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●原文:
花園散策 玄齋 (上平聲八齊韻)
三 月 紅 櫻 染 碧 堤、 酣 歌 一 日 詠 新 題。
花 陰 隱 見 佳 人 影、 數 刻 流 鶯 爲 汝 啼。
●書き下し文:
題: 「花園(はなぞの)散策(さんさく)」
三月の紅桜(こうおう) 碧堤(へきてい)を染め
酣歌(かんか)一日(いちじつ)新題(しんだい)を詠(えい)ず
花陰(かいん)に隠見(いんけん)すれば佳人(かじん)の影
数刻(すうこく)の流鶯(りゅうおう)汝(なんじ)が為(ため)に啼(な)かん。
●現代語訳:
題:「桜の花の公園を歩き回っているときに詠んだ漢詩です」
三月の紅い色の桜は、緑の堤防をすっかり染めるほどであり、
この日の、心ゆくまで酒を飲んで歌う一日中、
新しい詩を作って歌っておりました。
桜の花の影には、あの美しい女性の影が見え隠れしていて、
そのしばらくの間、枝から枝へ飛び移っているウグイスが、
その美しい人(あなた)のために啼いていました。
●語注:
※紅桜(こうおう): 紅色の桜のことです。
※碧堤(へきてい): 緑の堤防のことです。
※酣歌(かんか): 心ゆくまで酒を飲んで、気分良く歌うことです。
※新題(しんだい): 新しく作る詩のことです。
※花陰(かいん): 花の影のことです。
※隠見(いんけん): 見え隠れすることです。
※佳人(かじん): 美しい女性のことです。
※流鶯(りゅうおう): 枝から枝へ飛び移るウグイスのことです。
●解説:
桜の公園を散歩して新しい漢詩を詠む、そんな場面を詠んだ漢詩です。 桜の花に見え隠れする美しい人、その人のために鳴いているような
ウグイス、そういう光景を思い浮かべて詠んでいました。
この風景自体はフィクションですが、 僕のお相手の方をモデルとして思い浮かべていました。
こういう漢詩を、いろんな情景、いろんなパターンの中で詠んでいくことが、
今の私の課題の一つです。これからもしっかりと学んでいきます。
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漢詩
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平成十八年の年末以来、漢詩をずっと作り続けています。
ここには、添削・推敲の済んだものを掲載しています。
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●原文:
春日踏青 玄齋 (上平聲十一眞韻)
愛 花 求 酒 踏 青 人 行 詠 芳 魂 忘 病 身
偏 欲 麗 人 留 屐 齒 同 傾 一 盞 養 詩 神
●書き下し文:
題: 「春日(しゅんじつ)踏青(とうせい)」
花を愛し酒を求めて青(あお)を踏(ふ)む人、
行々(ゆくゆく)芳魂(ほうこん)を詠(えい)ずれば
病身(びょうしん)を忘(わす)る。
偏(ひとえ)に麗人(れいじん)の屐歯(げきし)を留(とど)め、
同(とも)に一盞(いっさん)を傾(かたむ)けて
詩神(ししん)を養(やしな)わんと欲す。
●現代語訳:
題: 「春の日に行楽(こうらく)に出かけた様子を漢詩に詠みました」
花を愛し酒を求める、そんな春の行楽を楽しむ人が、
歩きながら花の精のことを詩に吟じていくと、
自分の病気の事を忘れるほどの気持ちになるのです。
ひたすらに下駄を履いた美人の足を止めて、
その美人と一緒に杯のお酒を一杯飲んで、
詩を作ろうとする気持ちを養おうと思いました。
●語注:
※踏青(とうせい、あおをふむ): 春に若草を踏んで郊外を
散歩する事を意味しており、春のピクニックを指す言葉です。
春の節句のいろんな行事を指すこともありますが、
今回はその意味ではありません。
※芳魂(ほうこん): 花の精のことです。
※病身(びょうしん): 病気の身体のことです。
※偏(ひとえに): 「ひたすらに」という意味です。
※麗人(れいじん): すっきりと美しい女性のことです。
※屐歯(げきし): 下駄の歯のことです。
※一盞(いっさん): 杯(さかずき)の一杯のことです。
※詩神(ししん): 詩を作ろうとする気持ちのことです。
●解説:
漢詩の会の今月の課題の一つです。
春の日に郊外へと出かけて楽しむ、そんな風景を詠みました。
暖かくなって身体の調子も良くなってきて、
とても過ごしやすくなってきたのも嬉しいです。
こういう気分の良いときに漢詩を作ると、
明るい雰囲気のある漢詩を作ることができるのも嬉しいです。
「芳魂(ほうこん)」とは「花の精」のことです。
その美しい姿をイメージして、漢詩にしてみました。
下駄を履いた美女の姿として思い浮かべてみました。
最近は健康のためにあまりお酒を飲んでいませんが、
たまに友人が尋ねてきたときなどに飲んで、
楽しい気持ちになっていたときのことを思い出します。
これからもっと健康に気をつけて、
ほんの少しでも外出していけるようにできればいいなと思っています。
