首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

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 この、ミュージカルの著作権は僕にありますが、こちらに連絡さえとってくだされば、学園祭などの金銭関係の発生しない上演は無料でフリーにしたいと思っています。作曲の久保田育子さんも了解して下さっています。耳に親しみやすい作曲ですが、お聞かせ出来ないのが残念です。連絡をいただければ、楽譜も提供するつもりです。このミュージカルの初演は東京の日仏会館で、小山茉美さんと古谷徹さんによって上演されました。その後、劇団NLTでも上演されたものです。
 極端な言い方をすれば、出演者は二人だけ、後はピアノが1台……その弾き手がいれば出来てしまう。小規模なミュージカルです。
                                        
           (プテイ ミュージカル)                 
             リ ト ル ク リ ス マ ス            
                                        
                                        
                                        
             ( 作・ 作 詞 ) 首 藤   剛 志       
                                        
                ( 作 曲 ) 久 保 田 育 子       
                                        
                オー・ヘンリー作              
                「賢者の贈りもの」 より……        
     登 場 人 物                            
       デ ラ ・ マ イ ル ズ   二十代・前半 
       ジ ム ・ ヤ ン グ     二十四才 
                                        
      二人の歳については、出演者の年齢に合わせて多少の変更はかまいません。
    この物語は、デラとジムという二人の男女だけで演じられます。       
    三パートに別れ、一パートは、男の一人芝居、女の台詞が入る時は、舞台の外か
    ら語りかけます。
    女の姿は見えません。
    二パートは女の一人芝居。男の台詞は、やはりOFFから……男の姿は見えませ
    ん。
    三パート目になって、始めて二人は舞台の上で共演することになります。   
    舞台の上には、小さなベンチが、二つ、背中合わせに置かれています。    
    なお、作中、デラとジムが使用するおとぎ話や、TV番組は、上演時の世情に合
    わせて、その都度変更してかまいません。                 
    まず、「オープン ユア マインド」の旋律が、オルゴールのように聞こえてき
    て、静かに幕が開きます。                        
                                        
                 P A R T 1              
      公園に、クリスマスソングが流れている。
      たとえば、「清しこの夜」や「ホワイトクリスマス」のような、ポピュラー
      でありながら、どこかしらもの淋しくスローな曲である。
      そんなクリスマスソングを口ずさみながら、コートの襟をたてたジムが、公
      園にやってくる。
      ジムは、観客に向かって語りだす。
ジ ム 「クリスマス……メリー・クリスマス……子供達にとっては、クリスマスから
    ハッピー・ニューイヤー、新年にかけて、一番、楽しい時期ですね。でも、僕に
    とっちゃ……はたちを、随分昔に通りすぎちゃった僕にとっては、あ〜あ、又、
    一つ歳をとるのかって感じ……そろそろオジンじゃ……。
    なにしろ、最近の若い奴らときちゃ……はたちをすぎたら、夢も希望もない、オ
    ジンとオバンの世界だと決めつけちゃってくれてますからね……       
    ふん、いいですよ。オジサンには、オジサンの生きる道ってものがあらあ…… 
    (我に返り)あ、どうも……僕、ジム・ヤング……二十四歳……  
    そして、ここは、アメリカのニューヨーク、華麗なるブロードウェイ・ミュージ
    カル。ショーほど素敵な商売はない! ザッツ・エンターテインメント!」  
      ヒューッと木枯の音。
      ジムはコートの襟をたてる。
ジ ム 「いいえ、これは、ちっちゃなちっちゃなプティ・ミュージカル。だいいち、こ
    こは、ブロードウエーなんかじゃありません。ニューヨークのグリニッチビレッ
    ヂという、古ぼけた街角……知っています?
    ここはね、薄汚れた街だけれど、アメリカの若者達にとって、グリニッチビレッ
    ヂほど夢と希望をかきたてる街はないでしょう。
    アメリカの芸術家、役者、歌手のたまご達が、若く貧しい頃、この街に集まり、
    苦しくも愉快に生き、そして、大成し巣立っていった。……いわば、未来の芸術
    家達のふるさと、売れなかった頃の溜まり場だったのです。
    僕がグリニッチビレッヂを知ったのは、ロッキー山脈の麓にある、ふるさとの町
    の小さな映画館で、ある大昔の映画を見てからです。「グリニッチビレッヂの青春」…
    …いい映画です。……若い芸術家の青春を描いた名作です。見た方います?
    (たぶん、いないとして)そう、そうでしょうね……数十年前の映画ですもんね
    ……時は流れるか……ま、そんなわけで、僕はグリニッチビレッジってとこに、
    憧れちゃったんですね。
    僕は、ドサ廻りの旅芝居、ほら、お祭りやカーニバルの時、テントを張ってお客
    さんに見せる、ダサイ芝居、今も田舎にいくとあるかもしれないんだけども……
    そんな旅芝居の座つき作家の息子として生まれたんです。……ところが、この親
    父ときたら飲んだくれで、ろくに芝居を書きゃしない。           
    そこで、僕、十才の時から、親父の代りに芝居を書いたりしていたんですね。 
    たとえば、西部劇、「シェーン・パート2!」
      ウエスタン風のBGMが流れる。                   
ジ ム 「保安官に追われている、ならず者のシェーンが、ついに、ロッキー山脈の隠れ
    家を取り囲まれて、子分達に別れを告げ、山を下りて行くシーン……″ロッキー
    山脈も今宵限り、見ろよ、からすも、クロークローと鳴いていかあ〜″」
      一人二役で……
ジ ム 「シェーン、カンバック」
ジ ム 「泣くな坊や、俺あ、カンバックしてくるさ。いつの日にかな。(銃を抜き)俺
    にゃ、生涯、てめえという、強い味方があったのだあ〜」
      ″バーン″ 銃を撃つ。
ジ ム 「シェーン、カンバ〜ック! あ〜あ、しらける。しらけるでしょ。書いている
    僕だってしらけちゃいます。……本当はね、僕、ファンタジーを書きたかったん
    です。ロッキーの山々を舞台にした動物と妖精の話。……ピーターパンとウェン
    ディのような話。……木々をすりぬける風と雲と雨と雪の話。……」
      ジムは、歌い始める。                        
      「オープン ユア マインド」                  
    (1)                                 
     ほら、目を閉じて 見えるだろう
     こころの扉を 開けてごらん
     見えない 何かが見えてくる
     オープン ユア マインド
     ユー キャン シー サムシング
     僕のこころに 燃える光も
     瞳の中で ささやく声も
     ユー キャン シー たしかに……

