首藤剛志のふらふらファイル箱

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この作品は、1986年ヒットアニメ作品のパート2としてシナリオ完成後、製作会社の都合で、製作が中止、今のところ未発表になっている作品です。長編なので連載の形で掲載します。
なお、著作権は首藤剛志にあることを明記しておきます。

   (仮名) 「幻夢戦記レダ2」   テイスト オブ ハニー (蜜の味)

                 その6
                   ストーリー 首藤剛志
                   脚本    首藤剛志
     登場人物
      朝霧陽子    (十八才)
      速水杏子    (十八才)
      北里健一    (十八才)
      ゴン      (年齢不詳)
      その他


○ 町                                     
     同じ夕陽の沈む町。                          
     石を蹴りながら健一が歩いてくる。                   
     財布の中身を見る。                          
 健一「(ぶつぶつ)泊まるったって、持ち合わせ楽じゃないんだよな・・・・・・・ 旅館、 
    旅館と。」                               
     ふっと顔をあげ、呆然となる。                     
     振り返る。                              
     そこはレンゲの畑の一本道。                      
     町も駅も鉄道線路も消えている。                    
 健一「な・・・・・ まいる・・・・・ まいった・・・・・ まいる時、ちくしょう!」       
     健一、ダーッと一本道を走り出す。                   
                                        
○ 三つ壁村                                  
     原始的な藁葺の集落が並んでいる。                   
     至る所に、たいまつの火が燃えている。                 
     昔、懐かしい太鼓の音が響いている。                  
     牛車の行列が進んでいく。                       
     同じ様な牛車の行列が別の道を進んでいる。               
 杏子「どうやら、私達だけじゃなさそうだね。」                 
 陽子「うん・・・・・ あ、あれ。」                         
     陽子の見る道の先に、広大な屋敷が見える。               
                                        
○ 三つ壁村 (内)                              
     牛車が止まる。                            
 ゴン「着きました。お降り下さい。」                      
     陽子と杏子、門の大きさに呆然となる。                 
     門が開く。                              
     ずらりと、小姓(男の子)が並んでいる。                
 小姓達「ようこそおいで下さいました。」                    
     二人、なんと云っていいか分からず、                  
 二人「はい、おいで……きました。」                         
                                        
○ 屋敷の廊下                                 
     陽子と杏子、長い廊下を小姓に案内されて歩いてくる。          
     二股に分かれた廊下に来て、                      
 小姓A「杏子様はこちらへ・・・・・ 。」                      
 陽子 「えっ? 一緒じゃないの?」                      
 小姓B「お一人ずつ、お部屋を御用意しております。」              
                                        
○ 廊下B                                   
     小姓に連れられて、陽子が来る。                    
 小姓B「こちらでございます・・・・・ 」                      
     と、襖をあける。                           
     ただっぴろい座敷・・・・・                         
     床の間があり、力剣が飾られてある。                  
    (日本刀ではなく、古代日本の剣)                    
     ポカンと口を開ける陽子。                       
 陽子 「ほとんど体育館・・・・・ 。」                       
 小姓B「さ、さぞやお疲れでしょう。当家の主人が挨拶する前に、汗をお流し下さい。
     湯殿に御案内いたします。」                      
 陽子 「湯殿?・・・・・ あ、お風呂のことか・・・・・ 。」               
                                        
