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この作品は、1986年ヒットアニメ作品のパート2としてシナリオ完成後、製作会社の都合で、製作が中止、今のところ未発表になっている作品です。長編なので連載の形で掲載します。
なお、著作権は首藤剛志にあることを明記しておきます。
(仮名) 「幻夢戦記レダ2」 テイスト オブ ハニー (蜜の味)
その6
ストーリー 首藤剛志
脚本 首藤剛志
登場人物
朝霧陽子 (十八才)
速水杏子 (十八才)
北里健一 (十八才)
ゴン (年齢不詳)
その他
○ 町
同じ夕陽の沈む町。
石を蹴りながら健一が歩いてくる。
財布の中身を見る。
健一「(ぶつぶつ)泊まるったって、持ち合わせ楽じゃないんだよな・・・・・・・ 旅館、
旅館と。」
ふっと顔をあげ、呆然となる。
振り返る。
そこはレンゲの畑の一本道。
町も駅も鉄道線路も消えている。
健一「な・・・・・ まいる・・・・・ まいった・・・・・ まいる時、ちくしょう!」
健一、ダーッと一本道を走り出す。
○ 三つ壁村
原始的な藁葺の集落が並んでいる。
至る所に、たいまつの火が燃えている。
昔、懐かしい太鼓の音が響いている。
牛車の行列が進んでいく。
同じ様な牛車の行列が別の道を進んでいる。
杏子「どうやら、私達だけじゃなさそうだね。」
陽子「うん・・・・・ あ、あれ。」
陽子の見る道の先に、広大な屋敷が見える。
○ 三つ壁村 (内)
牛車が止まる。
ゴン「着きました。お降り下さい。」
陽子と杏子、門の大きさに呆然となる。
門が開く。
ずらりと、小姓(男の子)が並んでいる。
小姓達「ようこそおいで下さいました。」
二人、なんと云っていいか分からず、
二人「はい、おいで……きました。」
○ 屋敷の廊下
陽子と杏子、長い廊下を小姓に案内されて歩いてくる。
二股に分かれた廊下に来て、
小姓A「杏子様はこちらへ・・・・・ 。」
陽子 「えっ? 一緒じゃないの?」
小姓B「お一人ずつ、お部屋を御用意しております。」
○ 廊下B
小姓に連れられて、陽子が来る。
小姓B「こちらでございます・・・・・ 」
と、襖をあける。
ただっぴろい座敷・・・・・
床の間があり、力剣が飾られてある。
(日本刀ではなく、古代日本の剣)
ポカンと口を開ける陽子。
陽子 「ほとんど体育館・・・・・ 。」
小姓B「さ、さぞやお疲れでしょう。当家の主人が挨拶する前に、汗をお流し下さい。
湯殿に御案内いたします。」
陽子 「湯殿?・・・・・ あ、お風呂のことか・・・・・ 。」
○ 岩風呂
タオルを胸に陽子が入って来る。
陽子「!! これがお風呂!?」
広大な岩風呂。
まるで、京都の古寺の日本庭園が、そのまま、風呂になっているかのようであ
る。
観音像のような石像が岩壁に彫ってある。
陽子、あたりを見回す。
誰もいない。
陽子「(クシュンとくしゃみをして)ま・・・・・ いいか。」
× × ×
陽子、湯に身をつける。
湯気で何も見えない。
N 「そのお風呂は、何もかも忘れさせてくれそうな、気持ちの良いお風呂でした。」
ポッと溜め息をつく。
湯気の中、男子学生との別れのシーンがぼんやり浮かぶ。
やがて湯気の中に男子学生の後ろ姿が消え、フッと微笑する陽子。
その肩に突然、手が……。
陽子「キャーッ! 寄らないで! 来ないで! 見ないで!」
思わず立ち上がる陽子。
杏子「私だよ。陽子。」
陽子「杏子・・・・・ 」
ボチャンと湯の中に肩を入れる。
杏子「しっかしまあ、どうなってんだろね。この屋敷・・・・・ 」
陽子「うん。」
杏子「こんな風呂だけでも十以上。部屋数だけでも、百は下らないわ。」
陽子「どこで調べたの?」
杏子「忍び込むのは得意さ、ビルの中なんかね。」
陽子「あんた、そういう事までやってんの?」
杏子「番張ってる女の生きる知恵、たしなみ、なんちゃって・・・・・ さ。・・・・・ でも、
えらいとこ、招待されちゃったぜ。」
陽子「どうする?」
杏子「来ちゃったんだもん。見るっきゃないじゃん。様子を・・・・・ 」
陽子「うん、見るしかないか。」
二人で何となくあたりをうかがう。
そんな二人を見降ろす石像が、しっかり見つめている。
その目は生き物の目だ。
(7へつづく)
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