玄齋詩歌日誌

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漢詩

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最初に申し上げておきます。普段、漢詩や漢文になじみのない方、
あるいは、漢詩や漢文に苦手意識を持たれている方は、
後半の記事の現代語訳から読んでみて下さい。
 
私は漢詩や漢文で最も大切なのは、
「そこに何が書かれているか」ということだと考えています。
私は自分で作った漢詩にも現代語訳を付けるようにしています。
その際には常にわかりやすい説明ができるようにと、
気をつけて現代語訳と解説を書いています。
どんな人にも分かりやすく説明をすることを第一に考えています。
 
イメージ 1
本棚
Photo by : clef
http://street34.mond.jp/clef
 
イメージ 2
 
この記事もブログの制限文字数の 5,000 文字をこえていますので、
記事を前半と後半の二つに分けています。
 
この前半の記事は原文と書き下し文と語注になっています。
現代語訳と解説については後半の記事をご覧になって下さい。
コメント欄もその後半の記事に設けています。
 
 後半の記事
 
以上のこと、よろしくお願いいたします。
 
 
 
●原文:
 
 
詠志學  玄齋
  (下平聲一先韻・五言古詩・一韻到底格)

叔 父 苦 宿 疾  壯 年 終 天 年
 
懷 舊 其 慈 愛  痛 哭 入 黄 泉
 
老 僧 讀 經 後  和 光 法 號 傳
 
愧 不 聞 解 説  字 書 調 幾 篇
 
老 子 佛 典 裏  字 義 驚 深 淵
 
更 求 謙 虚 意  須 欲 窮 三 玄
 
欲 明 覺 悟 意  把 句 自 號 玄
 
 ●
 
老 子 短 言 裏  真 意 唯 窈 然
 
莊 子 繁 言 裏  驚 人 如 倒 顛
 
老 莊 兩 不 解  書 生 愧 不 賢
 
經 書 知 不 讀  論 語 一 讀 捐
 
淺 學 求 助 長  誤 解 守 舊 堅
 
一 儒 足 教 我  南 宋 陸 九 淵
 
六 經 吾 註 脚  箴 言 俄 豁 然
 
此 語 非 豪 語  古 人 深 意 沿
 
六 經 照 平 素  經 義 在 眼 前
 
老 莊 照 平 素  一 道 窺 無 邊
 
窮 理 得 端 緒  老 子 對 諸 編
 
翻 訳 五 千 字  叔 父 供 墓 前
 
 
 
●書き下し文:
 
 
題: 「志学(しがく)を詠ず」
 
叔父は宿疾(しゅくしつ)に苦しみ
壮年(そうねん)にして天年(てんねん)を終う
 
其(そ)の慈愛(じあい)を懐旧(かいきゅう)し
黄泉(こうせん)に入るを痛哭(つうこく)す
 
老僧(ろうそう)読経(どきょう)の後(のち)
和光(わこう)の法号(ほうごう)伝(つた)う
 
解説を聞かざるを愧(は)じ
字書(じしょ) 幾篇(いくへん)をか調べん
 
老子(ろうし) 仏典(ぶってん)の裏(うち)
字義(じぎ)の深淵(しんえん)なるに驚く
 
更に謙虚(けんきょ)の意を求めて
須(すべか)らく三玄(さんげん)を窮(きわ)めんと欲(ほっ)す
 
志学(しがく)の決意(けつい)を示さんとして
句(く)を把(と)りて自(みずか)ら玄(げん)と号(ごう)す
 
 ●
 
老子(ろうし)短言(たんげん)の裏(うち)
真意(しんい) 唯(た)だ窈然(ようぜん)たるのみ
 
荘子(そうし)繁言(はんげん)の裏(うち)
人を驚(おどろ)かせること倒顛(とうてん)するが如(ごと)し
 
老荘(ろうそう) 両(ふた)つながら解せず
書生(しょせい)の賢(けん)ならざるを愧(は)ず
 
経書(けいしょ)長く読まず
論語(ろんご)は一読(いちどく)して捐(す)つ
 
学は浅(あさ)くして助長(じょちょう)するを求め
誤りて旧を守ること堅しと解すればなり
 
一儒(いちじゅ) 我を教うるに足る
南宋(なんそう)の陸九淵(りくきゅうえん)なり
 
六経(りくけい)吾(わ)が註脚(ちゅうきゃく)なりと
箴言(しんげん)俄(にわか)に豁然(かつぜん)たり
 
此(こ)の語 豪語(ごうご)に非(あら)ず
古人(こじん)の深意(しんい)に沿(そ)う
 
六経(りくけい)を平素(へいそ)に照らせば
経義(けいぎ)眼前(がんぜん)に在(あ)り
 
老荘(ろうそう) を平素(へいそ)に照らせば
一道(いちどう)の無辺(むへん)なるを窺(うかが)わん
 
窮理(きゅうり)の端緒(たんしょ)を得て
老子(ろうし)の諸編(しょへん)に対(たい)す
 
五千字を翻訳(ほんやく)して
叔父の墓前(ぼぜん)に供えん
 
 
 