○ 岩風呂                                   
     タオルを胸に陽子が入って来る。                    
 陽子「!! これがお風呂!?」                          
     広大な岩風呂。                            
     まるで、京都の古寺の日本庭園が、そのまま、風呂になっているかのようであ
     る。                                 
     観音像のような石像が岩壁に彫ってある。                
     陽子、あたりを見回す。                        
     誰もいない。                             
  陽子「(クシュンとくしゃみをして)ま・・・・・ いいか。」             
         ×         ×         ×          
     陽子、湯に身をつける。                        
     湯気で何も見えない。                         
 N 「そのお風呂は、何もかも忘れさせてくれそうな、気持ちの良いお風呂でした。」
       ポッと溜め息をつく。                         
     湯気の中、男子学生との別れのシーンがぼんやり浮かぶ。       
     やがて湯気の中に男子学生の後ろ姿が消え、フッと微笑する陽子。     
     その肩に突然、手が……。                      
 陽子「キャーッ! 寄らないで! 来ないで! 見ないで!」           
     思わず立ち上がる陽子。                        
 杏子「私だよ。陽子。」                            
 陽子「杏子・・・・・ 」                              
      ボチャンと湯の中に肩を入れる。                    
  杏子「しっかしまあ、どうなってんだろね。この屋敷・・・・・ 」           
 陽子「うん。」                                
 杏子「こんな風呂だけでも十以上。部屋数だけでも、百は下らないわ。」      
 陽子「どこで調べたの?」                           
 杏子「忍び込むのは得意さ、ビルの中なんかね。」                
 陽子「あんた、そういう事までやってんの?」                  
 杏子「番張ってる女の生きる知恵、たしなみ、なんちゃって・・・・・ さ。・・・・・ でも、 
    えらいとこ、招待されちゃったぜ。」                   
 陽子「どうする?」                              
 杏子「来ちゃったんだもん。見るっきゃないじゃん。様子を・・・・・ 」        
 陽子「うん、見るしかないか。」                        
     二人で何となくあたりをうかがう。                   
     そんな二人を見降ろす石像が、しっかり見つめている。          
     その目は生き物の目だ。 

                                  (7へつづく)                      

この作品は、1986年ヒットアニメ作品のパート2としてシナリオ完成後、製作会社の都合で、製作が中止、今のところ未発表になっている作品です。長編なので連載の形で掲載します。
なお、著作権は首藤剛志にあることを明記しておきます。

   (仮名) 「幻夢戦記レダ2」   テイスト オブ ハニー (蜜の味)

                 その五
                   ストーリー 首藤剛志
                   脚本    首藤剛志
     登場人物
      朝霧陽子    (十八才)
      速水杏子    (十八才)
      北里健一    (十八才)
      ゴン      (年齢不詳)

○ 駅舎

         二人のすぐ後に、砂埃の中から、ぬーっと二メートルは優に越える大男の影が
         浮かび上がったのだ。                         
 陽子「(気付かず……健一に)え? なに? 話が見えない。え?」       
          健一が指差す、自分の後を振り返る。                  
          後に大男ゴンが、羽織袴で立っている。 
 陽子「キャーッ!!」                              
         素早く飛び去った杏子は、ベルトを巻き付けた拳を、大男の鳩尾(みぞおち)
         に叩きつける
 杏子「先手必勝!・・・・・・ん?」                         
     大男、びくともしない。                        
     杏子、二度、三度と殴るが、蚊に刺された程度も感じていないようだ。   
     四発目を、大男の手の平に受けとめられる。               
 ゴン「ようこそおいで下さいました。朝霧陽子様と速水杏子様でございますね・・・ 。」
 杏子「あん?」                                
 ゴン「お迎えにあがりました・・・・・ 」                      
     杏子と陽子、顔を見合わせ慌てる。                   
 杏子「あ・・・・・・あ・・・・・ そ・・・・・ どうも・・・・・ 」ソコツモノ               
 陽子「ん・・・・・ もう・・・・・ すいません。連れは、粗忽者でして・・・・・ 」       
      と、恐縮する。                            
  陽子「(杏子に)ねっ、あやまんなさいよ。」                  
 杏子「え、うん、あ、ども・・・・その・・・・バックに立たれると、わたしの場合、痴漢か喧
    嘩の不意打ちしかないわけで・・・・その・・・・あの・・・・条件反射っちゅうか・・・・・ 」
 陽子「素直にっ・・・・・ 」                            
 杏子「すいません。(ペコリと頭を下げる)」                  
 ゴン「(無表情に)女の方は元気が良いに限ると申します。きっと強い赤子が生まれま
    しょう・・・・・ 」                             
 陽子「赤子ですって?」                            
 杏子「ガキの事だよ。」                            
 陽子「分かっているわよ。」                          
     ゴンは、ごちゃごちゃ云っている二人の会話にはかまわず         
 ゴン「さ、こちらへ、お迎えが待っております。                 
     と、二人のボストンバッグを軽々と抱えると駅舎へ行く。         
     頷きあって連いていく陽子と杏子。                   
     ゴンは、改札口の前の健一をジロリとにらむ。              
 健一「あ、ども・・・・・ 。」                           
     ゴン、無言で改札口を通りすぎる。                   
                                        