                                        
ジ ム 「でも、そんなおとぎ話をドサ廻りの芝居が許してくれる筈がありません。
    エログロ、アクション、ナンセンス……あ〜あ、僕はもう駄目になっちまう。…
    …そんな時です。飲んだくれの親父が病気で死にました。
    親父が残していったのは、僅か五00ドルと古い金時計と遺言が一通……」
      ジムは、懐中時計と手紙を出す
      手紙を読む。
ジ ム 「このダメな親父がお前に残せるものは、僅かな金と、その金時計しかない。
    だが、わしはお前に、もっと素晴らしいものを残したと思っている。
    それは、お前が持っているおとぎ話を創る才能だ。
    若者よ、街にいけ!……街にいって花開け!……
    ま、ダメで、もともと。なるようになるだばないだばさ。だばだばしゅびだば人
    生さ。ま、がんばんしゃい。……
    なんじゃこりゃ?……
    で、僕は、ロッキーからニューヨークまで、大陸横断鉄道の貨物列車にタダ乗り
    して、遂に遂に、ここ、グリニッジビレッヂに辿りついたんです」      
      ジムは、歌い始める。                        

        「グローイング アップ ドリーミング」             
      さあ いま 幕があく
      広がる世界 マイステージ
      あの街角に 夢がころがり
      この横町で つかむサクセス
      グローイング アップ ドリーミング
      グローイング アップ ドリーミング
      スポットライトが照しだし
      フル オーケストレーションがかなでる 独り芝居

      僕だけの舞台
      グローイング アップ ドリーミング
      グローイング アップ ドリーミング

                                 (つづく)   

「COSMOS ピンクショック」は終わりました。
 次の作品は、検討中です。
 ところで、この書庫の最初に載せた「幻夢戦記レダ2」の1から3が、なぜか消えているのにきがつきました。
 こんなことが、ブログでは良く起こるのでしょうか。
 困っています。

