【時事】科学技術
[ リスト | 詳細 ]
脂肪幹細胞で乳房再建へ 福岡の病院が米企業と実施 米バイオ企業のサイトリセラピューティクス(カリフォルニア州)は20日、乳がん手術を受けた患者本人の脂肪組織から採取した幹細胞を使って乳房を再建する治療の臨床試験を、九州中央病院(福岡市)の杉町圭蔵院長らと共同で5月から実施すると発表した。
対象となる患者は約20人。本人の体から採取した脂肪組織から、同社が開発した技術を使って幹細胞や再生能力のある細胞を分離・濃縮し、乳房に移植する。試験は、安全性の確認が主目的で、病院倫理委員会から実施の承認を得たとしている。 がんの手術で乳房を失った女性の、乳房再建に対する要望は強い。同社によると、脂肪由来の幹細胞は将来の治療法として期待が高い。 共同通信より。 幹細胞は「増殖能力を持つ細胞」と考えればわかりやすい。細胞を次々と作り出して供給する。詳しくは→http://www.lifescience-mext.jp/trc/cont/00_www/basics/01_03.htmlをどうぞ。 本人の脂肪幹細胞を使って乳房を培養すれば、ケガが治って新しいが皮膚ができるのと同じだから、拒否反応がまったくない安全な「整形術」になる。通常はシリコンをつめたり胸パットを装着したりするが、異物を人体に挿入すればそれなりの危険を負うし(何せ宇宙旅行にいけない!→「豊胸女性、宇宙で爆発する恐れアリ!?」)、胸パットでは恋人と夜をともにするときに支障をきたす。乳房の喪失は、女性としてのアイデンティティの危機にもつながる。この乳房再建技術が完成すれば、その意義は大きい。 そして間違いなく、巨額な市場になる。 豊胸手術を受けたい女性は多い。美容整形に対する抵抗感も薄れる一方だ。安全な豊胸技術が開発されれば、一気に市場は拡大するだろう。
|
|
『ナショナル・ジオグラフィック』を久々に購入(かつては定期購読していた)。 二つの原発関連の記事「事故から20年チェルノブイリの今」「再び脚光を浴びる原発」が非常に興味深かった。今もまざまざと残るチェルノブイリ(史上最悪の原発事故現場)の傷跡を紹介する記事に並んで、クリーンな次世代エネルギーとして期待される原子力の記事を掲載している。もちろん記事の筆者は別。互いに関連はない。 しかし露骨なメッセージを読み取ってしまうのは僕だけではないだろう。 それはさておき、後者の記事を読んで、化石燃料の枯渇をなぜアメリカが楽観視しているのか、その一端がわかった。化石燃料が枯渇すれば、もちろん電力供給に問題が生じる。ところが、アメリカの場合、(1)103基の原発がすでに稼動中。莫大な建設コストはもはや不要で、今後は操業コストしかかからない。(2)核燃料の半分は、解体済み旧ソ連製核兵器のウラン。(3)発電量の半分は石炭火力発電所。石炭の埋蔵量は十分過ぎるほどある。 要するに、アメリカは石炭(50%)と原子力(30%)で、発電量の八割をまかなっている。化石燃料が枯渇するといっても、深刻なのは石油と天然ガスのみ。これではアメリカの発電量の二割にしか影響がない。仮にアメリカの議会が京都議定書を批准していれば、二酸化炭素排出量を削減するため、(1)大部分の石炭火発を停止、(2)巨額の開発費をかけてクリーンエネルギーを実用化、(3)巨額の建設費をかけて大量の原発を建設、といった対応が必要だった。もちろんコストはすべて電力使用料に跳ね返るから、電気代は高騰し、あらゆる産業にダメージを与える。電気を使わないオフィスなんてないからだ。しかし京都議定書から離脱した以上、石炭火発+原発という、環境に高い負荷をかけるこの電力供給体制は、少なくとも四半世紀は続くだろう。この間、ゆっくりとクリーンエネルギーの開発をすればいい。あるいは、そもそもアラスカの地下に油田が眠っているから、サウジアラビアやナイジェリアの石油が枯渇してアメリカ経済に悪影響を与えるようなら、本格的な油田開発をしてもいい。 アメリカに化石燃料の枯渇が深刻な影響を与えるとすれば、電力供給よりもむしろ自動車だ。日本をはるかに越える自動車社会のアメリカにとって、ガソリンの供給ストップは計り知れない混乱を与えるだろう。昨年か数年前か忘れたが、一般教書演説の中でブッシュが「燃料電池車の開発」をアメリカの課題として上げていた理由もよくわかる。風力発電や太陽光発電ではなく、燃料電池を搭載した自動車の開発こそが、アメリカにとって優先順位の高い課題なのだ。 というわけで、化石燃料の枯渇について、日本人が深刻な危機感を表明しがちなのに対して、アメリカ人が楽観的態度を取るのはなぜかと不思議に思っていたが、その背景には国民性の違いに加え、電力供給体制の違いもあったのだと認識した。 なかなか良い読書をしました。
|