○ 駅舎                                   
     ゴンの後を連いて行く陽子と杏子。                   
     健一も後に連いて行こうとして呆然と立ちすくむ。            
     いきなり雑踏の声……。                      
     待ち合い室は、人でごった返している。                 
     しかも、人々の服は明治時代初期のものだ。               
                                        
○ 駅前                                    
     江戸時代の宿場町を思わせる町並み。                  
     平安調の牛車が置かれている。                     
     その前後に提燈を持った男達の行列がある。               
ゴン「さ、お乗り下さい。」                          
 陽子「(呆然)あ・・・・・ こ・・・・・ これに?」                   
 杏子「テレビのやらせじゃないか?」                      
 ゴン「祭りですから。」                            
 陽子「あ・・・・・ そか。」                            
 杏子「にしても、スペクタルじゃ。」                      
 ゴン「さ、早く。」                              
     二人、牛車に乗り込む。                        
     ゴンに健一が……                         
 健一「あ、あの僕は?・・・・・ 」                         
 ゴン「あなたは招待されていません・・・・・・」                   
 健一「でもさ、せっかく来たんだし、泊まるとこぐらい・・・・・ 」          
      牛車から陽子、首を出して、                      
 陽子「あの・・・・・・彼、なんとかなりませんか?」                 
 杏子「みじめっぽいもんね。」                         
 健一「そうそう・・・・・・」                            
 ゴン「ならば、この街の宿に泊まりなさい。三つ壁村の祭りで来たと云えば、泊めてく
    れるでしょう。では・・・・・ 。」                      
     ゴンに引かれて牛車は動き出す。                    
 健一「あ、あの・・・・・ その・・・・・ ちっ!」                    
     とり残される健一。                          
 陽子「ちょっと、後髪、ギュッ。」                       
 杏子「ボストンバッグの重み分だけ・・・・・ な。」                 
     と、提燈行列の一団。祈りの様な歌を歌い出す。             
     まるで、蜜蜂の羽音の様なハミングである。               
     陽子と杏子、顔を見合わせ、肩をすくめる。               
                                        
○ レンゲの野原                                
     一本道を牛車の行列が続いていく。                   
     地平線に夕陽が沈んでいく。                      
                      
                           つづく 

この作品は、1986年ヒットアニメ作品のパート2としてシナリオ完成後、製作会社の都合で、製作が中止、今のところ未発表になっている作品です。長編なので連載の形で掲載します。
なお、著作権は首藤剛志にあることを明記しておきます。

   (仮名) 「幻夢戦記レダ2」   テイスト オブ ハニー (蜜の味)

                 その四
                   ストーリー 首藤剛志
                   脚本    首藤剛志
     登場人物
      朝霧陽子    (十八才)
      速水杏子    (十八才)
      北里健一    (十八才)
      ゴン      (年齢不詳)

○○ 新宿駅                                   
     大きなボストンバッグを抱えた陽子と杏子。リックサックの杏子が、よたよた
     と歩いてくる。                            
 N 「こんな訳で夏休みのセンチメンタルジャーニーは始まったんです。何しろ初めて
    の長旅です。お荷物です!」                       
                                        
○ みどりの窓口                                
     二人はよたよたとやってきて、バッグをドスンと置いてフーッと息をはく。 
陽子「全く、これ、荷物が旅行してるの、人間が旅行してるの?」         
 杏子「女の子が旅行してるのさ・・・・・・あん。」                  
     むこうで、健一が手をひらひらさせている。               
 杏子「あいつ!」                               
 陽子「無視・・・・・・ね。」                            
                                        
