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梅
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●原文:
新春偶成(得「一枝春」句) 玄齋 (上平聲十一眞韻)
迎 歳 日 東 堪 苦 辛、
窺 看 祥 瑞 一 枝 春。
暫 時 憂 國 休 高 詠、
今 愛 梅 香 養 壽 辰。
●書き下し文:
題: 「新春(しんしゅん)偶成(ぐうせい)『一枝(いっし)の春』の句を得て」
歳(とし)を迎(むか)える日東(にっとう) 苦辛(くしん)に堪(た)え、
祥瑞(しょうずい)を窺(うかが)い看(み)る一枝(いっし)の春。
暫時(ざんじ) 国を憂(うれ)えて高詠(こうえい)するを休(や)めよ、
今は梅香(ばいこう)を愛して寿(じゅ)を養うの辰(とき)なり。
●現代語訳:
題:「新春に「一枝春」の詩句を得てたまたまできた詩です。」
新しい年を迎えた日本は辛い苦しみに耐えて、
一本の春の梅の枝に、めでたい兆候をうかがい見ようとしているのです。
しばらくの間は、国のことを心配して、声高に吟ずるのを
やめることにしましょう。
今はこの梅の香りを愛して、健康に気をつけて寿命を養うときなのです。
●語注:
※偶成(ぐうせい): たまたまできた詩のことです。
※迎歳(げいさい、年を迎える): 新年を迎えることです。
※日東(にっとう): 日本のことです。
※苦辛(くしん): 辛い苦しみのことです。
※祥瑞(しょうずい): めでたい兆候のことです。
※暫時(ざんじ): しばらくの間、ということです。
※高詠(こうえい): 声高らかに歌うことです。
※休(やめよ): 禁止を表す言葉です。
※養寿(ようじゅ、じゅをやしなう): 長生きをするために
健康に気をつけることです。
※辰(とき): 「時(とき)」と同じ意味です。
●解説:
年初の書き初めの話の続きで、「一枝春」と「一枝梅」のどちらかを
含んだ漢詩を作ろうと、師匠のfukoさんの発案をもとに作りました。
詩友の人(56rinyahoo さん)が「一枝梅」で作っていましたので、
僕は「一枝春」で挑戦しました。
時事問題で漢詩や和歌を作る場合に、安易に報道などをもとにして
詠んでしまうことなどが以前はあって、そのことを反省して詠んでいました。
どういう風に詠んでいこうかと考えているときに、
実際の風物をもとにしようと思いました。
その時に同時に思い浮かんだのは、昨年の夏の入院中に出会った、
お相手の方との不思議な縁です。
「梅香を愛する」という言葉は、以前は使えなかった言葉です。
それはその言葉の意味がわからなかったというよりは、
その言葉を使うことへの実感が湧かなかったからです。
どんな心境なのか、以前はさっぱりわからなかったのです。
実際に当時のお相手の方を思い浮かべる中で、
この言葉を使えるようになってきたのは嬉しいです。
これからもお相手の方を大切にしていこうと思った気持ちを
詠んでいました。
それと同時に、世の中のことを語るときも、
この実感を大切にしていこうと、改めてそのように思っていました。
そんな風に、今年はがんばっていこうという気持ちを
当時の自分は漢詩に詠んでおりました。
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漢詩
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みなよさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
漢詩の場合、説明になってはいけないけれど、その一方で
意味不明になってもいけないというところがあるように思います。
そうなると漢詩でもできる限りわかりやすい言葉で詠まないと
いけないのではと最近特に思っています。
僕もブログ記事を作る際に板挟みになっているところだと思います。
これからもきちんと工夫をしていこうと思います。
2012/1/7(土) 午後 1:44
こんにちは〜♪
新春にふさわいい漢詩ですね^^
白梅がいいですね^^
百花に先駆けて咲く梅に
今年の希望を託したいですね^^
ぽち。
2012/1/7(土) 午後 2:06
吉祥天さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
年の一番最初に咲くのが梅ですね。こんな風に苦しい状況から
花が咲くような今年になればいいなと僕も思います。
これからもきちんと学んでいきます。
2012/1/7(土) 午後 3:25
新しい体験から 新しい言葉が生まれるのですね。
引き出しがどんどん増えていくようですね!
