絶体絶命! 小論文

さあ四月。いよいよ本当のスタート。

【時事】社会

[ リスト | 詳細 ]

おおむね新聞記事を枕に、時事について解説。新聞記事の読み方は人によって大きく異なりますが、新聞記事のどこに目をつけるのか、その一端を伝えたいと思います。情報収集のノウハウを学べるはず。
記事検索
検索

全7ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]

[ 次のページ ]

少子化に歯止め

日本、経済好況で6年ぶり出産率上昇
日本経済が出産率まで押し上げている。

日本の厚生労働省は21日発表した人口統計で「昨年日本で生まれた新生児は112万2278人を記録し、前年に比べて3万2041人増えた。これを受け、出産率もかなり上がったとみられる」と発表、「公式的な出産率は6月に発表されるが、女性人口および年齢構成などを考慮すると、出産率が1.3%を超えるのは確実」と付け加えた。

日本の出産率は2005年に過去最低の1.25%まで落ちた。 下方曲線を描いていた日本の出産率が上昇に転じたのは00年以来6年ぶり。 また新生児が前年比で3万人以上増えたのは、約5万人増を記録した94年以来12年ぶり。

出産率上昇の背景は日本経済の回復だ。 若い世代の生活が安定し、‘子どもを産んでも大丈夫’という自信が生まれたのだ。 厚生労働省側は「企業の実績が大きく改善し、05年6月以後、男性雇用者と正社員の数が大幅に増えた」とし「雇用の安定を受け、安心して結婚・出産する20−30歳代の夫婦が増えたと分析される」と明らかにした。

日本の昨年第4四半期の経済成長率は予想値(4.1%)を大きく上回る4.8%を記録、求人者が求職者を大きく上回り、企業は大卒初任給を相次いで引き上げている状況だ。 これに伴い、昨年の婚姻件数は前年比1万7850組増えた74万8017組となり、5年ぶりの増加となった。

日本政府は、企業および地方自治体が過去最低の出産率を記録した05年以後、経済的支援の拡大などさまざまな低出産対策を着実に進めてきた点も出産率の上昇を後押しした、と分析している。

また、出生者数から死亡者数を引いた人口の‘自然増加’が2万6885人を記録し、2年ぶりにプラスに転じた。 05年には過去初めて死亡者数が出生者数を上回る‘自然減少’を経験した。

しかし「これは一時的な現象にすぎず、低出産基調は続く」というのが大方の見方だ。 日本の各メディアは「今年以降、女性人口が減るうえ、人口分布が最も多い‘第2次ベビーブーム世代(1971−74年生まれ)’が(出産率が低下する)30歳代後半に入るため、新生児数はまた減少に転じる可能性が高い」と予想している。

 これは昨日の記事。中央日報から。

 少子化の原因はいろいろと論じられているが、政府や自治体側が有効な手を打てないうちに、昨年、ある程度状況は改善してしまった。統計資料もよく見ずに、「子どもを持とうとしない夫婦が増えたからだ」とか、「子どもを作ったとしても、二人目を作ろうとしない」とか、「女性の社会進出に応じて共働き家庭が増えたものの、保育所が不足しているから埋めないのだ」と言っているから、対策が遅れてしまった。無子家庭は激減しているし、既婚世帯の大半は二人以上の子どもを産んでいるし、共働き家庭は増えていない。

 今回の件で、結局のところ、経済的な低迷が少子化の主要な原因だったと結論されそうだ。

 400万人を超えたフリーターは、おおむね20代後半から30代前半の世代に固まっており、彼らはバブル崩壊後の長期不況の中で就職期を迎えてしまった人たちだ。「働く気がないから、フリーターにでもなってるんだろ」と世間から蔑視を受けつつ(不況の影響で正社員の労働力需要は絶対的に不足し、一方でファーストフードフランチャイズやコンビニの拡大期と重なったために非正社員の労働力需要は急増していたのだから、彼らがフリーターになるのは必然だった)、フリーターは低所得で昇進・昇給の望みもなく、フリーター脱出の目途も立たないという状況で、この十年・十五年を生きてきた。