○ 山の手線 電車ドア                              
     よいしょっとバッグをのせて、溜め息の二人。              
     ふと見ると、向こうのドアからリックサックの軽装の健一がポンと飛び乗り、
     ニット笑って席につき、マンガを開く。                 
○ 走る山の手線。向こうに東京駅が見える。                   
                                        
○ 山の手線内                                 
     マンガを読んでいる健一の前に二人の人影……。          
     健一、顔をあげる。                          
 陽子「(ニッコリ)ハーイ。」                         
 杏子「きびだんごはあげないけど・・・・・・。」                   
     来いとでもいうように、顎で合図する。                 
     健一、ニッと笑ってVサイン。                     
                                        
○ 新幹線ホーム (遠景)                           
     発車のベル。                             
     陽子と杏子。                             
     階段を駆け上がってくる。                       
     二人、階段の下へ、早く早くと手を振る。                
 陽子の声「早くったら、もう!」                        
 杏子の声「たく、もう、最近の野郎は・・・・・・。」                 
     健一、二人のボストンを持って、ヨタヨタと上がってくる。        
     間一髪、こだまに飛び込む。                       
                                        
○ 発車する新幹線                               
 杏子の声「遅れたら、どう落とし前つける気だよ。」               
 陽子の声「最近の男の人って・・・・・・考えちゃうな・・・・・・」             
 健一の声「最近の女の子って・・・・・・考えちゃうな・・・・・ 」             
                                        
○ 走る新幹線 
      都会を抜けて
                                                                                      
○ 走る電気機関車                               
      平野を抜けて……                              
                                        
○ 走る蒸気機関車                               
     煙を上げて、山の間の線路を走って行く……
  N 「こうして、何本かの列車に乗り換え・・・・・・」                
                                        
○ 山奥の鉄道                                 
     森林鉄道である。                           
     鉄橋をわたる。                            
                                        
 N 「いくつかの川を越え……」                      
     トンネルに入っていく。                        
 N 「いくつかのトンネルをくぐり抜け・・・・・・」                 
     トンネルをくぐり抜けると、黄色いレンゲ畑がどこまでも続いている。   
     レンゲの花畑の向こうに、巨大な夕陽が沈んでいく。           
 陽子「さすが、ローカル・・・・・・感動・・・・・・ね、あれ、なんの花なんだろ・・・・・・。」  
 杏子「たぶん、レンゲかな・・・・・・でも・・・・・・。」                 
 陽子「え?」                                 
 杏子「黄色いレンゲってあったかな・・・・・・。」                  
 陽子「・・・・・・いろいろあっても、いいんじゃない・・・・・・。」            
 杏子「いろいろか・・・・・・まあね・・・・・・。」                    
 N 「そして、夕暮になった頃……」                   
                                        
○ 三つ壁村 駅                                
     駅から汽車が出ていく。                        
     ホームに立つ、陽子と杏子と健一。                   
                                        
 N 「そこに三つ壁村がありました。」                     
                                        
     見回す三人。                             
     人、一人いない無人の駅。                       
     風の音だけが不気味に聞こえている。                  
     沈みかけた太陽は血の色だ。                      
     見るからに、おどろおどろした風景だ。                 
     気味悪気に顔を見合わす三人。                     
 陽子「どーゆう神経・・・・・ ここの雰囲気・・・・・・気味がよすぎやしない?」    
 杏子「なんかね・・・・・ でも、ついているよ、あたしが。」             
     杏子、皮の手袋をつける。
     これから喧嘩でも始めそうなポーズである。                       
 健一「(オドオド)も、もち、僕も。」                     
     カタンと音がする。                          
     陽子と健一はすくみあがる。
     杏子は、ベルトを抜くと手にまきつけ身構える。ベルトは鎖である。    
     駅舎の隅からあき缶が転がってくる。                  
     尻尾を垂らした犬が、ゆっくりした足取りで、無人踏み切りを横切っていく。
     フーッと息を吐く三人。
     健一は空元気を出して……                        
  健一「ここはまかせて・・・・・・様子を見てきたりしてきます。」               
     おそるおそる駅舎へ行く。                          
                                        
