絶体絶命! 小論文

さあ四月。いよいよ本当のスタート。

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小論文を解くうえで、というか、高校生以上の人間として、こんなことくらい知っておかないとアホと思われる! というレベルの知識を乱暴に解説します。
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 日本政府は税金以外に「第二の予算」と呼ばれるお金を使っている。郵便貯金として預かったお金や、年金(国民年金・厚生年金・共済年金など)・保険(雇用保険など)として強制的に国民から徴収したお金だ。ちなみに、税金とこうしたお金とを合わせると、国民負担率は36%になる(http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/siryou/sy1703o.pdf 財務省データ)。

 「第二の予算」の規模は450兆円くらい。

 乱暴に解説するが、このお金が各種事業に使われて民間に流れている。建設業などの企業がこの450兆円の分捕りあいをしている。例えば、高速道路や地下鉄を作るといっても、自治体自体や特殊法人自体が人と重機を集めて建設するわけではない。競争入札を実施して、大手のゼネコンが仕事を落札。彼らがさらに下請け会社に仕事を発注し、実際の建設はその下請け会社が行ったりする。民間企業の本音は「事業をするなら、わが社に下請けさせてください」となる。建設業の中には、売上高の九割以上を国や地方公共団体からの仕事でまかなっているところもある。

 当然、民間企業としては、各省庁の人間と仲良くなり、安定して仕事を自社に発注してもらいたい。しかし多くの民間企業がそう思っているわけだから、利益をめぐる醜い闘争となる。「和を以って尊しと為す」日本人としては、醜く闘争するよりも、しっかり話し合ってみんなで平等に利益を分かち合いたい。

 この話し合いを「談合」という。

 競争入札とは、仕事を依頼するとき、「どれだけ安くその仕事を請け負えるか」を企業に競わせる制度だ。例えば、同じ仕事内容を、5000円で請け負う企業と2000円で請け負う企業とがあれば、2000円の企業に任せるべきだろう。何せ国民のお金を使うわけだから、一円でも安い方がいい。しかし談合をすると、「次はA社、その次はC社に仕事を回すから、今回はB社が落札する(=仕事を勝ち取る)ようにしましょう」と決めてしまい、入札するとき、A社5500円、B社5000円、C社5800円などという価格を各社がつけ、B社が落札できるようにする。ちなみに、このとき、談合にも参加せず、2000円という低価格で新規参入を図る企業が現れたりすれば、旧企業がさまざまな妨害工作をして潰してしまう。また官僚側も、各種規制を作って、こうした新規参入を防ぐ。

 これを「護送船団方式」という。

 日本の公共事業費が以上に高いのも、談合と護送船団方式に原因があるといわれている。
 
 さて競争入札には、予定価格がある。「ここまでの金額までなら出します」という上限だ。例えば、予定価格を1万円に設定して競争入札を実施、どの参加企業も1万円以上の額しか提示していないという事態になれば、「落札企業なし。後日再入札」となる。逆に言えば、1万円までは国や自治体が出すわけだから、1万円で落札すれば儲けが最大になる。ここで5000円などという値段をつける必要はない。儲けが半分になってしまう。

 そこで民間企業は官僚たちから予定価格を聞き出そうとする。接待、接待、接待の嵐。官僚をノーパンしゃぶしゃぶに連れて行ったり、海外旅行に家族ごと連れて行ったり。そうして密接な人間関係を築いたあと、予定価格を聞き出す。何せ「和を以って尊しと為す」日本人である。仲間となってしまえば、その願いに「ノー」とは言えない。こうして官僚も談合に関係してしまうのだが、それどころか、積極的に談合を主導して、利益の分配に乗り出す官僚さえ現れる。

 こうした官主導の談合を「官製談合」という。

 このように、護送船団方式で国に守ってもらうためには、民間企業は官僚と密接な関係を作る必要がある。そこで、接待よりももっと手っ取り早いのが、官僚OBを企業に迎え入れ、彼らを交渉人として活用する方法だ。官僚OBと現役官僚とは先輩後輩の関係に当たる。「長幼の序」=年齢の上下に基づく身分秩序を守る日本人、「和を以って尊しと為す」日本人は、先輩の言うことに逆らえない。先輩が「今度の予定価格は?」と聞けば、後輩は「はい、7000億です」とあっさり教えるだろう。