 最も子どもを作りそうな世代(20代後半から30代前半)が年収200万円前後で生活していたのだから、結婚や出産を控えるのも当然だといえる。「生みたくないから生まない」のではなく、「生みたいけど生めない」が真相だったようだ。といっても、結婚や出産がただの「選択肢」になっており、他に魅力的なこと(例えば、仕事とか趣味とか)があれば、容易に後回しにされる風潮になっているのも間違いない。要するに、結婚や出産に対する強迫観念はない。何が何でも結婚・出産しなければならないと考えたりしない。したがって「生活に余裕がなければ、無理して結婚・出産する必要はない」と多くの人は考えるのだろう。

 こうした状況だと、経済状況が出生数に大きな影響を与えやすい。

 政府としては、仮に少子化を本気で食い止めたいなら、結婚・出産に対する強力なインセンティブを用意するしかない。多少年収や趣味の時間を減らしてでも、結婚や出産したくなるような、そうした環境を作り出すしかない。

 というわけで、とにかく、経済状況の改善が少子化の歯止めにつながった。しかしタイミングは遅すぎた。最も子どもを産むと考えられていた「団塊ジュニア」は、中央日報が指摘するように、もはや30代半ばになってしまった。「団塊JJ(ジュニア・ジュニア)」は、両親の世代ほど、数多く生まれたりしないだろう。

 さあ、政府はどうする気なんだろう(もちろん完全に人事だ)。
温暖化への不安、科学的に裏づけ IPCC報告書
2007年02月04日
温暖化する地球

 地球温暖化は確実に進み、その原因は人間活動とみてまず間違いない。今後も気温上昇は続き、実害に直結する――。6年ぶりにまとまった「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会」の第4次評価報告書は、多くの人が抱く不安を科学的に裏付ける内容だった。08〜12年に温室効果ガス削減を約束している京都議定書だけでは不十分なことが、はっきりした。だが、温室効果ガスの大排出国である米国や中国を含む削減シナリオはない。さらなる対策は待ったなしだ。

■米中、なお鈍い反応
 「気候の変動はすでに始まっている。一刻も早く行動を起こすべきだ」
 国連気候変動枠組み条約事務局(UNFCCC)のデブア事務局長は2日、作業部会が開かれたパリで記者会見し、各国に警告。「科学をベースにした結論なので、米国への働きかけに役立つだろう」とも語った。
 京都議定書から離脱したブッシュ政権は、温暖化について「人為的原因か自然現象が原因なのか議論がある」と一貫して主張してきた。報告書は、そうした懐疑論に終止符を打つことになる。
 ブッシュ大統領は1月の一般教書演説で、ガソリン消費の大幅削減を目指す新政策を提案した。ただ、目新しい施策とはいえず、米紙ニューヨーク・タイムズは「これまでと同じゲーム」と社説で一蹴(いっしゅう)。今回の報告書で、ブッシュ政権の環境政策が大きく転換するとの見方もほとんどない。
 議定書は、世界一の温室効果ガス排出国である米国が離脱したのに加え、2位の中国を含めた途上国にも削減義務を課していない。義務のある先進国は世界の排出量の3割程度にしかならず、「30%クラブ」とも呼ばれる。これをいかに広げるかが、13年以降の「ポスト議定書」に向けた最大の課題だ。
 一方の中国。これまでの温暖化交渉では「温暖化は先進国が工業化に伴って排出してきたのが主原因で、先進国の削減が先」として、途上国に削減義務を課す動きに反対してきた。
 今回の報告書とりまとめでも、中国の警戒感を示すこんな一幕があったという。草稿では、温暖化が人為起源であることを示す数値が、太陽放射量の変化による自然由来の影響の数値よりも「少なくとも5倍の大きさ」とする表現があった。しかし、中国などは数値の記載に抵抗、結果的に削除されることになった。
 報告書づくりに参加した日本の科学者ら15人は2日、二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に削減した「低炭素社会」の実現に向けて緊急メッセージを発表した。
 呼びかけ人の一人、鈴木基之東大名誉教授は語った。「今が次世代に生きた地球を残せるかどうかの瀬戸際だ」

