玄齋詩歌日誌

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白い碁石
Photo by : clef
http://street34.mond.jp/clef
 
 
前半の記事
 
 
ここからが前半からの続きです。
 
 
全てが計算通りに行かないからと言っても、全く予測も付けていなくて、
その場の流れに対応するだけで応じようとしたり、
あるいは計算の段階でどうも勝てそうもないという事が分かった上で、
実際に戦う中で何とか勝ちを拾おうとしたりする、
そういう考えでは勝利はつかめない、そういうことを述べています。
 
研究発表やスピーチをしたことのある方ならたぶんおわかりだと
思いますが、あらかじめ原稿を用意していても、
それに一言一句間違えずに述べることはないと思います。
 
むしろ原稿を作った上でそれを頭の中に咀嚼してたたき込み、
要点を把握した上で発表の場に立つわけです。
 
場数を踏んでくると、自分の得意分野に関しては原稿もなしに
発表をすることも出来るようになります。
 
しかし、ちょっとちがうテーマを述べる場合は原稿を、
少なくとも話す内容を箇条書きにしたメモを準備せずには
できないと思います。
 
ましてや場数も踏んでいなければ、たいしたことを述べることも
出来ずに大失敗で終わることが多いと思います。
 
 
他のケースでも、将来は予測できないからといって、
本当に完全にアドリブで対応しなければならないことは少なく、
予測することの難しいところでも、ある程度の準備は可能で、
なくともその部分の準備はきちんと行う必要がある、
ということだと考えています。
 
ましてや戦争という国の最も重要なことを決めるのに、
きちんとした準備をしないわけにはいかない、
ということは言えると思います。
 
 
以上をまとめまして、この『孫子』計篇の概略を以下に述べます。
 
 
●『孫子』計篇の概略:
 
この計篇で述べていく「計(けい)」とは、
「計算(けいさん)」、つまり、物事の利害や損得を考えることです。
 
具体的に何を計算するかといいますと、
下の五つのことを計算するのです。
 
つまり『孫子』のこの篇の本文で述べられる、
道(みち)、天(てん)、地(ち)、将(しょう)、法(ほう)のことです。
 
「道(みち)」とは善政を施して信頼を得た上で民衆を動かすこと、
 
「天(てん)」とは天候や気候が戦にどのように影響してくるかを
考えること、
 
「地(ち)」とは距離の遠い近い、進路の広い狭い、などの
戦争に関わる地理的な条件を考えることで、
 
「将(しょう)」とは優秀で賢明な将軍を任用すること、
あるいは相手の将軍の能力を考えることで、
 
「法(ほう)」とは旗や鐘などの軍を動かす上での目印、
褒美を与えたり刑罰を与えたりすること、
軍の食糧や経費に関することを考えていくことです。
 
 
この五つのことについて、「廟堂(びょうどう)」、
つまり先祖をまつるお堂で、
 
軍を動かすために、勝敗や利害や損得をあらかじめ予測して
考えるのです。これを「廟戦(びょうせん)」と言います。
 
その廟戦(びょうせん)の中で、
五つのことに関して敵と味方の実際の状況を比較し、
どちらが有利でどちらが不利かを計算して、そうして
この戦争に勝つか負けるかがきちんと決まるようにしていくのです。
 
そんな風にして勝負の行く末をきちんと定めたところで、
その後に戦争を仕掛け、兵士や民衆達を戦争に動員するのです。
 
軍を動かすための道理は、まずはこの五つのことを考えて
計算していくことから始まります。だからこそ、そのことをこうし
て書いて、『孫子』の多くの篇の最初に置いたのです。
 
 
ところで、戦争の中では敵に向かい合って、
その時々の状況の善し悪しを判断して敵を制圧することが大切なのに、
 
曹操までもが「先祖のお堂で勝敗を計る」ということを行うのは
なぜなのかと言いますと、
 
将軍の賢いか愚かか、敵が強いか弱いか、
戦場となる土地の遠いか近いか、兵士の数の多いか少ないか、
 
こういう部分はあらかじめ考えて、準備をすることができます。
そうして準備をした上で、両軍がお互いに向き合ってからは、
その場その場の状況に応じて動く必要があり、
これらは将軍がその場で決めなければならないことなのです。
 
ここは計算をより厳しい基準で行ってどうにかできるものではないのです。
 
しかしあらかじめ予測を立て、ある程度に状況の推移が
わかっていることによって、戦争での要点をつかむことが出来て、
現場において予想外のことが起きたとしてもあわてることな
対処をすることが出来ます。
 
