玄齋詩歌日誌

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漢詩

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『韓非子(かんぴし)』を読んだ感想を七言絶句にしました。
偶然に二首できました。「其の二」の方に、僕の気持ちを詠んでいます。
一首目は仄声(そくせい)二首目は平声(へいせい)で韻を踏んでいます。
 
こちらは解説の記事です。『韓非子』についての解説も付けました。
コメント欄もこちらに設けています。
 
原文・書き下し文・現代語訳・語注については
以下の記事を参照して下さい。
 
 原文・書き下し文・現代語訳・語注の記事
 
 
以上のこと、よろしくお願いいたします。
 
 
 
●解説
 
 僕の高校生の頃からの愛読書の一つ、
 『韓非子(かんぴし)』を読んだ感想を詠みました。

 
 以前、『韓非子』の一節の翻訳を解説したときに書いたことを
 振り返りながら、解説をしていこうと思います。
 
 
 韓非子(かんぴし)は秦の始皇帝(しこうてい)が中国を統一する以前の、
 戦国時代(せんごく)の弱小国である韓(かん)の国の王族でした。
 韓非子は儒学者の荀子(じゅんし)のもとで学び、
 同門の兄弟弟子にのちに始皇帝の宰相となった李斯(りし)がいました。
 
 
 韓非子は時代とともに人間がその素直な本質から離れて
 悪賢くなる中で、厳格な法律と信賞必罰の適用によって
 国を統治していくという考えの法家(ほうか)の代表者です。
 
 『韓非子』の中には名言や故事がいっぱいあります。
 その中に「守株(しゅしゅ)」という言葉があります。
 これは昔のことにとらわれて、時代錯誤な対応をするという
 言葉です。以下のような話です。
 
 宋(そう)の国の人が、
(モンゴルに滅ぼされた宋の国のことではありません。
これは周(しゅう)〜春秋戦国(しゅんじゅうせんごく)の時代の
宋の国です)
 
 宋の国の人が切り株に偶然ウサギが転んで、
 それでウサギをつかまえることができました。
 
 それに味を占めて、その後、同じようにずっと待ちかまえていても、
 決してウサギが転ぶことはなかった、という話です。
 「切り株を見守る」、そのままですね。
 
 これは『待ちぼうけ』という日本の歌にもなっているものです。
 
 脱線してしまいますが、なぜこの話に「宋」の国が出てくるかと
 いいますと、この宋という国は殷(いん)の国の子孫たちの国です。
 
 周(しゅう)の武王(ぶおう)によって殷の紂王(ちゅうおう)が倒されて、
 殷が滅びたのですが、武王はその後間もなく亡くなり、
 その混乱の中で管叔(かんしゅく)という武王の叔父が、
 この殷の国の民衆を誘って反旗を翻したのです。
 
 それに対抗したのが武王の弟の周公旦(しゅうこうたん)です。
 彼は武王の息子の成王(せいおう)を輔佐して管叔(かんしゅく)を
 討伐しました。周公旦は孔子が理想としたほどの人物ですから、
 それに敵対した殷の国民はさらに厳しい立場になって、
 殷の民衆がほかの地域に集められて宋という国になりました。
 
 この宋の国はとても弱い国で、周囲に強国がひしめく中で
 何とか国の命を保っている状況が続いていたのです。
 そういうことが重なって、宋の国がおとしめられていったのです。
 
 荘子(そうし)はこの宋の国の王族ですから、
 この国の宿命である差別というものにとても敏感であったことが、
 
 有名な荘子の、万物斉同(ばんぶつせいどう: 自然の道理の
 観点から見れば、あらゆるものはすべて同一であるという考え方)
 という思想につながっていると思います。
 
