絶体絶命! 小論文

さあ四月。いよいよ本当のスタート。

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 環境問題の最大の問題は「問題がないこと」である。

 正確に表現すれば、「問題がまだ起きていないこと」あるいは「問題が見えにくいこと」だ。地球温暖化、地球温暖化と叫ぶけれども、地球温暖化の被害は、ブラウン管の向こう側にある。しかも出てくるのは、シミュレーションの結果ばかりであって、生の被害ではない。

 仮に、アメリカに甚大な被害をもたらしたハリケーン「カトリーナ」や、日本に甚大な被害をもたらした「平成18年豪雪」を、「今、目の前にある地球温暖化の被害」として紹介したとすれば、科学者から袋叩きにされるだろう。そんな確証はないと。実際「豪雪と温暖化の関係はひとまずないと考えた方がよい」とNHKの気象予報士が繰り返し述べていた。そもそも気象は複雑なシステムだから、平均気温の上昇なんて単一の要因で異常気象が起きたりはしない。複数の因子が重なって、ようやく異常気象につながる。したがって「この異常気象は温暖化のせいだ」と短絡的に判断するのは、気象のことをかけらも理解していない小学生並みの判断だ。

 目の前にある環境問題には、誰でも迅速に対応する。例えば、日本海近海で重油を積んだタンカーが座礁したりすれば、当然、深刻な海洋汚染が発生する。この場合、大量のドラム缶とひしゃくを発注し、全国からボランティアをかき集めて、海岸に漂着した重油を丹念にすくったりする。もちろんオイルネットを張ったり微生物を撒いたりして、汚染の拡大を食い止めようと努力する。

 しかし、夜寝る前に電気毛布のスイッチを入れる行為が地球温暖化を加速させ、100年後には平均気温を5度も上昇させるとは想像したりしない。「北極の氷が解けて、沖の鳥島が沈んでしまうかも。あの豊かな漁場はどうなるの」なんて素っ頓狂な心配をしたりはしない(ちなみに、北極の氷が解けても海水面は上昇しない。コップの中の氷が解けても水面が上昇しないのと同じ。沖ノ鳥島はとっくに沈んでる。今あるのはコンクリートの塊。日本の土木技術があれば、海水面が何メートル上がろうとも、このコンクリートの塊をいくらでも高くできる)。

 そのため「環境問題に関心はあるけれども、具体的な行動はしない」という人間が増える。僕もそのうちの一人だ。環境問題について真剣に考えるなら、パソコンで仕事したりはしないし、本も買ったりしない。もちろん数百ページのテキストを作ったりもしない。逆に言えば、普通に生活しているだけで、必然的に環境破壊に加担してしまう。これはどうしようもない事実だ。ロハスを気取ろうが、環境保護団体に所属しようが、文明生活をすれば、必ず環境を破壊する。

 僕らが理解できるのは、「○○をすれば、必ず□□が起きる」という一因一果の単純な因果関係だ。「○○をすれば、□□が起きて、すると、△△が起きるから、その結果……最終的に、××になる」なんていわれても、「それは『風が吹けば桶屋が儲かる』と同じ話であって、風が吹いても桶屋が儲かるとは限らない」なんて答えたりする。ところが、風が何万回も吹けば、必ず儲かる桶屋が出てくるのだ。これを「大数の法則」という。例えば、「1000万人に1人の確率で、この病気にかかる人がいます」と言われた場合、「自分がその病気になる可能性はないだろうな」と一瞬のうちに考えてしまうが、これは「1000万にいれば、確実に誰か1人はその病気にかかっている」ということを指す。自分ではないかもしれないが、必ず誰かはいるのだ。

 環境問題も同じで、一つ一つの行動は直接的に環境破壊に結びつかなくとも、間接的には、環境破壊に結びつく要因に影響を与えているかもしれない。それが300万分の1の確率だったとしても、同じ行動をとる人間が300万人いれば、必ず誰か1人の行動が環境破壊を引き起こしているのだ。一つ一つは環境破壊に結びつくかどうか不明な行動でも、無数の人間が日々大量に同じ行動をしているため、環境は確実に破壊されることになる。僕ら一人一人にとっては、自分の行動が環境破壊に結びつくかどうか不明なため、危機感や罪悪感を抱くことはほとんどないが、こうした行動が無数に集まるため、大数の法則にしたがって確実に環境は破壊される。

 環境は、人間を含む無数の生物が参加する複雑なシステムである。だからこそ、僕らには理解できないし、自分の行動がどうこのシステムに影響を与えるのか、その結果を想像することもできない。もちろんシステムが複雑すぎて実証もできない。

 結論は二つある。

 どう影響を与えるか不明でも、とりあえず環境を破壊する可能性を持つなら、その段階で禁止するか。あるいは、どう影響を与えるか不明である以上、環境を破壊するまで待って、その段階で禁止するか。前者を「予防原則」と呼び、後者を「対症療法」と呼ぶ。ヨーロッパは前者を好み、アメリカは後者を好む。

 もちろん、予防原則を採用することは、単純な因果関係しか理解できない人間にとっては難しい。また、支払ったコストの割りには成果は乏しかった、せっかく環境保護活動を熱心にしたのに環境をほとんど保護できなかった、なんて事態はいくらでも起きる。

 それでも環境保護を求めますか?

 繰り返すが、被害が目に見える場合、アメリカといえども迅速に行動する。ここで問題にしているのは「見えない環境問題」だ。

 さあ、どうする?

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今年高校受験で小論文があり、
テーマが環境でもあるので
とても参考になりました(^O^)ノ

迷惑かもしれませんが、
環境について800文字以内で書くとしたら
主さんわどの様なことを書きますか?

もし良かったら
教えて頂きたいです。
勝手にすみませんm(_ _)m

2010/2/6(土) 午後 9:26 [ チシャ☆ ]

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ヤッバ

2013/8/5(月) 午後 10:43 [ ayu*a05*2 ]


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