玄齋詩歌日誌

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抹茶と和菓子
Photo by : clef
http://street34.mond.jp/clef
 
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●原文:
 
 
 神苑茶亭  玄齋  (上平聲十三元韻)
 
丈 夫 孟 夏 集 池 園   一 變 茶 人 多 雅 言
 
閑 詠 盧 仝 寄 朋 句   七 杯 未 喫 覘 仙 源
 
 
 
●書き下し文:
 

 題: 「神苑(しんえん)茶亭(ちゃてい)」
 
丈夫(じょうふ)は孟夏(もうか)に池園(ちえん)に集(つど)い、
 
一(ひと)たび茶人(ちゃじん)に変(へん)ずれば 雅言(がげん)多し。
 
閑(そぞろ)に詠(えい)ず 盧仝(ろどう)の朋(とも)に寄(よ)する句を。
 
七杯(しちはい) 未(いま)だ喫(きっ)せずして
仙源(せんげん)を覘(うかが)わん。
 
 
 
●現代語訳:
 

 題:「神社の境内にある庭園の茶店で、漢詩を一首詠みました」
 
大人の男たちは旧暦四月の初夏の頃に池のある庭園に集まり、
 
いったん茶の湯を趣味をする風流人に変わると、
詩歌に使われるような風流な言葉が飛び出してくるのです。
 
静かにゆったりと、唐の詩人の盧仝(ろどう)が、
友人の孟諫議(もうかんぎ)が高価なお茶を
送ってくれたお礼に作った有名な漢詩の詩句を口ずさんでいると、
 
その詩の内容のように、七杯目をまだ飲む前に、
仙人のいる蓬莱山をうかがい見るような気持ちになっていました。
 
 
 
●語注:
 
 
※神苑(しんえん): 神社の境内にある庭園のことです。
 
※茶亭(ちゃてい): 茶店のことです。
 
※丈夫(じょうふ): 成人した男子のことです。
 
※孟夏(もうか): 陰暦四月の初夏の頃を指していいます。
 
※池園(ちえん): 池と庭園のことです。
 
※茶人(ちゃじん): 茶の湯を趣味とする風流な人のことです。
 
※雅言(がげん): 詩歌などに使う昔の上品な言葉のことです。
 
※閑詠(かんえい、そぞろにえいず): 「閑吟(かんぎん)」と同じで、
  静かにゆったりと詩歌を口ずさむことです。
 
※盧仝(ろどう): 唐の時代の詩人です。
 
※寄朋句(ともによするく): 盧仝(ろどう)の漢詩の、
  「走筆謝孟諫議寄新茶」のことです。お茶を贈ってくれた
  友人の孟諫議(もうかんぎ)に、高価なお茶を送ってくれた
  感謝と恩情の気持ちを詠んだものです。
  この詩は唐の陸羽(りくう)が著した茶の本である
  『茶経(ちゃきょう)』と並び立つほどに有名で、
  常に吟詠の対象として広く親しまれているものです。
 
※七杯(しちはい): 前述の盧仝(ろどう)の漢詩の中に、
  七杯は飲めないほど素晴らしい、そういう表現があります。
  詳しくは解説をご覧下さい。
 
※喫(きつ): 「喫茶(きっさ)」のことで、お茶を飲むことです。
 
※仙源(せんげん): 仙人が住むところです。
 
※覘(うかがう): 「窺(うかが)う」と同じで、かいま見ることです。
 
 
 
●解説:
 

これは今月の漢詩の会の課題の漢詩です。
神社の境内にある庭園の茶店でお茶を飲む風景を詠んでいます。
今回は初夏の頃ですので、涼しい気持ちになる漢詩にしてみました。
 
 
以前私は、この詩の中に引用した盧仝(ろどう)の漢詩の
「走筆謝孟諫議寄新茶」を訳したことがあります。
 
その時のブログ記事のリンクを以下に示します。
 
 ※唐の詩人の盧仝のお茶の漢詩、「走筆謝孟諫議寄新茶」を
   訳してみました。
 
 
 後半の記事
 
 
この漢詩は盧仝の友人の孟諫議(もうかんぎ)に、
高級なお茶を送ってくれた感謝と恩情の気持ちを詠んだものです。
 
この詩は唐の陸羽(りくう)が著した茶の本である
『茶経(ちゃきょう)』と並び立つほどに有名で、
常に吟詠の対象として広く親しまれているものです。
お茶と言えば思い出す、それほどに有名な漢詩だそうです。
 
「七杯(しちはい)」は七杯目を飲むとどうなるか、というところです。
その盧仝(ろどう)の漢詩のその一部分をここにも書いてみます。
 
 
(盧仝の漢詩の原文の一部)
 
一 碗 喉 吻 潤、  兩 碗 破 孤 悶。
三 碗 搜 枯 腸、  唯 有 文 字 五 千 卷。
 
四 碗 發 輕 汗、  平 生 不 平 事、  盡 向 毛 孔 散。
五 碗 肌 骨 清、  六 碗 通 仙 靈。 
 
七 碗 吃 不 得 也、  唯 覺 兩 腋 習 習 清 風 生。
 
蓬 ? 山、  在 何 處。
玉 川 子、  乘 此 清 風 欲 歸 去。
 
 
(盧仝の漢詩の書き下し文の一部)
 