「COSMOS ピンクショック」二部……その6  最終回
                            首藤剛志



○山頂付近
   フィレは呆然と立ちすくむ。
フィレ「男が女を助けている。男があの三人の為に闘っている!」
部下「はぁ…なんか、昔話とは随分、話が違うみたい。」

○イメージ
   ミッチがフィレに話している。
ミッチ「たぶん、ヒロちゃんは、そんな男の子じゃないわ。いいえ、男の人ってそんなに悪い人ばかりじゃないわ。」

○山頂付近
フィレ「わたし達は、何か考え違いをしていたのかも知れないわ。」

○神殿
   大乱戦が続いている。
   突然、宝石の光がカーッと膨れあがる。
   一同動きが止まる。
   次第に、光が弱まっていく。
   ポッカリ開いた穴が、狭まっていき、地鳴りがする。
ギャッピー「みんな、暗黒空間の出口が狭まっていく。急げ!脱出だ!」
   そして、ミッチの手を取り
ギャッピー「さ、君のピンクショックはあそこだ。」
   と、ピンクショックを指す。
ギャッピー「おまえは、一人でどこまでも!」
ミッチ「うん、ヒロちゃんを追うわ。」
ギャッピー「行きなさい」
ミッチ「ありがとう…」
   ミッチ、ピンクショックに走って行く。
   ギャッピー、後ろも見ず、そのまま、ショルダージェットでギャッピー機へ飛ん   でいく。
   ジェーンとラン、呆然と見上げ、
ジェーン「いい男だねぇ」
ラン「惚れたよ、わたしゃ」
ジェーン「ん?」
ラン「ん?」
   二人、キッと睨み合う。
   とたん、大地震がおこる。
二人「な、場合か!」
   二人は、自分達のロケットに走っていく。
○ピンクショック コックピット
ミッチ「ミッチ、行きます!」
   レバーを叩き込む。

○ピンクショックは、上空の光の隙間に向かって素っ飛んで行く。
   続いて、船団が後を続く。
   岩山の頂きで、噴火が起こる。

○山頂付近
   フィレが上空を見上げている。
フィレ「男……か……」
   光の隙間が、閉じていく。
   フィレ、くるりと部下の方を向き
フィレ「みなの者…わたしも行く…男というものが、どういうものなのか…愛というものが、どういうものなのか…わたしもこの目で確かめてみたい。」
部下「分かっております。そして、それが明るいものであれば…私達にもそれが分かればあの暗黒も晴れることでございましょう。」
フィレ「うん!」

   フィレを乗せたロケットが飛びたつ。
   部下達が手を振る。
   光の隙間が閉じる。ぎりぎりのところをフィレ機は、すり抜けていく。

○星雲連合会議
議長「ええ、ピンクショック騒ぎが治ったところで…次の議題に入ろうと思いますが…」
   ズズズズ………会議場が揺れる。
A「な、何事です。」
会議場のアラームの声「大変です!我が星雲に、空間の歪み発生!」
B「で、ど、どこに?!」
アラーム「ここです」
   一同呆然…… 
   会議場のヴィジョンがいきなり歪み、ピンクショックが飛び出してくる。
   天井を突き破って、大宇宙へ!
A「な、馬鹿な!」
   続いて、ギャッピー機が、ジェーンのランの機が、トラ軍団が…大船団が…最後に   、フィレの機が………飛んで行く。
   ボロボロになった、会議場の一同
議長「騒ぎは終わっていなかった…ピンクショックは続いていく…」
   ガックリとうなだれる。

○ピンクショック
ミッチ「わたしは止まらない。ヒロちゃんに会うまでは。ピンクショック、ノンストップ、ゴー!」

○大宇宙
   素っ飛んで行くピンクショック
   そして、大船団
   更に、その数は増えている!

○エンド タイトル
   軽快なテーマ音楽とともに、
   スタッフ、キャストがミッチ達の後を追っていく。
                       最終回 エンド


 一応三部形式でしたが、脚本化したのは、ここで終わっています。
 今も、ミッチーは、宇宙を一直線で、飛んでいる事でしょう。

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「COSMOS ピンクショック」二部 ……その5
                首藤剛志


