書 之 遙

夏です。字と汗 かいてます。

書ける幸せ

友人が 右半身 不自由になった。
3年前のこと・・


友人は 書家の一人息子で 書家・・・



6年前
久しぶりに会ったとき
彼は 激やせしていた。
その数年前
お父さんが脳梗塞でなくなって お世継ぎ騒ぎがおこったからだった。


そして3年前
ある大きな展覧会の 初審査に当った彼が・・・その直後に倒れた。
倒れたという知らせをきき 私はすぐに連絡をとったが
彼の妻に
「もう少しまって・・」
と 面会を断られた。

右半身が不自由になったことは それから1年後に会うまで知らなかった。
彼は 1年間 誰にも会わなかった。

書家にとって命ともいうべき右手がきかない・・・
指導するための言葉がでない。
1年後
杖につかまって やっとたっている彼の姿は 本当に痛々しかった。



彼は今もリハビリを続けている。
努力の成果があって 少しずつ 言葉がでるようになった。
左手を添えて 右手で字を書けるようになった。

もともと すばらしい才能の彼
華やかさが沈んだ とても情緒の深い字を書いて見せてくれた。

彼は 今も必死で筆を持っている。
もどかしいけれど 書けることの喜びをかみしめながら・・・



下手だとなげく私に 彼が言った。 
「書けるだけ幸せなんだよ」


私は・・・
なに不自由なく 筆を持つことが出来る。
こんな贅沢なことができることを 忘れてはいけないんだ。


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