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豫園(よえん)の回廊(中国・上海)
Photo by : clef
この『荘子(そうじ)』の漢文の一節は、
僕が作った漢詩の、 「読荘子雑篇譲王第二十八」の、
その僕が詠んだ『荘子』の一節を訳しています。
こちらにはコメント欄を設けていません。
漢詩の記事にコメント欄がありますので、
この点をよろしくお願いいたします。
僕が作った漢詩は以下の記事になります。
こちらにこの漢文の解説も載せています。 ブログ記事: 漢詩「読荘子雑篇譲王第二十八」(七言絶句)
(コメント欄はこちらに設けてあります)
●原文
曾子居衛、縕袍無表、顔色腫噲、手足胼胝。三日不舉火、十年不製衣。
正冠而纓絶、捉衿而肘見、納履而踵決。
曳縰而歌商頌、聲滿天地、若出金石。
天子不得臣、諸侯不得友。
故養志者忘形、養形者忘利、致道者忘心矣。
●書き下し文
曾子(そうし) 衛(えい)に居(お)り、
縕袍(うんぽう) 表(おもて)無(な)く、 顔色 腫噲(しょうかい)し、 手足 胼胝(へんち)す。 三日 火を挙(あ)げず、
十年 衣を製(た)たず。 冠(かんむり)を正(ただ)せば纓(えい)絶(た)え、
衿(えり)を捉(と)れば肘(ひじ) 見(あらわ)れ、 履(くつ)を納(い)るれば踵(かかと) 決(けっ)す。 縰(し)を曳(ひ)きて商頌(しょうしょう)を歌えば、
声は天地に満ち、金石(きんせき)より出(い)ずるが若(ごと)し。 天子(てんし)も臣(しん)とするを得ず、
諸侯(しょこう)も友とするを得ず。 故(ゆえ)に志(こころざし)を養(やしな)う者は形(かたち)を忘れ、
形を養う者は利(り)を忘れ、 道(みち)を致(いた)す者は心を忘(わす)る。 ●現代語訳
孔子の弟子の曾子(そうし)は衛の国に住んでいました。
着ている綿入れは表の布がすり切れ、 肌は荒れて腫れ上がり、手足はまめやたこができ、 三日の間、火を使った食事をせず、
十年ものあいだ着る物を新しくすることはありませんでした。 冠をかぶり直すとそのあご紐が切れてしまい、
襟を引き合わせると(着物が破れて)肘が現れ、 履き物を履くとその踵が引き裂けるような有様だったのです。 しかし、そんな中でも曾子はのびやかな気持ちを保っており、
かかとの切れた靴を引きずりながら、 商(しょう)の国、つまり古代の殷(いん)の国の
徳をほめたたえる商頌(しょうしょう)の詩を歌うと、 その声は天地に広がっていき、 まるで金や石でできた鐘のような楽器を演奏しているかのようでした。 天子は思いのままに彼を臣下にすることができず、
諸侯も思いのままに彼を友人とすることはできないくらいの、 そんな高い境地に立った心を持っていました。 だから、
自分の志を養っている者は身体のことを思うことはなく、
自分の身体を養っている者は世間の利益のことを思うことはなく、 道を自分自身に身につけている者は自分の心のことさえも思うことはなく、 無心(むしん)、つまり自然の道理と自分の心が ぴったりと合わさる境地に達するのです。 ●語注
※曾子(そうし): 孔子の弟子で、儒学では孔子の門跡を継いで、その後を
孔子の孫の子思(しし)に譲ったと言われている人です。 親孝行で知られていて、儒教の経典の一つで、孝(こう)が 道徳の根本であることを説いた『孝経(こうきょう)』を 著した人とされています。 全くの蛇足ですが、孔子の息子の鯉(り: 字は伯魚(はくぎょ))は
とてもできが悪い人だったそうです。 ※衛(えい): 古代中国の周(しゅう)の時代に、今の河北省・河南省の
間にあった国の名前で、もともと殷(いん)の国の都のあった所ですが、
周の武王(ぶおう)は殷を滅ぼした後に、弟の康叔(こうしゅく)に
この地を支配させました。
※縕袍(うんぽう): 綿入れという防寒用の服のことです。
※腫噲(しょうかい): 皮膚が荒れて腫れ上がることです。
※胼胝(へんち): 手足の皮膚が平らに固くなったものです。
たこやまめのことです。
※商頌(しょうしょう): 上記で説明した『詩経(しきょう)』の中にある、
中国の古代の王朝の殷(いん)の国の徳をたたえる
五つの詩のことです。「商(しょう)」は殷の国の別名です。
※金石(きんせき): 金属や石でできた鐘のような楽器のことです。
※天子(てんし): 皇帝のことです。この時代ですと、周の王様のことです。
※諸侯(しょこう): 都の周りの天子の直轄地の周りを統治する
家臣たちのことです。
●蛇足
この中に出て来た『商頌(しょうしょう)』の詩の一つである
「玄鳥(げんちょう)」という詩を訳してみました。 玄鳥(げんちょう)、つまりツバメが殷の国を作ったという 伝説を詠んだ詩です。壮大な感じのする詩です。 曾子もこういう詩を詠じて心を養ったということを、 その『荘子』の一節の作者は言いたかったのかなと思いました。 その「玄鳥」の詩は以下の記事になります。
ブログ記事: 『詩経』の中の『商頌』の一つ、「玄鳥」の詩の訳です
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