一碗(いちわん) 喉吻(こうふん)潤(うるお)し、
両碗(りょうわん) 孤悶(こもん)を破る。
 
三碗(さんわん)枯腸(こちょう)を捜(さが)し、
唯(ただ)有り文字の五千巻(ごせんかん)。
 
四碗(しわん) 軽汗(けいかん)を発(はっ)し、
平生(へいぜい)の不平(ふへい)の事、
尽(ことごと)く毛孔(もうこう)に向かって散(さん)ず。
 
五碗(ごわん) 肌骨(きこつ) 清く、
六碗(ろくわん) 仙霊(せんれい)に通(つう)ず。 
 
七碗(しちわん) 吃(きっ)するも得ざるなり、
唯(ただ)両腋(りょうわき)の習習(しゅうしゅう)として
清風(せいふう)の生(しょう)ずるを覚(おぼ)ゆ。
 
蓬莱山(ほうらいさん)、何処(いずく)にか在(あ)る。 
 
玉川子(ぎょくせんし)、
此(こ)の清風(せいふう)に乗(じょう)じて帰り去らんと欲(ほっ)す。
 
 
(盧仝の漢詩の現代語訳の一部)
 
一杯目を飲むと喉(のど)と口元を潤して、
二杯目を飲むと、孤独の苦しみからも解放されます。
 
三杯目を飲むと、詩の浮かばない腹の中を探っていって、
ただ五千巻にも及ぶお経があるのを思い出すだけなのです。
 
四杯目を飲むと、軽い汗を流して、
普段、心に思っている不平不満が、すべて毛穴から抜け出ていくのです。
 
五杯目を飲むと、身体の全身が清らかになり、
六杯目を飲む頃には、仙人の世界にも通じてきます。
 
七杯目はもはや飲むことができなくなり、
ただ両脇に清らかな風がそよそよと吹いてくるのを感じます。
 
仙人がいる山の蓬?山(ほうらいさん)は、どこにあるのでしょう。
玉川子(ぎょくせんし)と号する私(盧仝)は、
この清らかな風に乗って、仙人の世界へ帰っていこうと思います。
 
 
(ここまでが盧仝の漢詩の現代語訳の一部です)
 
七杯目を飲む前に仙人の世界へ飛んでいけるようになる、
そういう風に、私も今回は詠んでみました。
 
故事を引用するには、きちんと意味が通るように作るのに、
言葉をそのまま使うというよりは、十分にその内容を理解した上で、
出来る限りわかりやすい形で表現していく詩句の工夫が要ります。
 
これからもこうした工夫をきちんとしながら、漢詩を学んでいきます。

閉じる コメント(24)

澤木淳枝さん、こんにちは。コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
入院後はお酒よりもお茶の方が飲む機会が多くなってきました。
水筒に氷を入れてお茶を飲んでいます。風流なお茶ではないですね。。。
清らかな風がそよそよと吹くのですから、冬よりも夏の時期の方が
ぴったりと来るのではと思って、今月の課題に合わせてみました。
「池園」と池を加えたのも、大阪天満宮内の庭園の景色を思い出していました。
これからもしっかりと学びながら漢詩を作っていきます。

2012/5/24(木) 午後 5:01 白川 玄齋

清水太郎さん、こんにちは。コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
今回は以前に訳した漢詩を元に自分の漢詩を作ってみました。
これからもしっかりとがんばっていきます。

2012/5/24(木) 午後 5:06 白川 玄齋

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青い風が頬伝わっていくような詩ですね。
傑作ポチ♪です。

2012/5/24(木) 午後 5:42 [ 甘夏 ]

甘夏さん、こんばんは。コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
これは前回訳した蘇軾の漢詩の心境も、つながっているように思いました。
いろんな漢詩を学んで自分の漢詩の参考にしながら、
自分の心も養っていこうと思います。

2012/5/24(木) 午後 7:51 白川 玄齋

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このお茶は中国茶風用の小さな茶碗でしょうね、そうでないと七杯は無理。
夏に抹茶というのもいいですよコーヒーと違ったシャッキリ感があります、もちろんヤカンのお湯で十分です^^ 傑作。

2012/5/24(木) 午後 9:48 ひろちん。

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静謐ですごく気に入りました。
孟夏という語彙も知りませんでした
感謝です

2012/5/24(木) 午後 11:45 [ taiyo ]

お早うございます。
お茶を飲むのにもこの様な考え方で飲む、勿論その辺のお茶や番茶ではこの境地にならないと思います私の従姉は茶の師匠をしていますが、いずれにしても何をやるにしても心を込め真剣になってやる必要があると彼方様の漢詩、そして解釈を読ませて戴きながらしみじみと思わされました。ぽち☆〜〜〜

2012/5/25(金) 午前 9:00 [ - ]