■増える「極端現象」 災害に直結も
 IPCCの報告書によると、もともと雨の多い赤道周辺と高緯度で雨量がますます増える。一方、乾燥している亜熱帯では、夏に乾燥する可能性がある。熱波は世界中で増加する。
 しかも、温暖化の影響は長期間に及ぶ。海水温の上昇に伴う海水の膨張で起こる海面上昇は、千年以上も続くことになる。
 03年の欧州熱波や、05年に米国で1700人以上の犠牲者を出したハリケーン「カトリーナ」のような異常気象は、「予測してきた気候変動の傾向によく合う」と、海洋研究開発機構の松野太郎・特任研究員は話す。
 同機構などの日本チームは、災害に直結する「極端現象」を増やすと予測してきた。
 たとえばインドや中国南部、日本の梅雨で雨量が増える。1日に50ミリ以上の強雨日が現在の2〜3倍になる。台風やハリケーンの発生数は約3割減るが、毎秒45メートル以上の風速が強いものが増えるとの結果だ。

■農作物・高潮…国内にも影響
 温暖化は、国内でも影響を及ぼすとみられる。
 農林水産省によると、コメは高温による生育障害や害虫被害の懸念があり、トマトやピーマン、キャベツは夏秋に気温が高いと育ちにくく腐りやすくなる。リンゴやミカンは、今の主産地が軒並み栽培に適さなくなる。「果樹は栽培時期をずらしたり、産地を移動させたりするのは難しい。高温に耐えられる品種や栽培技術の開発が必要」と果樹研究所の杉浦俊彦・企画チーム長。
 気温が上がるとブタやニワトリも「夏バテ」を起こして食欲が減退、生産性が低下する。畜産草地研究所の高田良三上席研究員は「温暖化で肉の値段が上がるかもしれない」と指摘する。
 東京都江戸川区の荒川右岸。堤防の幅を100メートルに広げ、洪水時に決壊しない「スーパー堤防」の建設が進む。
 国土交通省は、東京、伊勢、大阪の3大湾内の6河川の総延長約400キロで改修を進めている。だが、進捗(しんちょく)率はまだ5%だ。
 3大湾の標高ゼロメートル地帯には約400万人が暮らす。同省は今年度から、予想を超える高潮や津波に備え、老朽化した海岸の堤防の点検や補修にも力を入れ始めた。

【地球温暖化の日本への影響】
 ・1度上昇で、病原性大腸菌出血性腸炎の発症リスクが4・6%上昇
 ・秋冬で2度上がると、一番茶の生育・収量・品質が悪化
 ・3度上昇で、上水道の需要が1・2〜3・2%程度増加
 ・3度上昇で、スキー客が30%減少する
 ・3・6度の上昇で、ブナ林は生息域が大幅減少

〈このほか気温上昇で心配されること〉

 ・コメの苗の移植を、4〜10日早めなければならない
 ・リンゴやウンシュウミカンの主産地が、栽培に適さなくなる
 ・養殖トラフグが、今の産地で適さなくなる
 ・サンマやマイワシ、マサバ、マアジなどの漁場が北上
 ・火力・原子力発電所の冷却水温が上昇し、効率が落ちる

(環境省や国立環境研究所などの資料による)
:

 朝日新聞より。

 温暖化の被害が深刻だと伝えたいのか、それとも暗に深刻ではないと伝えたいのか不明だ。

 Webサイトによれば、「21世紀末までに平均気温が1.8度から4.0度上昇する」とのこと。「地球温暖化の日本への影響」一覧を見ると、平均気温が1度上昇しただけで「病原性大腸菌出血性腸炎の発症リスクが4・6%上昇」するから、90年後には確実に腸炎の発祥リスクが5%弱も上がってしまう。

 しかし「一番茶の生育・収量・品質が悪化」は「秋冬で2度」上昇、「上水道の需要が1・2〜3・2%程度増加」は「3度上昇」、「スキー客が30%減少する」も「 3度上昇」で、「ブナ林は生息域が大幅減少」が「3・6度の上昇」となっている。90年後に1.8度しか上昇しなかったら、これらの影響はいずれも発生しない。といっても1.8度と2度は紙一重なので、2度上昇による影響=一番茶への影響はありそうだ。しかし3度上昇の影響は「ない」可能性が高い。何せ最大でも90年度に4度しか上昇しないからだ。

 しかも、こうした影響が出るのは半世紀後くらいの話である。「90年後」に平均気温が仮に3度上昇するなら、これから徐々に平均気温が上がっていくのだから、30年後に1度、60年後に2度、90年後に3度といった形で上昇するのだろう。

