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京都の永観堂(えいかんどう)の紅葉
晩秋偶吟・其一 玄齋 (下平聲一先韻)
霜 紅 楓 樹 競 秋 妍,
遙 憶 佳 人 寄 一 箋。
幾 忍 微 寒 案 詩 夕,
青 娥 衣 錦 眼 前 鮮。
晩秋偶吟・其二 玄齋 (上平聲十五刪韻)
夕 看 青 女 染 幽 谷,
夜 見 素 娥 輝 亂 山。
終 日 秋 光 吟 不 盡,
心 存 一 女 望 開 顔。
書き下し文:
題:「晩秋(ばんしゅう)偶(たまたま)吟(ぎん)ず・其の一」
霜紅 楓樹 秋妍を競い、
遙に佳人を憶うて一箋を寄す。
幾たびか微寒を忍びて詩を案ずる夕(ゆうべ)、
青娥 錦を衣て眼前に鮮やかなり。
題「晩秋(ばんしゅう)偶(たまたま)吟(ぎん)ず・其の二」
夕に青女の幽谷を染むるを看て、
夜に素娥の乱山に輝くを見る。
終日の秋光 吟じて尽きず、
心は一女の開顔を望むに存り。
現代語訳:
題:「秋の暮れに偶然に出来た詩・その一」
霜がおりて、カエデの木々が紅く染まって、
お互いに秋の美しさを競うときに、 遙か遠くの美しい女の人に、一通の手紙を送ろうとしていました。
何度か微かに感じる寒さに耐えながら、夕方に詩を考えているときには、
青娥(せいが)という霜を降らせる天女(てんにょ)が、
美しい模様の衣を着ているように、目の前に鮮やかに感じられました。 題: 「秋の暮れに偶然に出来た詩・その二」
夕方には、青女(せいじょ)、つまり霜を降らせる天女(てんにょ)が、
奥深い静かな谷間を霜で紅葉に染めているのを見て、 夜には、素娥(そが)、つまり月に住む仙女(せんじょ)が
高さのそろわない山々の間で輝いているのが見えます。 一日中、私は秋の景色で詩を作って、尽きることがありません。
私の気持ちは一人の女性の表情を笑わせることにあるのです。
語注: ※霜紅(そうこう): 霜の時期を経て葉が紅く色づくことです。
※楓樹(ふうじゅ): カエデの木のことです。
※秋妍(しゅうけん): 秋の時期の美しさのことです。
※佳人(かじん): 美しい女の人のことです。
※一箋(いっせん): 一通の手紙のことです。
※微寒(びかん): かすかに感じる寒さのことです。
※青娥(せいが): 霜を降らせて紅葉にするという天女(てんにょ)の
ことです。「青女(せいじょ)」も同じ意味です。
※衣錦(にしきをきる): 錦のような美しい模様の着物を着る、
転じて、美しい模様の景色を身につけている様子を示します。 ※素娥(そが): 月の宮殿に住んでいるという伝説上の仙女(せんじょ)
である、「嫦娥(じょうが)」のことです。「素」は白のことで、
色が白いことから来ています。 ※幽谷(ゆうこく): 奥深く静かな谷のことです。
※乱山(らんざん): 高さのそろわない多くの山々のことです。
※仙寰(せんかん): 仙人が住むというところです。
ここでは月の世界のことを指します。 ※終日(しゅうじつ): 一日中、という意味です。
※秋光(しゅうこう): 秋の景色のことです。
※一女(いちじょ): 一人の女の人のことです。
※開顔(かいがん): 表情を明るくして笑うことです。
解説:
紅葉の時期にお相手の方に手紙を送る、 そんな情景を詠みました。 紅葉は大阪は十一月ごろですが、北海道や東北では
すでに木々が色づいています。それに合わせて詠んでみました。 青女(せいじょ)または青娥(せいが)は、
伝説に出てくる霜を降らせる天女(てんにょ)のことです。 霜が降りて紅葉する、そんな寒い中で見る景色は、
美しい天女が錦をまとう姿にたとえられるのではと思いました。 そして素娥(そが)、月に住む仙女(せんにょ)のことです。
素は白い色を表します。白い肌の美女を見るわけです。 夕方も夜もお相手の方のことを思い浮かべるうちに、
天女や仙女を思い浮かべていた、 それを心ゆくまで詩に詠もう、そんな気持ちです。 その気持ちがお相手の方にも届くようにと、
お相手の笑顔を見られるようにと、
きちんと心を配りながら漢詩を作ろうと思います。 そして日々の心遣いを忘れないようにしよう、 そんな思いを込めて詠んでいました。 |
漢詩
