玄齋詩歌日誌

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新秋夜坐  得歌  玄齋 (下平聲五歌韻・起句下平聲六麻通押)

窗 下 夜 深 涼 味 加  窓下 夜深くして 涼味加わり
閑 聽 蛩 韻 忘 沈 痾  閑に蛩韻を聴けば 沈痾を忘る
搖 風 燭 影 披 書 處  風に揺らぐ燭影 書を披く処
勤 學 無 憐 赴 火 蛾  学を勤めて 火に赴く蛾を憐れむことなし



現代語訳:

 窓の下では夜更けになって涼しい感じが加わってきて、

 静かにコオロギの鳴き声を聴いていると、長く患っている病気も忘れそうだ。

 風に揺らいでいる灯火の影の前で書物を開いて、

 学問に励んで、火に向かって飛んでいく蛾を憐れむこともない。


語注:

 ※夜深(やしん): 夜更けのことです。

 ※涼味(りょうみ): 涼しい趣(おもむき)のことです。

 ※蛩韻(きょういん): コオロギの鳴き声のことです。

 ※沈痾(ちんあ): 長いこと治らない病気のことです。

 ※燭影(しょくえい): 灯火の影のことです。

 ※披(ひらく): 「開く」と同じ意味です。

 ※赴火蛾(火に赴く蛾: ひにおもむくが): 下記の解説を参照してください。


解説:

 漢詩の会の九月の課題の一つです。

 分韻(韻のくじ引き)で「歌」の韻を引き当てました。この詩は、
 起句だけは「麻」の韻で通韻(つういん: 韻と近い音の字で韻を踏む)を
 しています。絶句でのこのような韻の踏み方は、唐の時代の中頃以降の詩に
 見られるそうです(李商隠の詩にもこのような韻を踏んだ詩の例があります)。


 初秋の夜に窓辺に座って虫の声を聴きながら書物を開いている、
 そんな光景を思い浮かべて詠んでみました。


 結句は中国の宋の時代に編纂された、古典の事物や詩文を集めた
 『古今事文類聚』の中に出てきた故事の、
 「如蛾赴火(蛾の火に赴くが如し)」を元にしたものです。

 「如蛾赴火」は、「蛾が火の中に飛び込んで死んでしまうように、
 欲望をむさぼって身を滅ぼすことのたとえ」のことです。

 欲望に動かされずに努力を続けようという気持ちや、
 人にあまりお節介を焼かないで、自分を向上させることに集中しよう、
 という気持ちで進んでいこうということを考えていました。

 さして自分を向上させることも無いのに、
 他人にあれこれと説教や助言をしているような人が
 当時の僕と同世代の知り合いにいたことを思いだして、
 僕は他山の石として気をつけようと思っています。



 二枚の写真は以下のサイトのフリー素材を利用いたしました。


 フォトライブラリー
 http://www.photolibrary.jp/

閉じる コメント(31)

Ruri さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
秋は夜が長いですね。その夜に僕は本を読んでみました。
日が沈んでからは過ごしやすい気候になっていますね。
寝苦しい夜が無くなったのも良いですね。
秋の漢詩と読書を楽しんでいこうと思います。

2009/9/19(土) 午後 2:16 白川 玄齋

あゆみ歴史さん、コメントありがとうございます。
秋も始まったばかりですので、落ち着いて過ごせることと思います。

2009/9/19(土) 午後 2:17 白川 玄齋

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眠さに勝たないというのが正直なところですが、これからの秋の夜長を机で過ごしたいとも考えております。良き日をお過ごしください。食欲の秋ですね。^^

2009/9/19(土) 午後 3:08 瑠

Ruri さん、コメントありがとうございます。
夕方以降には睡魔が襲ってきますね。可能であれば10分くらい仮眠を取ります。
長い夜を机に向かって過ごしやすい、涼しい気候ですね。
おいしいものも少しは食べて、健康に気をつけて過ごしていきたいです。