 そのうえ、その結果の悪影響と言えば、「上水道の需要が1%強−3%強上昇」とか「スキー客が三割減る」といった、どう考えても「どうでもいい」影響ばかりだ。90年後は日本の人口ががっつり減っているのだから、上水道の需要は今よりもそもそも激減しているだろう。スキーに至っては、温暖化があろうがなかろうが、90年後まで残っているとは思えない。そのほか、トラフグとかイワシとかサンマの生育地・生息地の北上なんて影響も挙がっているが、漁場を北に移せばいいだけの話であって、何の問題があるのかわからない。温暖化の影響よりも、漁業資源の枯渇が今でさえ問題になっているのだから、トラフグやサンマを90年後には撮り尽くしてしまって絶滅しているのではないかと心配した方がいい。

 朝日新聞はあえて「温暖化の損害はこんなものです」と伝えたかったのか、と勘繰ってしまいそうだ。
 そのまんま東改め東国原知事の就任で揺れる宮崎県で、こんな事件。

宮崎県日向市で鶏が大量死、鳥インフルエンザか
 宮崎県は23日夜、日向市東郷町の養鶏場で肉用鶏(ブロイラー)約570羽が同日までに大量死し、簡易検査を実施したところ陽性反応が出て、高病原性鳥インフルエンザの発生が疑われると発表した。

 同県内では同町から約60キロ離れた清武町の養鶏場で強毒性ウイルス「H5N1型」による高病原性鳥インフルエンザの発生が11日に判明し、16日までに約1万2000羽の鶏を焼却処分したばかり。

 宮崎県によると、清武町と日向市の養鶏場の距離が離れていることや、清武町での防疫措置の完了後に同県内では他の大量死が確認されていないことから、「日向市のケースは、清武町のウイルスが感染拡大したものではないとみられる」(農政水産部)という。

 農林水産省はこの日、清武町の大量死の原因となったH5N1型ウイルスは、2005年以降に中国などで流行したウイルスと同系統であるとの遺伝子解析結果を公表。渡り鳥などがこれを日本に運んだ可能性もあるとしている。日向市へは野鳥などにより別ルートで感染した可能性もあるといえ、感染拡大を関係者は警戒している。(20:55)

 日経新聞より。

「鳥インフルエンザ」のニュースがこれだけ取り上げられるのは、あの「スペイン風邪」がもともと「鳥インフルエンザ」だったから。

 スペイン風邪は、第一次世界大戦中に猛威を振るったインフルエンザである。感染者6億人。死者5000万人から1億人。ヨーロッパでは、第一次世界大戦で2000万人が死亡し、またスペイン風邪でも2000万人が死亡したと言われる(合計4000万人)。20世紀初頭の世界人口は13億人と推計されているから、全世界の人間の約半数が感染したことになる。ものすごい大流行だ。ちなみに、こうした大流行のことを「パンデミック」と呼ぶ。

 1997年にアラスカの凍土から遺体を発掘して、スペイン風邪のウイルスを解析することに成功し、鳥インフルエンザが突然変異して人間への感染力を持つに至ったことが明らかになった。つまり人類にとって初めて接触するウイルスであり、当然、誰もこのウイルスに対する免疫を持っていなかった。パンデミックが生じたのはそのためだ。交通機関が今と比較すれば未熟な当時ですら6億人が感染したのだから、現代で鳥インフルエンザ・パンデミックが生じれば、短期間のうちに30億人以上が感染することになるかもしれない。そうすれば、その死者数は……。

 メディアがあれだけ騒いでいる理由もわかるだろう。しかもまだ数は少ないものの、人間に感染して死者まで出しているのだから、ますます恐怖を感じてしまう。鶏が「もったいない」というだけの問題ではないらしい。

週五日制の見直し

 学力低下対策として「週五日制」を見直すとのこと。

学校週5日制見直し、報告案で明記へ…教育再生会議
 政府の教育再生会議(野依良治座長)がまとめた第1次報告最終案に、今後の検討課題として「週5日制の見直し」が盛り込まれていることが18日明らかになった。

 再生会議が目指す「ゆとり教育の見直し」や「授業時間数の10%増加」の具体策として挙げたもので、実現すれば約15年ぶりの政策転換となる。同会議は最終案を19日の合同分科会で議論した後、24日の総会で正式決定して安倍首相に提出する。