●語注:
 
※志学(しがく): 学問に志を立てることです。
 
※宿疾(しゅくしつ): 以前からの病気のことです。
 
※壮年(そうねん): 働き盛りの年頃のことです。
  三十〜四十位を言います。
 
※天年(てんねん): 天から授かった寿命のことです。
 
※慈愛(じあい): 慈しみ愛する気持ちのことです。
 
※懐旧(かいきゅう): 自分の生涯の過去のことをしのぶことです。
 
※黄泉(こうせん): あの世のことです。 
 
※痛哭(つうこく): 激しく泣き叫ぶことです。
 
※老僧(ろうそう): 年老いた僧侶のことです。
 
※読経(どきょう): お経を声を出して読むことです。
 
※和光(わこう): (解説をご覧になって下さい)
 
※法号(ほうごう): 戒名のことです。
 
※字書(じしょ): 文字の音や意味などを説明した本です。
 
※仏典(ぶってん): 仏教の経典のことです。
 
※字義(じぎ): 文字の意味のことです。
 
※深淵(しんえん): 物事が奥深くて計り知れないこと。
 
※謙虚(けんきょ): 態度を控えめにして相手にへりくだることです。
 
※須(すべからく〜すべし): 「〜しなければならない」という意味です。
 
※三玄(さんげん): 『老子』『荘子』『易』の三種類の書のことです。
 
※把句(はく、くをとる): 文章から言葉の一部を抜き出すことです。
 
※号(ごうす): 号を名乗ることです。
 
※短言(たんげん): 短い言葉のことです。
 
※裏(うち): 「中」と同じ意味です。
 
※真意(しんい): 本当の意味のことです。
 
※窈然(ようぜん): 奥深くてよく見えないという意味です。
 
※繁言(はんげん): くだくだしくて長い言葉のことです。
 
※倒顛(とうてん): 逆さまにひっくり返ることです。
 
※書生(しょせい): 世間知らずの学者のことです。
 
※経書(けいしょ): 儒学の経典である四書五経のことです。
 
※助長(じょちょう): 何か成果を得ようと無理なことをして、
  かえって台無しにしてしまうことです。『孟子』に出てくる言葉です。
 
※一儒(いちじゅ): 一人の儒学者のことです。
 
※南宋(なんそう): 宋の王朝の後期をさして言います。北方から
  騎馬民族の女真族の国の金が攻めてきて、皇帝の一族が南方に
  逃れた頃を指します。それ以前を北宋(ほくそう)と言って
  区別しています。
 
※陸九淵(りくきゅうえん): 南宋の儒学者で、号は象山(しょうざん)
  です。朱子学の大成者である朱熹(しゅき)のライバルで、
  後の明の時代の陽明学(ようめいがく)につながる
  学問を始めた人です。
 
※六経(りくけい)吾(わ)が註脚(ちゅうきゃく): (解説で述べます)
 
※箴言(しんげん): いましめとなる言葉のことです。
 
※俄(にわか): 「突然」という意味です。
 
※豁然(かつぜん): 疑いや迷いが解けて、物事がはっきりすることです。
 
※豪語(ごうご): 偉そうに傲慢なことを言うことです。
 
※古人(こじん): 昔の人のことです。
 
※深意(しんい): 奥底にある深い意味のことです。
 
※平素(へいそ): 普段の日常のことです。
 
※経義(けいぎ): 経書(けいしょ)に書かれている意味のことです。
 
※無辺(むへん): 広々として限りがないことです。
 
※窮理(きゅうり): 儒学の五経の一つである、昔の易の本である
  『易経(えききょう)』の中の言葉で、物事の道理を究めることです。
 
※端緒(たんしょ): 手がかりのことです。
 
※五千字(ごせんじ): 『老子』の本文の五千文字を指して言います。
 
 
(後半の記事に続きます)
 
 後半の記事
 

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