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今晩はこの素晴らしい漢詩に応援の☆ポチですよ!永観さん崇拝してます!「真言僧儀海の足跡」で触れました。
2011/10/20(木) 午後 7:39 [ 清水太郎の部屋 ]
一、が紅から青。
二、が青から紅。
上手くコントラストの出た詩だと思います。傑作。
2011/10/20(木) 午後 10:13
清水太郎さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
独自に調べてみると永観堂は阿弥陀さんのお寺だったことが分かりました。
お寺に置かれている絵も見事なものですね。
こういうところもいろいろと調べていこうと思います。
2011/10/21(金) 午前 8:13
ひろちんさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
お相手の方を天女や仙女にたとえていました。
青女(せいじょ)または青娥(せいが)は霜を降らせる天女で、
霜が降りて紅葉するという表現もありますから、
紅と青と、どちらも詠み込めるのがいいなと思っていました。
こういう表現に慣れていって、お相手の方への気持ちを
うまく表現していけるようにがんばろうと思いました。
2011/10/21(金) 午前 8:17
秋は深々と重ねるごとに、思いもより一層増し・・・
想いも秋ですね。
玄さんの伝える心を切々に漢詩に綴る思いが伝わりました。
お相手にも伝わっていますよ。
誠実さの漢詩に。。。ポチ☆
2011/10/22(土) 午前 8:42 [ さんぼうやま ]
さんぼうやまさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
僕のお相手の方への気持ちが高まってきたように、
漢詩の表現も深まっていけばいいなと思っています。
お相手の方の気持ちをとらえる漢詩を作っていきたいです。
これからもがんばります。
2011/10/22(土) 午前 9:29
青・・・こういう風に使われると
なおさら気高く美しいという 表現に磨きがかかるように感じました。 透明感のある美しさかな〜??と、感じて
います。
ステキな詩だとおもいます。
2011/10/22(土) 午後 0:02
ある おかんさん、コメントありがとうございます。
お相手の方を仙女にたとえるために使った名前の
青娥(せいが)、あるいは青女(せいじょ)の「青」を
どのように漢詩の中で使っていくかを工夫していました。
いろんな名前を覚えて活用していけるようになりたいなと思っています。
2011/10/22(土) 午後 1:06
拝見しましたよ^^
2011/10/22(土) 午後 3:04 [ f u k o ]
不孤さん、コメントありがとうございます。
七言絶句も填詞も、きちんと詠んでいけるように努力していきます。
これからもがんばります。
2011/10/22(土) 午後 3:13
こんばんは✿
赤と青を…
感じることのできる
とても美しい漢詩ですね。
青娥と青女は同じ意味なのですね。
どちらの響きも綺麗でとても好きです。
玄さんのお気持ち
届いています、とても伝わってきます。
ありがとうございます。
傑作ポチッ♫☆。.:*:・'°★°'・:☆*゜・+♬*゜・+✿
2011/10/24(月) 午前 1:36
ゆーみんさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
青女が霜を降らせることで紅葉をもたらす、
この色の対比がとても美しくて良いなと思います。
僕とあなたとの関係も、そんな風になりたいなと思います。
長所も短所も、とても異なる二人が、お互いを理解し合い一つになって美しい物を作り出す、
そんな風にしてお互いの関係を築き上げられればいいなと思っています。
あなたのことを考えると、いろんな漢詩が浮かんでくるのです。
その漢詩であなたが喜んでくれる、僕にとってもこの上ない喜びなのです。
僕のあなたに対する想いを、漢詩でも日常の中でも、
いろんな形で表していきたいなと思います。
これからも日々きちんとがんばっていきます。
2011/10/24(月) 午前 8:18