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涼臺黄昏 玄齋 (上平聲十灰韻)
暮 天 江 畔 上 樓 臺 暮天 江畔の楼台に上り
風 冷 醉 襟 重 幾 杯 風冷かにして酔襟 幾杯をか重ぬ
落 照 停 雲 盡 秋 色 落照 雲を停めて尽(ことごと)く秋色
衰 鬢 共 愛 此 詩 媒 衰鬢 共に此の詩媒を愛す
現代語訳:
空が夕暮れ近くになる頃、川のほとりの楼台に上り、
襟元から風も冷ややかに感じられる頃には、何杯の酒をあおったことだろう。
夕日が沈むときには雲が止まって、すべてが秋の景色に染まり、
年を取って色つやの無くなった鬢(びん)の毛をしている男達は、
ともにこの詩の材料(秋の色に染まった光景)を愛していた。
語注:
※涼臺(りょうだい): 涼しげな楼台(ろうだい)のことです。
※暮天(ぼてん): 夕暮れ時の空のことです。
※江畔(こうはん): 川のほとりのことです。
※楼台(ろうだい): 高殿(たかどの:立派な高い建物)のことです。
※酔襟(すいきん): 酔っている人の襟元のことです。
※落照(らくしょう): 沈む太陽の光のことです。
※停雲(くもをとどめる): 雲がその場に止まって動かないことです。
下記の解説も参照して下さい。
※尽(ことごとく): 残らずすべて、という意味です。
※秋色(しゅうしょく): 秋の景色や気配のことです。
※衰鬢(すいびん): 年を取って色つやの無くなった、
鬢(びん: 耳のわきの毛)の毛のことです。
※詩媒(しばい): 詩の材料のことです。
解説:
漢詩の会の九月の課題です。
初秋の頃に、高い建物に登って酒宴をする、そんな光景を詠みました。
転句は陶淵明の「停雲」の詩の序に、「停雲思親友也(停雲、親友を思うなり)」
とあるところから、遠くの友人を思って引き留める、という意味を含めています。
友人を引き留めて酒を酌み交わしながら、秋に染まる光景を、
自分たちの老いと重ね合わせて眺めている、そんな情景を考えていました。
僕も最近は健康を考えて、あまり飲まなくなりましたが、
酒を飲む人の気持ちはわかるようになりました。
時にはしんみりと秋を味わっていきたいという当時の気持ちを詠んでいました。
秋の夕空の風景写真は以下のサイトのフリー素材を利用いたしました。
フォトライブラリー
http://www.photolibrary.jp/
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しんみりと秋を思う詩、瞳もどうぞ
2009/9/30(水) 午後 5:49
あゆみ歴史さん、コメントありがとうございます。
お酒を一杯飲みながら、しんみりと秋を感じてみたいなと思います。
日が落ちるのが早くなったと、最近思います。
2009/9/30(水) 午後 6:12
年を取って色つやの無くなった鬢の毛をしている男達は、ともにこの秋の色に染まった光景を愛していた。秋というと、我が人生の秋も感じていたのでしょうね。秋は物寂しいです。枯葉を見るとやはり、
風情を感じると共に侘しさも感じます。
素敵な漢詩です。傑作です。
良き夜をお過ごしください。
2009/9/30(水) 午後 7:18
Ruri さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
秋の季節には、風物の衰えと、自分自身の衰えを感じる季節ではないかと思いました。
きれいな枯れ葉や枯れ草を見ると物寂しい気持ちにもなりますね。
しんみりとした秋を楽しんでいければいいなと思います。
2009/10/1(木) 午後 0:09
9/30 の午後 9:48 の鍵さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
秋の季節に見あった漢詩を作ろうと四苦八苦しています。
これからもがんばっていきます。
2009/10/1(木) 午後 0:11
短歌では秋を色に例えると白色だそうです。
漢詩でそんな約束事は有るのでしょうか。
教えていただけたら嬉しいです。
勿論、ポチです。
2009/10/1(木) 午後 5:26
はせさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