 この官僚OBを民間企業が迎え入れることを「天下り」という。

 もちろんこれまで談合で甘い汁を吸わせていただいたことに対するお礼の意味もある。要するに、談合・護送船団方式・天下りは三点セットであり、どれかひとつだけ崩れることはない。崩れるなら全部同時にだ。この三点セットが続く限り、公共事業費が安くなることはない。国民は不必要な無駄金をいつまでも支払うことになる。現在、800兆円弱の何割くらいが、この三点セットによって膨らんだものなのだろうか。


 なおもっと詳しく知りたい人は、会計検査院のサイトに論文があったので、どうぞ。
 http://www.jbaudit.go.jp/kanren/gar/japanese/article01to10/j07d02.htm

 郵政民営化の理由としてわかりやすいのは、民業圧迫の回避である。

 特殊法人=国営企業は、あくまでも「社会にとって必要だが、民間に任せたら誰もしてくれなさそうな事業」をする会社だ。

 例えば、戦後、日本にとって鉄道・高速道路は必要だった。鉄道・高速道路いずれも、人を運ぶことよりも、物を運ぶことの方が重要な仕事だ。つまり物流網としての役割だ。物流網がなければ、日本中が物資不足に悩まされただろう。今、近所のコンビニにいつでも商品がしっかり並んでいるのは、整備された物流網を通じて頻繁に補充できているからだ。しかし戦後、民間に任せていたら、誰も鉄道網や高速道路網を整備できなかっただろう。それだけの大事業を支える資金は民間にはなかった。投資を募っても、誰も投資してくれなかったはずだ(戦後の焼け野原を想像すれば、理解できると思う)。

 そこで国鉄や日本道路公団といった国営企業が物流網を整備することになった。

 もちろん「社会にとって必要で、かつ民間に任せても誰かはしてくれそうな事業」は国営でする必要はない。例えば、僕らの生活を支えるコンビニは、もはや生活に必要不可欠な存在だが、国営化する必要はない。コンビニ業は複数の民間企業がひしめき合っている状態だ。放置しても、しばらくはコンビニはなくならないだろう。

 それでは、郵政三事業はどうだろうか。

 まず郵便事業。手紙や郵便小包の配達は、民間企業が手を出さない事業だろうか。そんなことはない。クロネコヤマトや佐川急便が喜んで引き受けてくれるだろう。次に郵便貯金。お金を預かったり貸し付けたりする業務は、民間企業が手を出さない事業だろうか。そんなことはない。すでに銀行が山ほどある。最後に簡易保険。いざとなったときに備えてみんなでお金を出し合う保険業は、民間が手を出さない事業だろうか。そんなことはない。住友生命とか日本生命とか、保険も山ほどある。

 要するに、郵政三事業はどれも、民間がすでに取り組んでいるか、これから取り組む事業なのである。国営でなくとも、必ず存続する事業なのである。したがって国営である必要はない。

 ここで、民業圧迫という問題が生じる。

 郵政公社は税金を払っていない。この段階で、民間企業よりも大きく有利である。通常は出した利益に税金がかかるから、民間企業の場合、総売上高から必要経費と税金を引いて、それでも利益が残るように努力する。郵政公社には、この税金がかからない。いきなり有利である。例えば、クロネコヤマトと郵政公社は「宅急便」「郵パック」という宅配事業でライバル関係にあるが、郵政公社の方が有利で、このままでは郵政公社が勝利しかねない。

 国が民間企業を潰す、というわけだ。これでは、産業は育たないし、資本主義・自由主義国家失格である。

 そこで「官から民へ」という大合唱になる。戦後、六十年も経って日本も十分裕福になった。民間に資金は十分ある(余っているという計算もある)。「社会にとって必要だが、民間に任せたら誰もしてくれなそうな事業」はどんどん減っている。必要=ニーズだから、ニーズがあれば、どこかの民間企業が必ず参入してくるだろう。