○ 駅舎                                    
     健一、改札口から駅舎を覗き込む。                   
 健一「誰か、誰かいないんですか?」                      
     駅の待合室には蜘蛛の巣だらけ。                    
     出札口にも人影がいない。                       
 健一「……こんなの。あり?・・・・・ 。」          
     いきなりホームに強い風が吹く。                    
     土だけのホームに砂埃がたつ。                     
 健一「ひデェ、都会の人の来るとこじゃないな。・・・・・ ねぇ。」           
     と、陽子達の方を振り向く。                      
 健一「!・・・・・・あああ・・・・・ 」                         
     と、陽子達の方をわなわなと指差す。                  
     キョトンとする陽子と杏子。                      
     二人のすぐ後に、砂埃の中から、ぬーっと二メートルは優に越える大男の影が
     浮か

この作品は、1986年ヒットアニメ作品のパート2としてシナリオ完成後、製作会社の都合で、製作が中止、今のところ未発表になっている作品です。長編なので連載の形で掲載します。
なお、著作権は首藤剛志にあることを明記しておきます。

   (仮名) 「幻夢戦記レダ2」   テイスト オブ ハニー (蜜の味)

                 その三
                   ストーリー 首藤剛志
                   脚本    首藤剛志
     登場人物
      朝霧陽子    (十八才)
      速水杏子    (十八才)
      北里健一    (十八才)

○ 新宿  西口公園                                    
     行きかう人々・・・・・・車・・・・                       
     街の騒音……                           
     高層ビルに夏の日差し。
     バイクからおりた杏子と、ベンチの陽子の遠景……                        
     その遠景に、陽子と杏子の会話が聞こえる。           
 杏子の声「陽子、旅行だって? 一人で?」                   
 陽子の声「高校最後の夏、うん・・・・・・ちょっとセンチメンタル」          
 杏子の声「ま、よかろう。それも・・・・・・実はあたしもセンチメンタル。一人旅・・・・・ 」
 陽子の声「あなたが?」                            
                                        
○ 杏子のプロフィール                             
     ワープロの文字「ともだち・・・・・ たったひとりの・・・・・ はやみ きょうこ  
     (変換)速水杏子。おなじとしの・・・・・ おさななじみ」          
     ワープロの文字が写される間、スティール写真が写される。        
     幼い頃の陽子と杏子が並んでいる。                   
     泥だらけ、傷だらけの杏子とお嬢さん姿の陽子。             
     すくんでいる陽子の前で、悪ガキと大乱闘の杏子。            
     暴走族の先頭に立ってバイクを走らせる杏子。etc????       
                                        
