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豫園(よえん)の橋(中国・上海)
Photo by : clef
前回の曹操の息子の曹植(そうしょく)の有名な詩である、 『洛神賦(らくしんふ)』の翻訳の五回目です。神話の世界に出てくる伝説の帝王や神々、神様や仙人が乗る乗り物が出て来ます。曹植と洛水(らくすい)の川の女神である宓妃(ふくひ)の二人が、そんな乗り物に乗ってドライブに出かける、そんな場面です。
●原文
於 是 屏 翳 收 風, 川 后 靜 波,
馮 夷 鳴 鼓, 女 媧 清 歌。
騰 文 魚 以 警 乘, 鳴 玉 鸞 以 偕 逝。
六 龍 儼 其 齊 首, 載 雲 車 之 容 裔。
鯨 鯢 踴 而 夾 轂, 水 禽 翔 而 爲 衞。
●書き下し文
是(ここ)に於(おい)て 屏翳(びょうえい)は風(かぜ)を収(おさ)め、
川后(せんこう)は波(なみ)を静(しず)かにし、
馮夷(ひょうい)は鼓(こ)を鳴(な)らし、
女媧(じょか)は清歌(せいか)す。
文魚(ぶんぎょ)に騰(の)るに警乗(けいじょう)を以てし、
玉鸞(ぎょくらん)を鳴らして以て偕(とも)に逝(ゆ)く。
六龍(ろくりゅう)は儼(げん)として其(そ)の首(くび)を斉(ひと)しくして、
雲車(うんしゃ)の容裔(ようえい)たるを載(の)す。
鯨鯢(げいげい)踴(おど)りて轂(こしき)を夾(はさ)み、
水禽(すいきん)翔けて衛(えい)と為(な)す。
●現代語訳
このとき屏翳(びょうえい)という風の神は風をおさめて、
川の女神は川の波を静かにしました。 そして馮夷(ひょうい)という雨の神は太鼓(たいこ)を打ち鳴らし、
太古の伝説の女帝である女媧(じょか)は、
その透き通った美しい声で歌っていました。
文魚(ぶんぎょ)という羽の生えた魚に乗る時には警戒をしながら乗り、
玉(ぎょく)で出来た伝説の鳥の鸞(らん)という鳳凰(ほうおう)に 似た鳥をかたどった天子(てんし: 皇帝)の車にあるような鈴を鳴らして、
一緒に去っていきました。
太陽の神を載せた車を引く六匹の龍たちはいかめしい顔をして、
首を同じ方向に向け、
仙人が乗る雲の車に乗ったときには、ゆっくりとすすんでいきました。
オスとメスの鯨(くじら)は飛び上がりながら両側から車輪を挟(はさ)み、
水鳥(みずどり)たちは飛び回って護衛をつとめていました。
●語注
※屏翳(びょうえい): 「風師(ふうし)」、つまり風の神のことです。
※川后(せんこう): 「河伯(かはく)」、つまり川の神のことです。
※馮夷(ひょうい): 「雨師(うし)」、つまり雨の神のことです。
※女媧(じょか): 古代中国の、伝説上の女帝で、
帝王の伏羲(ふくぎ)の妹です。五色の石を練り、
天の割れた所を補修して、大きな亀の足を切って、天を支える
柱にしたという伝説があります。
※清歌(せいか): 透き通った美しい声で歌うことです。
※文魚(ぶんぎょ): 一般的には「鯉(こい)」のことですが、
『文選(もんぜん)』の李善(りぜん)の注釈には、「文魚有翅,能飛」
とあり、羽が生えていて空を飛ぶ伝説上の魚を指しているそうです。
※警乗(けいじょう): 警戒して乗り物に乗ることです。
※玉鸞(ぎょくらん): 玉(ぎょく)で鸞(らん)という鳳凰(ほうおう)に
よく似た鳥の形に作った、天子(皇帝)の車に付けた鈴のことです。
※六龍(ろくりゅう): 太陽のことです。伝説では太陽の神は六匹の龍が
引く馬車に乗り、羲和(ぎわ)という人物が御者を務めていました。
※雲車(うんしゃ): 仙人が乗るという雲の車のことです。
※容裔(ようえい): ゆっくりとすすんでいく様子を表しています。
※鯨鯢(げいげい):雄の鯨(くじら)と雌の鯨のことです。
※水禽(すいきん): 水鳥(みずどり)のことです。
●解説
前回の曹操の息子の曹植(そうしょく)の有名な詩である、『洛神賦(らくしんふ)』の翻訳の五回目です。
次回の更新で『洛神賦(らくしんふ)』の翻訳が完了します。その部分をまとめて訳していきたいと思いましたので、今回は短めにまとめてみました。もう翻訳作業自体は完了していきますので、早めに UP していきます。翻訳作業が終わってほっとしました。翻訳作業によってかなり勉強になりましたので、お相手の方を想う漢詩も、これからきちっと作っていきたいなと思います。
神話の世界に出てくる伝説の帝王や神々、神様や仙人が乗る乗り物が出て来ます。曹植と洛水(らくすい)の川の女神である宓妃(ふくひ)の二人が、そんな乗り物に乗ってドライブに出かける、そんな場面です。曹操が仙人の世界を描きながら、どのようにして道を体得するかということを詠んでいる詩の『気出唱・其の一』にも共通する風景が並んでいます。太陽の神を乗せて走る、六頭の龍が引く馬車、仙人が乗るという雲の車などは、再び出て来ました。昔の天文の書物や、楚(そ)の国の王族で詩人の屈原(くつげん)と、その弟子の宋玉(そうぎょく)たちの詩をまとめた『楚辞(そじ)』に出てくる場面が多いです。こういうところをきちんと学んでいって、普段の僕のお相手の方を想って作る漢詩に活かしていこうと思います。
これからもきちんとがんばっていきます。 |
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2011年11月20日
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