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偶 感 玄齋 (上平聲十四寒韻)
奥 州 災 異 百 憂 攅 奥州の災異 百憂攅まり
戸 戸 傷 心 死 別 難 戸々 傷心す死別の難きに
痛 哭 吟 懷 風 雅 絶 痛哭の吟懐 風雅絶え
前 箋 將 奈 幾 辛 酸 箋を前にして幾辛酸を将た奈んせん
現代語訳:
東北(と関東)で起きた天変地異により、
人々にはすべての悲しみが群がり集まっていて、
どの家でも、死に別れがたい気持ちで非常に悲しんでいた。
私もはげしい悲しみで、詩歌を作ろうとする気持ちは風流さを失ってしまい、
詩を書き付ける紙片を前にして、いくつもの大きな苦しみを
一体どのように表現すればいいのかと思った。
語注:
※偶感(ぐうかん): ふと心で思った感想のことです。
※奥州(おうしゅう): 日本の東北地方を指します。
(僕の気持ちの中では関東地方も勿論入っていますが・・・
このあたりが今回の漢詩の課題です)
※災異(さいい): 天変地異のことです。
※百憂(ひゃくゆう): すべての憂い、悲しみのことです。
※攅: 「あつまる」と読みます。「群がり集まる」という意味です。
※傷心(しょうしん): 非常に悲しむことです。
※痛哭(つうこく): ひどく悲しむ、はげしく泣くことです。
※吟懐(ぎんかい): 詩歌を作りたいという気持ちを意味しています。
※風雅(ふうが): みやびやかなこと、風流のことです。
もともとは『詩経』の国風と大雅・小雅のことで、転じて詩文のことを意味します。
※箋(せん): ここでは吟箋(ぎんせん: 詩を書き付けた小さい紙片)のことです。
※将奈〜(はた いかんせん): 「〜を一体どうすればよいのか」という意味です。
※辛酸(しんさん): 非常な苦しみのことです。
解説:
入院中に東日本大震災について、思ったことを病室で漢詩にしてみたものです。
入院中に発生したこの大災害に、僕も非常に心を痛めています。
せめて一刻も早く多くの方の生活が出来る限り元通りになることを願っています。
僕ももっとがんばって生きていかなければと思っています。
起句の「百憂」という表現は人間の一人一人のあらゆる悲しみを意味した言葉です。
この災害に対する日本人の感覚として、「萬憂(万憂)」などと
してみたいところですが、
こちらは正確な詩語(漢詩で使う言葉)とは言えないようです。
『全唐詩』のサイトに Google でサイト内検索を行なった結果、
「百憂」は 52 件検索で見つかりましたが、「萬憂(万憂)」は 0 件でした。
『全宋詞』などでも検索をかけてみましたが、
「百憂」は見つかりましたが「萬憂(万憂)」は見つかりませんでした。
ここから考えますと、漢詩で「萬憂(万憂)」を使うのは
適切ではないと判断しました。
漢詩の言葉は常に慎重に使っていかなければといつも思います。
3/30 追記:
結句の一文字目、「詩」を「前」に変更しました。
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こんにちは。
うなずきながら読み返しています。
悲しみが心に伝わります漢詩素晴らしいですね。☆☆☆
玄さんの退院の喜びが悲しみとぶつかりこれが運命ですね。
災害地の人も玄さんのように元気になりますね。
凄く嬉しい日です。
これが素晴らしい漢詩を楽しみにしています。
玄さん、ご返事のコメントは要らないですからね。
ゆっくりしてね。。
2011/3/25(金) 午後 5:20
ほしさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
入院中の一年の間に世の中ががらっと変わってしまったことを思います。
僕ももっと元気を取り戻していかないとと思います。
漢詩もマイペースでゆっくりと取り組んでいきます。
2011/3/25(金) 午後 5:24
このような時期は詩歌を詠むのが難しいですね、実感しました。
被災地の病院等で寝たきりのひとは本当に困っていると思います。
傑作。
2011/3/25(金) 午後 7:34
ひろちんさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
このような大災害などの悲しい出来事には、
ともすれば直截な表現や叫びのみになってしまい、
思想性と芸術性のバランスなどは吹っ飛んでしまいます。
僕の漢詩もあまり評価の対象にはならない代物になってしまっています。
何とか苦しみながら絞り出してみましたが、難しいです。
被災地で寝たきりの人に往診をしてがんばっている
医師のことを報じていたのを知りました。
そのような医師の存在を知っていないと、
助かるのは難しいのではと思いました。
2011/3/26(土) 午前 8:44
こんにちは。
自分のブログ更新しかしていないようなわたくしでしたので、
玄さんにこんな一年があったとは!!
本当にお疲れ様でした。
また、私も遊びに来ます。
勉強させてくださいね。
2011/3/26(土) 午前 9:37
やまこさん、コメントありがとうございます。
一年ぶりに戻ってきて、僕の生活も一変してしまいました。
これからは車いすの生活になりましたので、
僕なりのペースで生活できるようになればいいなと思います。
ブログもゆっくりとでも更新していく予定です。
2011/3/26(土) 午前 10:13
うれしいコメントありがとうございます。この漢詩に☆ポチですよ!ゆっくり養生してくださいね!放射能汚染はこれからも続くでしょうね!計画停電が中途半端で困りますね!まだ買い占めがあります、スーパーでも品数がありません!
2011/3/26(土) 午後 0:14 [ 清水太郎の部屋 ]
清水太郎さん、コメントありがとうございます。
養生しながらゆっくりとブログ更新を続けていきます。
買いたい物が物自体がなくて買えないというのは辛い状況ですね。
大阪も実際いつ大地震があるかわかりませんが、
買い占めはしないように心掛けていきます。
2011/3/26(土) 午後 3:03
千年に一度と言われるほどの大地震と大津波、復興にも心身の傷を癒すにも、何よりご家族や大切な人を亡くした悲しみも、癒えるまでには時間がかかりそうです。
玄さんのお気持ちがとても伝わってきました。
ぽち☆
2011/3/27(日) 午前 1:32
みゆっぴさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
震災で負った心身の傷はなかなか治っていかないものだと思いました。
死別の悲しみを体験した方々はなおさらのことではないかと思っています。
このときの気持ちを上手に表現することの難しさを感じました。
2011/3/27(日) 午前 11:17
おいでいただきありがとうございます。
お体大丈夫でしょうか?
今までと違ってこの震災は、日本国中が我事のように感じているし世界中が見守っている感じがしますね。
2011/3/29(火) 午前 0:09 [ いづみかほる ]
henmeruidumi さん、コメントありがとうございます。
家で普通に過ごす分には元気ですが、暫く外出を控えて療養です。
もう少し暖かくなれば外出もできるかと思います。
震災を自分のことのように考えていかなければと僕も思います。
世界中も見守ってくれていますね。
さらに原発が影を落としているのがとても残念だと思います。
2011/3/29(火) 午前 9:58
良くできていますよ^^
このお作で十分良いと思いますが、結句「前箋」箋を前にして・・・だとどうだろうか^^
2011/3/29(火) 午後 7:51 [ f u k o ]
不孤さん、コメントありがとうございます。
「箋を前にして」の方が転句とのつながりがいいですね。
「吟」と「詩」を重ねるのも気になっていたところでしたので。
早速替えてみます。
2011/3/30(水) 午前 8:21