これからも体調に気を配りながらも、しっかりと学んでいきます。
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●原文:
春芳鶯語 玄齋 (下平聲九青韻)
雨 餘 黄 鳥 隔 窓 聽 草 舎 春 來 不 少 停
梅 朶 僅 窺 籬 落 處 佳 人 過 否 夢 無 醒
●書き下し文:
題: 「春芳(しゅんほう)鶯語(おうご)」 雨餘(うよ)の黄鳥(こうちょう) 窓を隔(へだ)てて聴き
草舎(そうしゃ)の春の来(きた)るは少(すこ)しも停(とど)まらず
梅朶(ばいだ) 僅(わずか)に籬落(りらく)を窺(うかが)う処(ところ)
佳人(かじん)の過(す)ぐるや否(いな)や 夢(ゆめ) 醒(さ)むること無し
●現代語訳:
題: 「春の花の中でウグイスの鳴き声を聞いているときの様子を
漢詩にしました」
雨上がりに、ウグイスの鳴き声を窓越しに聴いていました。
この私の草ぶきの粗末な家に春がやってくることも、
少しもとどまることはないのです。
梅の枝がほんの少し垣根を窺うように垂れているところに、
ひょっとしたら美人が通り過ぎたのでしょうか。
私の夢も、まださめることがないのです。
●語注:
※黄鳥(こうちょう): ウグイスのことです。正確に言えば、
ウグイスよりも少し大きいチョウセンウグイス、
あるいはコウライウグイスという別種の鳥のことですが、
漢詩の中では単に「ウグイス」を指していると考えても
差し支えはないです。
※草舎(そうしゃ): 草ぶきの家のことです。
※梅朶(ばいだ): 梅の枝のことです。「朶(だ)」は木の枝のことです。
※籬落(りらく): 垣根のことです。
※佳人(かじん): 美しい女性のことです。
※否(いなや): 「〜したのかどうか」という意味です。
●解説:
これは先月の漢詩の会の課題です。
春の花の中でウグイスの鳴き声を聞いているのですが、
この花は梅ですので、少し時期を外していますね。
桜の時期なので桜に改作しようかと思いましたが、
木に竹を接ぐような無理のあるものになりそうでしたので、
もとのものをそのまま UP することにしました。
昔の建物の垣根に生えている梅の木の中から
ウグイスの鳴き声を聞いていると、
そんな中でふっと見た美人の影、あれはあの人だろうか、
そういう想像をしていた、そんな一首です。
こういう想像で作る一首でも、きちんとお相手の方を思い浮かべて
ようやくできる一首だと改めてそう思いました。
こういう気持ちをきちんと大切にしていこうと、改めて思いました。
最近急に春がやってきたように思います。
桜も咲いて、いろんな花も咲いていく、これからの時期が楽しみです。
そんな中で、これから桜の漢詩も作っていこうと思います。
これからも元気にがんばっていきます。
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●原文: 寄美容師島田先生(二首) 玄齋
○其一 (上聲七紙韻)
玉 女 元 来 多 競 美 常 求 名 匠 門 如 市
温 和 店 主 盡 才 知 鏡 裏 嬌 容 含 莞 爾
○其二 (上平聲七虞韻)
來 客 欣 然 爲 自 娯 機 知 既 足 慰 迂 儒
技 能 老 練 操 長 鋏 一 士 美 顔 成 丈 夫
●書き下し文:
題:「美容師(びようし)の島田先生に寄(よ)す」
○その一
玉女(ぎょくじょ)は元来(がんらい) 美を競うこと多し
常に名匠(めいしょう)を求めて 門(もん)は市(いち)の如(ごと)し
温和(おんわ)な店主(てんしゅ)は才知(さいち)を尽くして
鏡裏(きょうり)の嬌容(きょうよう) 莞爾(かんじ)を含む
○その二
来客(らいきゃく)の欣然(きんぜん)たるを自(みずか)らの
娯(たの)しみとなし、
機知(きち)は既に迂儒(うじゅ)を慰(なぐさ)むるに足(た)る
技能(ぎのう)は老練(ろうれん)にして長鋏(ちょうきょう)を操れば
一士(いっし)は美顔(びがん)の丈夫(じょうふ)となる。
●現代語訳:
題: 「美容師の島田先生にこの漢詩を贈ります」
○その一
玉のような美しい女性たちは、その美しさを競うことが多く、
そのためにいつも良い職人を求めて、多くの人がそのお店に
出入りしています。
おだやかなお店の主人は、十分に才能と知恵を振り絞って、
鏡の中のお客さんの美しく色っぽい顔は、
にっこりとした笑顔を含んでいるのです。
○「その二」
先生はやって来たお客さんがにこやかに喜ぶ様子を
自分の楽しみとされていまして、
巧みな知恵はすでに世の中にうとい学者である
私を慰めるのに十分なのです。
その散髪の腕前は経験を積んで巧みであり、
その長いハサミを操ると、
一人の男の人が、顔の美しい立派な男性になるのです。
●語注:
※玉女(ぎょくじょ): 玉のような美しい女の人のことです。
※元来(がんらい): 「もともと」という意味です。
※名匠(めいしょう): 良い職人のことです。
※門(もん)は市(いち)の如(ごと)し: 多くの人がそのお店に