 週5日制は92年から月1回、95年から月2回と段階的に試行され、2002年度に公立学校で完全実施された。子供が家庭や地域で過ごす時間を増やし、考える力や生きる力をはぐくむのが目的だったが、授業時間が削減されたことで、学力低下の一因とも批判されてきた。

 最終案は今後の検討課題として、「学習時間と学習リズムの確保の観点から、学校の休日や学校週5日制を見直す」と明記した。今後、夏休みの短縮や一日の授業時間の増加などを考慮して、週5日制の抜本見直しを視野に検討を進めると見られる。

 週5日制に関して、伊吹文部科学相は18日、土曜補習を実施する都内の中学を視察後、記者団に「週5日制にした時、夏休みを減らすはずだったが、結果的に週休2日だけ実現した経緯がある」として、見直しが必要だとの考えを示した。

 読売オンラインより。

 学力はかなりの部分「量」で決まる。これは間違いない。例えば、世界史を一年で「百時間」学習した人と「三百時間」学習した人とでは、学力に大きな差が生まれる。全部で百時間しかなければ、「司馬炎」や「J.F.ケネディ」を学べても、「ネブカドネザル2世(新バビロニアの王。「バビロン捕囚」や世界七不思議のひとつ「空中庭園」建設で有名)」や「サンディーノ(ニカラグアの英雄。20世紀初頭にニカラグアを占領していたアメリカ海兵隊を追い出した)」は難しくなる。まして「ラージャラージャ1世(10世紀末ごろ南インドのタミル系ヒンドゥー王朝チョーラ朝の英傑)」とか「アレン・ダレス(アイゼンハウアー政権で活躍したCIA長官。国務長官ジョン・ダレスの弟。イランのモサデグ政権の転覆やグアテマラのアルベンス・グズマン政権の転覆などの秘密工作を指揮。しかしキューバのカストロ政権転覆を図ったピッグズ湾進攻に失敗してケネディに解任される)は絶対に学べない(そもそも「チョーラ朝」ですら「受験には出ないから覚えなくていい」などと言われたりする)。

 したがって「週五日制を改めて学習時間を増やす」という基本路線は正しい。

 問題はその時間の「質」である。例えば、漢文の場合、予備校の講義では、一コマでまとまった量の文章を読み切る。扱う問題によっては、300字程度の長文を読み切ったりする(問題文の長さに関わらず、一コマで講義するため)。一年間通して24コマの講義を受講すれば、おおむね24のまとまった文章を読むことになる。これはかなりの量だ。これだけ読めば、漢文を読むうえで必要な「スキーマ(知識)」を身につけられる。漢文の世界では、親孝行や信頼(=約束を守ること)が重視されること。臣下の進言・諫言を聞き入れる君主が名君として称えられること。高い道徳を身につけて政治家となり民衆のために尽くすことを重視する一方で、政治への関与を嫌悪し世間に背を向けて田舎で隠遁生活することを称える風潮もあること。こんなことを学習できる。もちろん講義で繰り返し触れることで、句法の知識も身につくし、語彙力も高まっている。要するに、予備校の講義では、かなりの「量」の情報を少ない時間の中で受講生に注入しているのだ。

 学習の「量」で大事なのは、「時間」の量ではなく「情報」の量である。

 一時間で扱える情報の量が多ければ多いほどいい。生徒たちに対しては、毎時間未習の知識を教える必要もあるし、その一方で既習の知識を繰り返し示す必要もある(忘れてしまうから)。一時間で扱える情報量が多ければ、それだけ多くの未習知識を扱えるし、それだけ多くの既習知識を繰り返せる。したがって学校教育の現場で、一時間当たりどれだけの情報を扱えているのかをチェックしなければならない。少数(のはず)だが、教科書をただ読み上げるだけの世界史教師だとか、古文だけで終わってしまって漢文をほとんど扱わない国語教師だとか、ただ作文を繰り返させるだけの小論文対策をする国語教師だといった「とんでもない教師」が実際に存在する(生徒の話によれば)。そもそも現代文や古文の本文を生徒に読み上げさせる教師が多いらしいが、その必要がどこにあるのか(書物は原則「黙読」するものであって、声に出して読んだりしない。いちいち声に出していたら、ボケ防止になるかもしれないが、読解スピードは確実に落ちる)。

