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晩秋述懷 得寒 玄齋 (上平聲十四寒韻)
晩 秋 白 屋 忍 飢 寒 晩秋の白屋 飢寒を忍び
搖 落 霜 楓 一 葉 殘 揺落する霜楓 一葉残す
漫 讀 史 書 求 有 意 漫りに史書を読みて有意を求め
平 時 却 恥 仕 官 難 平時 却って仕官の難きを恥づ
現代語訳:
晩秋には粗末な家で、飢えと寒さを堪えており、
風に揺られて落ちる、霜がかかって紅くなった楓は、
葉を一枚残すだけになった。
意味もなく歴史書を読んでおもしろみを求めて、
かえって平和で何もないときに、
役人になって仕えることが出来ないことを恥ずかしく思った。
語注:
※述懐(じゅっかい): 心に思ったことを述べることです。
※白屋(はくおく): 粗末な家のことです。自分の家を謙遜して言う表現です。
※飢寒(きかん): 飢えと寒さ、飢えて凍えることです。
(これは少々大げさな表現です)
※揺落(ようらく): 草や木の葉が風を受けて散ることです。
※霜楓(そうふう): 霜が降りて紅くなった楓のことです。
※史書(ししょ): 歴史書のことです。
※有意(ゆうい): おもしろみのことです。
陸游の「春晩村居」の詩に使用例があります。
※平時(へいじ): 平和で変わったこともない時のことです。
※仕官(しかん): 役人になって仕えることです。
解説:
漢詩の会の十一月の課題です。
「得寒」とは、分韻(ぶんいん: 韻のくじ引き)で
「寒」の韻を引き当てたことを示しています。
秋の終わりに思ったことを詠んでみました。
転結の、昔の歴史書の戦いの場面などを見ておもしろみを感じつつ、
一方で平和な時代に職に就けていないことに思い至る、という部分には、
身体の障害や諸々の理由で実際に職に就けていないことを
恥ずかしく思う気持ちもありますが、
同時に詩人として、このような世間ときちんと向き合う心持ちで
いなければいけないのでは、という風にも思っています。
俳人の高山虚子は『俳句の作りよう』の中で、
松尾芭蕉の句がすぐれているのは、深く人生を味わった上で
世を超越しているからだ、ということを述べ、
さらに、若くして詩歌に親しんでいる者は、往々にして
人生を軽蔑した上で世を超越するような真似事をするから、
一種の俳人臭がして人の鼻につく処があると、述べています。
人生を軽蔑して、世間から背を向けて詩歌に没入して
世の中を超越するようなことを考えてしまうと、
かえって詩人としての成長を妨げてしまう、
そういうところにも気をつけて学んでいこうと思いました。
世の中を生きていくのが拙い自分自身から背を向けずに、
世の中のこともしっかり学んでいこうと思いました。
このような漢文のような詩情の乏しい漢詩が多いのも、
少しずつ改めていかなければと思っています。
紅葉の写真は以下のサイトのフリー素材を利用いたしました。
フリー画像素材 EyesPic
http://eyes-art.com/pic/
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お久しぶりです。自分を恥ずという感覚は、やはり
必要なことですね。そのことによりものが書けるということもありますね。自分を笑うこともあります。またおじゃまします。傑作です。紅葉したもみじが美しいですね。
2009/11/14(土) 午前 0:38
昔なら官吏になることも意義があったでしょうが、いまは上からは予算人員削減、庶民からはクレームと情報公開で、誰からも誉めらることのない厳しい環境です。公務員と教師の精神疾患の休職者がやたら多いのはそのせいかも…。まあ民間企業なら即クビですけどね。
やはり自由な詩人がいちばんよいのでは? ポチ。
2009/11/14(土) 午前 2:21
この詩を読んではせこそもうこの世でなすべき事もないのに、のんべんだらりと生きている事は恥ずかしい事だと思った時期がありました。でも今は私が生を全うする事が、それだけで意味があるのだと思えるようになりました。
毎日、時の流れて行く音を聴きながら生きていくのもいいことだ・・・と。
私の心を描いてくれた玄様の詩にポチ。
2009/11/14(土) 午後 1:05
お早うさん、即事では勿体ない詩に出来上がりましたね。
玄齋はん「晩秋述懐」に題を換えなはれ。
あんさんは俺等には想像のつかん心労をしたから、有る意味達人に成っているのだと思いますよ。一身に修業してください。ポチ
2009/11/15(日) 午前 7:32 [ f u k o ]
まいさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
こういった理屈臭い漢詩を作ってしまうのも、僕の最近の反省点の一つです。
どんどん学んでいってもっともっと自分を高めていくことと同時に、
もっと花鳥風月や普段の景色をうまく詠んでいきたいなと思います。
これからもがんばります。
2009/11/15(日) 午後 1:40
ほしさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
哀しい事件が多く、生きていくのも大変な中で、
何とかまじめに生きていくことができればいいなと思っています。
少しずつ地道に学んでいこうと思います。
寒くなってきましたね。風邪には気をつけて過ごしていきます。
2009/11/15(日) 午後 1:42
Ruri さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
時々自分自身を振り返って自分を恥じる感覚を持つのも、
