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この作品は、1986年ヒットアニメ作品のパート2としてシナリオ完成後、製作会社の都合で、製作が中止、今のところ未発表になっている作品です。長編なので連載の形で掲載します。
なお、著作権は首藤剛志にあることを明記しておきます。
(仮名) 「幻夢戦記レダ2」 テイスト オブ ハニー (蜜の味)
その三
ストーリー 首藤剛志
脚本 首藤剛志
登場人物
朝霧陽子 (十八才)
速水杏子 (十八才)
北里健一 (十八才)
○ 新宿 西口公園
行きかう人々・・・・・・車・・・・
街の騒音……
高層ビルに夏の日差し。
バイクからおりた杏子と、ベンチの陽子の遠景……
その遠景に、陽子と杏子の会話が聞こえる。
杏子の声「陽子、旅行だって? 一人で?」
陽子の声「高校最後の夏、うん・・・・・・ちょっとセンチメンタル」
杏子の声「ま、よかろう。それも・・・・・・実はあたしもセンチメンタル。一人旅・・・・・ 」
陽子の声「あなたが?」
○ 杏子のプロフィール
ワープロの文字「ともだち・・・・・ たったひとりの・・・・・ はやみ きょうこ
(変換)速水杏子。おなじとしの・・・・・ おさななじみ」
ワープロの文字が写される間、スティール写真が写される。
幼い頃の陽子と杏子が並んでいる。
泥だらけ、傷だらけの杏子とお嬢さん姿の陽子。
すくんでいる陽子の前で、悪ガキと大乱闘の杏子。
暴走族の先頭に立ってバイクを走らせる杏子。etc????
○ 公園
画面、遠景から二人のツーショットに変わり……
杏子「あたしがセンチメンタル。おかしいかい?」
陽子「(かぶりを振る)ない、ない・・・・・・けど。」
杏子「(遠くを見て)あたいだってさ、つっぱり疲れる時もある。バイクにむせる時も
ある。拳がむなしい時もある。」
杏子、拳を殴るように前へ突き出す。
そして、手を開き、指にした指輪を見てふっと笑う。
陽子、その指輪を見る。
陽子「・・・・・ あ・・・・・ 」
陽子、自分の指輪を見る。
同じだ。
杏子、陽子が指輪を見ているのを見て、
杏子「どうしたの陽子。」
陽子「う、うん。」
杏子も陽子の指輪に気付く。
杏子「あ・・・・・・。」
陽子「うん。」
なんとなく、同じデザインの服を偶然着てしまったような気まずさ・・・・・
杏子「なんで、それ。」
陽子「え? うん・・・・・ 云い伝え。知ってる?」
杏子「え・・・・・ ?」
陽子「二〇才前の女の子が、これを男の人からもらうと・・・・・・その・・・・・・。」
杏子「その野郎に幸福にしてもらえる。」
陽子「知ってるんだ。」
杏子「なぜか・・・・・・ね。」
陽子「でも、これ、誰からもらったんでもないの。誰もくれないから、エヘ、格好付け
・・・・・・。」
杏子「格好なんかつける人じゃないだろ。陽子は・・・・・・。」
陽子「かもね・・・・・ でも杏子だってそんなタイプじゃない・・・・・・でしょ。」
しばらく間が合って……
二人、はたと気づく。
杏子「あ・・・・・・旅行するって、まさか・・・・・・。」
陽子「まさかって、まさか?・・・・・・。」
杏子「三つ壁村?」
陽子「(額をかく)ぽりぽり。」
杏子「(同じく)ぽりぽり。」
陽子「どーゆうこと?」
杏子、肩をすくめる。
杏子「・・・・・・一緒にいこか・・・・・ 。」
陽子「(ニッコリ)心強い・・・・・・うん。」
二人見つめあう。
と、ベンチのうしろから男子学生が、ニュッと顔を出す。北里健一(十八才)
健一「いきましょ、いきましょ。」
ワッとベンチから飛び去る陽子達。
健一「僕もお供しま〜す。夏休み暇なの、ね、ね!」
杏子「とーとつに出るな。」
バシンと叩く。
ベンチの後から前に転げ落ちる健一。
それでもめげずにVサイン。
○ 北里健一のプロフィール。
ワープロの文字「北里健一、同級生・・・・厚顔無恥・言語道断・完全無視・・・ 」
三年間のクラスの写真????
必ず陽子の側でVサインを送っている。
陽子のうんざりした顔。
○ 公園
健一が、陽子と杏子に
健一「いけません。危険です。女の子だけでは物騒です。ボディガードが必要です。」
杏子「よけい物騒。あんたの狙いは陽子だろ。・・・・・・あんた、しつこいらしいね。」
陽子「いつも断ってるのに・・・・・・。」
健一「いつもじゃありません。(手帳を広げ)今まで百二十三回・・・・・・。」
杏子「じゃ、これで百二十四回目だ。」
健一「ね、きびだんごあげるから連れてって・・・・・・。」
陽子「私達が行くのは、岡山でも鬼が島でもありませんの。」
健一「なら、なおさら心配。女の子二人旅。行く先々に狼うようよ。その点僕は、品行
方正、質実剛健、元金保障、安全優利、丸優無税・・・・・・。」
と、指折り数えるが、
突然、ブォーッとオートバイのガスを吹き掛けられる。
健一「ゴボゴボ・・・・・・。」
後に陽子を乗せたオートバイ走り去る。
健一「ちぇっ、本当に百二十四回目・・・・・・しかし千回まで頑張るのだ・・・・・・。」
と、健一はめげずにVサイン。
○ 街路
走るオートバイ。
杏子にしがみついている陽子。
杏子「(大声)陽子!・・・・・・?」
陽子「えっ!?」
杏子「もてるんだね!」
陽子「もてたくないもん!あんなのに!」
杏子「いないよりましさ!」
陽子「えっ!?」
杏子「・・・・・ しっかりつかまってな・・・・・・。」
ブワァーッとスピードをあげる。
杏子の背に強くしがみつく陽子。
陽子のN「いないよりましか・・・・でも、うまくいかないんですよね・・・・世の中・・・・。」
杏子の背に、そっと額をつける。 (その4へつづく)
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