新春にぴったりの ステキな詩だとおもいます!!P
2012/1/7(土) 午後 3:32
ある おかんさん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
いろんなところから、新しい言葉を学んでいければいいなと思います。
今年も一年、きちんと学んでいこうと思います。
2012/1/7(土) 午後 4:04
『年初の書き初めの話の続きで、「一枝春」と「一枝梅」のどちらかを含んだ漢詩を作ろうと、師匠のfukoさんの発案』
↑
玄齋さんの詩を拝見することができて嬉しいです(^^)。
2012/1/7(土) 午後 5:55 [ 56rinyahoo ]
56rinyahoo さん、コメントありがとうございます。
56rinyahoo さんが「一枝梅」でしたので、「一枝春」を詠んでみました。
韻が最初から決まっているものも、今後もきちんと詠んでいこうと思います。
これからもがんばっていきます。
2012/1/7(土) 午後 6:05
『その言葉を使うことへの実感が湧かなかったから』
↑
玄齋さんの詩作に対する誠実さ真摯さが溢れています。ポチ☆ポチ☆ポチ☆
とても勉強になります。自己嫌悪に陥りそうです(^^ゞ
2012/1/7(土) 午後 6:24 [ 56rinyahoo ]
『時事問題で漢詩や和歌を作る場合に』
↑
天下・国家を憂う漢詩は、昔は多かったのでしょう。
国家と個人の関係を考えた明治の人では、夏目漱石が好きです。
結句「今 愛 梅 香 養 壽 辰。」には、漱石の『私の個人主義』に通ずるところがあるように思いました。
2012/1/7(土) 午後 7:40 [ 56rinyahoo ]
こんばんは。おそくなりました<(_ _)>
トラックバックさせて頂きました。よろしくお願い致します(*^_^*)
2012/1/7(土) 午後 8:04 [ g o m a ]
56rinyahoo さん、コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
実感という意味ではまだ使うことのできない言葉がたくさんあります。
たとえば、「洗塵襟」、「塵襟(じんきん)を洗う」、
世俗に汚れた気持ちが洗い流される境地、漢詩だとすぐ使えそうなのですが、
実際に考えてみるとどんな境地なのか僕にはわからないのです。
自分の実感できる領域を少しずつ広げていって、
いろんな詩句を使えるようになりたいなと思っています。
2012/1/7(土) 午後 8:54
56rinyahoo さん、コメントありがとうございます。
漢詩は科挙の官僚たちが詠んでいたので時事を詠むことも多いようです。
昔の長い古詩なども社会を詠んでいるものが多いです。
『私の個人主義』の内容をすっかり忘れていましたので、
先ほど青空文庫で読んできました。
個人主義と国家主義は矛盾しないということを述べていたようです。
「個人」と「みんな」という発想が矛盾しない、
(一)自分は自分の主人でありながら、
(二)他人の自由を認める、
前半部分で(一)のことを述べていましたが、相当厳しいなと思いました。
漱石のようにそこまで突き詰めることはできなくても、
僕も僕なりにがんばっていこうと思いました。
これからももっといろんな事を考えるようにしようと思いました。
2012/1/7(土) 午後 9:05
gomashasha さん、コメント + トラックバック、ありがとうございます。
少しでも漢詩の会の方々に役に立てられればいいなと思いました。
これからも漢詩をきちんと作っていこうと思います。
2012/1/7(土) 午後 9:08
↑
『私の個人主義』の最終ページ近くですが・・・
「私はこう云いました。――国家は大切かも知れないが、そう朝から晩まで国家国家と云ってあたかも国家に取りつかれたような真似はとうてい我々にできる話でない。
常住坐臥(じょうじゅうざが)国家の事以外を考えてならないという人はあるかも知れないが、そう間断なく一つ事を考えている人は事実あり得ない。」
2012/1/7(土) 午後 9:36 [ 56rinyahoo ]
(続き)
「今日の午(ひる)に私は飯を三杯(ばい)たべた、晩にはそれを四杯に殖(ふ)やしたというのも必ずしも国家のために増減したのではない。正直に云えば胃の具合できめたのである。
しかしこれらも間接のまた間接に云えば天下に影響しないとは限らない、否観方(みかた)によっては世界の大勢に幾分(いくぶん)か関係していないとも限らない。」
2012/1/7(土) 午後 9:38 [ 56rinyahoo ]
56rinyahoo さん、補足のコメントをありがとうございます。
自分がしたことが「国家のため」とあえて名前を付けなくても、
それがもってまわって世界の行く末にも関わっているかもしれない、
という部分だと改めて思いました。
僕も大上段に構えるようなことをせずに、
僕のできることを地道にきちんとしていきたいなと思います。
2012/1/7(土) 午後 9:58
こんばんは、あけましておめでとう御座います。
大上段に構えての批判、実を伴わないこともしばしばです。
確かに、昨年は色々とこの国にありましたけど、
どんな時でも、四季の移ろい、自然の恵みを感じる心がなければ、
世の中つまらなくなってしまします。
「私は此処にいます」と主張する様な梅の香を、大切に^^
2012/1/8(日) 午前 0:04 [ 澤木淳枝 ]
澤木淳枝さん、コメントありがとうございます。
僕も最近は時事を詠むことに慎重になってきました。
自然の光景もきちんととらえた上で、
きちんとしたものを作っていくようにと考えています。
お相手の方への気持ちとともに、自然の光景を
きちんと描いていければ良いなと思っています。
2012/1/8(日) 午前 8:11
梅香
魁の香り。。
2012/1/8(日) 午前 11:49 [ ヤナ・ヤヌー ]
ヤナ・ヤヌーさん、コメントありがとうございます。
二十四番花信風(にじゅうしばんかしんふう)というものがありまして、
二十四節気の小寒から穀雨までの間の各気に
花の開くのを知らせる風のことで、その最初に来るのが梅ですから、
まさしくおっしゃる通り、「魁」という言葉がぴったり当てはまりますね。
世の中にも春の訪れを告げてほしいなと思います。
2012/1/8(日) 午後 1:14