きちんとした準備をすることが、将軍の現場の判断を冷静に行わせ、
予想外な状況への対応もより適切に行わせることを可能にさせるのです。
 
そのためにこそ、「廟戦(びょうせん)」の中での「計算(けいさん)」が
大切になってくるのです
 
 
だからこそ、『孫子』の本文の最初に、
この「計篇」が置かれていると言えるのです。
 
 
●感想:
 
 
こういう文章を書くと、単なる戦争批判のように思われる方も
いるかもしれませんが、
 
『孫子』の本文を訳す中で戦争はどうあるべきか、
将軍はどのように考えるべきかを述べていく際に、
 
先の大戦で祖国のために戦った方々の霊を
どのようになぐさめるかということや
先の大戦が歴史的に見てどのような価値があったかということを、
持ち込んで考えないようにしています。
 
戦争の評価というのは、市民や学者が行う事であって、
将軍となったものが行うものではない、そう考えています。
 
 
一兵卒、一国民として考えるべき事と、
将軍や組織で人の上に立つ人が考えるべき事は、
に大きく異なることがあるということです。
 
将軍は戦争に勝つ、あるいは戦争を回避しなければならず、
社長は会社を維持しなければならず、
国の指導者は国を存続させなければならないのです。
 
こういう部分についてきちんと深く考えていくことが、
リーダーシップにつながっていくと、そう考えています。
 
これからも『老子』と並行して、『孫子』もしっかりと訳していきます。
これからもしっかりとがんばります。

閉じる コメント(17)

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準備ですね〜。
受験勉強もそんな感じですかね。

2012/5/8(火) 午後 10:40 [ - ]

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無闇に戦をすることに対する戒めでしょうか。やはり基本事項は常に忘れないようにして計画を立てないとだめですから。
時代を問わず、お互いに動かないのが得策と考えて駆け引きのみというのも見受けられますが、それも計でしょうか。傑作。

2012/5/9(水) 午前 0:19 ひろちん。

都会の蟷螂さん、こんにちは。
コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。

受験勉強、この一言できちんと読まれでいるのがわかります。ありがとうございます。
受験対策として、いろんな問題、特に過去問などを解いていくわけですが、
その解いた問題のどれか一つがそのまま出てくるということはないのです。
(たまにあるそうですが、それは出題者の怠慢だと思います。。。)
でも多くのパターンを解いていくことで、試験問題に対する
要点をつかむことが出来ていれば、視点や角度のちがう問題が
でてきたとしても落ち着いて問題に向かって解くことが出来るようになります。
普段の授業なども、こういう実戦の時のための準備、そう言えると思います。

(その2へ続く)

2012/5/9(水) 午後 1:16 白川 玄齋

(その2)

あとはすぐれた俳優さんがあらかじめ台本を暗記していくのも
準備の一つだと思っています。稽古で監督や演出家が注文を出して、
自分の役に対するイメージとのずれを修正したり、
撮影に関わるいろんなトラブルにきちんと応対できるために、
現場でしなければならないことを一つでも減らしていた方が、
現場でも演技をしやすくなるのです。これも立派な準備だと思います。

こういう実例を挙げながらわかりやすく説明できればいいなと思います。
これからもしっかりと勉強して、わかりやすく解説していきます。

2012/5/9(水) 午後 1:18 白川 玄齋

ひろちんさん、こんにちは。
コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。

基本事項を忘れずに計画を立てて、どの世界でも基本だと改めて思いました。
『孫子』を訳していくと、戦争は本当に割に合わない、そう思います。
それに費やす予算も物資も人的被害もとても大量になってきますので、
戦争をお互いに避けるのが本当の得策だと思っています。

『孫子』の謀攻(ぼうこう)篇の中に,
「戦わずして人の兵を屈するは、善の善なるものなり」

つまり、

「実際に戦う前に相手の軍事行動を阻んであきらめさせるのが、最も優れた方策である」

とあります。これをさらに簡単に述べたのが、これに続く部分です。

(その2へ続く)

2012/5/9(水) 午後 2:12 白川 玄齋

(その2)