○ 公園                                    
     画面、遠景から二人のツーショットに変わり……                 
 杏子「あたしがセンチメンタル。おかしいかい?」                
 陽子「(かぶりを振る)ない、ない・・・・・・けど。」                
 杏子「(遠くを見て)あたいだってさ、つっぱり疲れる時もある。バイクにむせる時も
    ある。拳がむなしい時もある。」                     
     杏子、拳を殴るように前へ突き出す。                  
     そして、手を開き、指にした指輪を見てふっと笑う。           
     陽子、その指輪を見る。                        
 陽子「・・・・・ あ・・・・・ 」                            
     陽子、自分の指輪を見る。                       
     同じだ。                               
     杏子、陽子が指輪を見ているのを見て、                 
 杏子「どうしたの陽子。」                           
 陽子「う、うん。」                              
     杏子も陽子の指輪に気付く。                      
 杏子「あ・・・・・・。」                              
 陽子「うん。」                                
     なんとなく、同じデザインの服を偶然着てしまったような気まずさ・・・・・   
 杏子「なんで、それ。」                            
 陽子「え? うん・・・・・ 云い伝え。知ってる?」                 
 杏子「え・・・・・ ?」                              
 陽子「二〇才前の女の子が、これを男の人からもらうと・・・・・・その・・・・・・。」    
 杏子「その野郎に幸福にしてもらえる。」                    
 陽子「知ってるんだ。」                            
 杏子「なぜか・・・・・・ね。」                           
 陽子「でも、これ、誰からもらったんでもないの。誰もくれないから、エヘ、格好付け
    ・・・・・・。」                               
 杏子「格好なんかつける人じゃないだろ。陽子は・・・・・・。」            
 陽子「かもね・・・・・ でも杏子だってそんなタイプじゃない・・・・・・でしょ。」     
    しばらく間が合って…… 
    二人、はたと気づく。                   
 杏子「あ・・・・・・旅行するって、まさか・・・・・・。」                 
 陽子「まさかって、まさか?・・・・・・。」                     
 杏子「三つ壁村?」                              
 陽子「(額をかく)ぽりぽり。」                        
 杏子「(同じく)ぽりぽり。」                         
 陽子「どーゆうこと?」                            
     杏子、肩をすくめる。                         
 杏子「・・・・・・一緒にいこか・・・・・ 。」                      
 陽子「(ニッコリ)心強い・・・・・・うん。」                    
     二人見つめあう。                           
     と、ベンチのうしろから男子学生が、ニュッと顔を出す。北里健一(十八才) 
 健一「いきましょ、いきましょ。」                       
     ワッとベンチから飛び去る陽子達。                   
 健一「僕もお供しま〜す。夏休み暇なの、ね、ね!」               
 杏子「とーとつに出るな。」                          
     バシンと叩く。                            
     ベンチの後から前に転げ落ちる健一。                  
     それでもめげずにVサイン。                      
                                        
○ 北里健一のプロフィール。                          
     ワープロの文字「北里健一、同級生・・・・厚顔無恥・言語道断・完全無視・・・ 」
     三年間のクラスの写真????                     
     必ず陽子の側でVサインを送っている。                 
     陽子のうんざりした顔。                        
                                        
○ 公園                                    
     健一が、陽子と杏子に                         
 健一「いけません。危険です。女の子だけでは物騒です。ボディガードが必要です。」
 杏子「よけい物騒。あんたの狙いは陽子だろ。・・・・・・あんた、しつこいらしいね。」 
 陽子「いつも断ってるのに・・・・・・。」                      
 健一「いつもじゃありません。(手帳を広げ)今まで百二十三回・・・・・・。」     
 杏子「じゃ、これで百二十四回目だ。」                     
 健一「ね、きびだんごあげるから連れてって・・・・・・。」              
 陽子「私達が行くのは、岡山でも鬼が島でもありませんの。」           
 健一「なら、なおさら心配。女の子二人旅。行く先々に狼うようよ。その点僕は、品行
    方正、質実剛健、元金保障、安全優利、丸優無税・・・・・・。」         
     と、指折り数えるが、                         
     突然、ブォーッとオートバイのガスを吹き掛けられる。          
 健一「ゴボゴボ・・・・・・。」                           
     後に陽子を乗せたオートバイ走り去る。                 
 健一「ちぇっ、本当に百二十四回目・・・・・・しかし千回まで頑張るのだ・・・・・・。」   
     と、健一はめげずにVサイン。                            
                                        
○ 街路                                    
     走るオートバイ。                           
     杏子にしがみついている陽子。                     
 杏子「(大声)陽子!・・・・・・?」                        
 陽子「えっ!?」                                
 杏子「もてるんだね!」                            
 陽子「もてたくないもん!あんなのに!」                    
 杏子「いないよりましさ!」                          
 陽子「えっ!?」                                
 杏子「・・・・・ しっかりつかまってな・・・・・・。」                  
     ブワァーッとスピードをあげる。                    
     杏子の背に強くしがみつく陽子。                         
 陽子のN「いないよりましか・・・・でも、うまくいかないんですよね・・・・世の中・・・・。」
      杏子の背に、そっと額をつける。         (その4へつづく)

この作品は、1986年ヒットアニメ作品のパート2としてシナリオ完成後、製作会社の都合で、製作が中止、今のところ未発表になっている作品です。長編なので連載の形で掲載します。
なお、著作権は首藤剛志にあることを明記しておきます。