 
 話を元に戻しまして、そういう言葉を学ぶのは簡単ですが、
 『韓非子』の中の道理を理解していくのはかなり難しい、
 十年以上読んでいる上での感想です。
 
 
 さて、『七術(ななじゅつ)』という言葉は、
 『韓非子』の内儲説(ないちょぜい)上という篇に書いてある、
 「君主として行うべき七つのこと」です。
 
 この七つは陰謀ごとに関するもので、実例として
 かなりえぐいものもありますが、今後説明する際も
 それは避けようと思います。
 
 第一と第四については以前解説しましたが、
 今回は改めて七つを列挙して概要をざっと説明します。
 
(一)「衆端(しゅうたん)に参観(さんかん)す」
 
(二)「必罰(ひつばつ)によって威(い)を明らかにする」
 
(三)「信賞(しんしょう)によって能(のう)を尽(つ)くさせる」
 
(四)「一に聴いて下(しも)を責(せ)める」
 
(五)「疑わしく詔(つ)げて詭(いつわ)りて使う」
 
(六)「知を挟(はさ)みて問う」
 
(七)「言を倒(さかさま)にして事を反(かえ)す」
 
 
(一)の衆端(しゅうたん)とは、人々の言葉や行動のことです。
 参観(さんかん)とは、それぞれを突き合わせて調べることです。
 
 つまり、多くの人の言葉や行動を見聞きして、それらを突き合わせて
 調べていくことで、正しい政治を行っていくことです。
 
 いろんな代替案を聞き取って、その上で個々に検討すれば、
誤りが少なく意思決定ができるという話でした。
 
 
(二)は、刑罰を厳正にして、法令に威厳を持たせて、
  ある行為を禁止する法令をきちんと守らせることです。
 
 この中の実例では、小さな罪も厳正に処罰をすることで、
 大きな犯罪が発生することを抑えようという考え方です。
 
 これは『老子』の
 「難(かた)きをその易(やす)きに図(はか)り、
 大(だい)なるをその細(こまか)きに為(な)す。」
 
 (訳)
 困難なことは、その初期のまだ対処がしやすいときに
 きちんと対策を取っておき、大きな問題は、
 その初期のまだ小さく細かい段階できちんと対処する
 
 という考え方の実践です。
 この考え方には問題がありますが、
 法律に実効性を持たせることをきちんと示すことで、
民衆もきちんと法令を守るようになる、ということが
肝心だと思っています。
 
 
(三)は正しく功績に対して恩賞を与えることで、
 民衆を勤勉で命を惜しまなくさせることです。
 
 越の国の王の勾践(こうせん)が、力んでいるガマガエルに
 敬礼をして、勇ましい姿に敬意を表すと、兵士たちはカエルでさえ
 敬礼するなら、自分たちが勇猛さを示せばどれほどの恩賞が
 得られるかと考えて、兵士たちは命を惜しまなくなった、
 という例があります。
 
 取るに足らないものでも功績を上げればきちんと恩賞を与える、
 それを印象づけるためのものだと思います。
 
 
 (四)の「一に聴く」とは、多くの人に個別に聞き取るということです。
 「下(しも)を責(せ)める」とは、個別に家臣の実績や、
 聞き取った内容を検討して評価することです。
 
 つまり、個別に聞き取った上でそれぞれの案を検討していく事です。
 
 笛の三百人の大合奏ならば個々の技量がわからなくても、
 一人一人に吹かせるとたちまちわかってしまう、という例がありました。
 
 (五)「疑わしく詔(つ)げて詭(いつわ)りて使う」
 
 紛らわしいことを告げて、偽りの仕事をさせて試すことです。
 
 例えば、宋(そう)の国の大臣である戴驩(たいかん)は、
 李史(りし)という役人の収賄の事実を掴むために、
 夜に人を使いに出すときに、真意を隠してこう言いました。
 
 戴驩:「この何日かの夜に、ほろのかかった車で
  李史の家に行く者があると聞いたので、
  そのことを気をつけて見ておいてくれ」
 
 使者が帰ってきて報告しました。
 
 使者:「ほろのかかった車を見ることはありませんでしたが、
  箱を差し出して李史と話し合っている人がいまして、
  その後、李史はその箱を受け取りました」
 
 という報告を聞いて、収賄の事実をきちんと掴むことができました。
 
 真意を隠すことによって、使者は命令の意図がわからないから、
 ただ忠実に職務をこなして正直に答えた、ということだと思います。
 
 これは陰謀ごとですね。こんな手段は使いこなせませんが、
 悪いことに巻き込まれないためにはかえって正直な方が
 良いように思いました。
 
(六)「知を挟(はさ)みて問う」
 
 きちんと知っていることを知らないふりをして尋ねることです。
 きちんと知っていることをさらに調べていくと、
 いろんな事がはっきりします。
 
 周の王様が命令を出して、なくしてしまった曲がった杖を探させました。
 役人たちは数日かけて調べましたが、見つかりませんでした。
 
 しかし、王様はひそかに自分の側近に探させてみると、
 その日のうちに見つかりました。王様は言いました。
 
 周の王:「役人たちが真面目に仕事をしていないことがよくわかったぞ。
曲がった杖を探すことは簡単なはずなのに、役人たちには
  探すことができなかった。
しかし私の側近に探させると一日のうちに見つかったではないか。
これでは役人たちはとても誠実とは言えないな」
 