「ゆえに上兵(じょうへい)は謀(ぼう)を伐(う)つ、
その次は交(こう)を伐つ、その次は兵を伐つ、
その下(げ)は城を攻める」、

現代語訳は

「もっともすぐれた方策は、相手の作戦を謀略や計略の立案段階から
軍事行動をあきらめさせることで、その次にすぐれているのは
相手の外交などの他の国とのつながりを断ち切ることで、
その次が実際に戦争を仕掛けて相手を討伐することで、
最もいけないのが甚大な被害の出る城攻めを行わなければならない状況です」

ということです。

(その3へ続く)

2012/5/9(水) 午後 2:16 白川 玄齋

(その3)

本当に良い計略は、相手に「今戦ってもだめだ」と思わせて、
相手の軍略を断念、そこまで行かなくても延期させることです。
あるいは相手の友好国との関係にヒビを入れて、相手の計略の
選択の幅を狭めて、簡単には攻めて来れないようにすること、
こういう計略で戦争を阻んでいくということ、

これが本来の意味での「戦わずして勝つ」という意味になっています。

こういう状況で、出来る限り実際の戦争を回避することこそが、
本当に大切なのだと思っています。

こういうところもこれからもきちんと学んでいきます。
今日もしっかりとがんばっていきます。

2012/5/9(水) 午後 2:16 白川 玄齋

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孫子の兵法とはこういうことだったのですか?
なるほどー!
ポチ

2012/5/9(水) 午後 9:26 [ 夢想miraishouta ]

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確かに囲碁将棋には重要な考えです

2012/5/9(水) 午後 9:27 [ 夢想miraishouta ]

夢想miraishouta さん、おはようございます。
コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。

『孫子』に『老子』に『論語』はかなり勉強の初めの頃から
読んでいますので、僕自身の理解の度合いを確かめるためにも
今回きちんと訳してみることにしました。

政治や軍事を囲碁にたとえる表現が漢詩にも出てきますので、
今回の画像として碁石を使ってみました。

これからもしっかりとがんばっていきます。

2012/5/10(木) 午前 7:33 白川 玄齋

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今日はいつも特に嬉しいコメントありがとうございます。この漢訳に応援の☆ポチですよ!

2012/5/11(金) 午後 1:30 [ 清水太郎の部屋 ]

此方に参りますと惚けがかった老いの頭に否応なしに学ばされると云うことです。
戦争に対しての色んな考え方とても頭に収まり切れは致しませんが、有難うございました。
☆ぽち〜〜〜
☆〜〜〜

2012/5/11(金) 午後 4:45 [ - ]

清水太郎さん、こんばんは。コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
これからも元気にがんばっていきます。きちんと学んでいきます。

2012/5/11(金) 午後 7:47 白川 玄齋

みなよさん、こんばんは。コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
出来る限りわかりやすく訳して解説するように心がけています。
それでも文字数は多くなってしまいますので、
ゆっくりと読んでいただければと思います。
これからもしっかりとがんばっていきます。

2012/5/11(金) 午後 7:49 白川 玄齋

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「敵を知り、己を知らば百戦危うからず」は孫子から出たのでしょうか・・・
家康だったかな・・・
と言う気もしますが・・・

2012/5/11(金) 午後 10:05 [ 夢想miraishouta ]

夢想miraishouta さん、おはようございます。コメントありがとうございます。

はい。「敵を知り〜」は『孫子』の「謀攻(ぼうこう)」篇の一節ですね。

(原文)

故兵、知彼知己、百戦不殆。不知彼而知己、一勝一負。
不知彼不知己、百戦必殆。

(書き下し文)

故(ゆえ)に兵(へい)は、彼を知りて己(おのれ)を知らば、
百戦(ひゃくせん)しても殆(あや)うからず。
彼を知らずして己を知らば、一勝一負す。
彼を知らずして己も知らざれば、百戦しても必ず殆(あや)うし。

(その2へ続く)

2012/5/12(土) 午前 11:52 白川 玄齋

(その2)

(現代語訳)

(この文章の前に勝利の条件が書かれています)

ですから、戦争においては、自軍の状況を把握して相手の状況を知ることができれば
百回戦っても危ない状況にならないで済むのです。
相手の状況を知らなくても自軍の状況を把握している状態であれば、
勝ったり負けたりという戦争になります。
相手の状況も自軍の状況も知らないという状況であれば、
百回戦っても必ず危ない状況に陥るでしょう。

(ここまでが現代語訳です)

これからもきちんと勉強をして、わかりやすい訳をしていきます。
今日もしっかりとがんばっていきます。

2012/5/12(土) 午前 11:54 白川 玄齋


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