玄齋詩歌日誌

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 雨窓思友  玄齋  (下平聲十二侵韻)
 
寄 友 案 詩 多 苦 吟
 
況 於 檐 滴 聽 梅 霖
 
遙 懷 奥 羽 濛 濛 裏
 
當 略 贅 言 披 素 襟


書き下し文:

  雨窓に友を思う  玄齋  (下平声十二侵韻)

 友に寄せんと詩を案ずれば苦吟すること多し
 況んや檐滴を梅霖に聴くにおいてをや
 遙か奥羽を懐う濛濛の裏
 当に贅言を略して素襟を披くべし


現代語訳:

 友人に送ろうと詩を考えれば表現に苦労することが多い。

 ましてや軒先の雨だれを梅雨の時期に聴くときにはなおさらである。

 遙か遠くの東北の地を雨が降って薄暗くなっている中に思い浮かべるとき、

 余計な言葉を省略して、普段のありのままの気持ちを表に出すべきだと思った。



語注:

 ※寄(よ せる): 手紙や品物などを送ることです。

 ※案詩(あんし、しをあんずる): 詩を考えることです。

 ※苦吟(くぎん): 詩や歌を作るときに、表現に苦労することです。

 ※況於(いわんや〜においてをや): 「ましてや〜のときはなおさらである」
   という意味です。

 ※檐滴(えんてき): 軒先から垂れる雨だれのことです。

 ※梅霖(ばいりん): 「梅雨(つゆ)」のことです。

 ※奥羽(おうう): 昔の陸奥(むつ)の国と出羽(でわ)の国のことです。
   今の青森・秋田・山形・岩手・宮城・福島の六県を指します。
   東北地方を指す言葉として、この言葉を選びました。

 ※濛濛(もうもう): 雨や雲が立ちこめて薄暗い様子を表す言葉です。

 ※当(まさに〜すべし): 旧字は「當」です。「〜すべきである」という意味です。   

 ※贅言(ぜいげん): いわなくてもよい余計な言葉のことです。

 ※披(ひら く): 「開く」と同じ意味です。

 ※素襟(そきん): 普段のありのままの気持ちのことです。
   「披素襟(そきんをひらく)」で普段のありのままの気持ちを
   表に出すことを意味します。


解説:

 漢詩の会の六月の課題の一つです。
 雨の日に窓の外を眺めながら友人のことを思う、というお題です。
 当時の遠方の友人に対して漢詩の手紙を送るという状況を考えてみました。

 いつも、人を慰める良い言葉が思い付くことはめったにないなとつくづく思います。
 そういうときにはせいぜい自分の心情を短い言葉で述べることしかできない、
 そういうもどかしさを常に感じています。

 七言絶句ではさらりと述べていますが、何かをきちんと述べるには
 律詩や古詩などの長い句を連ねる漢詩か、あるいは絶句の連作で
 言うべきことのあれこれを述べる方がよいのかなとも思います。

 身の回りの問題自身をもっと深く見つめながら、
 どういう風に述べていけばいいかを考え続けようと改めて思いました。


追伸:

 漢詩の画像にふりがなを振ったりフォントを替えたりしてみました。
 パソコンからはきちんと見えているでしょうか。



 アジサイのイラスト画像は、以下のサイトのフリー素材を利用いたしました。

「季節の素材篭」 あずゆ - 季節ものメインに花や動物たちの素材提供
 http://season-basket.com/

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