 役人たちは王様が万事お見通しだと認めるようになり、
 真面目に仕事をするようになった、という話です。
 
 陰謀めいた姑息な話でもありますが。
 知っていることをさらに調べるというのは大切なことだと思います。
 
 
(七)「言を倒(さかさま)にして事を反(かえ)す」
 わざとあべこべのことを言って、反対のことを行い、
疑わしい状況に探りを入れることです。
そうやって、悪事の状況を明らかにしていくことです。
 
 燕(えん)の大臣の子之(しし)は側近たちの前で
 わざと偽ってこう言いました。
 
 子之:「先ほど門を走って出て行ったものは何だろう。白馬だろうか」
 
 側近たちのほとんどは「知らない」と言いましたが、
その中の一人は門の外まで走っていって、
「白馬がいました」と報告しました。
 
 子之はこうして不誠実な側近をあぶり出していました。
 
 これも陰謀の話ですね。こういう話は好きではありませんが、
 できる限り正直でいようと思いました。
 
 
 僕が特に感銘を受けたのは(六)です。

 長年くり返し読んでいる『韓非子』を改めて復習する中で、
 いろんな事を学んだように思いました。
 
 今の僕には政治の状況などが正確にわからなくても、
 自分の学問をきちんとしていって、
 日々反省して考えながら過ごしていけば、
 きちんと役に立つ人間になっていけるのではないかと、
 そう思っています。
 
 そうやって向上していく中で、
 日々しっかりと行動していこうと、さらに強く思います。
 
 そういう気持ちを今回は詠んでみました。これからもがんばります

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(四)が考えさせられます。
少数派であるほど仕事や生活の現場で、ひとりひとり違った難しさと苦労を抱えていることが多いように思います。傑作。

2011/12/16(金) 午前 2:36 ひろちん。

ひろちんさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
少数の様々な意見をきちんとくみ取っていくことで、
いろんな問題がはっきりしていきそうだと思いました。
社会のいろんなところでも、少数派の個々の意見を個別に
検討できるようになればいいなと改めて思いました。

2011/12/16(金) 午前 11:45 白川 玄齋

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『『韓非子(かんぴし)』を読んだ感想を七言絶句にしました』


こんばんは。
不孤先生からも伺っておりましたが、古典への御造詣の深さに感嘆しております。
このシリーズ、愛読させていただきます。ポチ☆ポチ☆ポチ☆

2011/12/17(土) 午後 7:14 [ 56rinyahoo ]

56rinyahoo さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
お久しぶりです。入院したあとすっかりご無沙汰しておりました。
『韓非子』は『論語』と『老子』のあとぐらいから読んだ愛読書の一つです。
これからもきちんと勉強しながら翻訳と漢詩をしていきます。
今後もよろしくお願いいたします。

2011/12/17(土) 午後 9:25 白川 玄齋

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『お気に入りとブログリンクに登録してもよろしいでしょうか。』


とても光栄です(^^ゞ
同意の手続きが分からないので、とりあえず貴ブログ「お気に入り」欄をポチ☆いたしました(^^)。
私のブログは自分の勉強用に作っています。いわば独り言・記録アルバムのようなものなのです。お礼の挨拶が遅れるなど失礼が多々あると存じますが、今後ともよろしくお願いいたします。

2011/12/17(土) 午後 9:48 [ 56rinyahoo ]

56rinyahoo さん、コメントありがとうございます。
昨夜は就寝時間が近づいていたので、お気に入りとブログリンクだけをして
その後すぐに寝ていました。またブログに訪問いたします。
昔の風景の写真などがあって、楽しみにしています。
僕も時折、間が抜けていますので、気をつけています。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。

2011/12/18(日) 午前 11:06 白川 玄齋

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格調高く真実、目標を語る
こんな漢詩が出来るとはすごい素養です
ポチ

2011/12/19(月) 午前 8:19 [ 夢想miraishouta ]

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> そうやって向上していく中で、お相手の方が 僕に配慮してくれている気持ちをきちんとくみ取って、 日々行動していこうと、さらに強く思います

日々こうありたいですが、現実には相手の気持ちを察するって難しいですねー・・

2011/12/19(月) 午前 8:25 [ 夢想miraishouta ]

夢想miraishouta さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
漢詩歴は五年ほどですが、漢文を学び続けて二十年ほどが経ちます。
『韓非子』も、漢文を学び始めたかなり当初から読んでいます。
そういうものをきちんと漢詩にできるようになってきて嬉しいです。
これからもきちんとがんばっていきます。

2011/12/19(月) 午前 11:48 白川 玄齋

夢想miraishouta さん、コメントありがとうございます。
日々こういう意識で過ごしていきたいなと思っています。
常にきちんと考えて行動していければと思っています。

2011/12/19(月) 午前 11:51 白川 玄齋


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