2009/9/19(土) 午後 4:32 白川 玄齋

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良い季節になって玄様もお元気になられて、こんな嬉しいことはありません。どうかあまり夜更かしはせずにお身体にご注意をしてくださいね。
はせはもう寝る準備です。

2009/9/19(土) 午後 8:54 はせばあ

いつもながら 玄さまの詩は 学があって奥が深いです♪

どの句もすばらしいのですが
私は 承句に 最も心惹かれました。ぽちっ! ^-^b”

虫の声が美しいと感じるのは
欧米人には理解しがたい感覚だそうですが
虫の音(ね)がいいなと感じられる民族でよかったですw

世間は すっかり秋
読書に最適のよい季節になってきましたね!

外出にも 気持ちのよい気候なので
あちこちに 吟行しにいきたいと思っております。

2009/9/20(日) 午後 2:08 ことりん

はせさん、コメントありがとうございます。
涼しいので体の調子は良いようです。
夜は早く寝て、体調管理をきちんとしていこうと思います。
夕方に眠くなったときは、可能であれば少し仮眠を取ることもあります。
健康には気をつけながら、快適な季節の漢詩を作っていきます。
いつも暖かいコメントをありがとうございます。

2009/9/20(日) 午後 4:26 白川 玄齋

ことりんさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
はかない虫が美しい声で鳴くというのは、美しい光景ですね。
こういう感覚を忘れずにいられればいいなと思っています。
読書にも吟行にも良い季節ですね。僕もいろいろと漢詩の材料を
集められるようにしていこうと思います。

2009/9/20(日) 午後 4:30 白川 玄齋

漢詩もいろいろ決まりごとがあるのですね。
秋の涼しくなった感じがでていますね。
私ももっと自分を向上させないといけないなぁと改めて思いました。

2009/9/22(火) 午前 1:11 ウィル

ウィルさん、コメントありがとうございます。
昼は結構蒸し暑い日がありますが、夕方以降は涼しくなります。
そんな現在の気候を思い浮かべて詠んでいました。
絶句の起句の通韻については、「李商隠詩選」を読んで知りました。
難しい韻で漢詩を詠むときだけ、窮余の策として時々使っています。
漢詩はいつもいろんな発見があるので、地道に学んでいこうと思っています。
これからもがんばります。

2009/9/22(火) 午後 2:55 白川 玄齋

美しいけど、それよりも、不思議に印象的な詩だと思いました。

飛んで火に入る夏の虫、というのは、日本のことわざですが、アラビア語圏では、知性ある師匠にひかれて、すぐれた弟子があつまるように、「灯りのもとに集まる蝶々たち」は、むしろ積極的なたとえに用いるんだそうです。
沈痾・・たしか山上億良にも、この語を使った作品があったと思います。おつらいこととお察し申し上げます。でも、すばらしい詩をお書きになる。これからも、期待します。

2009/9/25(金) 午前 2:14 ピン太郎

ピンパパさん、コメントありがとうございます。
アラビア語圏では優れた師匠が灯火で、集まる弟子達が蝶なのですね。
とても良い意味で使われているのですね。

山上憶良の沈痾の歌ですね。以下のページを見つけました。

山上億良:沈痾自哀の文(万葉集を読む)
http://manyo.hix05.com/okura/okura.china.html

山上憶良は漢学に長けていたことで有名ですね。
菅原道真と山上憶良はもっと学んでいこうと思っています。

少し短い人生の間に、何か一つでもものに出来たらいいなと思っています。

2009/9/25(金) 午後 5:01 白川 玄齋

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玄さん、 ご無沙汰してしまいました
もう秋になってしまいました。
10月3日は旧暦の8月15日で、中国と台湾ではこの日を中秋節と言います。この夜は、家族揃って、月餅や果物を食べます。
玄さんは赴火蛾のように、学問に励んでいますね。 ...
徹夜しないほうが長期的にはいいと思います。

、(^。^)ノ

2009/9/26(土) 午後 1:55 [ pure taiwan ]