 仮に、学校で「希薄な」授業を受けて無駄に時間を費やすくらいなら、予備校や塾に通ったり読書したり旅行したりして「濃密な」時間を過ごした方がいい。週五日制が崩れたら、週末に東京や京都に出かけて博物館や美術館、あるいは、寺社・仏閣を巡る時間を取ることもできず、その代わりに教室で教科書を声に出して読むハメになる。そんな状況に陥った場合、生徒とその親は、その高校を選んだことを一生後悔するだろう。学校をサボった方がよほど濃密な時間を過ごせるのに、学校側は出席日数や校則を盾に授業への参加を強制するだろう。

「ゆとり教育」は、学ばなくてはならない量を少なくし、その分、生徒の自主性に応じて学べる量を増やすという「生徒の自主性を重んじた教育」だった。残念ながら、生徒の大部分は学習意欲に乏しかったため、「学ばない」を自主的に選んでしまった。ここまで子どもたちが学ばないとは、文科省の役人は予想していなかったらしい。その結果が「学力低下」である。そこで「自主的に学ぶ気がないなら、強制的に学ばせるしかない」と発想を転換したが、これはものすごくわかりやすい(ここまで単純に発想を転換すること自体、日本人全体の学力が低下しているともいえる)。

 教育再生会議は、子どもたちを教育する責任を学校(=公務員)が一手に担い、上からの強制で学力を向上させようと目論んでいる。学力低下という危機=国難を克服するために、国家が強権を発動しようとしている。子どもたちが学力を向上させたいと切実に願っているかどうかはまったく気にかけていないらしい(大部分が学力を向上させたいと思っていないことは、学力低下で明らかだけど)。子どもたちが自由に使える時間を奪うことにも無頓着だ。

 繰り返すが、単純に授業時間を増やして希薄な時間を過ごすくらいなら、ゆとり教育のままの方がいい。増やすなら、学校で過ごす時間が有意義でなければならない。予備校や塾はいくらでも途中で抜けることができる。学校はそうではない。公立の小学校や中学校なら、そもそも選ぶ権利を生徒側に与えていなかったりする(選べるところもある)。住んでいる場所に応じて強制的に割り振られる。仮に、運悪く極端に質の悪い中学校に入ることになってしまえば、もちろん学力は伸びたりしない。学力が伸びなければ、質の良い高校には入れない。質の良い高校には入学希望者が殺到するため、学力の低い生徒は受験で勝てないからだ。したがって彼は質の悪い高校で無駄な三年間を過ごし、ますます学力を低下させることになる。そして大学受験。彼にはオプションはほとんど残されていない。質の悪い大学に行くか、大学進学自体を諦めるか、どちらかだ。つまりたまたま住んでいた場所によって、その後の人生が決まりかねないのだ。

 学校の授業時間の増加=自主的に使える時間の減少を意味する。学校教育の質が悪ければ、最も大切な時期を浪費することになる。したがって授業時間の増加よりも何よりも先に、学校教育の質の底上げが必要になる。しかも小学校・中学校の場合は教育の質に大きな差があってはならない。全校が優秀でなければならない。単に「授業時間数を増やせばいい」という発想では困る。授業の質をどのように高めるつもりなのか。質の悪い小学校・中学校・高校に当たってしまった場合に、生徒・家庭にどのようなオプションを与えるのか。

 というわけで、学力低下の原因は学校で教える「情報」の量が減らされたためだったはずだ。授業時間と情報量は強く関連するが、一対一で対応するわけではない。現在の授業時間数のまま、扱う情報量だけを増やすことは不可能なのか。単に授業時間を増やしただけでは、それだけ間延びした授業をするだけだろう。文科省の動きやメディアに流れる意見を見ていると、どうも「ゆとり教育はダメだったから、つめこみ教育しかない」といった単純な発想が見え隠れしている。なぜ、そこまで学校教育を信頼しているのか理解に苦しむ。よほど質の良い学校の出身者ばかりで話を進めているのか、それとも学校の現状をまったく知らずに話を進めているのか。

