|
法隆寺の風鐸(ふうたく)
Photo by (c) Tomo.Yun
●原文:
薫風午下 玄齋 (上平聲六魚韻)
雨 餘 移 簟 臥 茅 廬 午 下 南 薫 風 意 徐
破 夢 新 蝉 檐 鐵 下 猶 懷 宿 志 在 華 胥
●書き下し文:
題「薫風(くんぷう)午下(ごか)」
雨餘(うよ) 簟(てん)を移して茅廬(ぼうろ)に臥(が)し
午下(ごか)の南薫(なんくん) 風意(ふうい)徐(ゆるやか)なり
夢(ゆめ)を破(やぶ)る新蝉(しんせん)檐鉄(えんてつ)の下(もと)
猶(なお)も宿志(しゅくし)を懐(いだ)きて華胥(かしょ)に在(あ)り
●現代語訳:
題「初夏の昼下がりの爽やかな風を感じながら詠んだものです」
雨上がりにむしろの寝床を移して粗末なあばら屋の自宅で寝ていると、
昼下がりの初夏の南風が、緩やかに吹いていました。
今年初めてのセミや風鈴の音に夢から覚めた頃には、
なおもかねてからの学問への志を持って、
かつて太古の帝王の黄帝(こうてい)が
見たという理想郷の中にいるようでした。
●語注:
※薫風(くんぷう): 穏やかな初夏の風のことです。
※午下(ごか): 昼下がりのことです。
※雨餘(うよ): 「雨上がり」のことです。「雨後」と同じです。
※簟(てん): 竹で編んだむしろのことです。それを敷いた寝床を指します。
※茅廬(ぼうろ): 粗末な茅葺きの家のことです。自分の家を謙遜して言う表現です。
※南薫(なんくん): 初夏に吹く南風のことです。
※風意(ふうい): 風が吹く様子のことです。
※新蝉(しんせん): 今年初めてのセミのことです。
※檐鉄(えんてつ): 風鈴のことです。檐(えん)は軒先のことです。
※宿志(しゅくし): かねてからの願いのことです。
※華胥(かしょ): 太古の帝王の黄帝(こうてい)が昼寝をしている間に
見たという理想郷のことです。
●解説:
初夏の昼下がりに爽やかな風が吹いている、
そんな中で寝ていた当時の光景を漢詩にしたものです。
梅雨時の前の今頃までがとても爽やかでいい季候ですね。
体調も良く過ごせているのが嬉しいです。
「華胥(かしょ)」は老荘の書物の一つ『列子(れっし)』の
「黄帝(こうてい)」篇の冒頭に出てくる一節で、
黄帝(こうてい)は、自分の能力をフルに活用して天下を治めていましたが、
自分の心身が疲弊しているのにうまく治まることがないという状況でした。
そこで自分の散漫になっている気持ちを修めて身体を養うために、
身を清めてお昼寝をしていた時に、理想郷、華胥(かしょ)の国を見たわけです。
その国はリーダーがいなくても治まり、
民衆もいろんな欲に振り回されることなく、
その時々で自然に求めているものだけを欲するようになっていて。
自分と他人を分けて考えて差別したりはせず、
生きることと死ぬこととの間で苦しむことがない、
そんな様子を見て、夢から覚めた頃には、黄帝は自分の過ちに気付きました。
自分の身を養うことと、民衆を治めることを全く別のことと考えてしまって、
知恵を振り絞っていろんな施策を行い、自分自身は疲れ切っているのに
さっぱり国が治まっていかない。そうではなく、
自分の心身を治めて、自分の心から自然にわき出してくる気持ちを元に
民衆の苦しみ・楽しみを思い、それに従って本当に大切と思うことを
しっかり行い、人の欲から出て来たような余計なことをしない、
そうして治めることが大切だと気づいた黄帝は、
その考えを元に施策を行って天下は大いに治まって、
彼が亡くなった後も長いこと彼を称賛する声はやまなかった、
そんなお話です。
黄帝が夢に見たように、詩人も同様なのではないかと思います。
自分の気持ちを思いのままに吐き出すようにすることが大切で、
他の詩句を学ぶ中でも、それを実現する方法を工夫しながら、
人の心に届く詩を作る、それが大切なのではないかと思いました。
