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この作品は、1986年ヒットアニメ作品のパート2としてシナリオ完成後、製作会社の都合で、製作が中止、今のところ未発表になっている作品です。長編なので連載の形で掲載します。
なお、著作権は首藤剛志にあることを明記しておきます。
(仮名) 「幻夢戦記レダ2」 ティスト オブ ハニー (蜜の味)
その8
ストーリー 首藤剛志
脚本 首藤剛志
○ 村のはずれ
息を弾ませながら、健一が走って来る。
祭が見える。
健一「ちぇっ、このまま『こんばんわ』しても、追い出されるのがオチだよな。」
健一、レンゲ畑の大きな木を見て、
健一「まずは、偵察・・・・・ と。」
健一、木によじ登る。
○ 木の上。健一、双眼鏡を出す。
健一「うちとこのプリティペアは、どこかな?」
○ 双眼鏡の中
踊りでごったがえしている広場。
広場から、少し離れた岩の上に、陽子と杏子が坐っている。
踊りを見つめながら杏子がつぶやく。
杏子「つまんないね・・・・・ 。」
陽子「えっ?」
杏子「うん、例えば、ちっちゃい時からちょっと不幸な女の子がいてさ・・・・・ 目一杯
突っ張って生きていてさ・・・・・ でないと、いじめられるからね・・・・・ やたら突っ
張って・・・・・ いろんな男と付き合って・・・・・ 」
イメージ=繁華街を歩く杏子。その横に男が並んで歩いている。次々に男が
変っていく。
どれも、あんまりまともな格好の男ではない。
杏子の顔に、うつろな笑顔がひろがる。
杏子「どれも、これも、あれも、これも・・・・・ 結局さ・・・・・ おもちゃにされたり、騙さ
れたり・・・・・ もう男なんて嫌だ・・・・・ 最低だよって、思うじゃん・・・・・ 」
杏子、踊りの中の焚火を見つめる。
杏子「だから当然、女一人で生きて行こうなんて思うんだよね。でも・・・・・ 」
陽子「うん・・・・・ 」
杏子「ちょっと、一人ぼっちすぎるし・・・・・ だから・・・・・ その・・・・・ せめて、さ・・・・
心の中じゃさ・・・・・ 」
イメージ=木の下で指輪を渡される杏子。
陽子とまるで同じシュチュエーション。
杏子「まいったよな・・・・・ それがこうだもんな。」
陽子「・・・・・ 例えばさ・・・・・ とっても引っ込みじあんで、つまんない事ですぐ、くよく
よっちゃうタイプの女の子がいたとして・・・・・ そんな子が一七才のほとんどおば
ん間近になった頃、やっと初めてのボーイフレンドが出来てね・・・・・ でも、あっ
という間にふられたとしてね・・・・・ 」
杏子「見る目がなかったんだよ、その男に・・・・・ 。」
陽子「ありがと・・・・・ でも別れは別れだし・・・・・ ふっ切んなきゃ生きていけないし・・・・
だから・・・・・ その・・・・・ 心の中ではね・・・・・ 誰か別の・・・・・ 。」
イメージ=木の下に、ゼンに抱かれそうになるショット。
陽子「浮気っぽい?・・・・・ そんな女の子って・・・・・ 。」
杏子「いや・・・・・ でも・・・・・ 。」
陽子「うん・・・・・ ひどいわよね・・・・・ ホントに現われるなんて・・・・・ 。」
杏子「(うなづく)・・・・・ 陽子とあたし・・・・・ ライバルって訳か・・・・・ 。」
陽子「ライバルなんかじゃないわ。」
杏子「えっ?」
陽子「かなわないもん。わたしなんて・・・・・ 杏子には・・・・・ うううん、他の女の子達に
も・・・・いいんだ・・・・・ 慣れてるもん・・・・・ こういうの・・・・・ 杏子にあげます。」
杏子「馬鹿だね・・・・・ ホント、馬鹿だね。」
陽子「え?」
杏子「な、こと、云ってるから、男にポイされるんだよ。あ〜嫌だ。」
岩から、ポンと降りる。
杏子「じめついたのと付き合うと、カビがはえそう・・・・・・いいかい。陽子、あんたは、
私のライバル! じゃな。」
杏子、手の平でバイバイする。
陽子「杏子、どこへ?」
杏子「部屋に帰って寝る。夜更かしは美容の敵・・・・・ 手加減しないよ、あたし。」
杏子、走って行く。
陽子「勝てないよ、わたし。手加減してくれたって・・・・・ 。」
陽子、指輪を見つめる。
○ 祭の踊り、更に烈しくなる。
踊りを見降ろす仏像。
(音楽又は主題曲 IN)
○ 七人の女の子
それぞれの思いで、指輪を見つめている。
女の子AとB、ふっと顔を見合って、プイッと横むく。
良子、コンパクトを出して、百面相をしている。
なにやら、しきりに計算して、ノートにつけ、ニコニコしている裕子???。
踊りに、足でリズムをとっている晶子。
ただっ広い畳の真ん中で、膝を抱いて坐っている杏子????。
指輪を見つめる。
イメージ=それぞれの女の子が、木の下でゼンから指輪を渡されている。
○ レンゲ畑の道
陽子が歩いている。
レンゲの花が風にそよぐ。
陽子、ふっと立ち止まる。
木が立っている。
見覚えのある風景。
じっと、木を見つめる。
レンゲの花に、蜜蜂が止まっている。
ふっと飛び上がる。
陽子の方へ飛んでいく。
羽根の音が、音楽を覆い隠すように響き????。
陽子、はっと振り返る。
ゼンが立っている。
ゼン「又、会えたね。憶えているだろう・・・・・ この木の下で・・・・・ 。」
ゼンは、陽子の手の指輪に触れる。
ビクッと震える陽子。
ゼン「そう、この指輪をわたしから授けられた娘は、幸福になる・・・・・ 。」
二人、見つめあう。
ゼン「そう、おまえは幸福になれる。」
ゼン、陽子の頬に触れる。
吸い込まれるようなゼンの目……。
陽子の目が霞んでいく。
ゼン「そして、おまえはわたしから逃げられぬ。」
ゼン、陽子の顎に手を添える。
陽子、目を閉じる。
ゼン、フッと笑う。
唇を交わそうとするその時、頭上から、悲鳴がする。
「あ、わわわわ。」
陽子、我にかえる。
ドサン! と健一が落ちてくる。
9へつづく
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