 まずは教育の質の向上を議論すべきである。



 なお学校の先生の中には、非常に熱心で子どもたち思いの方も数多く存在し、その一方で悪い意味の「公務員」になってしまい、日々何となく過ごしているだけの方もけっこう存在しています。僕が接する先生方は熱心な方ばかりなので、しばしば不熱心な同僚教師についての話などをしてくださるのですが、そうした話からは「職員室の大半は不熱心な教師であり、熱心な教師の足を引っ張っている」という印象を持っています。また「四十歳を過ぎると、自分の先が見えてしまい、意欲が失われていく」という話も聞いたことがあります。こうした状況がどこまで普遍的なのかは判断できませんが、仮に一部に存在するだけでも、「教育をできるだけ学校に委ねる」という現在の方向は間違っていると思います。
 有益な情報がほとんどない記事を発見。

安倍首相、憲法改正に意欲 自民党大会
 自民党の第74回定期党大会が17日午前、東京都内のホテルで開かれた。安倍晋三総裁(首相)はあいさつで「立党の精神に立ち返り憲法の改正に取り組む」と述べ、25日召集の通常国会で国民投票法案の成立を目指す考えを改めて表明した。大会は、「美しい国づくりに向けて」と題した平成19年の運動方針を決定、教育改革の実現や主張する外交の展開を強調し保守政党であることを強くアピールした。

 安倍首相は統一地方選、参院選と続く「選挙イヤー」に向け、「正攻法で堂々と目指すべき方向を論じ、実績を国民に分かりやすく説明すれば、必ず勝ち抜ける」と決意を表明した。また、「地方の活性化なくして国の活力はない」とも述べ、参院選を意識した地方への配慮も示した。

 大会では参院選に出馬予定の公認候補を紹介。政権死守をかけた参院選を意識し、格差是正や税方式による年金制度改革、農家への手厚い補償を訴える民主党の政策の問題点を批判するビラを配布するなど対決姿勢を鮮明にした。

 運動方針では、「改革を加速し、炎を燃やし続ける」と宣言し、経済成長戦略や「再チャレンジ政策」による経済活性化を強調。一方、憲法改正や教育改革による公教育の再生、日本の文化や伝統を尊重することに重点を置いた内容が目立ち、改革一辺倒だった小泉純一郎前首相時代とは一線を画した。さらに北朝鮮による拉致事件や核開発に毅然(きぜん)とした態度で臨む「主張する外交への転換」を訴えたほか、「靖国神社の参拝を受け継ぐ」とも明記し、首相の靖国神社参拝への強い意欲をにじませている。

 来賓で出席した公明党の太田昭宏代表は「全方位における360度の政策実現が国民に望まれており、安倍内閣の使命だ」と公明党の政策に配慮するよう主張。参院選を念頭に「連立政権を選挙においても政策実現においても大きく前進させる年にしないとならない」と強調した。

 日本経団連の御手洗冨士夫会長は「参院選は安倍政権が美しい国の建設を目指し、改革を継続していけるかどうかの天下分け目の決戦だ。われわれとしては改革を推進する人たちを応援し、自民党に最大限協力する。参院選での勝利を強く期待している」と述べた。

 産経新聞より。

 まるで戦中の「大本営発表」のような記事だ。政府側に立って国民をたぶらかしている。大本営発表との違いは「少なくとも嘘をついているわけではない」という程度で、自民党による情報操作・宣伝戦略に思いっきり加担している。政府の発表をそのまま記事にしただけだと記者は考え、良心を痛めたりはしていないだろうが、こんな記事を堂々と掲載しているようでは、ジャーナリスト失格である。自民党のPR紙と何ら変わるところはない。

 まず安倍政権の方向性を報道するに当たって、「美しい国」「立党の精神に立ち返り」「主張する外交」「正攻法で堂々と」「改革を加速し、炎を燃やし続ける」「『再チャレンジ政策』による経済活性化」など、耳に心地いいだけで中身のない言葉が続く。

 安倍政権の目指す日本が美しい国かどうかは国民が判断するのであって、「自分が作る国は美しいのだ」と自画自賛してもらっては困る。評価をあらかじめ自分で決めたうえで、まずその評価を国民に浸透させておく。イメージを先に作ってしまえ、というのが自民党の宣伝戦略だ。