○王宮の宴会
   裸女達が踊っている。
   フィレが豪快に酒を飲んでいる。
フィレ「ファハハハ…おんしら強い!気に入ったばい…」
   ミッチやジェーン達、気押され気味に横に坐っている。
フィレ「一生、ここで楽しく暮らしましょうね…(急にしおらしく)」
ジェーン「一生 ここでぇ〜?」
ラン「男のいない星でぇ〜!」
   ミッチと二人は顔を見合わせ…ウ
三人「反対!」
フィレ「反対といっても、ここは暗黒空間の底…簡単には抜け出せません。」
ミッチ「簡単でも単々でも、抜け出すんだもん。」
三人「賛成!…」
フィレ「どうしても行きたいのですね…」
   と、涙ぐむ、まるで竜宮の乙姫である。

○山肌の間を−
   ピンクショックをジェーン達のロケットが飛んで行く。
フィレの声「北のはずれの山の頂に、恨みの穴があります。その中にある、恨みの石を割り、男への女の呪いが薄れた時、暗黒空間の出口が開くでしょう。」

○山の頂
   巨大な穴が開いている。
   二機が飛んでくる。
ジェーン「どうする?」
ミッチ「行くっきゃない。」
   突っ込んで行く。
ラン「こりゃ!小娘に負けんな。」
   ランは、ジェーンの頭をバタバタ叩く。

○穴の中
   二機は猛速で飛んで行く。
ジェーン「この穴に、異常はなさそうだわ。」
ラン「こういうのが、やばいのよ。いませんかぁ、誰もいませんね。いて、黙っちゃいけませんよォ…」
   いきなり、天井から巨大な槍が降ってくる。
ジェーン「やっぱ、黙ってなかった。素直ねぇ」
   二機は降りかかる槍の中をかわしながら進む。

○巨大な神殿
   穴を抜けたところに、噴火口の様な縦穴があり、無数の女神像に囲まれた祭壇が   ある。
   二機は着地する−。
   三人は、素早く飛び出すと身構える。
   縦穴の壁は、様々な愛に苦悩する女達をモチーフにした像で、埋めつくされてい   る。
ミッチ「暗いなぁ…」
ジェーン「お空も暗いよ」
   見上げる縦穴の上空は、暗雲がたちこめている。
ラン「どうやら、お目当ては、あそこみたいだね。」
   祭壇の上を指す
ミッチ「えっ?…あれは…」
   ミッチは、祭壇の上のレリーフを見つけて思わずつぶやく。
ミッチ「あれは…あれは…確か、どこかで…」

○イメージ
   四歳のとき…ヒロシを連れ去る宇宙船の姿−。

○神殿
ミッチ「…なんだったのかしら…思い出せない」

   (このシーンは、VHD、ならびにPART2にはいりません。総集編のときの伏線です。)

ジェーン「お仕事 早く済まそうね。」
   三人、祭壇を駈け昇る。
   祭壇の上に宇宙船(ヒロシを連れ去ったものと同じ型)の姿をした宝石が輝いて   いる。
ミッチ「これを壊すのね。」
ジェーン「なんか、簡単すぎないか?」
ラン「こういうの一番、やばいんだよね。」

   ガチャン!
   いきなり、ミッチが金槌で、宝石を割る。
ジェーン「あわわ、あんた!」
ミッチ「だって急いでんだもん」
らん「そりゃ、そうだけど…」
ジェーン「近頃の若いもんは…」

   宝石の間から、光が放出され、頭上の暗雲に穴が開く。
ミッチ「はら、あれが、出口よ、きっと…」
ジェーン「な、イージーな…」
ラン「楽するにこした事はないよ。」
ジェーン「そりゃまぁ…ねぇ…」
   と、突然、縦穴の壁が崩れ落る。
   壁にへばり付いていた、無数の像達が動き出す。
ジェーン「あ〜ん、こんなこったろうと思ってたよ。」
   いきなり、頭上から巨大な女郎蜘蛛が、降りてくる。
   三人は、飛びずさって、銃を撃つ。
   びくともしない。
   蜘蛛に追われ、女像の群れに追われ、三人は逃げ惑う。
   ミッチの足に、蜘蛛の糸が絡み付く。
   ランとジェーンの銃が、糸を燃やす。
   二人は、ミッチを救いあげる。
ミッチ「サンクス!」
ジェーン「なんで助けにゃならんのかね。」
ラン「女だからさ、同じ」
   逃げ続ける。

○ブラックホール内
   ギャッピー機が、もみくちゃにされている。
ギャッピー「出口は…出口はまだか!」
   と、前方似、明るい光が見える。
ギャッピー「ん、あれは…」
   団長機……
団長「あ、あすこや。」
副団長「あれぇ、めざせぇ!」
   光に向かって、突き進む船団。

