玄齋詩歌日誌

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漢詩

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平成十八年の年末以来、漢詩をずっと作り続けています。

ここには、添削・推敲の済んだものを掲載しています。
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虹の架け橋
Photo by (c)Tomo.Yun

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●原文:


 寄玄素先生(次韻詩) 玄齋 (上平聲十一眞韻)

病 床 難 得 樂 天 眞   詩 友 溫 情 報 謝 新

何 日 養 生 勤 勉 後   二 玄 同 道 ? 嘉 賓



●書き下し文:


題: 「玄素(げんそ)先生に寄(よ)す(次韻詩(じいんし))」


病牀(びょうしょう) 得(え)ること難(かた)き楽天(らくてん)の真(しん)

詩友(しゆう)の温情(おんじょう) 報謝(ほうしゃ)すること新(あら)たなり

何(いず)れの日(ひ)か養生(ようじょう)勤勉(きんべん)の後(のち)

二玄(にげん)の道(みち)を同(とも)にする嘉賓(かひん)を?(むか)えん


●現代語訳


題: 「玄素先生から頂いた漢詩に、韻の文字を変えずに作った
次韻(じいん)の漢詩でお返事の漢詩を詠みました」


病気で寝ている時には、「楽天知命(らくてんちめい)」、

つまり自分の置かれた状況をきちんと認識しながら
安らいだ気持ちで過ごしていく、
そんな充実した気持ちを持ち続けることは難しいのです。

ですから詩友であるあなたの温かい思いやりには、
あなたの恩に報いる気持ちを新たにしています。

いつの日か私はさらに療養をして健康を保ちながら
学問に勉め励んだ後に、

「玄素」と「玄齋」、同じ「玄」の字を持ち
同じ道を行くあなたをよい客人として迎えたいのです。



●語注:


※寄(よ)す: 手紙を送ることです。今回はこの漢詩を送ることを指します。

※病牀(びょうしょう): 「病床」と同じです。病気で寝ている寝床のことです。

※楽天(らくてん): 「楽天知命(らくてんちめい)」のことです。
  これは、『易経』の中の易の哲学を論じた「繋辞伝(けいじでん)」
  にあることばで、自分の置かれた環境や状況をしっかりと認識して、
  その中で安らいだ気持ちで過ごしていくということです。

※真(しん): 心が充実していることです。

※詩友(しゆう): 漢詩の同好の士のことです。
  ここでは玄素さんを指します。

※温情(おんじょう): 温かい思いやりの気持ちのことです。

※報謝(ほうしゃ): 恩に報いることです。

※養生(ようじょう): 健康に気をつけて療養することです。

※勤勉(きんべん): 学問に努め励むことです。

※二玄(にげん): 「玄素」と「玄齋」、どちらも「玄」があることで
  漢詩の友人が付けてくれた名前です。

※同道(どうどう、みちをともにする): 同じ道を行くことです。

※嘉賓(かひん): よいお客さんのことです。

※?(むか)える: 「迎える」とおなじです。
  「しんにょう+『牙』」の字ですが、表示できない文字です。



●解説:


入院中に心のこもった漢詩を送って下さった韓国の Facebook と Twitter の
共通の友人の Gibum Lee さん
(検索してみますと、 Facebook のページには同じ名前の人が
何人もいるようです。 Twitter でもご本人のものかどうかは確認できませんでした。
男性です)
へのお返事として作った漢詩です。

(現在検索してもその方のページが確認できませんでした)