ひろちんさん、おはようございます。コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
確かに大きな抹茶のお茶碗で七杯は無理ですね。。。小さい器だと思いました。
夏の抹茶ですか。抹茶アイスか宇治金時になってしまいそうです。。。
冷えた麦茶もおいしそうですね。夏のお茶もいろいろと楽しんでいこうと思います。
今日も元気にがんばっていきます。

2012/5/25(金) 午前 9:25 白川 玄齋

taiyo さん、おはようございます。コメントをありがとうございます。
静かにお茶を楽しんで、爽やかな風が吹くような、そんな風に想像していました。
「孟夏(もうか)」は儒学の四書五経の五経の一つで、
礼法や制度についてまとめた『礼記(らいき)』の中の暦についてまとめた
「月令(がつりょう)」という篇の中に、孟夏は太陽が畢(ひつ)、
つまり牡牛座の辺りの星の部分に来る時を指して、
初夏の旧暦四月を表す言葉です。漢詩の題にも出て来ますので、
今後もこういう言葉をきちんと学んでいこうと思います。

2012/5/25(金) 午前 9:34 白川 玄齋

みなよ さん、おはようございます。コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
僕も普段はほうじ茶を冷やしたものを水筒に入れて飲んでいます。
何とかそれに近い雰囲気を出せればいいなと思っています。
ずっと以前のお茶の席を思い出しながら詠んでいました。
みなよさんのお姉様はお茶の師匠だったのですね。
どの世界も心を込めて取り組むといい成果が出そうだと思いました。
今日もしっかりと勉強をしていきます。

2012/5/25(金) 午前 9:40 白川 玄齋

いいですね^^
その風景が想い浮かんで思わず笑顔です♪

涼しげな風を感じて、暖かな人の心に触れれるのでいいですね^^
素敵な漢詩、いつもありがとうございます☆

2012/5/25(金) 午前 11:13 ミライサク

ミライサクさん、こんにちは。コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
とにかく今の僕は学んで努力する時だと思いますので、
しっかりとがんばっていきます。色んな言葉に触れながら、
少しでも良い漢詩を作っていこうと思います。
今日もしっかりと学んでいきます。

2012/5/25(金) 午後 4:30 白川 玄齋

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お茶の世界に踏み込みましたねー・・
世界が広がります・・・
新しい世界をどんどん開拓してください
ポチ

2012/5/25(金) 午後 8:32 [ 夢想miraishouta ]

夢想miraishouta さん、おはようございます。
コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
色んな分野を漢詩に詠んでいきたいなと思います。
そのためにも、これからもしっかりとがんばっていきます。

2012/5/26(土) 午前 9:13 白川 玄齋

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こんばんは。
この「神苑茶亭」は浪速菅廟吟社の五月席題でしょうか。
故事をふまえた漢詩、さすがは玄齋さんですね(^^)v ポチ☆ポチ☆ポチ☆
明日(6月10日)定例会に出席する予定です。また、玄齋さんとお会いできる日を楽しみにしております(^^)。

2012/6/9(土) 午後 11:01 [ 56rinyahoo ]

56rinyahoo さん、こんにちは。コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
はい、菅廟吟社の五月席題です。以前訳した盧仝の漢詩をもとに、
今回は漢詩を作っていきました。
定例会。。。車いすとなった今は無理かもしれませんが、
いつしか皆さんとお会いしたいなと思っています。
今日もしっかりと療養して学んでいきます。

2012/6/10(日) 午後 2:24 白川 玄齋

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こんばんは。
定例会では、玄齋さんも御存じのように、当日御出席しておられない方の詩を不孤先生が読みあげます。
「結句に玄齋君らしさがでている。七杯目を飲まないところがいい。」と喜んでおられました(^^)。

2012/6/11(月) 午後 9:04 [ 56rinyahoo ]

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≪定例会。。。車いすとなった今は無理かもしれませんが、≫


そうですね、階段で3階まで上がるのが辛そうな御様子の方もおられます。数年後には、集まることが難しくなるかもしれません。

2012/6/11(月) 午後 9:11 [ 56rinyahoo ]

56rinyahoo さん、こんにちは。コメント + 傑作ポチ、ありがとうございます。
毎月不孤さんが読み上げてくれていますね。とても嬉しいです。

> 「結句に玄齋君らしさがでている。七杯目を飲まないところがいい。」
> と喜んでおられました(^^)。

七杯目を飲んでいるバージョンもありますが、さすがに不遜だと思いましたので、
飲まないものを提出していました。判断が正しくて良かったです。

(その2へ続く)

2012/6/12(火) 午後 1:35 白川 玄齋

(その2)

> 階段で3階まで上がるのが辛そうな御様子の方もおられます。
> 数年後には、集まることが難しくなるかもしれません。

そうですね。僕が実際に階段を上っていた時でも階段を上るのに
一苦労されている方がおられたのを覚えています。
いつしか菅廟吟社のメンバーの方々と直接お会いできれば良いなと思っています。

今日も元気に学んでいきます。

2012/6/12(火) 午後 1:38 白川 玄齋


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