    (仮名) 「幻夢戦記レダ2」  テイスト オブ ハニー (蜜の味)

                       その二

                     ストーリー 首藤剛志
                     脚本    首藤剛志


     二回目主要人物 
        朝霧陽子  十八歳
        ゼン    年齢不詳
        速水杏子  十八歳
        その他
        N……ナレーションは陽子のモノローグ


○ イメージ レンゲ畑 木の下
    陽子の前にゼンがいる。
陽子「あなたは……」
ゼン「忘れる筈はない……おまえがわたしをね……ほら、いつの時だったか、これを贈ったわたしをね」
    ゼンは陽子の手を取り、その手のひらに、銀の指輪を乗せる。
ゼン「二十歳(はたち)になる前に、この銀の指輪を贈られた娘は、きっと幸福になる。……わたしは確かに贈ったよ。遠い昔にね。さあ、思い出してごらん」
    陽子は、指輪を見つめる。
    ゼンの言う通りのような気もする。
    陽子は呟く。
陽子「……ええ、そんな気がする」
ゼン「さあ、わたしの元においで……それがおまえの幸福(しあわせ)だ」
    ゼンは、陽子を見つめる。
    すーっとゼンは陽子を抱きしめる。
    ふーっと陽子の目がくらむ。
    そのまま後ろに倒れる。
    だが、そこにはなにもない。
    レンゲの花の舞い散る中を、陽子はどんどん落ちていく。
    陽子は手のひらの上のぎんの指輪をぼんやり見る。
    銀の指輪が光る。
    銀の光は、どんどんふくらんでいく……。

○ 陽子の部屋  (朝)
    陽子は、はっと目を覚ます。
    朝陽が、カーテンのすき間から差し込んでいる。
陽子「夢か……」
    あたりを見回す。
    いつもの陽子の部屋だ。
陽子のN「そう、きっと夢だったんです」
    陽子は、カーテンをさっと開ける。
    夏の朝の住宅街の道が見える。
陽子のN「外はしっかり夏……高校、最後の夏です。過ぎた事はくよくよせずに、楽しまなきゃ……  ね」
    陽子はパソコンのプリンターから出ている用紙を取りまるめる。
    そして、自分で自分に頷き
陽子「うん!」   
    ゴミ箱に捨てようとする。
    と、机の上のある小さなものがきらりと光る。
陽子「え……?」
    それは、銀の指輪だった。
陽子「こんなことって……」
N「それは始めて見る指輪でした……あの夢の他では……」
    手のひらに乗せた指輪に反射した陽の光が、壁の状差しを照らす。
陽子「え……これ……」
    陽子は、状差しから絵葉書を取る。
    陽子は、絵葉書の写真を見て息をのむ。
    あのレンゲ畑の丘の上の木が写っている。
N「……あの夢で見た……他には……」
    陽子は、絵葉書を裏返す。
N「三つ壁村においで下さい……」
    陽子は、机の前に座る。
    指輪をはめて見る。
陽子「……ぴったり……」
    陽子は呟く。
陽子「三つ壁村……」
    指輪がひときわきらりと光る。

○ タイトル
    黒地の画面にパソコンの文字が、英文でティスト オブ ハニー と打ち出される。
    キャストやスタッフの名前は出ない。

○ いきなり街の騒音がうるさく聞こえ……行き交う人々、車の群れ。
    新宿の駅前である。

○ 高層ビル街に夏の日差しが光る。
    陽炎立つ舗装道路……。

○ スミレの咲く新宿西口公園。
    公演のベンチにセーラー服の陽子がが坐っている。
    バイク音とともに、陽子の前750CCのバイクが急停止する。
    ヘルメットを取ると長い髪の女の子の顔が現れる。
    陽子にどこか似ているが精悍な感じの女の子である。
    速水杏子……十八歳……陽子とは、全くタイプの違う行動的で気の強そうな女の子である。

                                       
                                    {その三につづく}         
    、
    










     
   

  

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