 政策を細かく検討して、評価を下すのは難しい。将来どのような影響を与えるのか、その政策を実行した場合としなかった場合にどのような結果の違いが生じるのか(生じないことも多い。例えば、少子化対策を多くの人がいろいろと論じてきたが、不況から脱すると同時に出生率は回復した。つまり最高の少子化対策は保育所の増設でも児童手当の拡充でもなく「経済成長」だったというわけだ)、あるいは、その政策は「公共の福祉」の実現に寄与するのか(あらゆる政策は国民の負担に基づいて行われる。したがって「最大多数の最大幸福」を実現するものしか認めてはならない。一部の人間が得するだけの政策には断固として反対しなくてはならない)……。政策の内容・結果に対する判断は、専門家でも意見が分かれたりするし、一般人よりもはるかに高い識見を持つ(はずの)テレビのコメンテータでさえでたらめな判断を下す。

 まして一般人なら、なおさらだ。

 考える気すら起きない。というか、細かく政策を調べる気すら起きない。自分に影響が及ぶかどうかよくわからない政策などよりも、息子の体調や今日の昼飯(とんかつ定食を食べたいけど、ダイエットに差し障りが……)、明日までに仕上げなければならない書類(まったく手をつけていない!)の方がよほど大切だからだ。そのため、新聞やテレビが作り出すイメージを無批判に受け取ってしまう。「安倍政権は美しい国を作っている」「安倍政権はこれまでの弱腰政権が実現に踏み切れなかった国民の悲願=憲法改正を果敢に実現する!」「安倍政権は今までの政権とは違って、外交できっちり主張する(まるで、これまで日本が言うべきことを言っていなかったかのようだ)」「安倍政権は改革を進め、既得権益を守る守旧派の連中を打倒する!」「安倍政権は、フリーターを余儀なくされた『失われた世代』やリストラを受けて路頭に迷った中高年に再チャレンジの機会を与えてくれる!」などと(一方、民主党の政策には「問題点がある」というイメージを持ってしまう内容になっている)。

 必要な情報は、「美しい国」というビジョンの具体的内容であり、「主張する外交」で何を主張するかであり、憲法改正の目的であり(「もともと改正するつもりでした」では困る)、「再チャレンジ政策」の具体的内容だ(2007年から続々と定年を迎える「団塊の世代」の中から、優秀な人材をピックアップして継続雇用する……実現できるのはその程度のはずだ)。「もし知りたいなら、ホームページで調べろ」とか「首相の新書を買って読め」と新聞記者が思っているようなら、それは困る。すでに強調したように、そんな暇は一般人にはないからだ。だからテレビや新聞といったマスメディアで手軽に情報収集をしているのだ。そのマスメディアが自民党のPR紙のごとく、政府に都合のいいイメージだけを報道するようなら、そんなマスメディアには百害あって一利なし。不要である。存在しない方がいい。

 評価は国民が下す。マスメディアはその評価に方向性を与えるような情報を流してはならない。「公平・中立・客観的かつ正確な情報」を流すのが、テレビや新聞に課せられた使命だったはずだ(関連記事「バカらしい記事:新聞による情報操作」)。ただ無味乾燥な具体的内容を流しさえすればいい。

 記事をよく読めば、「安倍政権は地方を活性化させる=また税金のばらまきをするらしい」、「安倍政権は弱い北朝鮮に対して強く主張するのであって、アメリカに強く主張するわけではない=アメリカ追従は続くらしい」、「安倍首相は靖国参拝を続ける=政権発足当初の日中・日韓関係の改善という点で安倍首相は評価されたはずだが、これで再び両国との関係は悪化するようだ」、「安倍政権は経団連に支持されている=資本家側に支持されるということは、労働者ではなく資本家に有利な政策、恐らく法人税の減税(一方で消費税の増税)に踏み切るようだ」という点は見えてくるが、すべて「らしい」「ようだ」付きだ。具体的内容さえ書いてくれれば、実際のところ税金を地方にばらまくのかアメリカ追従が続くのかといった点ははっきりするのに。そして、こうした点がはっきりすれば、安倍政権に対する印象は少し変わるはずだ。

 繰り返すが、イメージだけを先行させる報道はあってはならない。評価を下すのは国民であって、政府与党ではない。政府による露骨な情報操作・宣伝戦略にマスメディアが加担してはならない。

 それにしても「炎を燃やし続ける」などという意味不明なフレーズをそのまま載せるなんて。

全7ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]

[ 次のページ ]


.
syo*ron*u*_t*isaku
syo*ron*u*_t*isaku
男性 / O型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

過去の記事一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

CMで話題のふるさと納税サイトさとふる
毎日お礼品ランキング更新中!
2019年のふるさと納税は≪12/31まで≫
数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事