玄齋詩歌日誌

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漢詩

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早春偶成  玄齋  (上聲十九皓韻)

漸 開 梅 蕾 催 人 老  漸く開く梅蕾 人の老ゆるを催し
積 案 殘 書 徒 懊 悩  案に積みたる残書 徒に懊悩せしむ
應 識 菩 提 初 發 心  応に識るべし菩提は初発の心と
戯 言 絶 學 無 遮 道  戯れに絶学を言いて道を遮ることなかれ


現代語訳:

 次第に開いていく梅のつぼみに、私は老いを急かされるようであり、

 机に積み重なった読みかけの本は、私を無意味に悩ませるのである。

 まさに知らなければいけないのは、悟りの境地とは、

 悟りを開こうと最初に思い立つ気持ちに過ぎないので、

 軽い気持ちで「学を絶つ」などと言って道をふさいではいけないということだ。


語注:

 ※梅蕾(ばいらい): 梅の花のつぼみのことです。

 ※案(あん): 机のことです。

 ※残書(ざんしょ): 読みかけの本のことです。

 ※徒(いたずらに): 無意味に、という意味です。

 ※懊悩(おうのう): 心の底から深く悩むことです。

 ※菩提(ぼだい): 煩悩(ぼんのう)を断ち切った悟りの境地のことです。

 ※初発心(しょほっしん、しょほつのこころ): 悟りを求めようと最初に
   決心する気持ちのことです。

 ※絶学(ぜつがく): 学問をするのをやめることです。解説を参照して下さい。

解説:

 この絶句は側体(そくたい)と言いまして、仄声で韻を踏んでいます。


 梅の花が咲き始める早春に、いつも考えていたことを詠んでみました。

 こういう理屈めいて小難しい詩はあまり詠んではいけないようにも思いますが、
 勉強のために、たまにはこういうものも詠んでいこうと思います。


 仏教の経典を勉強のために読んでいると、その中で一つの言葉が気になりました。

 それは「初発心時便定正覚(しょほっしんじべんじょうしょうがく)」
 という『華厳経』の言葉です。

 これは悟りというものは、初めて悟りを開こうと決意する
 気持ちの中に含まれている、という意味です。

 つまり、悟りというものは本気で何かを学ぼうと思い立った瞬間の
 ことを指しているのであって、悟りを起せばもう勉強しなくても良いどころか、
 更により真剣に学ぶことになる、ということです。

 『老子』には、「絶学無憂(学を絶てば憂いなし)」という言葉がありますが、
 これも、勉強をやめればよいということではなく、
 奥深い本質まで学び尽くした上で学ぶということを忘れるという、
 究極の境地を指したもので、軽々しく使うことのできないものだと思います。


 本気で何かを学ぶ以上は、途中で中断することなく、
 死ぬまでずっと努力を続けなければと思いました。
 改めて漢詩をそのように学んでいくようになりたいなと思いました。

 このようなことを考えていくと、
 僕はまだまだ青臭いところがあるなとつくづく思います。

閉じる コメント(27)

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アバターのバックと衣装変わりましたね。

2009/2/21(土) 午後 4:58 はせばあ

はせさん、コメントありがとうございます。
漢詩を真剣に学んでいきたいと思っています。
一歩一歩地道に学んでいこうと思います。
せめて益荒男のような気概を持ちたいなと思います。
暖かいコメントありがとうございます。

アバターは背景を換えてみました。
見た目がちょっと豪華すぎるかなと思いました。

2009/2/21(土) 午後 5:42 白川 玄齋

アバター

ばいらいって言うんですね(*^_^*)

とっても素敵ですね♪ぽち

2009/2/21(土) 午後 7:23 Mai

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「仄声で韻を踏む」とはどういうことか教えてください。すみません。

2009/2/22(日) 午前 10:17 [ チョコ ]

まいさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
梅のつぼみを、「梅蕾(ばいらい)」と言います。
漢詩に出て来る言葉を一つずつ辞書で調べて、着実に学んでおります。

2009/2/22(日) 午前 11:49 白川 玄齋

choco3784 さん、コメントありがとうございます。
昔の中国語の発音では、発音のパターンが四つありまして、
それは平声・上声・入声・去声の四つです。
平声以外の三種類を、仄声(そくせい)と言います。
絶句や律詩では、本来平声で韻を踏むのですが、
この詩のような「側体(そくたい)」という詩体では、
仄声で韻を踏んでいます。

この詩の一句目・二句目・四句目の七文字目の、「老・悩・道」
は、仄声の上声の「十九皓」というグループに入っている字で、
そこで韻を踏んでいることになります。

以下の Web ページも参考になると思います。
Wikipedia - 平仄
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E4%BB%84