これは「次韻(じいん)」と言いまして、
相手が韻を踏むために使った文字、

今回ですと「真」と「新」と「賓」をそのまま使って
お返事の漢詩を詠んだものです。


入院中のほとんどは療養と勉強をしておりましたが、
その期間の内の何日かは苦しい時期もありました。

そんな時期にお見舞いに来て下さったり、
あるいは温情のある漢詩やメッセージを下さる方もいて、
とても助かりました。玄素さんも含めて、お礼を申し上げます。


今も自宅療養が続いていて、療養しながら勉強の日々です。
この状況がずっと続いていくかもしれないわけですが。

こうしてお返事の漢詩を心を込めて作ることも、
入院中の恩返しのほんの一部にもなればと、そんな風に思っています。

改めて感謝申し上げます。私も更に療養して元気になりながら、
自分の学問をしっかりと続けていきます。

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晴れの日の桜
Photo by (c) Tomo.Yun

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●原文:

 旅亭吟行 玄齋  (上平声一東韻)

河 岸 料 亭 春 未 終   櫻 雲 夕 照 淡 烟 紅

北 邊 拙 宅 何 能 忘   再 報 開 花 一 路 風



●書き下し文:


 題:「旅亭(りょてい)吟行(ぎんこう)」

河岸(かがん)の料亭(りょうてい) 春(はる)未(いま)だ終(お)わらず

桜雲(おううん) 夕照(せきしょう) 淡烟(たんえん)に紅(くれない)なり

北辺(ほっぺん)の拙宅(せったく) 何(なん)ぞ能(よ)く忘(わす)れん

再(ふたた)び開花(かいか)を報(ほう)じる一路(いちろ)の風(かぜ)


●現代語訳:

 題:「旅館に詩の題材を求めて行った時のことを漢詩に詠みました」

河岸にある料亭では、春がまだ終わったいない状態でした。

雲のように満開に咲きほこる桜が夕陽に照らされて、
薄もやの中で紅に染まっていました。

そんな中で、私は北の果ての自宅のことを、
どうして忘れることが出来るでしょうか。

再び開花を知らせるように、一筋の道に風が吹いていきました。



●語注:

※旅亭(りょてい): 旅館のことです。

※吟行(ぎんこう): 詩歌の題材を求めて名所、旧跡などに出かけることです。

※桜雲(おううん): 桜の満開な様子を雲にたとえた表現です。

※夕照(せきしょう): 夕陽の光のことです。

※淡烟(たんえん): うすくもやがかったことを指す表現です。

※北辺(ほっぺん): 北の果てのことです。

※拙宅(せったく): 自分の家を謙遜していう表現です。

※能(よ)く: 「〜することが出来る」という意味です。

※一路(いちろ): 一筋の道のことです。



●解説:


先月の漢詩の会の課題詩の二首のうちの一つです。

今月の課題とともにもう一首作っている最中です。


桜の名所としては近畿では奈良県の吉野、
東北では青森県の弘前市が有名ですね。

弘前市は五月頃が見ごろだと聞いていますので、
ちょうどこの漢詩が桜の花の開花の時期に間に合ったかなと思っています。

桜の開花場所が北上する、もし北の方に自宅があれば、
桜も二度楽しめるのではないか、当時はそんな風に思っていました。

今は少し体調が思わしくないのですが、
休養しながら何とか勉強を続けております。

これからも体調に気をつけながら、連休も学んでいこうと思います。
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紅梅
Photo by : clef


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●原文:

 春信喜躍  玄齋  (上平聲十一眞韻)

沈 痾 少 癒 得 迎 春    風 變 水 溫 隨 處 新

眼 界 紅 梅 知 可 愛    早 鶯 來 去 覘 佳 人


●書き下し文


題「春信喜躍(しゅんしんきやく)」

沈痾(ちんあ) 少(すこ)しく癒(い)えて春を迎えるを得て

風(かぜ)変(へん)じて水(みず)温(ぬる)みて随処(ずいしょ)に新(あら)たなり

眼界(がんかい)の紅梅(こうばい) 愛すべきを知りて

早鶯(そうおう) 来去(らいきょ)して 佳人(かじん)を覘(うかが)う


●現代語訳

題「春の便りに喜んで躍り上がるような気持ちを漢詩に詠みました」

私の長い間わずらっている病気が少し軽くなっている頃、

風の方向は変わり、水は温かくなるなど、
いろんなところが新しくなってきていました。

目の前に咲いている紅色の梅を愛することが出来る、
そんな時期であることを知って、

春の最初にやって来たウグイスが行ったり来たりして、
美しい女性を垣間見ているような気持ちになっているのです。



●語注:

※喜躍(きやく): 躍り上がるほどに喜ぶことです。

※沈痾(ちんあ): 長い期間わずらっている病気のことです。

※眼界(がんかい): 目の前の風景、視界のことです。

※早鶯(そうおう): 春の最初に見られるウグイスのことです。

※来去(らいきょ): 行ったり来たりということです。

※佳人(かじん): 美しい人のことです。梅の花をたとえて言ったものです。

※覘(うかが)う: うかがう、垣間見るということです。


●解説:


春の喜びを詠んだ漢詩です。温かくなってきて身体も動かしやすいです。

転句(三句目)のようなストレートな言葉で漢詩を作るといろんな事を
言われるのですが、体調が良くなってきて明るい気持ちになれる、
そんな気持ちを詠んでみました。

世の中もこんな風に変わってくれれば、そんな風に日々思います。
こういう気持ちが少しでも現実に近づくような、
そんな状況になればと日々思います。

生きている限りは自分が出来ることだけに集中していこうと思います。
これからもしっかりと学んでいきます。
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草紙
Photo by : clef

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●原文:


 寒日讀書  玄齋 (下平聲五歌韻)

爐 灰 漸 冷 苦 吟 哦  獨 入 書 房 凍 筆 呵

往 古 陳 編 連 日 讀  養 病 困 窮 無 幾 何



●書き下し文:


 題「寒日(かんじつ)書を読む」

炉灰(ろかい) 漸(ようや)く冷(ひや)やかにして吟哦(ぎんが)に苦しみ

独(ひと)り書房(しょぼう)に入(い)りて 凍筆(とうひつ)を呵(か)す

往古(おうこ)の陳編(ちんぺん) 連日(れんじつ) 読(よ)まば

養病(ようびょう)の困窮(こんきゅう) 幾何(いくばく)も無(な)からん



●現代語訳:


 題「冬の寒い日の読書を詠みました」

囲炉裏の灰が次第に冷たくなってくる頃に、
私は歌う詩を作るために苦しんでおりました。

私は一人書斎に入り、筆先が凍ってしまった筆に
息を吹きかけて温めるようにして、勉強をしておりました。

昔のことを記した古い書物を何日も読んでいくことによって、

病気の療養をして生活に苦しむなどということは、
それほどの悩みでもないのだと、そういう気持ちになりました。



●語注:


※炉灰(ろかい): 囲炉裏の炭が燃えたあとの灰のことです。

※漸(ようや く): 「しだいに」ということです。

※吟哦(ぎんが): 詩を作って歌うことです。

※書房(しょぼう): 書斎のことです。

※凍筆(とうひつ): 筆の先が凍ってしまった筆のことです。

※呵(か)す: 息を吹きかけて温めることです。

※往古(おうこ): 昔のことです。

※陳編(ちんぺん): 古い書物のことです。

※養病(ようびょう): 病気の療養のことです。

※困窮(こんきゅう): 貧しさから生活に困ることです。

※幾何(いくばく): 「どれくらい」という意味です。



●解説:


冬の日の読書の情景です。
私が一昔前にいたら、こんな風に勉強していたのではないか、
そんな風に思います。

少し暗い感じになっていますが、あまりに明るい優等生的な漢詩では
拙い漢詩なのです。自分を見つめる目が甘いからです。
自分自身をごまかして、わざと大きく見せるようなものはいけないのです。

漢詩の中で、自分の身の回りのささやかな哲学を述べていく、
普段の暗闇の中にも一点の光明を見いだす、
そんな漢詩でなければならないのです。

この点は、どうか誤解のないようにお願いいたします。


勉強をしていく内に、自分の悩みが遠くへ行く、
そんな日々を過ごしています。

結局の所、自分で自分を立て直す方が楽だと、そう思います。
人に力を借りる局面がもしあったとしても、
問題を解決するのは自分自身だという認識を忘れないようにしていきます。