 郵政民営化は必然的な流れだといえる。

 郵便貯金と特殊法人との関係を簡単に(かつ乱暴に)解説する。

 郵便貯金は国営の銀行だと考えてほしい。

 銀行の仕事は、お客さんから預かったお金を、別のお客さんに貸し付けることだ。もちろん百万円を預かって、そのまま百万円を別の誰かに貸し付けたら、まったくお金儲けにならない。ボランティアになってしまう。

 銀行の儲けは「利息」と「利子」の差で出す。まず預けてくれたお客さんには利息をつける。例えば、百万円預けてくれたら、一年で千円のお礼をつける。つまり銀行は預かった百万を百万一千円に増やすのだ。これは「一年間、百万円を使わずに買い物したい気持ちを我慢したこと」に対するお礼だ。ただ銀行に預けて我慢しているだけでお金が増える。百万くらいでは、そのありがたみはわからないかもしれないが、数千億円も預けることができれば利息だけで生活できる。働く必要はない。

 一方、貸し付けたお客さんからは利子を取る。例えば、百万円貸し付けたら、一年後には百万五千円返済してもらう。借りた側からいえば、銀行から百万円借りただけなのに、五千円も多く返さなくてはならない。これは「一年後に使えるお金を今すぐ使わせてもらえたこと」「その分、相手には一年間、お金を使うのを我慢してもらったこと」に対するお礼だ。アイフルやプロミスのような消費者金融の場合、金利=利子の率は30%近いから、単純にいえば、一万円借りたら一万三千円返さなくてはならない。百万円なら百三十万円だ。

 利息として百万を百万と一千円に増やす一方、利子として百万と三千円を返済してもらう。この利息千円と利子三千円の差額二千円こそが銀行の利益だ。もちろん返済してもらえないと、儲けはゼロどころか、大損害になる。この貸し付けたのに返済してもらえないお金のことを「不良債権」と呼ぶ。債権とは「貸し付けたお金=やがて返ってくるはずのお金」と考えてほしい。したがって銀行は、必ず返済してくれる人や企業にお金を貸す。ベンチャー企業(=成功の見込みが不明な新しい事業を始める企業)や零細中小企業(=貧乏かつ小さい企業)にお金を貸したがらないのはそのためだ(これを貸し渋りという)。

 郵便貯金も、銀行と同じように、国民に貯めてもらったお金を、別の誰かに貸し付けることを仕事とする。ただし貸し付ける先が特殊法人というところが大きな違いだ(郵便の場合は「貯金」、銀行の場合は「預金」というのも大きな違いだ!)。

 さて特殊法人は国営の企業だと思ってほしい。

 日本に必要なのに、民間にまかせると誰もしてくれそうにない仕事、例えば、道路整備や空港建設、あるいは、美術館や博物館経営などをするのが、特殊法人の役割だ。

 郵便貯金は、この特殊法人にお金を貸す。

 特殊法人の問題点は、どれだけだめだめな経営しても倒産の恐れがないこと、そもそも利益を追求するわけではないから利益が出ようが損失が出ようが誰も気にしないことだ。普通の民間企業なら、倒産しないように、利益が出るように、と血のにじむような努力をする。しかし特殊法人の場合は、一切努力をしない。する必要がない。そのせいで、非効率な経営、超赤字経営をしてしまいがちになる。

 そんなところに郵便貯金はお金を貸しているのだ。

(1) 特殊法人からお金は返ってくるのか。
(2) 郵貯資金は郵便貯金と簡易保険を合わせて330兆円の規模があるというが、そんなにも特殊法人=国営企業の規模がでかいのか。

 という疑問がわくだろう。

 (1)については、郵便貯金だけではないが、国が貸して返ってくる見込みのない不良債権が120兆円に上るという指摘もある。(2)については、日本のGDP(=日本経済)の半分が特殊法人とその子会社・孫会社によるものだという指摘がある。

 国営の郵便貯金を民営化するのはそのためだ。

 このままでは、国民のお金が食いつぶされてしまう。また非効率な経営をしながら、郵便貯金からお金をいくらでも借りられることに安住し、日本経済にとって負担になっている特殊法人を、これをきっかけに変えられるかもしれない。

 これが郵政民営化の大きな理由だと考えてほしい。

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