玄齋詩歌日誌

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その他の漢文

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永寧門(中国・西安)
Photo by (c) Tomo.Yun
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 この『韓非子(かんぴし)』の一節は Yahoo! 知恵袋で質問された内容です。数行ずつに小分けにして質問をしてきたので、それに逐一回答をすると、かえって説明が煩雑なくりかえしになるので、ここにまとめて訳してみました。
 
 この漢文は『韓非子(かんぴし)』の五十四篇めの「心度(しんたく)篇」です。この一節は民衆の心と法律の適用についての内容です。
 
 こちらは解説になります。三つの記事でセットになっていますので、コメント欄はこちらの解説の記事のみに設けています。この点もよろしくお願いいたします。
 
 原文・書き下し文・語注と現代語訳は以下を参照して下さい。
  
 原文・書き下し文・語注の記事
 
 現代語訳の記事
 
 
 
 
●解説
 
 
 この一節は Yahoo! 知恵袋で質問された内容です。数行ずつに小分けにして質問をしてきたので、それに逐一回答をすると、かえって説明が煩雑なくりかえしになるので、ここにまとめて訳してみました。
 
 
 この漢文は『韓非子(かんぴし)』の五十四篇めの「心度(しんたく)篇」です。この一節は民衆の心と法律の適用についての内容です。
 
(一)明白な基準を設けて民衆を動かすこと、
(二)時代とともに民衆の悪知恵がついてくるので、
それに対応して刑罰を定めること、
(三)外国などの外部勢力をあてにせず、
きちんとした万全な態勢を築くことで国を治めていくこと、
 
この三点について述べています。
 
 この現代語訳はかなりの意訳ですので、意味は取りやすくても一語一語の正確性には欠けますので、正確を期したい場合は岩波文庫の岩谷治著の『韓非子』を参照して下さい。
 
 
 以下、韓非子(かんぴし)についての解説です。
 
 
 韓非子(かんぴし)は秦の始皇帝(しこうてい)が中国を統一する以前の、戦国時代(せんごく)の弱小国である韓(かん)の国の王族でした。韓非子は儒学者の荀子(じゅんし)のもとで学び、同門の兄弟弟子にのちに始皇帝の宰相となった李斯(りし)がいました。
 
 韓非子は時代とともに人間がその素直な本質から離れて悪賢くなる中で、厳格な法律と信賞必罰の適用によって国を統治していくという考えの
法家(ほうか)の代表者です。
 
 彼は国に戻っても、吃音(きつおん)という言語障害によってうまく話せないこともあって、自分の意見が採り上げられることはありませんでした。しかし世の中を見つめる彼の視点はとても鋭く、文章もとてもすぐれていたので攻め込んできた始皇帝(当時は秦の王の政(せい)です)がその著作を読んで大変感動し、李斯のかわりに宰相にしようとしました。しかし危機感を感じた李斯は韓非子をワナにはめて始皇帝に殺させるように仕向けて、韓非子は殺されてしまいました。その後に李斯は韓非子の思想を活用して、宰相としての地位を固めていました。
 
(この話を知っているので司馬遼太郎の『項羽と劉邦』のなかで、
秦の末期のときの李斯のむごたらしい最期の部分を読んでも、
僕はあまり同情を覚えませんでした。)
 
 
 韓非子の思想はいろんなところで間違った解釈をされています。
 
 「厳格な法律と信賞必罰」、この部分ですでに間違いが多いのです。
 
 
 まず「厳格な法律」とは、

 君主自身さえも厳しい法律や刑罰に従わなければならず、君主が勝手に法律や刑罰の適用を曲げることができないものにしなければ、法律を作る意味はないのです。
 
 君主の愛する愛人だからといっても、死刑に値する罪を犯せば処刑されなければならない。これがきちんと実施されなければ民衆は法律を守らないのです。
 
 そこまで厳格で初めて、民衆はその法律に従えば、安心して暮らしていけると思って、きちんと法律を守るようになるのです。
 
 ですから法家の一人で、韓非子より前の時代に秦の国の宰相となった商鞅(しょうおう)は厳格な刑罰の適応で国は治まりましたが、王族たちに憎まれて、むごたらしい最期を遂げました。
 
 
 そして「信賞必罰」、これこそ間違いが多いのです。
 
 これをきちんと実施できるようにするのは容易ではないのです。
 
 まず、自分の嫌いな人であっても、功績をきちんと上げればきちんと褒美を与えないといけないということです。そして何より、君主が自分の気づかないところで誰かが功績を上げていることで、それに対して褒美を与えることができなければこれもまた君主は信用されません。
 
