(ゆりょう)に及びませんが、一丘(一つの丘)に住み、
一壑(一つの谷)で釣りをする楽しみに関しては、彼に勝ると思います」
と答えたという話です。
自分の身は俗世に置いても、気持ちは時々風流なものに合わせてみたいなと
いつも思います。そんな気持ちも込めて詠んでみました。
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秋の夜に月を見ながら酒を飲む。
なんて風流なのだろう。
また茅葺きの粗末な部屋というのがいいですね。
多分、西洋人には理解できないのかもしれませんが、朽ちる中にも美を見出すという感受性が素晴らしいですね。
酒もたまにはいいと思いますよ。僕も基本は飲みませんが。
ポチです。
2008/10/9(木) 午後 6:13 [ - ]
遠い景色を飛び回って詩・・・
その詩は、やはり心を情景に変化させ、または、
溜息にするものでしょうね。
ポチ!
2008/10/10(金) 午前 1:36
はせも偶には飲みますが、好きな映画を観ながら冷酒を少しです。
玄様は最近映画を観ましたか。
どんな映画をご覧になったか知りたいです。
美しい詩にポチ!
2008/10/10(金) 午前 7:29
モカコクーンさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
宋の楊萬里の詩の中では、秋の楽しみは読書と詩と酒と遠遊だと言っています。
月を観ながらの酒は、風流で楽しいものと思いますね。
そういえば茅葺きの部屋というのは、漢詩にはよく出てきますね。
詩人の謙遜と、寂れた中の風流を表していると思います。
漢詩や和歌の独特な表現だなと思います。
この頃は大人数で飲む楽しい酒がたまにありますが、
一人でしみじみと飲む酒もいいなと、改めて思いました。
2008/10/10(金) 午後 3:31
Ruri さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
最近は遠遊をする機会も減りましたが、昔の漢詩の本を読んで
遠い自然の風景などを想像をしてみる事が多くなりました。
人の気持ちを詩の情景の中に捉えることができればいいなと思います。
沢山作って沢山読んで、近づいていけたらと思います。
2008/10/10(金) 午後 3:37
はせさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
はせさんは映画を鑑賞しながらのお酒ですね。それもいいですね。
僕は十年くらい前に観た「シンドラーのリスト」をもう一度観ています。
いつも人のために動くということを考えさせられます。
2008/10/10(金) 午後 3:45
難しい韻を牽きましたね。分韻は人の運命に似ています。子は親を選ぶことが出来ません。牽いた韻で高貴、富豪に生まれたか、貧賤に生まれたかが決まります。佳韻は明らかに貧です。賤ではありませんが貧です。その中で喘ぎ苦しんで運命を拓くのです。君の此の詩は見事と言えましょう。運命を拓かれています。傑作です。
追伸・結句、これで十分ですが、更に推敲されて詩意を深めてください。
2008/10/11(土) 午前 0:19 [ f u k o ]
おはようございます。
玄さん<<自分の身は俗世に置いても、気持ちは時々風流なものに合わせてみたいなと
>>いいこと教わりました。自分で決める人生の過ごし方!
波乱万丈の人生終り今は草花の写真撮りながら庭に雑草植えてお酒は飲めないので珈琲で楽しんでいます。
玄さんいつも生き方ありがとう〜〜♪ポチ☆彡
2008/10/11(土) 午前 9:35
不孤さん、コメントありがとうございます。
今回の分韻で引いた佳韻はとても難しかったですが、
韻字の活用法を考えているうちに何とか形になりました。
苦吟の中で新たな詩語を知ることになったのは収穫でした。
僕の人生も苦しい中をどうにか突破できればいいなと思います。
結句はもう少し推敲してみます。
2008/10/11(土) 午前 9:51
ほしさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
せめて想像の世界だけは風流なものにしていきたいなと思っています。
草花の写真を撮りながらコーヒーですか。ほしさんの生活も風流ですね。
僕も何とか生きていければいいなと思います。
2008/10/11(土) 午前 10:12
ポチするの忘れていたね、今押しましたよ。いい天気だよ、外でも見られたら良いと思いますよ。
2008/10/12(日) 午前 9:20 [ f u k o ]
不孤さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
ちょっと雲が出て来ましたが、過ごしやすい気候ですね。
漢詩と同時に、ほかの勉強も進めていこうと思います。
その合間に、少しは散歩に出ようと思います。
2008/10/12(日) 午後 3:35
初句と結句がいいですね。
秋の冴え冴えとした月の
光景がよく表現されていますね。
いま、また万葉集を読み返し
研究していますが、和歌は
漢詩から採った歌が意外と
多いんですね。
わたしの父が古今・新古今から
漢詩へ移行したのが理解できます。
傑作のぽち!です。
2008/10/13(月) 午前 5:06
吉祥天さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
起句の「蒼々とした月」というのは、漢詩の表現でよく
出てきますので、良い雰囲気の言葉だなと思いました。
和歌は漢詩から取っている歌もあるのですね。
吉祥天さんのお父様が漢詩を学ばれたのは、
日本のうたの源流を探っておられたのかなと思いました。
僕も昔の日本人の漢詩集も読んでいきたいなと思って、
「懐風藻」を最近読み返しています。
大津皇子の漢詩が印象に残っています。
2008/10/13(月) 午後 1:31
都会に住んでいると、月の明るさとか、判りませんよね。
子供の頃は、夜、「今日は明るいなぁ」と思って、外を見ると
満月だったりしました。
2008/10/13(月) 午後 3:26
ウィルさん、コメントありがとうございます。
僕も都会に住んでいると、中々月の明るさを実感することは少ないですが、
今年の真夏には月が煌々と照っていて、眩しい程だったのを覚えています。
僕も月明かりをもっと身近に感じてみたいなと思います。
2008/10/15(水) 午後 4:57