私も漢詩や漢文を学んでいて学問への淡い夢の中にいるようなものですが、
この勉強は二十年続けていて常に夢中になれるものです。
いろんなところを学びながらも自分の心を養っていって、
よりよい漢詩を作ることができればいいなと、
そんな風に思いながら、これからも学んでいきます。
|
漢詩
[ リスト ]





中国にも雨期はあるのでしょうか?南の地方はありそうな気がします。
素直に丁寧に詩を詠んで、それが他のひとにスムーズに伝わる、理想でしょうがなかなか難しいことでしょう。
2013/5/29(水) 午後 10:40
薫風・・・良い響きですね。
「薫」という字はとても好きです。
漢詩を学ぶ中で 自分の成長もしようという
勉強の姿勢は 尊敬です。
梅雨になり湿気が気になりますが、
体調の良いことをおいのりします。
アタシも頑張りますね。ナイス
2013/5/30(木) 午前 10:10
ひろちんさん、おはようございます。温かいコメントをありがとうございます。
江南、つまり長江から南は雨期があるそうです。アメリカもそうですが、南北に広いですね。
淡い夢の中の志ですが、こういう所を目指していきたいなということです。
「難しい」というコメントを頂くたびにいつも思いますが、
私はひろちんさんにお説教をしたいわけではなく、あくまでも私自身への戒めなのです。
ひろちんさんも含め、誰かに直接お説教するつもりなど「一切」ありませんので、
どうかこの点はご了承下さい。誤解を与えたのならすみません。
これからも地道に学んでいきます。ひろちんさんもよい一日をお過ごしくださいね。
2013/5/30(木) 午前 11:01
ある おかん さん、おはようございます。温かいコメントとナイスをありがとうございます。
本当に苦しい時に誰かが助けてくれたことはもちろんあるのですが、
でも本当に支えになったのは勉強だと思っています。
本当に苦しい時に漢詩を作ってやり過ごしたり、
漢文の言葉の意味が分かって苦しい気持ちがほんの一瞬でも忘れられる、
そんな所が一番役に立ったなと思っています。精神的に小学生的な所もありますが。。。
日々元気に過ごしながらしっかりと学んでいきます。よい一日をお過ごしくださいね。
2013/5/30(木) 午前 11:08
翻訳、解釈なのですからお説教というふうには読みませんよ、漢詩を作ったひとからの言葉として受け取るだけです^^
2013/6/1(土) 午後 1:47
ひろちんさん、こんにちは。温かいコメントをありがとうございます。
すみません。読み違えてしまっていたようです。
メッセージを送る上でも、表現に気をつけるようにしています。
人のためと言いながら、世の中とあまり交渉のない私がアドバイスをするというのは
おこがましいことだと思っていますので、日々、気をつけています。
気を遣いすぎてしまってすみません。このあとも元気に過ごしていきます。
2013/6/1(土) 午後 2:11
いよいよ思い出の夏が来ますね・・・
体はきついですけど、明るい季節です・・・
体調もよいようで、安心しました
2013/6/1(土) 午後 7:17 [ 夢想miraishouta ]
張之洞の書が手に入りました・・・
文字が読めましたら、玄さんが訳してくださいね・・
当分先になりそうですが・・・
2013/6/1(土) 午後 7:24 [ 夢想miraishouta ]
夢想miraishouta さん、おはようございます。温かいコメントをありがとうございます。
この夏も体調に気をつけていきます。昨年のようにならないように。。。
今はとても元気です。無理をしないように休養していきます。
今日は休養中心です。体調を整えます。
書の文字が読めましたらお伝えくださいね。
また同じように調べていきます。今週もよろしくお願いいたします。
2013/6/3(月) 午前 10:02