思い上がったような感覚を持たないためにも必要かなと思っています。
自分を笑うというのも、これに近いものに思います。
紅葉したもみじの風景は、秋の景色の中で一番美しいなと思います。
これからも少しずつがんばります。
2009/11/15(日) 午後 1:48
ひろちんさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
今は公務員も余剰の人材を削る時期なので、
公務員として働くのも厳しい状況ですね。
周囲からのプレッシャーも相当なものなので、
心の病を抱えている人も多いということなのですね。
民間はもっと厳しい状況に迫られていますね。
世の中が少しでも明るくなっていけばいいなと思います。
僕ももう少し気持ちを楽に持った方が良いかなと改めて思いました。
2009/11/15(日) 午後 1:53
はせさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
僕も病気等で世の中で働いている状況ではない中で、
自分自身のことをどのように考えればよいのかと苦心しています。
僕はこの先もおそらく大きなことが出来るわけでもないと思いますが、
せめてほんの少しでも前を向いて生きていければいいなと思います。
謙虚に自分と向き合うのは難しいなといつも思います。
少しでも詩にすることが出来るように学んでいきます。
2009/11/15(日) 午後 2:01
不孤さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
苦しい中で少しずつ本を読んで、いろいろと気づくことはありますが、
それが本当に正しいことなのだろうかと、時々思いながら書いています。
もっと身を入れて自分の血肉になるように学んでいこうと思います。
自分の思いを詠んだ詩になっているなと気づきました。
「晩秋述懐」の題にしてみます。これからもがんばります。
2009/11/15(日) 午後 2:07
うーん。結句は、ボクの胸にも突き刺さってきますね。
当たり前のことのようですが、寒、残、難、と韻を踏み、しかもこれだけの内容の「すじみち」を通してるのが、すばらしい。作ってみてわかる、玄さまのすごさ。
ボクも、生まれて初めて作った漢詩、アップしておきました。ご笑覧をたまわりたく。。。
2009/11/16(月) 午後 9:39
ピンパパさん、コメントありがとうございます。
結句は僕自身の切実な部分を考えて詠んでみました。
僕は起承と転結が全く分かれてしまうことがよくありますので、
その部分をつなぐのにどうすればいいかを考えながら作っています。
ピンパパさんも漢詩を作って下さったのが嬉しいです。
これからブログを訪問します。
2009/11/17(火) 午後 2:29
玄さんその通り、結句は落語で言うと落ちなんや、この落ちというのは起承転を含ませながら落ちを付けるんや。fukoも何時もそれを考えています。特に転句が離れると難しい、然しはねれてそれを上手く落ちに結びつけると実に面白い詩ができます。
2009/11/21(土) 午後 3:42 [ f u k o ]
不孤さん、コメントありがとうございます。
結句より転句の方が難しいなと思うときが多いです。
どのように転じるかというのがいつも課題として残ります。
ありきたりにならず、かといって起承と無関係にならずという中間点を
きちんと考えていくのがいつも課題ですね。
もっともっと作り込んでいければいいなと思います。
2009/11/21(土) 午後 4:40
奥の深い漢詩ですね。
玄様は 学がおありなので 一句一語に感銘を受けます。
正直、仕事はつらいけれど、
この不況の世に仕事があるだけ幸せなのだと考え直し
がんばっていこうと 意を新たにいたしました。
すばらしい漢詩、ありがとうございました。
2009/11/23(月) 午後 5:20
ことりんさん、コメント + 傑作ポチ + TB ありがとうございます。
いろんな漢詩の言葉を学んで、実際に漢詩に使っていこうと思います。
僕も真剣に勉強をしていかないと、日々まじめに働いている方々に
申し訳ないなという気持ちになって、日々学んでいます。
僕もベストを尽くせるようにしていこうと思います。
僕もがんばります。
2009/11/24(火) 午後 1:42
最新作より、こちのが好きです。
中国語で読んでも素晴らしい作品と思います。
特に「搖 落 霜 楓 一 葉 殘」、すごく詩的な感じがする。
風がふって、最後の葉が揺れて、落ちるように落ちないのこの景色が目の前にあるようです。
素晴らしい
2009/11/28(土) 午前 7:53 [ 茶々 ]
桃花(茶々)さん、こちらにもコメントありがとうございます。
こちらの方が中国語で読んでもいい作品でしたか。ありがとうございます。
承句は風で揺られて最後の一葉のような自分自身を考えていました。
承句はいつも苦心しています。最後まで推敲することが多いです。
たくさん作っていって詩情を磨いていこうと思います。
2009/11/28(土) 午後 2:35
自分自身を考えるなんて、悲しい過ぎると思います。
しかし、素晴らしいです。
2009/11/28(土) 午後 6:33 [ 茶々 ]
桃花(茶々)さん、コメントありがとうございます。
厳しい世の中の中で、この詩のような哀しい気分になることもありますが、
こういう気持ちを受け止めながら、少しでも明るく生きていきたいなと思います。
漢詩を考えているうちに、世の中のいろいろなことも考えるようになりました。
これからもがんばって漢詩を作っていきます。
2009/11/30(月) 午後 2:29