○岩山付近
   フィレが、部下達と山頂を見つめている。
フィレ「無理を承知で、あの三人を行かせながら、なぜか気になるわたし…」
   ビガッ!
   山頂の上空が光る。
フィレ「ん!あ、あれは!」
   ミッチを追っていた大船団が現れる。小型艇が、次々に飛び出してくる。

○神殿
   女像達と、女郎蜘蛛に囲まれ、ミッチ達は、逃げ場を失った。
   三人は傷だらけだった。
   女像達は、まるで死人の群のように近づいてくる。
   ジェーンはかぶりを振る。
ジェーン「ここまでのようだね。続きはなさそう。」
ラン「女の群れに殺されるとは…せめて男に殺されたかった。一人でいいから…」
   女郎蜘蛛が飛びかかる。
ミッチ「ヒロシ!助けて!」
   間一髪!
   女郎蜘蛛の頭部が弾ける。
ミッチ「エッ?」
   上空からパラシュートをつけた、ギャッピーが、バズーカ砲を持って降りてくる。
ギャッピー「ヒロシくんでなくて悪かったが…。」
ミッチ「ギャッピーおじさま。」
ギャッピー「……おじさま…か」
   「いてこませ!」
    ナニワのトラキチ群が降ってくる。
   暴走族が突っ込んでくる。
   観光バスが、女像を胴体着陸で潰す。
                     (つづく)

 「COSMOS ピンクショック」二部……その4
              首藤剛志

○田園
   正に、ベートーベンの田園を思わせる風景。
   薄布をまとった女達がたわむれている。
   ひときわ美しい乙女、ディージーの花で、花占いをしてる。
   女達の星、レスボーの女王、フィレである。
フィレ「スキ、キライ、キライ、スキ、キライ…(最後の一枚で)スキ…スキか…一体誰を…一体、誰を好きだというの?わたしは…(微笑み)わたしは何の為に、こんな占いをしているというの?」
   と、どこからか、地響きが聞こえる。
   フィレ、空を見上げ………
フィレ「また、ゴミが落ちてきたの?…」
   女達が駈けてくる。
女A「王女様、空からロケットが…」
フィレ「よきにはからえ。適当に処分すればよろしいでしょう」
女A「それが…」
フィレ「どうしました。」
女B「これをご覧下さい。」
   コンパクトを開く。
   コンパクトがヴィジョンになっている。
女A「これが、ロケットの乗員でございます。」
   ヴィジョンに気を失っているミッチが写っている。
フィレ「女?」
女B「ハイ、すでに、素性を調べました結果、数万光年、光の星から、たった一人で旅してきた女だと…」
フィレ「数万光年…しかも、この暗黒空間の底にある、わが星にですか?…」
女A「はい…」
フィレ「美しいわ。その行動力…その勇気…わが星にふさわしい娘に思えますが、でも、なにゆえ…出会いが楽しみですね。」
   フィレ、ふっと笑う。

○王宮
   少女趣味の極みのような宮殿−。

○王女の間− 
   先刻の優しい笑いが嘘の様に、ひきつったフィレの顔−。
フィレ「なに?男を追いかけての旅ですって…」
   ミッチが頷く。
ミッチ「うん。宇宙の中心、宇宙の聖域に行けば、ヒロちゃんに会えると思うんだ。」
フィレ「目をお覚ましなさい。男には、女が追いかける値打ちなどありませんわ!最悪の生き物です。」
ミッチ「あ〜あ、宇宙は広いんだな。女の人が、大嫌いな男の人がいると思えば、男の人が大嫌いな女の人もいる。」
フィレ「好きも嫌いもありません。男は悪そのものなんです。」
ミッチ「な、こと言ったって、男の人がいなければ、子供もできないし、この星だって滅びちゃうじゃない。」
フィレ「子供ができないですって?あなたは、よほど未完成な女性なのですね。女は女だけで、子供が産める生き物なのですよ。ごらんなさい、我が星のどこに男がおります?」
   王宮のヴィジョンに、星の様子が写る。
   どこもこかしこも、ギリシャ神話を思わせる半裸の女性ばかりである。
フィレ「この星には男はおりません。女は17歳になれば、自分の意志で子を生めるのです。もちろん女の子をね…」
ミッチ「でも…でもね…女の子しかいない星なら、なぜ男って言葉があるの?」
フィレ「ギクッ!」
ミッチ「いないものの名前を知っていたり、おまけに大嫌いだの悪だの、決めつけるのはおかしいわ。」
フィレ「男を知らない訳ではありません。この星には、恐ろしくも悲しい過去があるのです。」

