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日本政府は税金以外に「第二の予算」と呼ばれるお金を使っている。郵便貯金として預かったお金や、年金(国民年金・厚生年金・共済年金など)・保険(雇用保険など)として強制的に国民から徴収したお金だ。ちなみに、税金とこうしたお金とを合わせると、国民負担率は36%になる(http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/siryou/sy1703o.pdf 財務省データ)。 「第二の予算」の規模は450兆円くらい。 乱暴に解説するが、このお金が各種事業に使われて民間に流れている。建設業などの企業がこの450兆円の分捕りあいをしている。例えば、高速道路や地下鉄を作るといっても、自治体自体や特殊法人自体が人と重機を集めて建設するわけではない。競争入札を実施して、大手のゼネコンが仕事を落札。彼らがさらに下請け会社に仕事を発注し、実際の建設はその下請け会社が行ったりする。民間企業の本音は「事業をするなら、わが社に下請けさせてください」となる。建設業の中には、売上高の九割以上を国や地方公共団体からの仕事でまかなっているところもある。 当然、民間企業としては、各省庁の人間と仲良くなり、安定して仕事を自社に発注してもらいたい。しかし多くの民間企業がそう思っているわけだから、利益をめぐる醜い闘争となる。「和を以って尊しと為す」日本人としては、醜く闘争するよりも、しっかり話し合ってみんなで平等に利益を分かち合いたい。 この話し合いを「談合」という。 競争入札とは、仕事を依頼するとき、「どれだけ安くその仕事を請け負えるか」を企業に競わせる制度だ。例えば、同じ仕事内容を、5000円で請け負う企業と2000円で請け負う企業とがあれば、2000円の企業に任せるべきだろう。何せ国民のお金を使うわけだから、一円でも安い方がいい。しかし談合をすると、「次はA社、その次はC社に仕事を回すから、今回はB社が落札する(=仕事を勝ち取る)ようにしましょう」と決めてしまい、入札するとき、A社5500円、B社5000円、C社5800円などという価格を各社がつけ、B社が落札できるようにする。ちなみに、このとき、談合にも参加せず、2000円という低価格で新規参入を図る企業が現れたりすれば、旧企業がさまざまな妨害工作をして潰してしまう。また官僚側も、各種規制を作って、こうした新規参入を防ぐ。 これを「護送船団方式」という。 日本の公共事業費が以上に高いのも、談合と護送船団方式に原因があるといわれている。 さて競争入札には、予定価格がある。「ここまでの金額までなら出します」という上限だ。例えば、予定価格を1万円に設定して競争入札を実施、どの参加企業も1万円以上の額しか提示していないという事態になれば、「落札企業なし。後日再入札」となる。逆に言えば、1万円までは国や自治体が出すわけだから、1万円で落札すれば儲けが最大になる。ここで5000円などという値段をつける必要はない。儲けが半分になってしまう。 そこで民間企業は官僚たちから予定価格を聞き出そうとする。接待、接待、接待の嵐。官僚をノーパンしゃぶしゃぶに連れて行ったり、海外旅行に家族ごと連れて行ったり。そうして密接な人間関係を築いたあと、予定価格を聞き出す。何せ「和を以って尊しと為す」日本人である。仲間となってしまえば、その願いに「ノー」とは言えない。こうして官僚も談合に関係してしまうのだが、それどころか、積極的に談合を主導して、利益の分配に乗り出す官僚さえ現れる。 こうした官主導の談合を「官製談合」という。 このように、護送船団方式で国に守ってもらうためには、民間企業は官僚と密接な関係を作る必要がある。そこで、接待よりももっと手っ取り早いのが、官僚OBを企業に迎え入れ、彼らを交渉人として活用する方法だ。官僚OBと現役官僚とは先輩後輩の関係に当たる。「長幼の序」=年齢の上下に基づく身分秩序を守る日本人、「和を以って尊しと為す」日本人は、先輩の言うことに逆らえない。先輩が「今度の予定価格は?」と聞けば、後輩は「はい、7000億です」とあっさり教えるだろう。 この官僚OBを民間企業が迎え入れることを「天下り」という。 もちろんこれまで談合で甘い汁を吸わせていただいたことに対するお礼の意味もある。要するに、談合・護送船団方式・天下りは三点セットであり、どれかひとつだけ崩れることはない。崩れるなら全部同時にだ。この三点セットが続く限り、公共事業費が安くなることはない。国民は不必要な無駄金をいつまでも支払うことになる。現在、800兆円弱の何割くらいが、この三点セットによって膨らんだものなのだろうか。 なおもっと詳しく知りたい人は、会計検査院のサイトに論文があったので、どうぞ。
http://www.jbaudit.go.jp/kanren/gar/japanese/article01to10/j07d02.htm |
ABCからはじめる小論文
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郵政民営化の理由としてわかりやすいのは、民業圧迫の回避である。 |
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郵便貯金と特殊法人との関係を簡単に(かつ乱暴に)解説する。 |
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