それと同時に、人の悩みを聞いたとしても、
きちんとした事情を知らない内は、
人に安易なアドバイスをしないようにしよう、

もしどうしてもアドバイスをしなければならないとしたら、
相手と問題を共有するほどの真剣さを持って答えよう、
そう思っています。

この両者に気をつけていこうと思います。


常に新しい疑問が浮かんで新しい課題に挑戦する、
とても楽しい日々です。これからもがんばっていきます。


●変更点(二月二十三日):

起句の「苦吟」を「有吟」に改めます。
全体のバランスを考えてそちらがいいと改めて思いました。

起句の現代語訳は、

「囲炉裏の灰が次第に冷たくなってくる頃に、
私は出来た詩を歌っていました。」

となります。よろしくお願いいたします。
縦書き画像は次のようになります。

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花火
Photo by : clef
http://street34.mond.jp/clef
 
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●原文:
 

 納涼烟火  玄齋 (下平聲十一尤員)
 
夏 夜 待 望 江 上 遊   長 途 來 客 集 高 樓
 
忽 驚 烟 火 雷 霆 響   花 發 上 天 輝 兩 眸
 
 
 
●書き下し文:
 

 題: 「納涼(のうりょう)烟火(えんか)」
 
夏夜(かよ)に待望(たいぼう)す 江上(こうじょう)の遊(ゆう)
 
長途(ちょうと)の来客(らいきゃく) 高楼(こうろう)に集(つど)う
 
忽(たちま)ち烟火(えんか)の雷霆(らいてい)の響きに驚き
 
花は上天(じょうてん)に発(ひら)きて両眸(りょうぼう)を輝(かがや)かさん
 
 
 
●現代語訳
 

 題: 「夏の夜に花火を見て涼む時のことを漢詩に詠みました」

夏の夜に川の上の船旅を待ち望んで、
 
遠い所からやって来たお客さんたちは、
高い建物の上に集まっていました。
 
するといつの間にか、花火が激しい雷のような音を、
響かせているのに驚き、
 
その花火の花が空に咲いているような姿に、両目を輝かせていました。
 
 
 
●語注:
 
 
※納涼(のうりょう): 夏に涼むことです。
 
※烟火(えんか): 花火のことです。
 
※夏夜(かよ): 夏の夜のことです。
 
※江上(こうじょう): 川の上のことです。

※遊(ゆう): 長旅をするということです。
  「江上の遊」で、船で長旅をすることです。
 
※長途(ちょうと): 長い道のりのことです。
 
※高楼(こうろう): 周囲を見晴らせるような高い建物のことです。
 
※忽(たちまち): 「いつの間にか」という意味です。
 
※雷霆(らいてい): 激しい雷のことです。
 
※上天(じょうてん): 「空(そら)」のことです。
 
※発(ひらく): 「開く」と同じです。
 
※両眸(りょうぼう): 両目のことです。
  「眸(ぼう)」は「瞳(ひとみ)」のことです。
 
 

●解説:
 

おはようございます。花火の漢詩をお届けします。
これは漢詩の会の課題の一つです。
 
漢詩の会も夏休みですので、その間の月の課題の一つです。
花火の漢詩で皆さんに涼んでいただけるといいなと思います。
 
 
各地の花火大会も、自粛や、警備や予算が間に合わない等で
中止になる所も多いですが、
 
そんな中でも、毎年の夏には打ち上げ花火が行われて、
明るい気持ちになれればいいなと思っています。
 
 
私も漢詩や漢文を学んでいく中で少しでも
漢詩や漢文の学問での大きな花を
ぱっと咲かせることができればいいなと思いました。
これからも元気にがんばっていきます。

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