Pure さん、コメントありがとうございます。
お久しぶりです。日本でも十月三日にお月見の祭りをするところがあります。
その頃には虫の鳴き声などもよく聞こえて、涼しい秋の夜になりそうです。
あまり夜遅くならないように、健康に気をつけてがんばります。

改めて中日辞典で調べてみますと、
「飛蛾赴火(fei1 e2 pu1 huo3)」又は「飛蛾投火(fei1 e2 tou2 huo3)」の意味は、
「飛んで火にいる夏の虫、自ら滅亡を招くたとえ」とありました。
僕も自滅を招かないように、謙虚に学んでいこうと思います。

2009/9/26(土) 午後 3:35 白川 玄齋

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あのな玄齋、君は繊細な心の持ち主で野放途なオッサンのfukoには扱いにくい人やネ。笑

それはそれとして、気が付いたんやけどね、「忘沈痾」の忘やけど、
古来からの常道でこれで文句は言えないがこの「忘」を他の言葉を考え出すことによって詩が換わる。玄齋の詩になるんや。
結句はね、君のは上目線や、高いところから世間を見下している。
俺ならね、文字は同じですが訓読み「学に勤(いそ)しむ」とする。
それより、耕目(まなこをたがやし)・・・
目耕(読書して三日食らわずと云う貧乏書生で、世人曰く何故耕さぬ、となじれば、「我は日々目耕す」と返答した。そのことから取り上げられて出世していく話ですは、世説新語にある。
耕すと蛾とで、つじつまが合うやろ。
fukoかて故事くらい使えるんやで〜〜〜〜^^

2009/9/27(日) 午前 8:43 [ f u k o ]

不孤さん、コメントありがとうございます。
コメントのやりとりではいつも神経を使っていますので、
相手の反応をひどく気にしてしまうのです。すみません。

「忘沈痾」は「養沈痾(沈痾を養う)」とかにする方がよいのかなと、
いろいろと考えていました。「忘」はどこか紋切り型に感じていました。

結句は少し高踏的になってしまったかなと反省しています。
荘子の言う「昭昭乎と日月を掲げて歩く」ような、
自分の学問をひけらかすようなまねにならないように気をつけたいです。
「目耕」の故事を新たに覚えました。
前後をひっくり返して、「耕目」で同じ意味になりうるかどうかは、
ちょっと確認できませんでしたが、

耕目無憐赴火蛾 目を耕して 火に赴く蛾を憐れむこと無し

とできれば、もう少し謙虚な詩になるなと思いました。

僕はもっと勉強しなきゃと改めて思いました。

今日は背中が痛いので、今日一日はしばらく休みます。

2009/9/27(日) 午後 4:20 白川 玄齋

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「養沈痾」では常套ですよ。忘とか養では駄目なのこんなのは一朝一夕には出ませんよ、気にしていたら、今度作った時などに閃くんだよ
だからこうしなさいとかアーしなさいとか言えません。そんなのが閃いたら人に遣れないよ。笑。俺が使うよ。それ程大切なものです。人が使ったのが良いからと云って使ったら二番煎じ駄目。

2009/9/27(日) 午後 5:37 [ f u k o ]

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目耕・と耕目いけますよ。目耕のほうが強調しているかも知れないが目を耕すと云う意味ですよ。いけることにしときましょう。^^

2009/9/27(日) 午後 5:42 [ f u k o ]

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身体厭えよ。

2009/9/27(日) 午後 5:43 [ f u k o ]

不孤さん、コメントありがとうございます。
「○沈痾」については、これからずっと考えていくことにします。
こればっかりは自分の心境を表すものですから、教えられても
自分の詩にはならないのでしょうね。次の機会までの課題にします。
「耕目」は頂いておきます。いけるということにしておきます。

このコメントを書いたらすぐに寝て体を休めます。お休みなさい。

2009/9/28(月) 午前 0:07 白川 玄齋

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