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時事偶成 玄齋 (毎句韻・上平聲四支韻)
今 日 政 事 難 論 時 今日 政事 論じ難きの時
漫 吟 論 策 貧 人 詩 漫りに論策を吟ずる貧人の詩
憶 昔 名 相 信 仁 慈 憶う昔 名相の仁慈なるを信じ
數 年 已 悔 相 追 隨 数年にじて已に悔ゆ 相い追随せしことを
格 差 是 非 莫 能 知 格差の是非を能く知る莫きも
貧 富 相 乖 爲 誰 疑 貧富の相い乖くは 誰が為かと疑う
三 變 宰 相 國 未 治 三たび宰相を変うるも 国未だ治まらず
忽 來 九 月 維 新 時 忽ち来る 九月 維新の時
無 列 綺 語 決 斷 遲 綺語を列ねて決断の遅きこと無く
無 行 私 曲 被 訴 追 私曲を行いて訴追せらるること無からん
何 日 好 風 翻 旭 旗 何れの日か好風 旭旗を翻し
皆 寿 治 世 暫 得 怡 皆な治世を寿ぎ 暫く怡ぶを得ん
現代語訳:
今日では、政治上のことを論ずるのは難しくなっていますが、
とりとめもなく時事の問題について、この貧乏人の詩で吟じてみようと思います。
昔のことを思い起こしますと、ある有名な首相が
下々の者への慈しみの気持ちを持っていると信じてみましたが、
数年経って、すでにその方に付き従ったことを後悔しました。
格差の問題の是非を詳しく理解しているわけではないのですが、
貧しい人と富める人がお互いにそむき離れているのは、
一体誰のせいなのかと疑わしくなります。
その後、首相が三回替わりましたが、国はまだうまく治まっているとは
言えない状況でした。
そしてすぐに政治が改まる九月の時になりました。
もはや飾り立てた偽りの言葉をならべて、決断が遅くなるということはなく、
よこしまで公正さに欠けたことを行って、検察に起訴されることはないのでしょう。
いつの日にか、良い風が日本の国旗をはためかせて、
皆がよく治まった世の中を祝って、しばらく心穏やかになれればいいなと思います。
語注:
※政事(せいじ): 政治上の事柄のことです。
※論策(ろんさく): 時事や政治の問題についての方策を述べた文章のことです。
※憶昔(おくせき、おもうむかし): 昔のことを思い起こすと、という意味です。
※名相(めいしょう): 有名な大臣や首相のことです。
※仁慈(じんじ): 上位にいる者が下位にいる者に対して示す
慈しみの気持ちのことです。
※追随(ついずい): 後に付き従うことです。
※乖(そむく): そむいて離れることです。
※宰相(さいしょう): ここでは総理大臣のことです。
※維新(いしん): 政治が改まることです。
※綺語(きご): 飾り立てた偽りの言葉のことです。
※私曲(しきょく): よこしまで公平な正しさのないことです。
※訴追(そつい): 検察に起訴されることです。
「訴」を裁判での訴えと解釈すれば日本語になりますので、
本来は漢詩にはふさわしくないと言えます(今回の反省点の一つです)。
※旭旗(きょくき): ここでは旭日旗ではなく日本の国旗(日章旗)を表します。
※治世(ちせい): 世の中がよく治まっていることです。
※怡(よろこぶ): 心穏やかになごんで喜ぶことです。
解説:
時事の問題について、今度は古詩で詠んでみました。
この漢詩は毎句韻(まいくいん)と言って、
各句の終わりの七文字目で韻を踏んでいます。
本来漢詩は偶数句で韻を踏む(七言の詩では一句目も韻を踏む)のですが、
この詩の形ではどの句の終わりでも韻を踏む形になります。
漢詩の詩会で行われている
「柏梁体聯句(はくりょうたいれんく)」も同様の詩体です。
こちらは同一の韻で各人一人で一句を作ってならべたものです。
時事で少しでもまとまったことを言うために、
試しに古詩などの長い詩で詠んでみようと思って作りました。
今日のニュースなどを見ていると、少し複雑な気持ちになりました。
来年以降、もっと明るい世の中になっていければいいなと、本当に願っています。
時事の漢詩を作ると、いつも恥ずかしい気持ちになります。
「こんな大層なことを言っているお前は何者だ」と言われれば、
僕はひたすら恥じ入るしかありません。
それでも何とか詠んでみたいなと思いながら作っています。
もっとうまく時事詠が詠めるようになりたいなと思います。
もっと世の中のことを学んでいかないといけないなと思います。
来年も漢詩やその他の勉強を少しずつでもがんばっていきます。
国会議事堂の風景写真は以下のサイトのフリー素材を利用いたしました。
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