2009/2/22(日) 午前 11:59 白川 玄齋

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「よくみればなずな花さく垣根かな」芭蕉。芭蕉の句にはある種悟りの境地を詠んでおられるそうで、凡夫の我が輩にはこの境地には程遠いのですが、漢詩においても先賢の言葉をそのまま借りて来るのでなく腹の中で吟味して別の形で表現してこそ発心発菩提てなことになりゃせんかと思うこの頃。
玄齋を見ていると能く学ぼうとしていた遠い昔の僕が居ます。でも君の方が深い。

2009/2/22(日) 午後 4:46 [ f u k o ]

不孤さん、コメントありがとうございます。
その芭蕉の句は、朱子が尊敬した程明道の「万物静観皆自得」
という言葉からヒントを得ていると一説にありました。
先賢の言葉を自分独自の表現に置き換えないと、
発心とはいかないのかなと改めて思いました。
もっともっと学んでいって、深い境地をものにしたいなと思っています。

2009/2/22(日) 午後 5:12 白川 玄齋

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悟りはいつまでも行きつ戻りつ・・・。

やはり人が深くなるということを目指す。・・そういうことなのだろうと思います。
漢詩を拝読しました。傑作です。

2009/2/23(月) 午後 3:03 瑠

Ruri さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
漢詩を作っていく中で、悟るということを時々考えてしまいます。
僕も学ぶだけでなく人間的にももっと大きくなっていかなければと、
いつも思います。

2009/2/23(月) 午後 3:19 白川 玄齋

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いろんなことを考えて月日が過ぎると、いつの間にか、様々なことをクリアーしていると気がつくような・・そんな感じで自然に大きくなるのでしょうね。素敵な眠りを〜

2009/2/24(火) 午前 1:10 瑠

Ruri さん、コメントありがとうございます。
気がついてみると、いろんな難題を克服して大きくなっていた、
そんな風に成長できたら良いなと思います。
少しずつでも努力を積み重ねていこうと思います。

2009/2/24(火) 午前 10:35 白川 玄齋

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おはようございます。
とても奥深く難しい内容で何度も拝読させて戴いています。
「初発心時便定正覚」は 悟りというものは、初めて悟りを開こうと決意する 気持ちの中に含まれている・・・とのこと
また 学ばせて戴きました。
本当に素晴らしい意味深い 漢詩をお詠みになっていて玄さん、感心ばかりです。
また 楽しみに伺いますね。傑作です!!

2009/2/25(水) 午前 8:10 風花

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玄さん「そくせい」のこと詳しく丁寧に教えて頂き有難う。漢詩のルールってムツカシ〜イ。
深く勉強しておられる大兄の真摯な努力にただ感動です。

2009/2/25(水) 午前 10:24 [ チョコ ]

y5812y さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
ずいぶん背伸びした内容の漢詩でしたので、わかりづらくなったかもしれません。
『華厳経』のこの言葉を解説した本を読んだときに、
悟りとは真剣に学ぶようになるきっかけとなるものと理解していました。
もう少しわかりやすい漢詩の中に、奥深い内容を詰め込んでいけるように、
もっともっと学びながら工夫していこうと思います。

2009/2/25(水) 午後 2:50 白川 玄齋

choco3784 さん、コメントありがとうございます。
ご質問には出来るだけ丁寧にわかりやすく答えていこうと思います。
漢詩のいろいろな規則等を、わかりやすくかみ砕いた形で
説明できるように、きちんと学んでいこうと思います。

2009/2/25(水) 午後 2:53 白川 玄齋

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ご親切に有難う。
そして川柳へいつもご投句頂き有難う。

2009/2/26(木) 午前 10:28 [ チョコ ]

choco3784 さん、コメントありがとうございます。
今年は少しずつでも川柳を投句していこうと思います。
またよろしくお願いいたします。

2009/2/26(木) 午後 4:37 白川 玄齋

承句…!
まさしく 我が意を得たりです! ><;
読まないままの本が増えていくのは 辛いモノがありますよね
共感のポチです!^-^b”
それにしましても
玄様の学の深さ 志の高さには 本当に頭が下がります!

2009/3/8(日) 午後 9:41 ことりん

ことりんさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
読みかけの本が毎年積み重なっているのには困っております。
読み返してみてようやく少しずつ意味が飲み込める、そんなことが多いです。
今は昔の詩人の詩集や『論語』などを読み返しています。
漢詩も漢文も、いろいろと読んでいきたいなと思います。
せめて志を高く持ちたいなと、いつも苦悩しています。
わかりやすい漢詩も、きちんと作っていきたいです。

2009/3/9(月) 午後 4:40 白川 玄齋


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