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この作品は、1986年ヒットアニメ作品のパート2としてシナリオ完成後、製作会社の都合で、製作が中止、今のところ未発表になっている作品です。長編なので連載の形で掲載します。
なお、著作権は首藤剛志にあることを明記しておきます。
(仮名) 「幻夢戦記レダ2」 テイスト オブ ハニー (蜜の味)
その五
ストーリー 首藤剛志
脚本 首藤剛志
登場人物
朝霧陽子 (十八才)
速水杏子 (十八才)
北里健一 (十八才)
ゴン (年齢不詳)
○ 駅舎
二人のすぐ後に、砂埃の中から、ぬーっと二メートルは優に越える大男の影が
浮かび上がったのだ。
陽子「(気付かず……健一に)え? なに? 話が見えない。え?」
健一が指差す、自分の後を振り返る。
後に大男ゴンが、羽織袴で立っている。
陽子「キャーッ!!」
素早く飛び去った杏子は、ベルトを巻き付けた拳を、大男の鳩尾(みぞおち)
に叩きつける
杏子「先手必勝!・・・・・・ん?」
大男、びくともしない。
杏子、二度、三度と殴るが、蚊に刺された程度も感じていないようだ。
四発目を、大男の手の平に受けとめられる。
ゴン「ようこそおいで下さいました。朝霧陽子様と速水杏子様でございますね・・・ 。」
杏子「あん?」
ゴン「お迎えにあがりました・・・・・ 」
杏子と陽子、顔を見合わせ慌てる。
杏子「あ・・・・・・あ・・・・・ そ・・・・・ どうも・・・・・ 」ソコツモノ
陽子「ん・・・・・ もう・・・・・ すいません。連れは、粗忽者でして・・・・・ 」
と、恐縮する。
陽子「(杏子に)ねっ、あやまんなさいよ。」
杏子「え、うん、あ、ども・・・・その・・・・バックに立たれると、わたしの場合、痴漢か喧
嘩の不意打ちしかないわけで・・・・その・・・・あの・・・・条件反射っちゅうか・・・・・ 」
陽子「素直にっ・・・・・ 」
杏子「すいません。(ペコリと頭を下げる)」
ゴン「(無表情に)女の方は元気が良いに限ると申します。きっと強い赤子が生まれま
しょう・・・・・ 」
陽子「赤子ですって?」
杏子「ガキの事だよ。」
陽子「分かっているわよ。」
ゴンは、ごちゃごちゃ云っている二人の会話にはかまわず
ゴン「さ、こちらへ、お迎えが待っております。
と、二人のボストンバッグを軽々と抱えると駅舎へ行く。
頷きあって連いていく陽子と杏子。
ゴンは、改札口の前の健一をジロリとにらむ。
健一「あ、ども・・・・・ 。」
ゴン、無言で改札口を通りすぎる。
○ 駅舎
ゴンの後を連いて行く陽子と杏子。
健一も後に連いて行こうとして呆然と立ちすくむ。
いきなり雑踏の声……。
待ち合い室は、人でごった返している。
しかも、人々の服は明治時代初期のものだ。
○ 駅前
江戸時代の宿場町を思わせる町並み。
平安調の牛車が置かれている。
その前後に提燈を持った男達の行列がある。
ゴン「さ、お乗り下さい。」
陽子「(呆然)あ・・・・・ こ・・・・・ これに?」
杏子「テレビのやらせじゃないか?」
ゴン「祭りですから。」
陽子「あ・・・・・ そか。」
杏子「にしても、スペクタルじゃ。」
ゴン「さ、早く。」
二人、牛車に乗り込む。
ゴンに健一が……
健一「あ、あの僕は?・・・・・ 」
ゴン「あなたは招待されていません・・・・・・」
健一「でもさ、せっかく来たんだし、泊まるとこぐらい・・・・・ 」
牛車から陽子、首を出して、
陽子「あの・・・・・・彼、なんとかなりませんか?」
杏子「みじめっぽいもんね。」
健一「そうそう・・・・・・」
ゴン「ならば、この街の宿に泊まりなさい。三つ壁村の祭りで来たと云えば、泊めてく
れるでしょう。では・・・・・ 。」
ゴンに引かれて牛車は動き出す。
健一「あ、あの・・・・・ その・・・・・ ちっ!」
とり残される健一。
陽子「ちょっと、後髪、ギュッ。」
杏子「ボストンバッグの重み分だけ・・・・・ な。」
と、提燈行列の一団。祈りの様な歌を歌い出す。
まるで、蜜蜂の羽音の様なハミングである。
陽子と杏子、顔を見合わせ、肩をすくめる。
○ レンゲの野原
一本道を牛車の行列が続いていく。
地平線に夕陽が沈んでいく。
つづく
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