 さらに、悪賢い重臣たちがそのことを君主に伝わらないように隠していた場合、その重臣たちを通じてでないと褒美がもらえないことになり、国はその重臣たちの思うままとなるのです。
 
 
 ここら辺をきちんと考えずに実力主義などといっても、かえってその組織に混乱を引き起こすだけなのです。
 
 
 『韓非子(かんぴし)』を読んで目立つ部分は、君主たちの失敗談です。状況がわからない時に感情にまかせて誰かを処刑してしまうことで、そのことが後々君主としての地位を失うなどの憂き目に遭うのです。僕もそういう時には気をつけたいなと思います。
 
 親しい人たちとの人間関係の状況が見えない時にどう対処すべきか、ということを僕は儒学を学んでいるなかで気づいたのは、そういう時には謙虚に振る舞って、相手をできる限り好意的に解釈するとうまくいくことが多いことを学びました。もちろんだまされてはいけなのですが、態度を低くして状況を見極めることが大切だと思いました。
 
 
 『韓非子』にはそういう状況の中で真実を見極める方法をいくつか紹介しています。かなりあくどい謀略に関する内容なのでここでは紹介しません。

(興味のある人は、『韓非子』の内儲説(ないちょぜい)篇の上下を読んで下さい)
 
 
 おそらくそこを曹操は熟読していると思います。曹操はいろんな有能な人材を活用したわけですが、それは戦略ゲームのように生やさしいものではないのです。 
 
 有能であっても、ゆくゆくは自分に取って代わろうとする野心のある人を排除、あるいはコントロールしないといけないわけですし、一方で褒美さえきちんと与えれば服従する優秀な人間、あるいは本当に心底自分に忠実で優秀な人間、これらを野心のある人と取り違えないようにしないといけないのです。それに君主がその有能な人に嫉妬をして、野心のある人と思って間違って殺してしまったら、目も当てられません。そういう嫉妬などを抑えるために、韓非子で書かれているルールを熟読し使いこなして厳格に適用して、人材を活用していったのだと思います。
 
 
 現在の僕がこの本から得る教訓としては、
 
「きちんと真実を見極めて、感情的にならずに冷静に行動すること」

だと思っています。
この点に気をつけながら、今後も努力していきます。
いろんな勉強をしていく中でお相手の方を想う漢詩の材料になっていけばいいなと思います。これからもがんばります。

閉じる コメント(22)

清水太郎さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
大阪は曇りで寒いです。風邪に気をつけようと思います。
これからも漢文の翻訳もがんばっていこうと思います。

2011/11/23(水) 午後 0:32 白川 玄齋

吉祥天さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
韓非子の解説を書いてみたかったので、思い切って一つの箇所を
訳してみることにしました。漢文を訳す作業も楽しいです。
こうしたことを積み重ねて、お相手の方を想う漢詩に
つながっていけばいいなと思います。
これからも日々きちんとがんばります。

2011/11/23(水) 午後 0:34 白川 玄齋

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リーダーというのは冷静な謙虚さと強靭な意思を持たなくてはならないのでしょうね。時代や社会背景は違いますがいまにも通じることが多いように思います。政治家だけでなくて小さなグループのリーダーでも。傑作。

2011/11/23(水) 午後 0:42 ひろちん。

ひろちんさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
リーダーには謙虚さと真実を見つめる冷静な目と知恵、
こういうものが必要なように僕も思いました。
今の時代に照らしても考えていければいいなと思います。
お相手の方のためにも、僕のためにも、
これからもきちんとがんばっていきたいなと思います。

2011/11/23(水) 午後 1:07 白川 玄齋

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玄さんって ほんとに 勉強熱心で 情熱的なんだな〜と 感心しきりです。
積み重ねが 大きな力に なっていってるんだなと 思います。わたしも・・・と、思いました。感謝!
ぽち。

2011/11/23(水) 午後 8:33 [ 遊夢 ]

歩歩さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
昨日と今日で作業に没頭していました。
この韓非子の中の言葉もきちんと僕の血肉として消化していく中で、
お相手の方を想う漢詩に活かしていければいいなと思います。
これからも日々きちんとがんばっていきます。

2011/11/23(水) 午後 8:41 白川 玄齋

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拝見^^

2011/11/23(水) 午後 9:22 [ f u k o ]

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中国の書き物は、その歴史によってか洗練されている、と感じました。
学ぶべき所は、学ばないといけませんね。

2011/11/24(木) 午前 0:09 [ Kapok ]