手元の辞書を見てみますと、季節と色の関係は、
中国の五行(天地を構成する五つの元素)の考え方によるものだそうです。
詳しいことは省略しますが、それによると
春は青(青春)、夏は赤(朱夏)、秋は白(白秋)、冬は黒(玄冬)
となっています。いろいろな決まり事があるものなのですね。
一歩ずつ勉強していきます。
2009/10/1(木) 午後 5:40
漢詩には、やはりお酒が合いますよね。転句、秋色が「尽く」なのですね? 秋色を「尽くす」のではないのですね? 秋色が尽きるという意味でよいのでしょうか? また、無知な質問でごめんなさい。
2009/10/2(金) 午前 11:38
akiko さん、コメントありがとうございます。
漢詩には、お酒が出てくることが多いですね。僕は最近はお酒は控えめにしています。
「尽く」は、語注に示したとおり、「ことごとく」です。
そこら中が残らずすべて秋の色に染まる、という意味です。
改めて記事にルビを振った方が良いかなと思いました。
確かにまぎらわしいですね。
2009/10/2(金) 午後 3:30
尽は面白いですね。尽心(身)心を尽くす。身を尽くす。即ち尽く心であり、尽く身である。同じですよね。
まだまだ言語を考えて推敲するともっと良い詩になりますが、生鮮さでは今の方が良いでしょうね。
これからですよ、ジッと自らの詩と対話するのは。ポチ
2009/10/2(金) 午後 10:22 [ f u k o ]
酒を飲むと人それぞれに悩み楽しく悲しいお酒でしよう。
秋は白い色ですか!ポチ
勉強してますね。
2009/10/3(土) 午前 2:25
不孤さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
「尽くす(つくす)」と「尽く(ことごとく)」で同じ意味になっていますね。
何度も推敲を重ねて、少しずつ良くなってきているのはわかりました。
これからもいろんな詩を作りながら、じっくりと推敲に取り組んでいきます。
2009/10/3(土) 午前 10:59
ほしさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
お酒を飲むと、その時々でいろんな感情があることに気づいてきました。
今回の詩でははしみじみと悲しいお酒になりました。
いろんなことを学んでいって、漢詩の材料にすることと、
自分自身を向上させるのにも役立てればいいなと思っています。
これからも少しずつ努力していきます。
2009/10/3(土) 午前 11:03
大兄の漢詩への造詣の深さと、ご努力と、格調高い作品にいつも感動しています。
ボクは飲み助なので承句が好きで、転句の秋の描写に感服です。拍手パチパチ。ポチ。
2009/10/3(土) 午前 11:34 [ チョコ ]
choco3784 さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
承句は寒い中でお酒を飲むと体が温まる状況を想像していました。
昨日はキムチ鍋とお酒で暖まりました。大量に汗もかきました。
夕方に空が紅く染まるのも、秋に似合う光景だと思いました。
最近はかなり漢詩にはまってきました。ずっと続けていければいいなと思います。
これからも地道にがんばります。
2009/10/3(土) 午前 11:56
私はもともとあまり飲めないのですが、
飲むのは好きなので、
すぐ飲みすぎてしまうので最近は気をつけています。
2009/10/3(土) 午後 6:32
ウィルさん、コメントありがとうございます。
僕も楽しいときにはどんどんお酒が進んでしまいますので、
そういうときに飲み過ぎないようにと、気をつけています。
2009/10/4(日) 午前 11:50
「尽く」について、読み落としていました。ごめんなさい。フコさまのコメントも拝見しました。漢字は奥が深いですものね。
2009/10/9(金) 午後 2:57
akiko さん、コメントありがとうございます。
「尽きる(つきる)」も「尽く(ことごとく)」も
「ありったけを費やす」という意味では同じ意味になっていますね。
こういう細かいところまで手が届くように学んでいきます。
2009/10/9(金) 午後 3:01