○レスボーの過去
   エデンの園のような光景。
   裸の女達が戯れている。
フィレの声「遠い昔、この星は、女達の楽園でした。悲しみも憎しみもなく、女達は愛し合い、子を生み、育て、何もかもが幸福でした。」
   女達の一人が、ふと空を見上げ、目を輝かす。
フィレの声「けれど、ある日、空の彼方から、光り輝く美しい宝石が降りてきました。」
   空から降りてきたもの…それはヒロシを連れ去った、あの宇宙船である。」
フィレの声「巨大な宝石は、一人の人間を残し、再び飛び去ったのです。」
   宇宙船から光線が発射され、黒いシルエットの男が浮び上がる。
フィレの声「それが男でした。女達は、たちまち恋に落ちました。けれど、男は、その内の一人を、誰も選びはしなかったのです。」

○王宮
ミッチ「理想が高かったんだ。その男の人。」
フィレ「いいえ…」
ミッチ「えっ?」
フィレ「一人を選びはしません…」

○レスボー星の過去
フィレの声「か・か・か…片っ端からひっかけよった。見境もなく、女ならば…誰でもかれでも…!」
   シルエットの男…女達を抱き、口づけをする。
   女達は、バタバタと倒れていく。
N「そして、七日がたち、男が空の彼方に去ったとき、女達の間に、悲しみと嫉妬と、憎しみが残りました。やがて、悲しみと憎しみは、この星を暗黒空間の底に沈めました。男なんて、大嫌いだ〜ッ!」
   女達の流す涙が池になり、川になり、滝となり…やがて王宮の中央の噴水になる。

○王宮
   噴水を見つめるフィレの目に涙が浮かぶ。
ミッチ「(しみじみ)男運が悪かったんだ…この星の人」
フィレ「言わないで…これでも、あなたは、そんな男を追うと、おっしゃるのですか。」
ミッチ「たぶん。ヒロちゃんは、そんな男の子じゃないわ。いいえ、男の人って、そんなに悪い人ばかりじゃないわ。」
フィレ「男を良く言うような女は、許せませぬ。」
   と、思わす剣を振る。
   部下の女達も、銃を構える。
   身構えるミッチ。
   と、その時、ド〜ン!
   王宮の天井が破れ、ロケットが突っ込んでくる。
   王宮内はパニックである。
   ロケットのコックピットが外れ、ジェーンとランが、無様に落ちてくる。
ジェーン「アタタ!」
ラン「ここどこ?」
   二人、すぐにミッチを見つけ、
ジェーン「あ−っ!見っけ!」
ラン「となれば」
   二人、バシッとポーズを決め、
二人「先手必勝!」
   銃を抜き、ミッチをめがけて撃つ。
   ミッチは、素早く、フィレの部下の銃をもぎ取ると!
ミッチ「あと攻め素早く」
   物陰に飛び込んで乱射する。
   ジェーンとランは、慌てて、ロケットの影に飛び込んで応戦する。
ジェーン「やるじゃん、あの子」
ラン「銃を撃てるなんて、資料(データ)になかったわよ。」
ミッチ「(つぶやく)女の子がね、一人で宇宙を17年間も生きてきたんですからね。いろいろあるわよ。いろいろやるわよ。」
ジェーン・ラン「納得!」
   乱射!乱射!
   王宮の壁が次々に壊れ落ちる。
フィレ「やめて…やめて下さい。ええい!やめんか。やめィ!…しまいにゃ、おこるぞ!」
   フィレは、王宮の壁のレバーを引く。
   たちまち、ジェーン、ラン、ミッチの頭上から、蜘蛛の糸のようなものが降りかかってくる。
   がんじ搦めになる三人。
フィレ「おぬしら、女同志で闘ってどうする…仲ようせにゃいかん…敵は、男だけで沢山ばい…うん。おさえて…おさえてね…」
   と、三人を撫でる。
   まるで、さっきの華麗さが嘘のような、フィレの口調である。
                              (つづく)


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首藤剛志
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