不孤さん、コメントありがとうございます。
新年の歌会始のお題の「岸」の漢詩もそろそろ考えていきます。
お相手の方のためにも、これからもきちんとがんばります。

2011/11/24(木) 午前 9:06 白川 玄齋

Kapok さん、コメントありがとうございます。
この韓非子の文章も、論理的な漢文の始まりの頃のものですね。
日本語とはまた違った趣があると僕も思います。
中国の指導者の中にも漢文に精通している人が居ることを考える上でも、
僕も近隣の国々からも学ぶべきことはきちんと学ばないとと思っています。
お相手の方の漢詩を作る参考のためにも、
これからも日々きちんと学んでいこうと思います。

2011/11/24(木) 午前 9:12 白川 玄齋

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おはようございます。
なんどか来ましてこっそりと拝見させて戴いていました。
なかなか時間がなくてコメントを書かないでしまっています・・・
玄さんの解説があればこそ意味を理解できています。
いつも本当にすばらしいなと感動しています。 また教えてくださいね。
ポチです。

2011/11/24(木) 午前 9:42 風花

y5812y さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
そちらのブログでは頻繁に更新がありましたので、
お忙しいのだろうなと思っていました。
現代語訳は僕のお相手の方に読んでもらうようにと思いながら、
できる限り読みやすくなるようにと常に苦心しています。
これからもこの点に気をつけながら、
翻訳作業をしていきたいなと思います。

2011/11/24(木) 午後 1:32 白川 玄齋

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真実を見極めて 冷静に行動する事・・・とても難しいですが、
大切な事ですね。
幸せにむかっての 日々の努力・・・りっぱですね〜
与えられる事ばかりを望むのではなく 自分から動くのは
なかなか難しい事ですね。
玄さんの日々の努力に P!

2011/11/24(木) 午後 3:20 ある おかん

ある おかんさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。

> 真実を見極めて 冷静に行動する事

きちんと努力して、実行していきたいなと思います。
自分の状況を省みて努力していく、そうすることで
お相手の方や周囲の方々にも安心してもらえるような、
そういう状況を作っていければと思います。
そのためにも日々きちんとがんばっていこうと思います。

2011/11/24(木) 午後 4:00 白川 玄齋

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「信賞必罰」・・・当たり前のようで難しい事ですね。
君主が全ての事を知る事は不可能ですから、どうやってそれを
するのかが問われますね。

2011/11/25(金) 午後 5:51 [ 栗の木童子 ]

栗の木童子さん、コメントありがとうございます。

君主が状況が見えない中で真実を見極める方法として、
『韓非子』の内儲説(ないちょぜい)篇のところに
「七つの術」として書かれている一節があります。
それを使って臣下たちから真実をあぶり出す方法が書かれています。
この術を通じてこの君主は明察でだませないと思わせて、
嘘をついても仕方がないと臣下に思わせるのです。
あくどい謀略に関する部分なので、今回は載せないことにしました。
曹操はこういう部分もきっちり読んでいるのではと思いました。

僕個人としては、冷静に状況を見極めようという教訓を得ています。
お相手の方のためにも、いろんな努力をきちんとしていこうと思います。
これからもがんばります。

2011/11/25(金) 午後 6:01 白川 玄齋

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ヾ(დ☣‿☣)ノ コンニチワ
玄さん・・一生懸命韓非子の説明をして下さり、難しい漢詩もゆっくりと思いながら考えている私自身が勉強になります。
一つひとつの積み重ねがこのような作業に結びつくんですね。
一つの社会に於いて相通じるものがあると感じました。


こつこつの日々の積み重ねに。。。ポチ☆

2011/11/26(土) 午後 0:25 [ さんぼうやま ]

さんぼうやまさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
僕のお相手の方を想って漢文を訳していると、自然にわかりやすい
文章にすることを心掛けるようになっています。
翻訳作業はとても勉強になりますので、
今後もきちんと続けていきたいなと思います。
これからもがんばっていきます。

2011/11/26(土) 午後 4:52 白川 玄齋

はじめまして〜!
テストがあるので調べていたら見つけましたっ!
わかりやすくてよかったです♪
授業で説明してくれなかったことが知れたし関心ができたとゆうか…凄いと感じました(≧∇≦)
テストが終わったらもっと韓非子のこと調べてみたいと思いますっ!♪

2011/12/1(木) 午後 9:09 [ nik*me*1*24 ]

nik*me*1*24 さん、初めまして。コメントありがとうございます。
受験の頃に予備校の授業で韓非子が出ていたことを思い出しました。
少しでも理解の助けになっていればいいなと思います。
漢文を読んでいく人が一人でも増えていけばいいなと思います。
そちらはブログを作っていなかったので、プロフィールの所に
お気に入り登録をしておきました。
僕はお友達登録はブログでのきちんとしたつきあいのない人とは
しない方針です。この点についてご了承下さい。

2011/12/2(金) 午前 9:53 白川 玄齋


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