出入りすることを指していいます。
※温和(おんわ): 性格がおだやかなことです。
※店主(てんしゅ): お店のご主人のことです。
※才知(さいち): 才能と知恵のことです。
※鏡裏(きょうり): 「鏡の中」という意味です。
※嬌容(きょうよう): 美しい顔のことです。
※莞爾(かんじ): にっこりと笑うことです。
※欣然(きんぜん): にこやかに喜ぶ様子です。
※機知(きち): たくみな知恵のことです。
※迂儒(うじゅ): 「世の中のことにうとい学者」のことで、
私(玄齋)自身を指しています。
※技能(ぎのう): 「腕前」のことです。
※老練(ろうれん): 経験を積んでたくみであることです。
※長鋏(ちょうきょう): 長いハサミのことです。
※佳客(かきゃく): よいお客、またはお得意先の客のことです。
※丈夫(じょうふ): 立派な男の人のことです。
●解説:
この漢詩もフェイスブックで知り合った友人への漢詩です。
美容師をしている男性の方です。
今回は私が自発的に行ったことです。
感謝と尊敬の気持ちを漢詩という形で伝えようと思いました。
美容師は女性も男性も利用しますので、
それぞれを分けて漢詩にしてみました。
一首目が女性のお客様で、二首目が男性のお客様です。
ちなみに一首目は普通は韻を踏むのに使わない、
仄声(そくせい)で韻を踏んでいます。
こういう漢詩を側体(そくたい)と呼びます。
一句目の七文字目が「美」になりましたので、
それに合わせて仄声で韻を踏んでいます。
私は一芸に秀でている方をとても尊敬します。
さらにこの方はとても人とうち解けやすい性格で、
お話をしていてもとても楽しい方です。
お客さんを喜ばせる、満足させるというところが、
やはりプロだなと思える方で、とても尊敬しています。
そういう部分も私も少しでも吸収していきたいなと思っています。
こういう漢詩作りを通じて、私自身の心もきちんと養っていこうと
思いました。これからもしっかりとがんばっていきます。
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●原文:
寄眞道先生 玄齋 (下平聲十二侵韻)
三 月 僧 堂 幾 好 音 清 彈 古 調 一 絃 琴
律 轉 風 變 伶 人 技 天 籟 蕭 條 入 座 深
●書き下し文:
題: 「真道先生(しんどうせんせい)に寄(よ)す」
三月の僧堂(そうどう) 幾好音(いくこういん)
清らかに古調(こちょう)を弾(だん)ずる一絃(いちげん)の琴
律(りつ)転(てん)じて風(かぜ)変(へん)ずる伶人(れいじん)の技
天籟(てんらい) 蕭条(しょうじょう)として座(ざ)に入(い)ること
深(ふか)し
●現代語訳:
題:「真道先生にこの漢詩を送ります」
三月のお寺では何度もよい音が響いていました。
清らかに古風な音の調子で一絃琴(いちげんきん)を弾いていました。
音の調子を変えて風も変わるような、
そんな伶人(れいじん: 音楽を演奏する人)の技量によって、
自然の声が細々と、その部屋の座席に深く入り込んでいきました。
●語注:
※僧堂(そうどう): お寺のことです。
※好音(こういん): よい音のことです。
※古調(こちょう): 古風な音の調子のことです。
※一絃琴(いちげんきん): 長さ一メートルほどの胴に弦を一本張った
琴のことです。
※律(りつ): 「音律(おんりつ)」、つまり音の調子のことです。
※伶人(れいじん): 音楽を演奏する人のことです。
※天籟(てんらい): 自然の音のことです。
※蕭条(しょうじょう): 細々とひっそりとしている様子のことです。
●解説:
これは facebook で知り合った友人の、
木村紋土さんという年上の男性の方から頼まれたものです。
その方とは仏教や老子を語り合っておりまして、
おそらく十年ほど年上の尊敬できる方です。
その方への日々の感謝の気持ちも込めて作りました。
もちろん無償で作りました。
その方のお母様はお寺の方で、一絃琴(いちげんきん)の
演奏にすぐれた方です。
一絃琴とは長さ一メートルほどの胴に弦を一本張った琴のことです。
その方の号は「真道(しんどう)」とのことでしたので、
それが詩の題になっています。
お寺で三月三日のひなまつりの日の法要で演奏していた姿を
動画で拝見しましたら、とても見事なもので感動しました。
その時の感動をこの七言絶句にしてみました。
天籟(てんらい)とは「自然の音」のことで、
『荘子』内篇の斉物論(せいぶつろん)篇に出てくる言葉で、
「人や万物がその性質に従って自然に作り出す音」のことです。
すぐれた演奏によって、その自然の音さえも感じられるような、
そんな素敵な音が響いていた、そんな光景を詠みました。
最近音楽を聴いていませんでしたので、
その動画で素敵な音を聴くことができて、とても嬉しいです。
これからもいろんな物事を学びながら、漢詩を作っていきます。
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